25 / 226
四章/複雑な兄妹
23.デート
しおりを挟む
その日は快晴だった。雲一つない青空が広がっていて、日差しがいつもよりまぶしかった。土日としては絶好のお出かけ日和である。いや、絶好のデート日和といえようか。
開星の学生寮にいる生徒達は、その日は出かける者だったり、部屋で過ごす者だったり、部活に出て行く者だったり、休日の過ごし方はそれぞれだ。
出かける約束をしている甲斐は、部屋着からお出かけ用の私服に着替えて身だしなみを整える。
デートなんて人生で一度も経験がないために、どんな服装を着て行けばいいかわからずに悩んだ結果、どんな服装にも合わせやすい黒のパーカーと紺のジーンズ。靴は動きやすい黒のスニーカー。手首には一万円で買ったお高めな腕時計。
たぶん、客観的に見れば無難な格好だ。
後ろのズボンポケットに財布とスマホを突っ込んで、甲斐は学生寮を出る。一応、悠里とは連絡先を交換しているので、今寮を出た事を送信しておく。
待ち合わせ場所の駅前ショッピングモールは混み合っていた。土日でこの天気の良さは多くの家族連れや、恋人達、休日出勤のサラリーマン、キャリーバックを引く観光客などが歩いている。
甲斐は目印の歴史の銅像の前に立ち、スマホを取り出して今着いたとまた送信。そろそろ待ち合わせ時間だ。
「架谷くん」
可愛らしい声が聞こえたのは数分後の事。周りのありとあらゆる男性達の視線を独占させるその容姿に、甲斐も思わず言葉を失う。
綺麗で可愛い。どこのモデルが歩いているのかと。
彼女の私服はピンクと白のワンピース姿に編み込みをした男心を鷲掴みにする格好だ。
「神山さん、おはよう。今日はいい天気だ」
「うん、こんな日に架谷くんとデートできてうれしい」
花開くような笑顔に思わず男としてドキリとする。
おまけにふんわり香るシャンプーの匂い。鼻につんとくるようなひどい香水ではなく、安心するようなアロマの香りだ。
「じゃ、じゃあとりあえず行こうか」
「うん」
自然と緊張した面持ちで二人は動き出した。
とりあえずデートの定番と呼ばれる映画館に行くことにする。
その背後で、黒塗りの車の後座席から二人の様子を窺っている男がいるとも知らずに。
「あの二人の後をバレないくらいの距離で追え」
「かしこまりました」
映画館に来たはいいが別段観たいというものがなかったので、悠里に何がいいか訊くと、最近人気だと噂の恋愛映画を選んだ。
真ん中ら辺の席に座り、二人して始まるのを待つ。
しばらくして本編が始まると、スクリーンにはある主人公の男が大嫌いな女にどうしてか強引にキスをしてしまったというシーンが流れる。そして、なんであんな事をしてしまったのかとイラつく葛藤。次第にお互いは罵り合いながらもお互いが気になっていき、大きな事件を乗り越えて結ばれていく話である。
ありきたりな話だと思いながらも、なんだかこの映画が他人事に思えないのはどうしてだろう。
「ねえ、架谷くんは……し、シた事ある?」
「……なにを?」
映画が終わり、二人は腹ごしらえに近くの店でランチをとっていた。それなりに老舗でうまいと評判の店だ。運ばれてきたオムライスをゆっくり口に運んでいる。
「キス」
「へ?!」
甲斐の頬が真っ赤に染まった。同時に悠里の頬も赤くなっている。
「あ、その、ちょっと知りたくなって……え、映画のラストはそのシーンで終わったから……」
「そ、そっか。ええーと、ま、まあ、した事……あrいや、な、な、ないよ!うん!」
咄嗟に嘘をついてしまった。
本当はした事があるくせに、あのキスはできればなかった事にしたい。体育倉庫で無理やりアイツにされた強引なキスなんてノーカンである。
「……本当?」
上目づかいで悠里が再度確かめる。まるで探るような目に甲斐はどぎまぎする。
「本当だよ」
強くそう確かめられると、嘘をつきづらいものがある。
「なんか怪しい」
「いや、その、知らないうちにしてるかもなーって事。ほら、猫とかに可愛いすぎてついしちゃうとかありそうだろう?」
「まあ、それはそうだけど……」
「俺、猫が好きだからさ、結構してしまいそうにはなるんだ~ちゅーって」
「そうなんだ。架谷くんて猫が好きなんだね」
「そうそう。寮で猫飼いたいくらいだよ。ペットOKだからちょっと考えていたりさ」
そう言って悠里をなんとかごまかせた事にほっとする。
