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6.サル軍団
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「お前がキョウタロウの女だな」
そう言うこのサルみたいな隣国の生徒は恐ろしく勘違いをしていた。
だってわしの事をあのキョウタロウの女だとか抜かすんだ。バカなことをほざくな。名誉棄損だぞ。
大体よ、ここどこだ。なんでわしはこんなぼろい廃家にいるんだ。それに、
「お前ら誰じゃ」
視線の先には猿みたいな不良一匹と、そのまた猿みたいなその他大勢の山猿達がいる。
ふむ、これは非常に危ない状況ではないだろうか。猿とはいえ囲まれたら逃げるのも大変だ。
「うきききき、聞いて驚け。俺さまはこの辺を束ねている日光組の総長ニッゴォ・サァルグンダァン様という。よーく覚えておくんだな、うきききき」
どこぞの観光地のような名前の奴が自己紹介をした。
キョウタロウ率いるミスタードゥナッツと敵対している集団の総長らしい。暴走族なのか893なのかイマイチわからんが、わしはこの日光組の人達に捕まっているという事。
あのなー……捕まえる相手をまちがえていると思うんだが。
そんな時を遡る事二時間前――。
わしはいつも通り家に帰ろうと校門を出た矢先、変な猿みたいな髪型をした奴らに絡まれて、それでいきなりバナナを食わされて、急に眠くなって意識を飛ばした。
次に目が覚めたらこんな廃家のぼろ屋敷にいたのである。
ふむ、これがおプロミスというやつか。九十数年生きてきたわしもまだまだという事だな。
「えっと、それでそのなんて名前だったか。サルだったっけ」
「サァルグンダァンだ!!発音に気を付けろよ」
「うお、すまんすまん。サァルグンダァンさんだったね。発音が難しくって」
もう潔くサルって省略してくれよ呼びづらい。
「それでですね、ユーはなぜわしをここに?わしなんて捕まえて人質にしてもなんの得もないでしょうに。第一、わしはキョウタロウのオンナでもないですし。捕まえ損だと思うんだが」
「あいつはお前に気があるだろ。それだけでも十分に人質になる理由だろうが。なんせあのキョウタロウは今まで全く他人に興味を持つような人間ではなかった。どんなにすげぇ美女がいい寄ろうと、どんな有名人が近づこうと、奴は興味を抱かず、悉く一蹴していた。だが、キョウタロウはお前に興味を持った」
びしっとサル総長がわしを指さす。呼びづらいので脳内だけサルで統一だ。
「その事がマジ信じられなくてよ、これはぜひとも利用せずにはいられなくなった。となると、キョウタロウの弱点イコールお前となる。お前の存在がキョウタロウを苦しめ、眉毛がハの字になった顔が見られる。うききき、こんなおいしい存在はいねぇだろ。なんでお前みたいなドブス女を気に入ったのかは知らねーけどな」
「そんな理由でわしこんな場所にか。実につまらん理由だな……というかなんか腹が立ってきたぞ」
わしは怒りを覚えた。猛烈に沸々とわきあがってくるこの激情。
あんな凶悪顔の女にされて奴の弱点扱いにもされて冗談ではない。失礼千万だキミら。
そもそもあれもこれも全部キョウタロウのせいだ。
あいつがわしを恋人になれとか理不尽な要求するから、わしが囚われの姫状態になっている。こんな事はあってはならない。絶対に。
こうなったら……
「はやくキョウタロウをわしの前に連れてきやがれ!!」
人質のくせに偉そうに命令するわしは、奴が来たら絶対殴ってやるとかたく決意した。
「そんな急くな。今に奴は来る頃だr……」
その時、入口の扉がすごい音をたてて勢いよく吹っ飛んでいった。
え、扉ってあんな木の葉みたいに吹っ飛ぶのか。
わしはびっくりして目を仰天させていると、そこには一人の男が立っていて、近くにいたサルの部下が返事がないただの屍のように無造作に転がっていた。
「あ、悪魔だ……」
誰かがそう茫然と呟いた。
現れたそいつは、顔も、その視線も、その雰囲気も、本当に悪魔か殺人鬼かのように見えたのでその表現はおかしくない。
キョウタロウ、もしかしてめちゃんこ激おこぷんぷん丸にキレているのか。まじか。
「そいつを放せ、サル」
キョウタロウはいつもより低い声で唸った。やっぱり本当に怒っているらしい。
え、もしかしてわしのためにとかそういうやつか。そんな冗談を言いに来たのかね。
「や、やっと来たようだな、キョウタロウ」
サル総長がちょいとビビっている。そりゃあそうだろうな。あの顔は見ていられんほど凶悪も凶悪だ。
「おいどうだ。このドブスを助けたくばお前はわしの傘下に入れば助k」
最後まで言う事なく、サル総長は無様に吹っ飛んでいた。壁際まで。
すごい威力だな。乙女げぇむとは思えん格闘アニメ並みの豪快な吹っ飛びようだ。実写でいえばハリウッド映画並みの大迫力である。
それからサル総長が呆気なくKOされてしまったので、残りの雑魚の猿軍団達は腰を抜かして去っていく。トップが簡単にやられちゃあ手下達は逃げるしかないだろう。ご愁傷様でした。
「大丈夫か」
悪魔が心配そうに駆け寄ってきた。
「あ、ああ」
さっきまでの恐ろしい凶悪顔の雰囲気はいずこかへ。今はいつも通りのキョウタロウがそこにいた。
