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Ⅰ 魔法使いのお仕事
第4話 ホムンクルス
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アリア・エインズワース:帝都の郊外に店を構えている魔法使いの女性。21歳。
アーロン・ストライフ:魔法使いの助手兼用心棒の青年。21歳。
ソフィー:記憶喪失の少女。18歳くらい。
シルヴィア:魔法使いの店の常連の少女。17歳。
ある日の昼下がり。魔法使いの店はいつも閑古鳥が鳴いている。それは、依頼を引き受け、知名度がそれなりになった今でも変わらない。
アーロン 「ふぁあ、なんもない日は暇だ。店番してろっつっても、ただぼーっとしてるだけじゃあな」
アリア 「文句を言うんじゃない」
アーロン 「あれ、外に出てたんじゃないのか?」
アリア 「今戻ってきたところだよ。それにしても、ほんとにこの店は人が来ないね」
アーロン 「あんたの店だろ」
アリア 「なにか、宣伝になるようなものでもあれば……。あ」
アーロン 「お、なにか思いついたのか?」
アリア 「キミ、ちょっと街まで出て、女の子を口説いてきてくれないか?」
アーロン 「いや、なんでだよ」
アリア 「キミは、女たらしなところがあるからね。10人ほど、引っかけてきてくれないか?」
アーロン 「はあ、そんなの、あんたがやればいいじゃねえか。アリア、美人なんだし、バカな男が引っかかるだろ」
アリア 「それでは、私の貞操が危ぶまれるだろう」
アーロン 「そこらへんの男にお前が力で負けるわけないだろ」
アリア 「確かにそうだが、はっきり言われると、ムカッとくるね」
アーロン 「それで、今日はなんの用事だったんだ?」
アリア 「シルヴィアの母親の容態を診に行っていたんだよ」
アーロン 「シルヴィアの母親か。確か難病にかかっているとかっていう」
アリア 「ああ、悪いけど、紅茶を淹れてくれないか?」
アーロン 「え、ああ、わかった」
(SE 紅茶を淹れる音)
アーロン 「……ほらよ」
アリア 「……相変わらずうまいね」
アーロン 「それで? なんか話したいんだろ?」
アリア 「……実は、シルヴィアの母親、イザベラの容態が少し悪化していたんだ」
アーロン 「話を振っといてなんだけど、聞いても、いいのか?」
アリア 「キミは私の助手だから大丈夫だよ」
アーロン 「そ、そうか」
アリア 「それで容態だが、今までは膝までが動かなかったんだが、下半身全体にまでに至ってしまってね。この調子だと、2か月もしないうちに心臓に達してしまう」
アーロン 「……それは、シルヴィアたちには伝えているのか?」
アリア 「イザベラには伝えたが、シルヴィアにはまだ……」
アーロン 「そうか。でも、いずれは伝えないといけないよな」
アリア 「そうだね。少し心苦しいけれど」
アーロン 「アリアでも、治せない病があるんだな」
アリア 「……いや、いずれ治す。それに……」
アーロン 「それに、なんだよ」
アリア 「魔術の痕跡を発見した」
アーロン 「魔術?」
アリア 「ああ、巧みに隠されていたから、気づくのが遅れたけどね」
アーロン 「それで、なにか糸口は見つかったのか?」
アリア 「これは、あくまで推測だけど、魔術を行使したのはおそらく錬金術師だろうね」
アーロン 「錬金術? なんだよ、それ」
アリア 「……一応、私がやってる調合も、錬金術なんだけどね」
アーロン 「あ、そうだったのか」
アリア 「助手なら店主の使う魔法くらい覚えてほしいものだけどね」
アーロン 「しょうがねえだろ。俺、そういうの苦手なんだ」
アリア 「はあ、キミってやつは。……おそらく、イザベラは錬金術でもかなり高度な術のために生命力を抜き取られたんだと思う」
