降り注ぐシャンデリアの下で

青城ヲトハ

文字の大きさ
3 / 4

公爵家のお茶会2

しおりを挟む
ハミルトン公爵家は、トラルーア王国の首都トラールの中心にそびえる王城の程近くにあり、私達の住む侯爵家からも馬車で15分もあれば到着する。

社交シーズンの訪れを告げる春となり、公爵家は色とりどりの美しい花が咲き乱れている。
お母様と公爵夫人のキャサリン様は、学園時代の同級生で、その頃からの親友だ。
その為、私はお母様と一緒に幼い頃からよく公爵家を訪れていた。
私の特にお気に入りの場所は、蔦の絡まる白いアーチをくぐり、広い庭の中央にある噴水の周りを囲むように広がっているバラ園だ。こちらのバラ園は本当に見事で、咲かせるのが難しい希少なバラも本当に健やかに綺麗に咲いている。

今日のお茶会は、この公爵家ご自慢のバラ園の中で行われるようだ。
到着すると、すでにテーブルセットがされており、華やかなバラの香りの中に、香ばしいお菓子やお茶の香りが混じっている。
「わあっ!」
素晴らしい豪華なセッティングと美味しそうな香りに、思わず声が出てしまう。

私達の到着に気付いたキャサリン様が、にこやかに微笑み声をかけてくれる。
「まあ、ダイアナ!待っていたわ。アンドルーとアメリアも、いらっしゃい。」
「キャサリン、素敵なお茶会にお招きいただきありがとう。」
お母様も笑顔で応え、お兄様と私に笑顔で挨拶を促す。
「ご無沙汰しております。本日はお招きいただきありがとうございます。」
「キャサリン叔母様、本日はお招きいただき、ありがとうございます!」
キャサリン様は本当の叔母様ではないのだが、親友であるお母様の娘である私をとてもかわいがってくれており、「叔母様」と呼ぶ事を許してくださっている。

「ええ、アンドルー。本当に久しぶりね。また身長が伸びたんじゃないこと?
今日はうちのオスカーと一緒に、殿下達のお相手をよろしくね。
アメリア、あなたの大好きなスコーンと紅茶を用意してあるわ。」
「ありがとうございます!」
アンドルー兄様は、キャサリン様の言葉にうなづき、奥にある王族用に準備されているテーブルの方に向かっていく。
私はキャサリン様の言葉に、思わずテーブルの上に目をやる。
そこには、美味しそうなスコーンとクロテッドクリームに、恐らくルバーブやチェリー、黒すぐりのジャムが見える。どれも私の大好物である。キャサリン様大好き!

「全く、アメリアは本当にお菓子に目がないんだから・・・。ところで、オリヴィアとアレクサンダーは?」
「あら、オリヴィアは先程までいたのだけれど・・?」
キャサリン様が周囲を見渡すと、公爵家長女で私の一つ年上のオリヴィアお姉様がお屋敷の方から歩いてくるのが見えた。
オリヴィア様も本当のお姉様ではないけれど、キャサリン様同様、妹のように私をかわいがってくださっており、「お姉様」と呼ぶことを許してくださっているのだ。
「ダイアナ様、アメリア、ようこそいらっしゃいました。」
私達に気付いて、オリヴィアお姉様は優雅に挨拶をしてくれる。
そして、キャサリン様に向き直り
「お母様、アレクがいないのよ!どこに行ったのかしら・・。そろそろ殿下達もご到着になる頃なのに・・・」と心配そうにしている。
「困ったわね・・・今日はウィリアム殿下のお相手をするように言ってあったのに・・」
キャサリン様も困った様子だ。

アレクは公爵家の次男で、私と同い年である。
公爵家にしょっちゅう訪れていた私は、アレクやオリヴィアお姉様とよく遊んでもらっていた。
いわゆる幼馴染と言っていいと思う。
アレクは幼い頃から少し病弱で、室内で過ごしている事が多い。今日のガーデンティーパーティは身体が辛いのだろうか・・・。
「叔母様、私、アレクの様子を見てきましょうか?」

その時だった。
門の方がざわざわと騒がしくなってきた。
「殿下達がお見えになったようね。」
そういうと、キャサリン様はお迎えをするべく門の方に向かった。
その後を、お母様とお兄様達、オリヴィアお姉様と私も続いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

ジェリー・ベケットは愛を信じられない

砂臥 環
恋愛
ベケット子爵家の娘ジェリーは、父が再婚してから離れに追いやられた。 母をとても愛し大切にしていた父の裏切りを知り、ジェリーは愛を信じられなくなっていた。 それを察し、まだ子供ながらに『君を守る』と誓い、『信じてほしい』と様々な努力してくれた婚約者モーガンも、学園に入ると段々とジェリーを避けらるようになっていく。 しかも、義妹マドリンが入学すると彼女と仲良くするようになってしまった。 だが、一番辛い時に支え、努力してくれる彼を信じようと決めたジェリーは、なにも言えず、なにも聞けずにいた。 学園でジェリーは優秀だったが『氷の姫君』というふたつ名を付けられる程、他人と一線を引いており、誰にも悩みは吐露できなかった。 そんな時、仕事上のパートナーを探す男子生徒、ウォーレンと親しくなる。 ※世界観はゆるゆる ※ざまぁはちょっぴり ※他サイトにも掲載

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】お父様の再婚相手は美人様

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 シャルルの父親が子連れと再婚した!  二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。  でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった

木嶋うめ香
恋愛
貴族学園の小さな部屋で、私は一人書類仕事に追われていた。 今日も寮には帰れそうにない、机の上には大量の未処理の書類。 せめて空腹を紛らわそうと、ビスケットを鞄から取り出し水を汲んでこようとして立ち上がった途端、視界が暗くなり倒れた。 床に倒れた反動で、頭を床にぶつける。 その衝撃で思い出した、私は前世ブラック企業に勤めていた社畜で、二十三連勤サービス残業付きの末、体調を崩し亡くなったアラサー営業職だった。 他サイトでもアップしています。

処理中です...