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僕はきみがだいすき
しおりを挟む「結婚したんだ、あの人。ずっと好きだったのにな。」
僕を抱きしめて目をのぞき込まれた、彼女の瞳には僕が映っている。
にゃぁ(元気を出して)
「慰めてくれるんだ、だったら、少しだけお話聞いてくれるかな。」
にゃぁにゃぁ(もちろん)
その人は大学の同期で同じサークルの人、相手が遠方に就職してそれでも連絡を取り合って、年に何回か会うくらいはして、でも本当の気持ちは言えなくて友達をしていた。抱きかかえられて温かい膝の上、あごの下をくすぐられて喉がゴロゴロいう。
「今日ね、こんなメールが来たんだ、感染症の関係で結婚式はしないから写真撮影だけしてきたって。」
見せられたスマホの画面、相手の女性はかわいらしい人、もちろんご主人さまのほうがもっとかわいいけど。二人ともとっても眩しい幸せなオーラを写している。プロジェクトチームで仕事をするうちに意気投合してゴールイン。一緒に見るドラマでよくあるパターン。協力して同じ課題を解決していくのだからきっと気が合ったのだろう。腕にすりすりと頭を寄せた。
「ねぇ、くすぐったいよ。あ、そうだおやつ食べようか、お話を聞いてくれたそばにいてくれたお礼だよ。」
ぺろぺろとおいしいおやつをなめていると、頭の上には雨が落ちた。見上げたところにちょうど夕陽が窓からさして、あなたの笑顔からこぼれ落ちる涙が光を纏って美しいと思った。
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