【完】学園トップに反抗したら様子がおかしくなった(かねもち学園)

いとこんドリア

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六章/派遣学生と交流会

41.無才学園の生徒

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 んじゃあどっちが姫役やるんだろうか。
 身長的な意味で俺?いや、冗談はよしこさんだ。
 なんで俺が化粧してひらひらドレスなんて着なきゃならねーんだよ。それこそキモすぎる。完璧ニューハーフだ。
 まだ草下菜月とかがやった方がいい気がする。それか可愛い男の娘の誰か。
 
 じゃあ、矢崎が女装?
 アイツ綺麗な顔してるから似合いそうだな。歌舞伎の女形みたいできっと相当な美女になる事だろう。

「言っておくけど姫役は架谷君、キミだから。やっぱり直が王子役じゃないと得点稼げないでしょ。みんなそれを望んでるし」

 それを聞いて甲斐の脳内にガビーンと効果音がついた。

「やっぱし世間はそれを望むのかっ。くっ、泣きたい……って、得点?」
「そう、得点。コスプレ障害物はたしかに一番早くゴールするのも当然だけど、演技力や見栄えの良さも重要視されてるから。いくら一位をとっても見た目が冴えないと最下位も一緒だからね。それを忘れないで」
「うげ……なんだその採点形式。超面倒くせー」

 ということは、姫役を必死で演じないとダメ出しをくらうわけである。足の速さには自信があるが、演技力ゼロな甲斐にとってそれは無理難題。しかもこの競技は演劇に関して必ずド素人が相方で選ばれる事が決まりで、ド素人なりにどれだけ大衆の心を惹きつけたかが勝利の鍵らしい。
 当日までどんな台詞が出るかは誰もわからず、演技の練習ができない中でぶっつけ本番で挑まなければならないのだ。

「とにかく、がんばれっていうのも変だけど、この学校の未来のためにがんばってよね」
「何をがんばりゃあいーんですか」

 甲斐の耳には菜月の激励は届いていなかった。



 その頃の四天王はというと、けだるそうな顔で他生徒の練習ぶりをぼうっと眺めていた。日陰の休憩所で。

「みんな練習熱心で何よりだね。相手の連中も打倒開星とか暑苦しい事言って練習に励んでるみたいだし。あ、そういえばさ、負けたら連中に頭下げて下僕にさせられるけど、開星が勝ったら奴らに何させるのー?」

 穂高が扇風機に当たりながら訊いた。負ける事は全く考えていない。

「そりゃあ奴らをパシリにするんだろ」と、サングラスをかけている直。
「じゃあ、開星の生徒達にはどうするの?やっぱり勝った時ご褒美あげとかないとやる気出してもらえないじゃない」
「それは一理あるな」と、ハル。
「なら、活躍したクラスや生徒に商品でも与えた方がいいね。たとえば活躍したクラスには一週間食堂利用タダとかね。個人で一番活躍した者には男なら好きな美女と、女なら俺らとチェキ券とか。面倒くせぇけど」

 相田が思いついたご褒美をツラツラ述べている。

「そんなもんでうまくいくのか。あまりにも単純すぎるな」

 ハルにとってはどうでもいい商品内容である。

「ダイジョブダイジョブ。案外乗ってくる事まちがいなし!」

 *

 そして、問題の無才生徒会達は――

「開星四天王……噂にたがわぬ連中達です事。人生最大の屈辱と汚点を残すというのにあの余裕ぶり。天弥からの連絡では、四天王達は事の重大さをさほど重く受け止めていないようですね」

 副会長の銀がスマホをポケットに入れた。

「それでいいんだよ。奴らに本気を出させる前に勝ってしまえばいいんだから。あいつらが本気を出すと厄介だからな」
「四天王達の事、よく知っているようだね、時雨」
「矢崎直の事だけな。他の三人はよく知らねえが、所詮は矢崎一人のワンマンチームにしか過ぎない。四天王のトップに立つ矢崎直は、世界に名を轟かす矢崎財閥。矢崎家の親族のほとんどは商社のトップやエリート官僚、皇族に嫁ぐ者もいるリアル華麗なる一族と呼ばれている。さすがにグループのドデかさと権力は俺達では桁が違いすぎるが、奴さえなんとかすれば勝機はこちらにある」
「ふふ、そうですね」

 *

 体育祭前日、開星も無才百合ノ宮もそれぞれ明日の準備に取り掛かっていた。
 三校の生徒達が最後の打ち合わせやら練習を行い汗を流している。生徒会も忙しそうに会場内を走り回っては体育委員などに指示を出していた。

 会場は開星にある数万人を収容できる広い競技場で行われる事になっている。
 決して不正がまかり通らないように、競技の判定人は陸上競技においてのプロを雇ったようだ。
 明日は敵同士という事もあって顔を合わせれば睨みあい、罵り合う生徒達。甲斐達Eクラスは来るもの拒まずで無才百合ノ宮の生徒達と仲良く接していた。

「開星がうらやましいよ。ぼくたちの所と違って男は男と付き合うなんて風習がないから」

 先ほど同じ競技出場という事で、かしまし三人娘の小川が知り合ったのは、無才学園の可愛らしい生徒であった。身長は160あるかないかの小柄で、女の子と遜色ない美少年である。

「風習て、なんか強制的みたいだね。外に出た時のカルチャーショックは大きすぎるでしょ」
「うん、それはもう。今、小川さんと話しているのが不思議な感じだよ。小さい頃から男ばかりの生活が当たり前だったから、ちょっとウンザリしてたんだ。時々、開星の生徒だったらよかったなって思う時がある」
「ならさ、アンタも開星に来ちゃえば?」と、清水。
「自動的にEクラスになっちゃうけどさ、Eクラスの奴らみんないい奴だし」

 山岸も彼を誘う。

「Eクラス、かァ」

 と、遠くを眺める男子生徒。そんな時、

「おい、何を話してやがる」

 背後から野太い声に呼び止められて、かしまし三人娘と話していた無才の生徒がびくりと体を強張らせた。
 振り向くと、強面の不良らしき男達が数人立っていた。その横には顔を殴られたような傷をつけた宮本もいる。

「宮本君!?」
「知り合いのようだな。おい、そこの奴隷。仕事だからこっちに来い」

 数人の男の一人が男子生徒の胸ぐらを乱暴に掴んで引きずっていこうとする。

「ちょっと!あんたその子と宮本君に何すんの!」
「女は引っ込んでな!おれは女には興味ねえからな。さあ、行こうぜ。向こうで会長様がお待ちだ」
「会長……?あんたら会長のマワし者!?」
「チッ……余計な事を口滑らしちまったぜ。おい、この女共も連れてけ!」

 無才の不良共は男子生徒とかしまし三人娘を連行したのだった。


「あれ?三人娘達どこ行ったんだろ。明日の打ちあわせそろそろあんのに」

 甲斐が戻ってくると、そこには彼女達の姿が見えない。

「さっきまで無才の生徒と近くにいたんだけど」と、健一。
「無才の生徒?」

 甲斐は首をかしげた。

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