そもそも、キス一つになぜここまで自分が焦って後ろめたい気持ちを抱かなければならないのだろうか。
別に悠里とは恋人という関係でもないし、自分としては恩人であり、いい友達だと思っているだけなのに。
そう思うと、特別な感情が全くないといえば嘘になるが、彼女を恋の対象としてみる事は多分――……いや、今は考えないようにしよう。
その頃、一部始終を見ていたサングラスの男の矢崎直は、イライラした様子で舌打ちをしていた。
悠里の鞄に超小型の盗聴器などをつけて、その会話内容を全て盗み聞きしているのである。
クソ……アイツ、キスをなかった事にしやがって。
直は無性にわきあがる怒りに体を震わせた。
たしかにあの時したキスは無意識だった。無理やりして奴を屈服させようと必死だった。数のうちに入らないキスだけれど、だからってそれをなかった事にされるのも腹が立つ。貧乏人の分際で生意気だ。
むかつくから邪魔して恥かかせてやるよ。
「例の作戦を遂行しろ」
店を出てから甲斐と悠里はショッピングモール街を歩いた。この辺りはカップルが多いので右も左も恋人が歩いている。その周囲から漂う甘い雰囲気に二人は恥ずかしそうに並んで歩くが、そのヨットハーバー付近のベンチの上では、激しいキスをしているカップルまでいる。目のやり場に困った。
「だ、大胆なカップルが結構いるね」
「そうだな……」
そんな時、前からチンピラ風な男数人が歩いてきた。顔が超強面でヤクザ顔負けである。
「おい、てめえ……ガキのくせにすっげぇ可愛い彼女連れて歩いてるじゃねえか」
「一丁前に女連れて歩いているとは生意気だなァ、おい」
チンピラどもは甲斐と悠里を囲んでいた。他のカップル達はその不穏な空気に気づき、チンピラに囲まれては面倒だと我先に逃げていく。気が付けば、周囲はあっという間に自分達だけしかいなくなっていた。
「なんだお前ら」
甲斐は怯む事無く、悠里を守るようにして前に立つ。
「気に入らねえんだよ。平凡そうなツラしてそんな可愛い子連れ歩いてるのがよ」
チンピラは悠里の腕を強引に掴んで引き寄せた。
「ちょっと!」
悠里はチンピラ一人の胸にぽすんと埋まり、逃げようとするも男の手が伸びてきて、がっしり抱き寄せられた。非力な彼女では男の腕からは逃れられない。
「神山さん!」
「よそ見してんじゃねえぞコラ!」
チンピラが甲斐を殴ろうと拳を振りかぶる。甲斐は難なく片手でそれを受け止め、そのまま相手の手首をひねった。
「いでえっ!いででででで!」
見た目に反して握力のある甲斐に驚くチンピラ。
「なっ、こいつ強くね!?」
「案外やるようだな。これならどうだ」
チンピラの一人が渾身の力で脚を振り上げる。が、甲斐はその蹴りを寸での所で真横に避けて、その男に足払いをひっかける。男は勢いよく尻もちをついた。
「いてっ!」
「てめえ!」
もう一人の男も甲斐に蹴りを仕掛ける。
それを右腕で難なく受け止め、前に出て左回し蹴りでもう一人を吹っ飛ばす。それに焦ってしびれを切らした残りのチンピラどもが次々襲い掛かってきた。甲斐は無言で連中の攻撃を避けては受け流し、突きや蹴りや背負い投げで倒していく。
平凡そうな顔して圧倒的な強さを誇る甲斐に焦るチンピラ共。敵わないと知ると、
「調子に乗るのもそこまでだ。この可愛い子ちゃんがどうなってもいいのかよ」
チンピラの一人が悠里の首筋にナックルを突きつけていた。あれで殴られれば流血だけでは済まない。甲斐は活発していた動きを止める。
「血だらけになるぜぇ?」
挑発するチンピラ。
「チッ……」
「おとなしくしてもらおうか」
焦っていた表情から一転して、チンピラの顔がにやりと歪んだ。
開星の学生寮にいる生徒達は、その日は出かける者だったり、部屋で過ごす者だったり、部活に出て行く者だったり、休日の過ごし方はそれぞれだ。
出かける約束をしている甲斐は、部屋着からお出かけ用の私服に着替えて身だしなみを整える。
デートなんて人生で一度も経験がないために、どんな服装を着て行けばいいかわからずに悩んだ結果、どんな服装にも合わせやすい黒のパーカーと紺のジーンズ。靴は動きやすい黒のスニーカー。手首には一万円で買ったお高めな腕時計。
たぶん、客観的に見れば無難な格好だ。
後ろのズボンポケットに財布とスマホを突っ込んで、甲斐は学生寮を出る。一応、悠里とは連絡先を交換しているので、今寮を出た事を送信しておく。
