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十三章/初デート
105.新しいバイト
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「母ちゃんどっかアテはないのか?今月ピンチでさ。どっか遊びに行ったら生活費がなくなりそう」
唯に電話を掛けながら通帳を見ると、そこには限りなくゼロに近い数字。おまけに給料日まではまだ先。デート代は出せるが、その後の生活費がピンチであった。
『あら丁度いい。おじいちゃんのお友だちが助手を探しているって言ってたわよ。誰でもいいから寄越してくれって』
「助手?」
『そう。おじいちゃんの長年のお友だち。研究家でもあり発明家でもあって権威のある人よ。あんた助手になってあげたら?』
「そんな権威ある人の助手は俺でも勤まるのかよ。俺みたいな成績ドッカンな奴でも」
自慢じゃないが、最近の数学の小テストで連続0点をとったくらいだ。この成績の悪さに相手もドン引きするかもしれない。
『バカでも猫でもいいから来てほしいって言ってたわよ。働き具合によって給料も弾むとかなんとか。しかもあんたがやってた『わくわくドキドキゾンビライフ』っていうゲームの制作者でもあるらしいから』
「なんだと!!まじか!」
わくわくドキドキゾンビライフは甲斐が今やっているネトゲである。
内容は動物達の世界平和のためにゾンビを倒しつつ、可愛い動物達と家を作ったりお店で商売を始めたりする日常ゾンビゲームだ。
可愛いもふもふ(猫耳美少女)を堪能できてキモいゾンビから町を守るなんて楽しい、えろい、という事で一ヶ月前に丁度やりはじめている。
ちなみに甲斐は18禁バージョンをやっている。ゾンビのグロさに磨きがかかっており、ヒロインの美少女猫耳があーんな事やこーんな事をしてくれるサービスシーン付きなので、世のスケベ男共からも評判がよい。
しかし、最近は雑誌の紹介などから人気が出てきたので一般人もやるようになり、全年齢向けが主流となっているため可愛いもふもふな動物達との交流がメインとなっている。
なんかいろいろ混ざっている気がしなくもないが、楽しいので星4.2って所か。このゲームを作った神製作者に出会えるのと、バイトができる嬉しさに甲斐は有頂天にならざるを得ない。
「さっそく明日見学に行ってみるよ。『わくドキゾンビ』の制作者って俺得だしな」
翌日、母が紹介してくれたバイト先へ見学に出向いた。わくドキゾンビの制作者だからさぞや儲けている大きな会社なんだろうと思っていたら、下町の中にあるようなオンボロ小屋であった。
まるで戦時中のバラック建築のような、あまりのボロさに目を疑うレベル。人住んでいるのかと住所を何度も確認したが、何度確認してもこの建物がそうらしい。
これがわくドキゾンビの制作会社なのか。まだ俺の実家の方がマシなレベルだ。表札にはちゃんと株式会社パンチラ18と出ている。
母いわく、人気が出ると会社に突撃してくるファンが出てこないとも限らないので、信頼のおける人物にしか本当の住所は教えていないらしい。ならここが本当の住所だとすればファンもビックリで誰も近づかないだろう。どう見ても怪しい集団のアジトにしか思われない。
「きみが架谷甲斐くんか。君のお母さんから話は聞いている」
チャイムがないので扉を叩こうとしたら扉が勝手に開き、毛根が死滅したひげ面眼鏡のじーさんが現れた。
扉を開ける前になぜわかった。監視カメラで見てたのかってくらいタイミングもバッチリであった。
「あの、あなたがわくドキゾンビの社長であるパンチラ博士ですか?」
ぐるぐる巻きの牛乳瓶底眼鏡がチャームポイントのじーさんは頷く。
「そうだ。わしがパンチラ博士と呼ばれておる犯散禿男だ。きみの爺さんである小太郎とは旧知の仲で幼馴染みであった。だがしかし、あいつはわしの初恋のキヨエちゃんを横から奪いおった不届きパンツ野郎だった。孫のきみには聞きたくない昔話だろうがこれだけは聞くべきだ」