アーロン 「生命力?」
アリア 「ああ、それで、彼女の身体が徐々に動かなくなっていくんだろうね」
アーロン 「それがわかってるなら、また生命力を戻せばいいんじゃねえの?」
アリア 「……それは、また生命力を奪うということだ」
アーロン 「どういうことだよ」
アリア 「これもまだ仮説だが、錬金術において生命力を扱うものは限られてくる。おそらく、ホムンクルスの生成に使われていると思う」
アーロン 「ホムンクルス? ここの本で呼んだことがあるな。確か、男のアレで作るっていう……」
アリア 「ああ、精子から作るというのは、少々古くてね……」
アーロン 「……アリア、よく恥ずかしげもなく、そういうこと言えるよな」
アリア 「まあ、実際に見たことはないが、一応ちゃんとした錬金術だからね。魔法使いの私が恥ずかしがってどうする。経験のないキミが恥ずかしがるならまだしもね」
アーロン 「気を使っただけだ。というか、アリアって経験ないんだ、へえ。そりゃ、貴族のおっさんに人気なわけだな」
アリア 「なっ、そういうキミだって、経験がないんじゃないか? あんなちんけな酒場で働いていたんだし」
アーロン 「はあ、まあ、そういうことにしといてやるよ」
アリア 「むぐぐ、なんだい、その余裕は。まあいい、話の続きだ。キミが言っていたものは、古い方法でね」
アーロン 「古い方法? 今は新しい方法があるのか」
アリア 「そう、帝国のバカな魔法使いが発明してしまったんだよ。より簡単に、より従順なホムンクルスを生成できる方法だ」
アーロン 「なるほどな。やっぱり帝国にはウラがあるみたいだな」
アリア 「……そうだね」
(SE 店の扉がノックされる音)
アリア 「はい、どうぞ」
(SE 扉の開閉音)
シルヴィア 「アリアさん、すみません、忘れ物を届けに来たんですけど」
アリア 「忘れ物?」
シルヴィア 「この本なんですけど……」
アリア 「ああ、ありがとう、どうりで持ち物が軽かったはずだ」
アーロン 「いや、気づけよ」
アリア 「ふふ、気を付けるよ」
シルヴィア 「それじゃあ、私は帰りますね」
アリア 「ああ、そうだ、お詫びと言ってはなんだけど、アーロンを貸すよ。アーロン、シルヴィアを送ってあげなさい」
アーロン 「いいけど、俺が行くのかよ」
シルヴィア 「い、いいんですか?」
アリア 「ああ、もちろんだよ」
アーロン 「だからなんでアリアが答えんだよ。……はあ、さあ、行こうぜ、シルヴィア」
シルヴィア 「あ、はい」
◇
シルヴィアを送り届けた帰り道。
アーロン 「……帝国の裏の顔、ね。そういえば、シルヴィアと初めて会ったときも、貴族絡みだったよな。いや、あれは変態貴族のせいか」
(SE 草が揺れる音)
アーロン 「魔物か……!」
(SE 剣を抜く音)
魔物 「グルルル……ッ!」
アーロン 「群れからはぐれたのか……?」
魔物 「ガウッ!!」
アーロン 「よっと」
(SE 剣を振る音)
魔物 「ワウンッ!」
アーロン 「浅かったか」
魔物 「ワオーーーンッ!!」
(SE 草が揺れる音)
アーロン 「仲間を呼ばれたか。こりゃ、まずったな」
魔物 「グルルルル……ッ!」
アーロン 「走るか……!」
(SE 草をかきわける音)
アーロン 「……はあっ、はあっ、確かここを抜けたら、開けた場所に出られるはずだ」
アーロン 「よし、出られた。それにしても、数が多いな」
アーロン 「アリアから貰ったナイフ……、よしあった」
(SE ナイフを投げる音)×2
魔物 「ギャウンッ……!」
(SE 魔物が消滅する音)×2
アーロン 「ほらもういっちょ」
(SE 剣を振る音)
(SE 魔物が消滅する音)
魔物 「ガウッ!」