待ち合わせ場所の駅前ショッピングモールは混み合っていた。土日でこの天気の良さは多くの家族連れや、恋人達、休日出勤のサラリーマン、キャリーバックを引く観光客などが歩いている。
甲斐は目印の歴史の銅像の前に立ち、スマホを取り出して今着いたとまた送信。そろそろ待ち合わせ時間だ。
「架谷くん」
可愛らしい声が聞こえたのは数分後の事。周りのありとあらゆる男性達の視線を独占させるその容姿に、甲斐も思わず言葉を失う。
綺麗で可愛い。どこのモデルが歩いているのかと。
彼女の私服はピンクと白のワンピース姿に編み込みをした男心を鷲掴みにする格好だ。
「神山さん、おはよう。今日はいい天気だ」
「うん、こんな日に架谷くんとデートできてうれしい」
花開くような笑顔に思わず男としてドキリとする。
おまけにふんわり香るシャンプーの匂い。鼻につんとくるようなひどい香水ではなく、安心するようなアロマの香りだ。
「じゃ、じゃあとりあえず行こうか」
「うん」
自然と緊張した面持ちで二人は動き出した。
とりあえずデートの定番と呼ばれる映画館に行くことにする。
その背後で、黒塗りの車の後座席から二人の様子を窺っている男がいるとも知らずに。
「あの二人の後をバレないくらいの距離で追え」
「かしこまりました」
映画館に来たはいいが別段観たいというものがなかったので、悠里に何がいいか訊くと、最近人気だと噂の恋愛映画を選んだ。
真ん中ら辺の席に座り、二人して始まるのを待つ。
しばらくして本編が始まると、スクリーンにはある主人公の男が大嫌いな女にどうしてか強引にキスをしてしまったというシーンが流れる。そして、なんであんな事をしてしまったのかとイラつく葛藤。次第にお互いは罵り合いながらもお互いが気になっていき、大きな事件を乗り越えて結ばれていく話である。
ありきたりな話だと思いながらも、なんだかこの映画が他人事に思えないのはどうしてだろう。
「ねえ、架谷くんは……し、シた事ある?」
「……なにを?」
映画が終わり、二人は腹ごしらえに近くの店でランチをとっていた。それなりに老舗でうまいと評判の店だ。運ばれてきたオムライスをゆっくり口に運んでいる。
「キス」
「へ?!」
甲斐の頬が真っ赤に染まった。同時に悠里の頬も赤くなっている。
「あ、その、ちょっと知りたくなって……え、映画のラストはそのシーンで終わったから……」
「そ、そっか。ええーと、ま、まあ、した事……あrいや、な、な、ないよ!うん!」
咄嗟に嘘をついてしまった。
本当はした事があるくせに、あのキスはできればなかった事にしたい。体育倉庫で無理やりアイツにされた強引なキスなんてノーカンである。
「……本当?」
上目づかいで悠里が再度確かめる。まるで探るような目に甲斐はどぎまぎする。
「本当だよ」
強くそう確かめられると、嘘をつきづらいものがある。
「なんか怪しい」
「いや、その、知らないうちにしてるかもなーって事。ほら、猫とかに可愛いすぎてついしちゃうとかありそうだろう?」
「まあ、それはそうだけど……」
「俺、猫が好きだからさ、結構してしまいそうにはなるんだ~ちゅーって」
「そうなんだ。架谷くんて猫が好きなんだね」
「そうそう。寮で猫飼いたいくらいだよ。ペットOKだからちょっと考えていたりさ」
そう言って悠里をなんとかごまかせた事にほっとする。
そもそも、キス一つになぜここまで自分が焦って後ろめたい気持ちを抱かなければならないのだろうか。
別に悠里とは恋人という関係でもないし、自分としては恩人であり、いい友達だと思っているだけなのに。
そう思うと、特別な感情が全くないといえば嘘になるが、彼女を恋の対象としてみる事は多分――……いや、今は考えないようにしよう。
その頃、一部始終を見ていたサングラスの男の矢崎直は、イライラした様子で舌打ちをしていた。
悠里の鞄に超小型の盗聴器などをつけて、その会話内容を全て盗み聞きしているのである。
クソ……アイツ、キスをなかった事にしやがって。
直は無性にわきあがる怒りに体を震わせた。
たしかにあの時したキスは無意識だった。無理やりして奴を屈服させようと必死だった。数のうちに入らないキスだけれど、だからってそれをなかった事にされるのも腹が立つ。貧乏人の分際で生意気だ。
むかつくから邪魔して恥かかせてやるよ。
「例の作戦を遂行しろ」