え、って思う暇もなくじーさんは遠い空を眺めながら昔話とやらを語り出す。
「当時、わしが高校生だった頃、同じクラスのキヨエちゃんはわしの女神であった。優しくて時に厳しくて、わしのような根倉御宅でも笑顔で接してくれたこの世に舞い降りし女神だった。昔でいう夏●雅子みたいでな、それはそれは美しいお嬢さんだった。そんな彼女に振り向いてもらおうとわしはキヨエちゃんを放課後のサテンに誘ったりデェトをたくさんした。わしとキヨエちゃんはどんどん仲良くなり、頃合いを見計らって校庭の裏庭に呼び出して告白しようと思っていた。が、あいつは、小太郎はわしの勝負パンツであったぶりーふを一枚盗んでそれを穿いてキヨエちゃんにコクりおったんだ。キヨエちゃんは小太郎のパンツ姿に惚れ、わしのパンツを小太郎のものだと信じて疑わず、そのまま結婚しおってな……わしは寝取られてしまったのだ。うう、孫のきみを見ていると複雑だ。孫まで誕生しているほど恵まれおってっ……くっ、リア充爆発しろだ」
パンチラ博士は男のような涙を見せた。うっうっと手拭いで牛乳瓶底眼鏡をとって涙をぬぐっている。
甲斐はなんと言っていいかわからずに茫然と立ち尽くし、そうだったんすか……としか言えなかった。
この爺と祖父母にはそんな三角関係の真柄だったのも初耳だが、じいちゃん……何やってんだよと言いたい。
じいちゃんは昔からパンツ好きであったが、まさか他人のパンツを盗んでいたくらいパンツ厨だったのかよ。そんで人の恋路をパンツごと横取りとは趣味悪いぞじいちゃんよ。
そもそもパンツをじいちゃんが盗んでばーちゃんに告白してなかったら、母ちゃんや俺が生まれてなかったと思うと複雑な心境だ。そんな過去知りたくなかったっ。
ちなみにキヨエは甲斐の祖母の名前である。
どんな相手も更正させてしまう芯の強さと優しさを持ち合わせているからこそ、若い頃はモテたんだろうなと思っていたらやっぱりモテていたようだ。
そんな祖母はパンツ盗んだ祖父のどこがよかったのだろうか……。
聞きたいけど訊くのが怖い。知らない方が身のためだと思って触れない事にした。
唯に電話を掛けながら通帳を見ると、そこには限りなくゼロに近い数字。おまけに給料日まではまだ先。デート代は出せるが、その後の生活費がピンチであった。
『あら丁度いい。おじいちゃんのお友だちが助手を探しているって言ってたわよ。誰でもいいから寄越してくれって』
「助手?」
『そう。おじいちゃんの長年のお友だち。研究家でもあり発明家でもあって権威のある人よ。あんた助手になってあげたら?』
「そんな権威ある人の助手は俺でも勤まるのかよ。俺みたいな成績ドッカンな奴でも」
自慢じゃないが、最近の数学の小テストで連続0点をとったくらいだ。この成績の悪さに相手もドン引きするかもしれない。
『バカでも猫でもいいから来てほしいって言ってたわよ。働き具合によって給料も弾むとかなんとか。しかもあんたがやってた『わくわくドキドキゾンビライフ』っていうゲームの制作者でもあるらしいから』
「なんだと!!まじか!」
わくわくドキドキゾンビライフは甲斐が今やっているネトゲである。
内容は動物達の世界平和のためにゾンビを倒しつつ、可愛い動物達と家を作ったりお店で商売を始めたりする日常ゾンビゲームだ。
可愛いもふもふ(猫耳美少女)を堪能できてキモいゾンビから町を守るなんて楽しい、えろい、という事で一ヶ月前に丁度やりはじめている。
ちなみに甲斐は18禁バージョンをやっている。ゾンビのグロさに磨きがかかっており、ヒロインの美少女猫耳があーんな事やこーんな事をしてくれるサービスシーン付きなので、世のスケベ男共からも評判がよい。
しかし、最近は雑誌の紹介などから人気が出てきたので一般人もやるようになり、全年齢向けが主流となっているため可愛いもふもふな動物達との交流がメインとなっている。
なんかいろいろ混ざっている気がしなくもないが、楽しいので星4.2って所か。このゲームを作った神製作者に出会えるのと、バイトができる嬉しさに甲斐は有頂天にならざるを得ない。