アーロン 「しまった……!!」
(SE 魔物がアーロンの腕に噛みつく音)
アーロン 「ぐぁっ!! クソッ!」
(SE 剣を振る音)
(SE 魔物が消滅する音)
アーロン 「ドジったな……」
魔物 「グルルルル……ッ」
ソフィー 「ひっ……!」
アーロン 「ちっ、まだいやがったか。……って、誰か襲われてるのか?」
アーロン 「はあああっ!!」
(SE 剣を振る音)
(SE 魔物が消滅する音)
アーロン 「大丈夫か? ってずぶ濡れじゃねえか」
ソフィー 「……た、助けてくれて、ありがとう、ございます……」
アーロン 「いや、礼には及ばねえよ」
ソフィー 「あ、ケガ……」
アーロン 「ん? ああ、これか? かすり傷……、には見えないか」
ソフィー 「……」
(SE 治癒魔法が発動する音)
アーロン 「おお、傷が治った。あんたすげえな」
ソフィー 「……! 私、いったい、なにを……?」
アーロン 「いや、あんたが俺の傷を治してくれたんだよ。ありがとな」
ソフィー 「え? 私が……?」
アーロン 「まさか無意識でやったのか?」
ソフィー 「体が、勝手に……」
アーロン 「……ま、まあ、その服じゃあ風邪ひいちまう。これ、羽織ってろ」
ソフィー 「……大丈夫、です」
アーロン 「こういうときは厚意に甘えとけって。……それに、色々透けてる」
ソフィー 「…………!」
(SE 上着を羽織る音)
アーロン 「もうそろそろ、日が落ちるな。それじゃ、行くか」
ソフィー 「行くって、どこに、ですか……?」
アーロン 「ああ、この近くに俺が住み込みで働いてる店があるんだ。とりあえず、そこで着替えを……」
(SE ソフィーのお腹が鳴る音)
ソフィー 「……!!」
アーロン 「着替えと飯だな」
ソフィー 「……ありがとう、ございます」
◇
魔法使いの店。
(SE 店の扉が開く音)
アーロン 「アリア、戻ったぞ」
アリア 「ずいぶんと遅かったじゃないか……」
ソフィー 「……お邪魔、します」
アリア 「……まさか、本当に女の子を引っかけてくるとは思わなかったよ」
アーロン 「ちげえよ、魔物に襲われているところを助けたんだ。それに、濡れてたから、ここにつれてきたんだよ」
アリア 「濡れてた……。キミは、女の子に水をぶっかける趣味でもあるのかい?」
アーロン 「ねえよ。ほら、着替え、用意してやれよ」
アリア 「わかったよ。……ほら、こっちに来るといい」
ソフィー 「は、はい」
(SE アリアの部屋の扉の開閉音)
アーロン 「……さて、俺はなんか作っておくか」
アーロン 「そういえば、昼の残りがあるから、これでいいか」
(SE アリアの部屋の開閉音)
アーロン 「おお、ちょうど飯の用意をしたところだ」
アリア 「うん、良い匂いだね」
ソフィー 「美味しそう……」
アリア 「さあ、ごはんにしよう」
ソフィー 「いただきます……」
アーロン 「おう」
アリア 「ところで、キミはどこから来たんだい?」
ソフィー 「……わからないです」
アーロン 「……じゃあ、なんであんなとこにいたんだよ」
ソフィー 「すみません。気づいたら、あそこにいたので……」
アリア 「……では、キミの名前は?」
ソフィー 「名前は……。思い出せません」
アーロン 「記憶喪失ってやつか?」
アリア 「……だろうね」
アーロン 「なにか、荷物とか持ってないのか?」
ソフィー 「…………! これしか」
アーロン 「……これ、認識票か」
アリア 「認識票?」
アーロン 「ああ、騎士団で配布されるものだ。自分が誰でどこの所属かがわかる」
アリア 「ふむ、では、騎士団に関係しているのか?」
ソフィー 「わからないです……」
アーロン 「まあ、見せてくれよ」
ソフィー 「……どうぞ」
