【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい

冬月光輝

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第三章:【リメルトリア共和国】の危機編

第62話:フィアナを連れてガガール基地から脱出する話

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 私はコントロールルームでのミッションに成功した。
 そして、フィアナの部屋で彼女に睡眠薬を盛り、眠らせた。
 8時間後、サイレンが鳴り響いた。

「さてと、フィアナを連れて入口まで行くか……」
 私はフィアナを抱えて部屋を出た。
 多少目立つが、もうバレても構わないだろう。
 手荒なマネをしてでも此処を出る!

――ジリリリリリリ

「なんだ、全ての部屋のロックが解除されてるぞ」
「自動迎撃システムも動かない」
「どうなっているんだ。今度はエネルギー供給装置が動かない……」

 基地内の兵士達は混乱していた。

「おっお前、フィアナ兵士長に何をしている? さては……、お前がこの混乱の首謀者か……」
「フィアナ兵士長がロープで……」
「早く救い出すぞ」

 ガガール基地の兵士が3人程こちらに向かってきた。

「くっ、フィアナ兵士長に当たってしまう……」

 兵士達は銅装飾銃(ブロンズガン)を構えたが、攻められないでいた。
 よし、このスキに……。

ルシア→リメルトリア兵(3人)
【武闘家スキル発動】
 
 死なないギリギリで気絶するキック

――ドカッ、バキッ、ドカッ

 私は蹴り技でリメルトリア兵達を気絶させていく。

 うーん、人質を盾にして攻撃するって精神的にくるな。
 スピードを上げるとするか……。

ルシア
【仙人スキル発動】

 仙舞影歩

「あっあいつ、なんて動きをするんだ……」
「早いっ、目が追い付かない……」

 兵士達は残像を織り混ぜて走る私の動きについてこれなかった。
 よしっもうすぐ出口だって思うといつも強敵がくるんだよなぁ。

――ドギャァァァァン

 天井を突き破り、蒼白い光の柱が落ちてきた。
 くっ避けきれないし、とんでもないパワーを感じるぞ……。
 私は右手を上に向けた。
 
ルシア
【魔王スキル発動】

 漆黒闘気弾(ダークマター)

――ズギャァァァァァン

 蒼白い光と漆黒のオーラがぶつかり合う。
 威力は互角のようだった。ゆえに、互いに相殺しあって消しとんでしまった。
 バカな……、片手で放ったとはいえ、【ベルゼブブ大公】すら吹き飛ばした必殺技だぞ。
 
「あらあら、久しぶりですわ。ガーディアンの超魔導砲を相殺するほどの威力の技を見たのは……。やはり、あなたがスパイでしたか、ルシアールさん」
 ミランダの上の方から声が響き渡った。
 
――ガシーン

 白い金属で出来た巨大な人形が落ちてきた。
 5メートルくらいあるぞ、そりゃあ天井壊して落ちてくるわけだ。
 これが、ガーディアンか……。

「ふふふ、この基地の機能が失われたなら、多少壊しても問題ないでしょう。それよりもフィアナさんの回収をさせていただきますわ」
 ガーディアンの中からミランダの声が聞こえた。
 なるほど、フィリアから聞いていたとおりだ。中で誰かが操作する仕組みなんだな。

「その割にはさっきの攻撃はフィアナの安全なんて考えてないみたいだったぞ」
 
「あら、フィアナさんはあれくらいじゃ死にませんわ。知っていると思いますが、彼女は先代魔王のご息女ですの。わたくし、その辺の見極めはキチンとしておりますわ」
 ミランダは自信満々の声で返事をした。
 なるほど……、コイツはやりにくい相手だな……。
 消滅魔法を使えば勝てるが、フィリアから100年かかって作ったから出来れば消さないで欲しいって言われてるし……。
 あっ、そもそもラミアが居ないから使えないじゃん。
 とりあえず、コイツと今戦うのはうまくないな。