「さっそく明日見学に行ってみるよ。『わくドキゾンビ』の制作者って俺得だしな」
翌日、母が紹介してくれたバイト先へ見学に出向いた。わくドキゾンビの制作者だからさぞや儲けている大きな会社なんだろうと思っていたら、下町の中にあるようなオンボロ小屋であった。
まるで戦時中のバラック建築のような、あまりのボロさに目を疑うレベル。人住んでいるのかと住所を何度も確認したが、何度確認してもこの建物がそうらしい。
これがわくドキゾンビの制作会社なのか。まだ俺の実家の方がマシなレベルだ。表札にはちゃんと株式会社パンチラ18と出ている。
母いわく、人気が出ると会社に突撃してくるファンが出てこないとも限らないので、信頼のおける人物にしか本当の住所は教えていないらしい。ならここが本当の住所だとすればファンもビックリで誰も近づかないだろう。どう見ても怪しい集団のアジトにしか思われない。
「きみが架谷甲斐くんか。君のお母さんから話は聞いている」
チャイムがないので扉を叩こうとしたら扉が勝手に開き、毛根が死滅したひげ面眼鏡のじーさんが現れた。
扉を開ける前になぜわかった。監視カメラで見てたのかってくらいタイミングもバッチリであった。
「あの、あなたがわくドキゾンビの社長であるパンチラ博士ですか?」
ぐるぐる巻きの牛乳瓶底眼鏡がチャームポイントのじーさんは頷く。
「そうだ。わしがパンチラ博士と呼ばれておる犯散禿男だ。きみの爺さんである小太郎とは旧知の仲で幼馴染みであった。だがしかし、あいつはわしの初恋のキヨエちゃんを横から奪いおった不届きパンツ野郎だった。孫のきみには聞きたくない昔話だろうがこれだけは聞くべきだ」
え、って思う暇もなくじーさんは遠い空を眺めながら昔話とやらを語り出す。
「当時、わしが高校生だった頃、同じクラスのキヨエちゃんはわしの女神であった。優しくて時に厳しくて、わしのような根倉御宅でも笑顔で接してくれたこの世に舞い降りし女神だった。昔でいう夏●雅子みたいでな、それはそれは美しいお嬢さんだった。そんな彼女に振り向いてもらおうとわしはキヨエちゃんを放課後のサテンに誘ったりデェトをたくさんした。わしとキヨエちゃんはどんどん仲良くなり、頃合いを見計らって校庭の裏庭に呼び出して告白しようと思っていた。が、あいつは、小太郎はわしの勝負パンツであったぶりーふを一枚盗んでそれを穿いてキヨエちゃんにコクりおったんだ。キヨエちゃんは小太郎のパンツ姿に惚れ、わしのパンツを小太郎のものだと信じて疑わず、そのまま結婚しおってな……わしは寝取られてしまったのだ。うう、孫のきみを見ていると複雑だ。孫まで誕生しているほど恵まれおってっ……くっ、リア充爆発しろだ」
パンチラ博士は男のような涙を見せた。うっうっと手拭いで牛乳瓶底眼鏡をとって涙をぬぐっている。
甲斐はなんと言っていいかわからずに茫然と立ち尽くし、そうだったんすか……としか言えなかった。
この爺と祖父母にはそんな三角関係の真柄だったのも初耳だが、じいちゃん……何やってんだよと言いたい。
じいちゃんは昔からパンツ好きであったが、まさか他人のパンツを盗んでいたくらいパンツ厨だったのかよ。そんで人の恋路をパンツごと横取りとは趣味悪いぞじいちゃんよ。
そもそもパンツをじいちゃんが盗んでばーちゃんに告白してなかったら、母ちゃんや俺が生まれてなかったと思うと複雑な心境だ。そんな過去知りたくなかったっ。
ちなみにキヨエは甲斐の祖母の名前である。
どんな相手も更正させてしまう芯の強さと優しさを持ち合わせているからこそ、若い頃はモテたんだろうなと思っていたらやっぱりモテていたようだ。
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聞きたいけど訊くのが怖い。知らない方が身のためだと思って触れない事にした。
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