アーロン 「なになに、『No.021 Sop……』。かすれて読めないな」
アリア 「……どれどれ」
アーロン 「アリア、お前なら修復できるんじゃないか」
アリア 「さすがにできないよ。魔法も万能じゃないんだ」
アーロン 「って、これ、騎士団の認識票じゃないな」
アリア 「……そうなのかい? なんにせよ、認識票を持っているということは、帝国の関係者であることは間違いないだろうね。それじゃあ、城に連れていくのが、いいかもしれないね。バーナードがいるから、あまり行きたくないけれど」
ソフィー 「城……。バーナード……」
アーロン 「お、なにか、思い出せそうか?」
(SE 食器が割れる音)(SE 椅子が倒れる音)
ソフィー 「や、いやだ……!」
アーロン 「お、おい、大丈夫か?」
ソフィー 「……!」
アリア 「ひどく怯えているようだね……。これは、なにかトラウマのようなものがあるのかな?」
アーロン 「アリア、なにか、落ち着くもの、ないのか?」
アリア 「……ない」
ソフィー 「あなたたち、私を、城に連れていくんですか……?」
アーロン 「そんなことはしない。安心しろ」
ソフィー 「……」
アーロン 「記憶が戻るまで、ここで暮らすか?」
ソフィー 「いいんですか?」
アーロン 「もちろんだ」
アリア 「おい、家主は私だ」
アーロン 「ダメとは言わねえよな?」
ソフィー 「だめ、なんですか……?」
アリア 「……私は、魔法使いだからね。懐も深いんだ」
アーロン 「よかったな。ええと……、ソフィー」
ソフィー 「ソフィー……?」
アーロン 「ああ、あんたの名前だ。認識票で読み取れたところから名付けてみた。嫌だったか?」
ソフィー 「ソフィー……。気に入りました。ありがとうございます」
アーロン 「おう。あ、俺は、アーロン。アーロン・ストライフだ」
ソフィー 「アーロン……。よろしくお願いします」
アリア 「アリア・エインズワースだ。ここの店主で魔法使いだ」
ソフィー 「アリアさん……」
アリア 「……どうしたんだい? 私の顔に、なにか付いてるのかな?」
ソフィー 「……アリアさんは、アーロンさんのこと、どう思ってるんですか……?」
アリア 「……その質問に、どういう意図があるのかはわからないけれど、私は別にこの男に特別な感情を抱いているわけではないよ」
ソフィー 「……だったら、こうしても平気、ですよね」
(SE ソフィーがアーロンの腕に抱きつく音)
アーロン 「お、おい、どういうつもりだよ」
ソフィー 「私、アーロンさんのこと、気に入っちゃいました」
アーロン 「アリア、なんとかしてくれ」
アリア 「よかったじゃないか。かわいい女の子に抱きつかれて」
アーロン 「アリア、さん……?」
ソフィー 「というのは、冗談、です。ごめんなさい」
アリア 「……そう」
アーロン 「まったく、冗談でも抱きつくのはやめておけよ」
ソフィー 「はーい」
アリア 「……ところで、アーロン、ずっと気になっていたんだが、その服、腕のところが破れているけれど、どうしたんだい?」
アーロン 「え? ああ、これは、魔物に噛まれたときの……」
アリア 「怪我は、治っているようだが?」
アーロン 「それは、ソフィーが治癒の魔法で治してくれたんだよ」
アリア 「治癒術……か」
アーロン 「そういえば、アリアは、その治癒術を使わないよな」
アリア 「使わないんじゃない、使えないんだ」
アーロン 「使えない?」
アリア 「……ああ、私には、才能がなかったようでね」
アーロン 「才能、か」
アリア 「あ、そうだ、キミ、もう疲れただろう。そこの部屋が空いているから、休んでくるといい」
ソフィー 「はい、実は、少し眠たくなってきてました」
(SE 空き部屋の扉の開閉音)