いや、いつも通りとはいえ、悪魔は悪魔で変わりないんだけど、穏やかというかなんというか。
あ、そういえば………
そう言うこのサルみたいな隣国の生徒は恐ろしく勘違いをしていた。
だってわしの事をあのキョウタロウの女だとか抜かすんだ。バカなことをほざくな。名誉棄損だぞ。
大体よ、ここどこだ。なんでわしはこんなぼろい廃家にいるんだ。それに、
「お前ら誰じゃ」
視線の先には猿みたいな不良一匹と、そのまた猿みたいなその他大勢の山猿達がいる。
ふむ、これは非常に危ない状況ではないだろうか。猿とはいえ囲まれたら逃げるのも大変だ。
「うきききき、聞いて驚け。俺さまはこの辺を束ねている日光組の総長ニッゴォ・サァルグンダァン様という。よーく覚えておくんだな、うきききき」
どこぞの観光地のような名前の奴が自己紹介をした。
キョウタロウ率いるミスタードゥナッツと敵対している集団の総長らしい。暴走族なのか893なのかイマイチわからんが、わしはこの日光組の人達に捕まっているという事。
あのなー……捕まえる相手をまちがえていると思うんだが。
そんな時を遡る事二時間前――。
わしはいつも通り家に帰ろうと校門を出た矢先、変な猿みたいな髪型をした奴らに絡まれて、それでいきなりバナナを食わされて、急に眠くなって意識を飛ばした。
次に目が覚めたらこんな廃家のぼろ屋敷にいたのである。
ふむ、これがおプロミスというやつか。九十数年生きてきたわしもまだまだという事だな。
「えっと、それでそのなんて名前だったか。サルだったっけ」
「サァルグンダァンだ!!発音に気を付けろよ」
「うお、すまんすまん。サァルグンダァンさんだったね。発音が難しくって」
もう潔くサルって省略してくれよ呼びづらい。
「それでですね、ユーはなぜわしをここに?わしなんて捕まえて人質にしてもなんの得もないでしょうに。第一、わしはキョウタロウのオンナでもないですし。捕まえ損だと思うんだが」
「あいつはお前に気があるだろ。それだけでも十分に人質になる理由だろうが。なんせあのキョウタロウは今まで全く他人に興味を持つような人間ではなかった。どんなにすげぇ美女がいい寄ろうと、どんな有名人が近づこうと、奴は興味を抱かず、悉く一蹴していた。だが、キョウタロウはお前に興味を持った」
びしっとサル総長がわしを指さす。呼びづらいので脳内だけサルで統一だ。
「その事がマジ信じられなくてよ、これはぜひとも利用せずにはいられなくなった。となると、キョウタロウの弱点イコールお前となる。お前の存在がキョウタロウを苦しめ、眉毛がハの字になった顔が見られる。うききき、こんなおいしい存在はいねぇだろ。なんでお前みたいなドブス女を気に入ったのかは知らねーけどな」
「そんな理由でわしこんな場所にか。実につまらん理由だな……というかなんか腹が立ってきたぞ」
わしは怒りを覚えた。猛烈に沸々とわきあがってくるこの激情。
あんな凶悪顔の女にされて奴の弱点扱いにもされて冗談ではない。失礼千万だキミら。
そもそもあれもこれも全部キョウタロウのせいだ。
あいつがわしを恋人になれとか理不尽な要求するから、わしが囚われの姫状態になっている。こんな事はあってはならない。絶対に。
こうなったら……
「はやくキョウタロウをわしの前に連れてきやがれ!!」
人質のくせに偉そうに命令するわしは、奴が来たら絶対殴ってやるとかたく決意した。
「そんな急くな。今に奴は来る頃だr……」
その時、入口の扉がすごい音をたてて勢いよく吹っ飛んでいった。
え、扉ってあんな木の葉みたいに吹っ飛ぶのか。
わしはびっくりして目を仰天させていると、そこには一人の男が立っていて、近くにいたサルの部下が返事がないただの屍のように無造作に転がっていた。
「あ、悪魔だ……」
誰かがそう茫然と呟いた。
現れたそいつは、顔も、その視線も、その雰囲気も、本当に悪魔か殺人鬼かのように見えたのでその表現はおかしくない。
キョウタロウ、もしかしてめちゃんこ激おこぷんぷん丸にキレているのか。まじか。
「そいつを放せ、サル」
キョウタロウはいつもより低い声で唸った。やっぱり本当に怒っているらしい。
え、もしかしてわしのためにとかそういうやつか。そんな冗談を言いに来たのかね。
「や、やっと来たようだな、キョウタロウ」
サル総長がちょいとビビっている。そりゃあそうだろうな。あの顔は見ていられんほど凶悪も凶悪だ。
「おいどうだ。このドブスを助けたくばお前はわしの傘下に入れば助k」
最後まで言う事なく、サル総長は無様に吹っ飛んでいた。壁際まで。
すごい威力だな。乙女げぇむとは思えん格闘アニメ並みの豪快な吹っ飛びようだ。実写でいえばハリウッド映画並みの大迫力である。
それからサル総長が呆気なくKOされてしまったので、残りの雑魚の猿軍団達は腰を抜かして去っていく。トップが簡単にやられちゃあ手下達は逃げるしかないだろう。ご愁傷様でした。
「大丈夫か」
悪魔が心配そうに駆け寄ってきた。
「あ、ああ」
さっきまでの恐ろしい凶悪顔の雰囲気はいずこかへ。今はいつも通りのキョウタロウがそこにいた。
いや、いつも通りとはいえ、悪魔は悪魔で変わりないんだけど、穏やかというかなんというか。
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