召喚された俺は生贄のはずなのに、魔王様に恋をする~みだなら夜のその後で~

sweetheart

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でもそれ以上に幸せだと感じている自分に驚きつつも、
これが本当の自分なんだと納得するのだった。
これからもずっと一緒にいられたらいいなと思った瞬間、思わず口に
出してしまったようだ。
「ずっと一緒だよな? 俺達」
と言うと、笑いながら頭を撫でてくれるその手つきはとても優しかった。
それに嬉しくなってつい甘えてしまう。
そうこの時は、本当に嬉しかったんだ。
しかし、そんな俺でも彼のことをよく知らない。
魔王とは、おとぎ話や小説の中の人物だと思っていし、尚更、彼のことを知らなさすぎた。
「なぁ、魔王……名前はなんて言うの?」
気になって尋ねると、微笑みながら答えてくれた。
「そんなの、聞いてどうするの?」
彼が他の者から魔王様と言われているのは事実で、でも、俺にはそれ以上のことはわからないので教えて欲しかっただけなのだけど、
何か変なことを聞いてしまっただろうか?
不安になりながら見つめていると、頭を撫でられてしまったので
安心して身を委ねることにしたのだった。
すると彼は言った。
「俺が魔王であることと、名前がお前が知りたいと思う気持ち、それは今必要なものか?」
そう諭されては何も言い返せない。
「俺は、魔王を名前で呼びたいだよ、恋人なんだいいだろう?」
と言ったが彼は首を横に振って拒否するのだ。
何故なんだろうと思いながらも諦めきれずに粘り強く交渉していると
遂に折れてくれたようで、溜息まじりに名前を教えてくれた。
「カミュだと言っただろう?」
少し怒っている気がする。
「カミュ・なんて言うの?」
しつこいと言われるかもと少し怯えれば案の定睨まれたが気にしないようにしたのだった。
だって名前を呼んでもいいのだから、これくらい許してくれてもいいだろうと開き直っていたせいかもしれない。
それでもいいと思ったのだ。
それくらい彼に惚れていたのだろうと思うと顔が熱くなるのがわかるくらい
赤くなっていたことだろう。
その様子を見ていたのかクスクスと笑われてしまい余計に恥ずかしくなったが、
それよりも嬉しさの方が勝っていた為気にしなかった。
そして思い切って言ってみたのだ。
「魔王カミュだ、それ以外は」
「したの何を聞いているんじゃないよ、上の名を聞いている、俺の国では苗字って言うんだけどこの世界だと俺は海・進藤だろう?」
と言って間を置いた。
「カミュ・エルドリオだこれで満足か? 少年」
少年ではないし、少年扱いされる言われは無い。
これでも成人しているのだと言いたいところだけれど彼が言うなら仕方がない。
受け入れようと思ったのである。
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