アーロン 「……アリアでも人を気遣うんだな」
アリア 「見るからに疲れていたからね」
アーロン 「なにもそれだけが理由じゃねえだろ? なにか、ソフィーに言いにくいことでもあるのか?」
アリア 「……そういうところは鋭いよね」
アーロン 「アリア、ソフィーについて、なにか心当たりがあるんだろ?」
アリア 「ああ、治癒術は特定の血族にしか使えないからね」
アーロン 「特定の血族って……」
アリア 「……皇族だ。といっても、皇族が全員治癒術を使えるというわけではないらしいけどね」
アーロン 「それじゃあ、ソフィーは皇族なのか」
アリア 「……これは、私の仮説だけど、彼女は皇族を模したホムンクルスなんじゃないかと考えている」
アーロン 「あの認識票を見て、そう思ったのか」
アリア 「ああ、ソフィア皇女殿下を模したホムンクルス、だろうね」
アーロン 「いったいなんのためにホムンクルスなんて作ったんだよ」
アリア 「ソフィアを次期皇帝にして、傀儡にするためだろうね。だけど、そのソフィア本人は賢い子だから、命令通りに動かせるホムンクルスを作ろうとした……」
アーロン 「傀儡……、いかにも貴族が考えそうなことだな」
アリア 「……そう、だね」
アーロン 「いや、でも待てよ、じゃあ、ソフィーは、なんで自我があるんだ?」
アリア 「あまりこういうことは言いたくないけれど……。失敗作だから、だろうね」
アーロン 「失敗作だから……」
アリア 「ホムンクルスとはいえ、生み出されてしまえば、普通の生物と同じで感情をもつんだ。失敗作だから、感情を縛る術をかける前に廃棄したが、ソフィーは運良く生き延びることができた……といったところか」
アーロン 「廃棄……。胸糞悪いな」
アリア 「ああ、まったくだ。彼女は、そのホムンクルスの21番目の個体なんだろ? ということは、これまで20人ものホムンクルスが殺されたことになる」
アーロン 「……こりゃ、なんとしてもアルトリウスを皇帝にしないといけないな」
アリア 「ああ、だけど、これはあくまで私の仮説だからね。ソフィーには、気取られないようにしてくれ」
アーロン 「当然だ」
アリア 「ふう、それじゃあ、ごちそうさま。私は部屋に戻って、調合の続きをするよ」
アーロン 「へいへい、そうしてくれ」
つづく
アーロン・ストライフ:魔法使いの助手兼用心棒の青年。21歳。
ソフィー:記憶喪失の少女。18歳くらい。
シルヴィア:魔法使いの店の常連の少女。17歳。
ある日の昼下がり。魔法使いの店はいつも閑古鳥が鳴いている。それは、依頼を引き受け、知名度がそれなりになった今でも変わらない。
アーロン 「ふぁあ、なんもない日は暇だ。店番してろっつっても、ただぼーっとしてるだけじゃあな」
アリア 「文句を言うんじゃない」
アーロン 「あれ、外に出てたんじゃないのか?」
アリア 「今戻ってきたところだよ。それにしても、ほんとにこの店は人が来ないね」
アーロン 「あんたの店だろ」
アリア 「なにか、宣伝になるようなものでもあれば……。あ」
アーロン 「お、なにか思いついたのか?」
アリア 「キミ、ちょっと街まで出て、女の子を口説いてきてくれないか?」
アーロン 「いや、なんでだよ」
アリア 「キミは、女たらしなところがあるからね。10人ほど、引っかけてきてくれないか?」
アーロン 「はあ、そんなの、あんたがやればいいじゃねえか。アリア、美人なんだし、バカな男が引っかかるだろ」
アリア 「それでは、私の貞操が危ぶまれるだろう」
アーロン 「そこらへんの男にお前が力で負けるわけないだろ」
アリア 「確かにそうだが、はっきり言われると、ムカッとくるね」
アーロン 「それで、今日はなんの用事だったんだ?」
アリア 「シルヴィアの母親の容態を診に行っていたんだよ」