店を出てから甲斐と悠里はショッピングモール街を歩いた。この辺りはカップルが多いので右も左も恋人が歩いている。その周囲から漂う甘い雰囲気に二人は恥ずかしそうに並んで歩くが、そのヨットハーバー付近のベンチの上では、激しいキスをしているカップルまでいる。目のやり場に困った。
「だ、大胆なカップルが結構いるね」
「そうだな……」
そんな時、前からチンピラ風な男数人が歩いてきた。顔が超強面でヤクザ顔負けである。
「おい、てめえ……ガキのくせにすっげぇ可愛い彼女連れて歩いてるじゃねえか」
「一丁前に女連れて歩いているとは生意気だなァ、おい」
チンピラどもは甲斐と悠里を囲んでいた。他のカップル達はその不穏な空気に気づき、チンピラに囲まれては面倒だと我先に逃げていく。気が付けば、周囲はあっという間に自分達だけしかいなくなっていた。
「なんだお前ら」
甲斐は怯む事無く、悠里を守るようにして前に立つ。
「気に入らねえんだよ。平凡そうなツラしてそんな可愛い子連れ歩いてるのがよ」
チンピラは悠里の腕を強引に掴んで引き寄せた。
「ちょっと!」
悠里はチンピラ一人の胸にぽすんと埋まり、逃げようとするも男の手が伸びてきて、がっしり抱き寄せられた。非力な彼女では男の腕からは逃れられない。
「神山さん!」
「よそ見してんじゃねえぞコラ!」
チンピラが甲斐を殴ろうと拳を振りかぶる。甲斐は難なく片手でそれを受け止め、そのまま相手の手首をひねった。
「いでえっ!いででででで!」
見た目に反して握力のある甲斐に驚くチンピラ。
「なっ、こいつ強くね!?」
「案外やるようだな。これならどうだ」
チンピラの一人が渾身の力で脚を振り上げる。が、甲斐はその蹴りを寸での所で真横に避けて、その男に足払いをひっかける。男は勢いよく尻もちをついた。
「いてっ!」
「てめえ!」
もう一人の男も甲斐に蹴りを仕掛ける。
それを右腕で難なく受け止め、前に出て左回し蹴りでもう一人を吹っ飛ばす。それに焦ってしびれを切らした残りのチンピラどもが次々襲い掛かってきた。甲斐は無言で連中の攻撃を避けては受け流し、突きや蹴りや背負い投げで倒していく。
平凡そうな顔して圧倒的な強さを誇る甲斐に焦るチンピラ共。敵わないと知ると、
「調子に乗るのもそこまでだ。この可愛い子ちゃんがどうなってもいいのかよ」
チンピラの一人が悠里の首筋にナックルを突きつけていた。あれで殴られれば流血だけでは済まない。甲斐は活発していた動きを止める。
「血だらけになるぜぇ?」
挑発するチンピラ。
「チッ……」
「おとなしくしてもらおうか」
焦っていた表情から一転して、チンピラの顔がにやりと歪んだ。
32
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【本編完結】才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。
ホマレ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。
その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。
胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。
それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。
運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。
ファントムペイン
粒豆
BL
事故で手足を失ってから、恋人・夜鷹は人が変わってしまった。
理不尽に怒鳴り、暴言を吐くようになった。
主人公の燕は、そんな夜鷹と共に暮らし、世話を焼く。
手足を失い、攻撃的になった夜鷹の世話をするのは決して楽ではなかった……
手足を失った恋人との生活。鬱系BL。
※四肢欠損などの特殊な表現を含みます。
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。
一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。
✤✤
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる