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5.悪魔と恋の駆け引きをするつもりはない
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「テメエ、さっきオレをバカ呼ばわりしただろ」
確かに言ったが、ここまで来て些細な事を根に持つな。
「あんなぎゃらりぃがいる前で恋人発言するからだ。おかしな噂が立ったらどうする」
「お前が恋人にならねぇからいけねぇんだろ」
「だからなるわけねぇって何度も言ってるだろうが!物わかりがよくないわからずやめっ!そこまで言うならなぜわしを恋人にしたがるんだ。お前ほどならいろんな女が寄ってくるだろう。悪魔顔だけど」
「他の女とかもうどうでもいい。オレはテメエに気があるから恋人にしたいんだ」
「気があるって……」
何度考えてもこいつに惚れられる事をした覚えがない。
「お前はオレを怖がりもせずに真正面からぶつかってきた初めての女だ。だからお前が気に入った。恋人にしたくなった。オレのものにしたくなった」
「な、そんな事でか。そんな事を言ってもだな……せめて恋人じゃなくて友達とかの方がいいと思うんだが……」
「恋人以外は考えられん。そもそもオレがお前と友達になりましょうという柄に見えるか?」
そう言われてじっとキョウタロウの顔を眺めてみると、
「見えんな。その顔で友達とか無理」
「そうだろう。この顔だから友達にはなれん」
「自分でわかっているじゃないか。どうせお前はわしを恋人にしてわしを嘲笑う気なんだろ。こんな変人を恋人にして振って笑ってやったって武勇伝のようにな。わかっているんだ女泣かせ野郎め」
「オレはそんな事はしない。前の女はそうだったが、お前相手にはしない。言っただろ。オレはテメエを気に入ったって」
キョウタロウが真剣な目でわしを見つめてくる。
「オレは惚れた相手を裏切るほど落ちぶれた男じゃあない。この悪魔顔で言うのもあれだがこれはマジだ」
「……」
本当にそう言っているのか。そんな邪悪な顔はどうも信用ならんな。
「わからんな。気に入ったとか坊主になってから言われた事がないから。実感がわかんよ」
「なら、さっさと実感しろ」
「実感できるか」
「なら、させてやるまでだ」
茫然と立ち尽くしているわしの至近距離に、キョウタロウの凶悪顔が近づいて、わしの顎をぐいっと引き寄せて唇を重ね、
「られてたまるかあ!!」
バキィッ!
わしの反射神経が間一髪作動して、キョウタロウの頬をぶん殴っていた。
奴の悪魔のキッスから逃れたわしは青白い顔で肩を上下に動かす。
「おんどりゃあ!それがしになにすっとかケダモノがぁああ!!キッスなんてゆるさんぞキッスはーー!」
危なかった。しかし、どういうわけかあまり嫌な気がしなかった。
普通ならもっと身の毛がよだって、鳥肌が立って、吐きそうになるくらいなのが当たり前なはず。
ていうかダメ、絶対。キョウタロウ、ごーばっくほうむ!
わしは生前の爺様一筋じゃ。これは何かの間違い。こいつにドキがムネムネなんてするか!
錯乱しそうなわしは、気絶しているキョウタロウをそのままにその場を走り去った。
その背後で、別の何かが動き始めたことをわし達は知らなかった。
「キョウタロウの女か。くくく、これは面白そうだ」
「これは使えますね、サル総長」
「てめ、サル言うな!」
「すんません」
「まあ、今度こそアイツの眉毛がハの字になった所を見て嘲笑ってやるぜ。うっきっきっき!」
「総長、その笑い方マジでサル「サル言うなって言ってンだろうが!ぶち殺すぞごるぁああ!!」
確かに言ったが、ここまで来て些細な事を根に持つな。
「あんなぎゃらりぃがいる前で恋人発言するからだ。おかしな噂が立ったらどうする」
「お前が恋人にならねぇからいけねぇんだろ」
「だからなるわけねぇって何度も言ってるだろうが!物わかりがよくないわからずやめっ!そこまで言うならなぜわしを恋人にしたがるんだ。お前ほどならいろんな女が寄ってくるだろう。悪魔顔だけど」
「他の女とかもうどうでもいい。オレはテメエに気があるから恋人にしたいんだ」
「気があるって……」
何度考えてもこいつに惚れられる事をした覚えがない。
「お前はオレを怖がりもせずに真正面からぶつかってきた初めての女だ。だからお前が気に入った。恋人にしたくなった。オレのものにしたくなった」
「な、そんな事でか。そんな事を言ってもだな……せめて恋人じゃなくて友達とかの方がいいと思うんだが……」
「恋人以外は考えられん。そもそもオレがお前と友達になりましょうという柄に見えるか?」
そう言われてじっとキョウタロウの顔を眺めてみると、
「見えんな。その顔で友達とか無理」
「そうだろう。この顔だから友達にはなれん」
「自分でわかっているじゃないか。どうせお前はわしを恋人にしてわしを嘲笑う気なんだろ。こんな変人を恋人にして振って笑ってやったって武勇伝のようにな。わかっているんだ女泣かせ野郎め」
「オレはそんな事はしない。前の女はそうだったが、お前相手にはしない。言っただろ。オレはテメエを気に入ったって」
キョウタロウが真剣な目でわしを見つめてくる。
「オレは惚れた相手を裏切るほど落ちぶれた男じゃあない。この悪魔顔で言うのもあれだがこれはマジだ」
「……」
本当にそう言っているのか。そんな邪悪な顔はどうも信用ならんな。
「わからんな。気に入ったとか坊主になってから言われた事がないから。実感がわかんよ」
「なら、さっさと実感しろ」
「実感できるか」
「なら、させてやるまでだ」
茫然と立ち尽くしているわしの至近距離に、キョウタロウの凶悪顔が近づいて、わしの顎をぐいっと引き寄せて唇を重ね、
「られてたまるかあ!!」
バキィッ!
わしの反射神経が間一髪作動して、キョウタロウの頬をぶん殴っていた。
奴の悪魔のキッスから逃れたわしは青白い顔で肩を上下に動かす。
「おんどりゃあ!それがしになにすっとかケダモノがぁああ!!キッスなんてゆるさんぞキッスはーー!」
危なかった。しかし、どういうわけかあまり嫌な気がしなかった。
普通ならもっと身の毛がよだって、鳥肌が立って、吐きそうになるくらいなのが当たり前なはず。
ていうかダメ、絶対。キョウタロウ、ごーばっくほうむ!
わしは生前の爺様一筋じゃ。これは何かの間違い。こいつにドキがムネムネなんてするか!
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「これは使えますね、サル総長」
「てめ、サル言うな!」
「すんません」
「まあ、今度こそアイツの眉毛がハの字になった所を見て嘲笑ってやるぜ。うっきっきっき!」
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