アーロン 「シルヴィアの母親か。確か難病にかかっているとかっていう」
アリア 「ああ、悪いけど、紅茶を淹れてくれないか?」
アーロン 「え、ああ、わかった」
(SE 紅茶を淹れる音)
アーロン 「……ほらよ」
アリア 「……相変わらずうまいね」
アーロン 「それで? なんか話したいんだろ?」
アリア 「……実は、シルヴィアの母親、イザベラの容態が少し悪化していたんだ」
アーロン 「話を振っといてなんだけど、聞いても、いいのか?」
アリア 「キミは私の助手だから大丈夫だよ」
アーロン 「そ、そうか」
アリア 「それで容態だが、今までは膝までが動かなかったんだが、下半身全体にまでに至ってしまってね。この調子だと、2か月もしないうちに心臓に達してしまう」
アーロン 「……それは、シルヴィアたちには伝えているのか?」
アリア 「イザベラには伝えたが、シルヴィアにはまだ……」
アーロン 「そうか。でも、いずれは伝えないといけないよな」
アリア 「そうだね。少し心苦しいけれど」
アーロン 「アリアでも、治せない病があるんだな」
アリア 「……いや、いずれ治す。それに……」
アーロン 「それに、なんだよ」
アリア 「魔術の痕跡を発見した」
アーロン 「魔術?」
アリア 「ああ、巧みに隠されていたから、気づくのが遅れたけどね」
アーロン 「それで、なにか糸口は見つかったのか?」
アリア 「これは、あくまで推測だけど、魔術を行使したのはおそらく錬金術師だろうね」
アーロン 「錬金術? なんだよ、それ」
アリア 「……一応、私がやってる調合も、錬金術なんだけどね」
アーロン 「あ、そうだったのか」
アリア 「助手なら店主の使う魔法くらい覚えてほしいものだけどね」
アーロン 「しょうがねえだろ。俺、そういうの苦手なんだ」
アリア 「はあ、キミってやつは。……おそらく、イザベラは錬金術でもかなり高度な術のために生命力を抜き取られたんだと思う」
アーロン 「生命力?」
アリア 「ああ、それで、彼女の身体が徐々に動かなくなっていくんだろうね」
アーロン 「それがわかってるなら、また生命力を戻せばいいんじゃねえの?」
アリア 「……それは、また生命力を奪うということだ」
アーロン 「どういうことだよ」
アリア 「これもまだ仮説だが、錬金術において生命力を扱うものは限られてくる。おそらく、ホムンクルスの生成に使われていると思う」
アーロン 「ホムンクルス? ここの本で呼んだことがあるな。確か、男のアレで作るっていう……」
アリア 「ああ、精子から作るというのは、少々古くてね……」
アーロン 「……アリア、よく恥ずかしげもなく、そういうこと言えるよな」
アリア 「まあ、実際に見たことはないが、一応ちゃんとした錬金術だからね。魔法使いの私が恥ずかしがってどうする。経験のないキミが恥ずかしがるならまだしもね」
アーロン 「気を使っただけだ。というか、アリアって経験ないんだ、へえ。そりゃ、貴族のおっさんに人気なわけだな」
アリア 「なっ、そういうキミだって、経験がないんじゃないか? あんなちんけな酒場で働いていたんだし」
アーロン 「はあ、まあ、そういうことにしといてやるよ」
アリア 「むぐぐ、なんだい、その余裕は。まあいい、話の続きだ。キミが言っていたものは、古い方法でね」
アーロン 「古い方法? 今は新しい方法があるのか」
アリア 「そう、帝国のバカな魔法使いが発明してしまったんだよ。より簡単に、より従順なホムンクルスを生成できる方法だ」
アーロン 「なるほどな。やっぱり帝国にはウラがあるみたいだな」
アリア 「……そうだね」
(SE 店の扉がノックされる音)
アリア 「はい、どうぞ」
(SE 扉の開閉音)
シルヴィア 「アリアさん、すみません、忘れ物を届けに来たんですけど」