「では、仕切り直しをさせていただきますわ。今度は先程の倍の力で攻撃をして差し上げますね。エネルギー充填……」
 
――キュゥゥゥゥゥン

 ガーディアンが蒼白く光った。
 また、あの技を使うのか……。では、こちらの打つ手は……。

ルシア→ガーディアン
【羊飼いスキル発動】

 戦闘用羊召喚

――ドッドッドッドッド

 羊たちがガーディアンに向かって突撃をする。

「なっなんですの、これは……。えっ羊?」
 ミランダは呆気にとられていた。

「ふん、羊如きにやられるガーディアンではありませんわ。この羊の群れが居なくなった時があなたの最期ですの」
 ガーディアンは冷静に羊たちを躱し始めた。
 思ったとおり冷静だな……。しかし……。

「なっ、ルシアールさんとフィアナさんが……、消えましたわ。そんな、ありえませんの」
 
ルシア→フィアナ
【忍者スキル発動】
 
 変化の術(羊Ver)

 私は素早く自分とフィアナを羊に変装させて、堂々と出口から出ていった。
 ガーディアンとやり合うのは後にしよう……。合流するのが先決だ。

――キキィー

 外に出ると、ウィンディアンが停まっていた。
 
「本当にフィアナまで連れてくるなんて、さすがね……。コッチの作戦も上手くいったわ。あとは最後の仕上げのみよ……」
 フィリアは私とフィアナをが後ろの席に乗ったのを確認してから出発した。

「あれ、ラミアとグレイスは? メフィストの姿も見えないけど……」
 私はフィリアに質問をした。

「ああ、メフィスト達にはこの混乱に乗じて、武器工場の占拠を頼んだわ。牢屋に閉じ込められている、私を支持する仲間に武器を渡すためにね」
 フィリアはそのように返事をした。
 なるほど、この後はこの国の行く末をかけた戦いを始めるつもりなのか。
 じゃあ、私達はこれから何をするんだ?

「私達はこれから、この国の中枢であるセントラルビルに軟禁されている議員達を解放しに行くの。自動防衛システムや、各部屋のロックも全て解除されているから侵入は容易だし、フィアナを人質にしているから、向こうも議員達には手出しできない。やっとイーブンの状態まで持ってこれたわ」
 フィリアは少し興奮気味の様だった。

「うっうーん。ここは……」
 フィアナが目を覚ました。早い目覚めだな、あと数時間は寝てると思ったが……。

「久しぶりね、フィアナ。まさか貴女があたしを裏切るなんて思わなかったわ」
 フィリアが運転をしながらフィアナに声をかけた。

「そっその声は……、フィリア。何故だ……。私はルシアールと……」

「すまない。フィアナさん」
 私は羊の姿から戻った時に、ついでに男装を解いていた。

「誰だ? 貴様はっ! ルシアールはどこにいる?」
 フィアナは私の顔を見て怒鳴った。

「…………へっ」
 私は喉から変な声が出た。
 
「彼女はルシア=ノーティス。あたしの協力者よ。ルシアールなんてのはこの世に居ないの」
 フィリアは私の紹介をする。

「るっルシアールはもう……。くっ、私が寝てしまった為に、奴は犠牲に……。許せ、ルシアール。私と居たばかりに……。愛していたのに……。許さんぞ、ルシアとやら!」
 何を勘違いしたのか、フィアナの頭の中では私がルシアールを殺したという図式が出来ていた。
 なんか、話がややこしくなったな。

「フィアナ、あなた本気であたしを裏切ったの? あなたはそんな子じゃないとあたしは今も少し信じていたい。何か弱みを握られたんじゃない?」
 フィリアはそんな事はお構いなしにフィアナを追求する。

「はっはっは。世界一の頭脳を持った姉さんでも、私の心はわからないんだな。私は正気だし、100パーセント自分の意思で動いた。フィリア、あなたは軟弱者だ」
 フィアナは自分の心情を吐露した。
 
 そして、私はこの姉妹に出来た確執を知ることとなった。
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