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第3話
「サラ、申し訳なかった。どうか、俺のところに戻ってきてはくれないだろうか」
数ヶ月後、クインシー殿下は私の家の玄関先で、頭を下げていました。
彼がどうしてこんなことをしているのか、彼の話をもとに再現すると......。
「ミシェル、使用人がみんな辞めたいって言ってるんだが」
「あら、良かった。どいつもこいつもトロ臭くて、こっちから首にしてやりたいと常々思っていましたの」
「ミシェル、今日の舞踏会、どうして来なかったんだ?」
「だって、今日はどうしても観たい劇があったんですもの。まぁ、あんまり面白くはありませんでしたが」
「ミシェル、俺のネックレスはどうした!?」
「宝石商さんが来ていたので、売っ ておきましたわ。お小遣いって、どうしてすぐになくなっちゃうのかしら」
「ミシェル、何だこれは!?」
「ボン=デリョンの絵画ですわ。骨董品屋で見つけましたの、間違いありませんわ」
「......幾らだったんだ」
「あら、お金なんて払いませんわ。私たちの領地で私が見つけたんですから、これは私たちのものでしょう?」
などなど。
家にいた頃より、さらに酷くなってませんか、あの子。
っていうか、最後のやつは普通に窃盗では。いったいぜんたいどう揉み消したんでしょう。
「だから、サラ。戻って来い。もう一度、私の妻として認めてやる。お前の無実を、証明してやってもいい」
その謎の上から目線はいったい......。
ともかく、それは心理的にも、物理的にも無理な話です。何故って、私はもう、ブラッド殿下と正式に結婚してしまったのですから。
そのことをクインシー殿下に説明していると、奥からブラッド殿下が出てきました。
まさに今日、彼は私の両親に結婚の挨拶をしていたところだったのです。
「何の騒ぎですか?邪魔くさい」
ブラッド殿下は、露骨に嫌な顔をして、十歳も年上のクインシー殿下に言いました。
彼は私の口からクインシー殿下の性格や所業を聞いて、しかも今しがた、彼が置かれている状況も知ってしまいました。
その瞬間、彼の中でのクインシー殿下のランクは、地に堕ちてしまったようです。
「なっ......!」
「あんた、もう終わりですよ。今更ミシェルと婚約破棄なんてしてみてください、頭のいい貴族はみんな気づきますよ、あの文書は全部嘘だったって。そんな嘘をついたやつを、誰が信用します?」
一度は憤慨した様子を見せたクインシー殿下だったが、ブラッド殿下の容赦のない言葉に、すぐに萎れてしまいます。
「僕はずっとサラを見てきました。サラは思慮深くて、思いやりがあって、とても綺麗だ。これから落ちぶれる一方のあんたなんかに、くれてやる気はさらさらない。僕のサラに、金輪際手を出さないでくれ!」
一刀両断。
もう、クインシー殿下は何も言えません。ただ口をぱくぱくとさせながら、逃げるように後ずさりするだけです。
どうぞ、ミシェルとお幸せに。
まぁ、調子に乗った彼女はそのうち、もっととんでもないことをしでかすでしょう。あなたでも庇いきれないようなこと、例えば、人殺しとか。
そうなったら、ブラッド殿下の言うとおり、本当に貴方は終わりです。
私は、私のことを本当に大切に思っている方と一緒に、幸せに暮らしますから。
fin.
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