アリア 「忘れ物?」
シルヴィア 「この本なんですけど……」
アリア 「ああ、ありがとう、どうりで持ち物が軽かったはずだ」
アーロン 「いや、気づけよ」
アリア 「ふふ、気を付けるよ」
シルヴィア 「それじゃあ、私は帰りますね」
アリア 「ああ、そうだ、お詫びと言ってはなんだけど、アーロンを貸すよ。アーロン、シルヴィアを送ってあげなさい」
アーロン 「いいけど、俺が行くのかよ」
シルヴィア 「い、いいんですか?」
アリア 「ああ、もちろんだよ」
アーロン 「だからなんでアリアが答えんだよ。……はあ、さあ、行こうぜ、シルヴィア」
シルヴィア 「あ、はい」
◇
シルヴィアを送り届けた帰り道。
アーロン 「……帝国の裏の顔、ね。そういえば、シルヴィアと初めて会ったときも、貴族絡みだったよな。いや、あれは変態貴族のせいか」
(SE 草が揺れる音)
アーロン 「魔物か……!」
(SE 剣を抜く音)
魔物 「グルルル……ッ!」
アーロン 「群れからはぐれたのか……?」
魔物 「ガウッ!!」
アーロン 「よっと」
(SE 剣を振る音)
魔物 「ワウンッ!」
アーロン 「浅かったか」
魔物 「ワオーーーンッ!!」
(SE 草が揺れる音)
アーロン 「仲間を呼ばれたか。こりゃ、まずったな」
魔物 「グルルルル……ッ!」
アーロン 「走るか……!」
(SE 草をかきわける音)
アーロン 「……はあっ、はあっ、確かここを抜けたら、開けた場所に出られるはずだ」
アーロン 「よし、出られた。それにしても、数が多いな」
アーロン 「アリアから貰ったナイフ……、よしあった」
(SE ナイフを投げる音)×2
魔物 「ギャウンッ……!」
(SE 魔物が消滅する音)×2
アーロン 「ほらもういっちょ」
(SE 剣を振る音)
(SE 魔物が消滅する音)
魔物 「ガウッ!」
アーロン 「しまった……!!」
(SE 魔物がアーロンの腕に噛みつく音)
アーロン 「ぐぁっ!! クソッ!」
(SE 剣を振る音)
(SE 魔物が消滅する音)
アーロン 「ドジったな……」
魔物 「グルルルル……ッ」
ソフィー 「ひっ……!」
アーロン 「ちっ、まだいやがったか。……って、誰か襲われてるのか?」
アーロン 「はあああっ!!」
(SE 剣を振る音)
(SE 魔物が消滅する音)
アーロン 「大丈夫か? ってずぶ濡れじゃねえか」
ソフィー 「……た、助けてくれて、ありがとう、ございます……」
アーロン 「いや、礼には及ばねえよ」
ソフィー 「あ、ケガ……」
アーロン 「ん? ああ、これか? かすり傷……、には見えないか」
ソフィー 「……」
(SE 治癒魔法が発動する音)
アーロン 「おお、傷が治った。あんたすげえな」
ソフィー 「……! 私、いったい、なにを……?」
アーロン 「いや、あんたが俺の傷を治してくれたんだよ。ありがとな」
ソフィー 「え? 私が……?」
アーロン 「まさか無意識でやったのか?」
ソフィー 「体が、勝手に……」
アーロン 「……ま、まあ、その服じゃあ風邪ひいちまう。これ、羽織ってろ」
ソフィー 「……大丈夫、です」
アーロン 「こういうときは厚意に甘えとけって。……それに、色々透けてる」
ソフィー 「…………!」
(SE 上着を羽織る音)
アーロン 「もうそろそろ、日が落ちるな。それじゃ、行くか」
ソフィー 「行くって、どこに、ですか……?」
アーロン 「ああ、この近くに俺が住み込みで働いてる店があるんだ。とりあえず、そこで着替えを……」
(SE ソフィーのお腹が鳴る音)
ソフィー 「……!!」
アーロン 「着替えと飯だな」
ソフィー 「……ありがとう、ございます」
◇
魔法使いの店。
(SE 店の扉が開く音)
