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投影された幻想(ファンタジー)
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「やあ、また会ったね、相席いいかな。」
なんだか疲れた仕事終わり、何となく立ち寄った全国チェーンのファミレス。家族連れでにぎわう店内でおひとり様の世界に入り込んでいたのに。
「別に、構いませんよ。」
変な人だなって思ったけど、身なりはしっかりしてるし、襟元の社章はこのあたりでもトップに当たる商社のもの。まぁ、どうでもいいけどっ。
特に会話をすることもなくスマホでソシャゲに興じて料理を待つ。相手の動向が気になってチラチラ見てると目が合った。慌てて目をそらす俺に、
「いつもいらっしゃるんですか。」
くすっと笑って話しかけてくる。オーラすごいな、やばいな。
「ここって安くておいしいですし、人の話し声がいっぱいあって一人でもさみしくないんで。そちらこそなんでここにいるんですか、しかも一人で、週末の夜なんだから一緒に食事に行く人くらいたくさんいるでしょう。」
なんだかその人と自分は身分違いに見えて、彼はここでは場違いに感じて。初めて話したのに印象悪かったかな。
「いないわけではないですが、苦手なんです。気を使うのが。平日目いっぱい気を使うので、週の最後はここで待ったりすると決めているんです。」
俺がここに来たのは先週が初めて、つまりこの人はそれ以前からここにきていてこれは偶然じゃないってことか。
「ふぅん。」
不干渉だから居心地よかったのに今はなんか気まずい沈黙。
「どんなゲームしてるんですか、俺も好きなんですよ、後ろから近づくときにちょっと見えちゃって、同じ話をできる人がいないから友達になってくれると嬉しいな。」
うわっ、メンタルディスタンスないのかこの人、リア充っぽい人苦手。
「今してるのは、こういうRPGです。マイナーなんですけど放置してても育つから楽で。」
そういってSNSでも一番話題に上りにくいが、一番のお気に入りを見せる、ログイン画面だけで十分これで引いてくれるだろう。
やっと静かになる、そう思って視線をスマホに戻そう、とすると。
「それ俺も好きなんですよ、ほら。」
見せられたキャラクターどこかで見たような、まさかな、
「もしかして、炎希さんですか。」
努めて冷静に、そして俺のキャラクターを見せた。
「え、冷紀さんですか、奇遇ですね。実際にお会いできてうれしいです。」
自分が主宰するギルドの団員でいつもクエストをこなす仲のひと。
なんだか嬉しくなって食事をしながらでも盛り上がった。
「また来週も話せますか。今日は楽しかったです。」
コミュ障のくせに調子に乗ったんだ。
「ごめん、転勤で明日にはここを離れるんだ、ここも最後、でもゲームの中にはまた来るから。」
そういって笑っていた。自分も、笑った。
あえて連絡先や本名を聞くことなく別れた。だって、また必ず会えると知っているから。
なんだか疲れた仕事終わり、何となく立ち寄った全国チェーンのファミレス。家族連れでにぎわう店内でおひとり様の世界に入り込んでいたのに。
「別に、構いませんよ。」
変な人だなって思ったけど、身なりはしっかりしてるし、襟元の社章はこのあたりでもトップに当たる商社のもの。まぁ、どうでもいいけどっ。
特に会話をすることもなくスマホでソシャゲに興じて料理を待つ。相手の動向が気になってチラチラ見てると目が合った。慌てて目をそらす俺に、
「いつもいらっしゃるんですか。」
くすっと笑って話しかけてくる。オーラすごいな、やばいな。
「ここって安くておいしいですし、人の話し声がいっぱいあって一人でもさみしくないんで。そちらこそなんでここにいるんですか、しかも一人で、週末の夜なんだから一緒に食事に行く人くらいたくさんいるでしょう。」
なんだかその人と自分は身分違いに見えて、彼はここでは場違いに感じて。初めて話したのに印象悪かったかな。
「いないわけではないですが、苦手なんです。気を使うのが。平日目いっぱい気を使うので、週の最後はここで待ったりすると決めているんです。」
俺がここに来たのは先週が初めて、つまりこの人はそれ以前からここにきていてこれは偶然じゃないってことか。
「ふぅん。」
不干渉だから居心地よかったのに今はなんか気まずい沈黙。
「どんなゲームしてるんですか、俺も好きなんですよ、後ろから近づくときにちょっと見えちゃって、同じ話をできる人がいないから友達になってくれると嬉しいな。」
うわっ、メンタルディスタンスないのかこの人、リア充っぽい人苦手。
「今してるのは、こういうRPGです。マイナーなんですけど放置してても育つから楽で。」
そういってSNSでも一番話題に上りにくいが、一番のお気に入りを見せる、ログイン画面だけで十分これで引いてくれるだろう。
やっと静かになる、そう思って視線をスマホに戻そう、とすると。
「それ俺も好きなんですよ、ほら。」
見せられたキャラクターどこかで見たような、まさかな、
「もしかして、炎希さんですか。」
努めて冷静に、そして俺のキャラクターを見せた。
「え、冷紀さんですか、奇遇ですね。実際にお会いできてうれしいです。」
自分が主宰するギルドの団員でいつもクエストをこなす仲のひと。
なんだか嬉しくなって食事をしながらでも盛り上がった。
「また来週も話せますか。今日は楽しかったです。」
コミュ障のくせに調子に乗ったんだ。
「ごめん、転勤で明日にはここを離れるんだ、ここも最後、でもゲームの中にはまた来るから。」
そういって笑っていた。自分も、笑った。
あえて連絡先や本名を聞くことなく別れた。だって、また必ず会えると知っているから。
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