アーロン 「アリア、戻ったぞ」
アリア 「ずいぶんと遅かったじゃないか……」
ソフィー 「……お邪魔、します」
アリア 「……まさか、本当に女の子を引っかけてくるとは思わなかったよ」
アーロン 「ちげえよ、魔物に襲われているところを助けたんだ。それに、濡れてたから、ここにつれてきたんだよ」
アリア 「濡れてた……。キミは、女の子に水をぶっかける趣味でもあるのかい?」
アーロン 「ねえよ。ほら、着替え、用意してやれよ」
アリア 「わかったよ。……ほら、こっちに来るといい」
ソフィー 「は、はい」
(SE アリアの部屋の扉の開閉音)
アーロン 「……さて、俺はなんか作っておくか」
アーロン 「そういえば、昼の残りがあるから、これでいいか」
(SE アリアの部屋の開閉音)
アーロン 「おお、ちょうど飯の用意をしたところだ」
アリア 「うん、良い匂いだね」
ソフィー 「美味しそう……」
アリア 「さあ、ごはんにしよう」
ソフィー 「いただきます……」
アーロン 「おう」
アリア 「ところで、キミはどこから来たんだい?」
ソフィー 「……わからないです」
アーロン 「……じゃあ、なんであんなとこにいたんだよ」
ソフィー 「すみません。気づいたら、あそこにいたので……」
アリア 「……では、キミの名前は?」
ソフィー 「名前は……。思い出せません」
アーロン 「記憶喪失ってやつか?」
アリア 「……だろうね」
アーロン 「なにか、荷物とか持ってないのか?」
ソフィー 「…………! これしか」
アーロン 「……これ、認識票か」
アリア 「認識票?」
アーロン 「ああ、騎士団で配布されるものだ。自分が誰でどこの所属かがわかる」
アリア 「ふむ、では、騎士団に関係しているのか?」
ソフィー 「わからないです……」
アーロン 「まあ、見せてくれよ」
ソフィー 「……どうぞ」
アーロン 「なになに、『No.021 Sop……』。かすれて読めないな」
アリア 「……どれどれ」
アーロン 「アリア、お前なら修復できるんじゃないか」
アリア 「さすがにできないよ。魔法も万能じゃないんだ」
アーロン 「って、これ、騎士団の認識票じゃないな」
アリア 「……そうなのかい? なんにせよ、認識票を持っているということは、帝国の関係者であることは間違いないだろうね。それじゃあ、城に連れていくのが、いいかもしれないね。バーナードがいるから、あまり行きたくないけれど」
ソフィー 「城……。バーナード……」
アーロン 「お、なにか、思い出せそうか?」
(SE 食器が割れる音)(SE 椅子が倒れる音)
ソフィー 「や、いやだ……!」
アーロン 「お、おい、大丈夫か?」
ソフィー 「……!」
アリア 「ひどく怯えているようだね……。これは、なにかトラウマのようなものがあるのかな?」
アーロン 「アリア、なにか、落ち着くもの、ないのか?」
アリア 「……ない」
ソフィー 「あなたたち、私を、城に連れていくんですか……?」
アーロン 「そんなことはしない。安心しろ」
ソフィー 「……」
アーロン 「記憶が戻るまで、ここで暮らすか?」
ソフィー 「いいんですか?」
アーロン 「もちろんだ」
アリア 「おい、家主は私だ」
アーロン 「ダメとは言わねえよな?」
ソフィー 「だめ、なんですか……?」
アリア 「……私は、魔法使いだからね。懐も深いんだ」
アーロン 「よかったな。ええと……、ソフィー」
ソフィー 「ソフィー……?」
アーロン 「ああ、あんたの名前だ。認識票で読み取れたところから名付けてみた。嫌だったか?」
ソフィー 「ソフィー……。気に入りました。ありがとうございます」
アーロン 「おう。あ、俺は、アーロン。アーロン・ストライフだ」
ソフィー 「アーロン……。よろしくお願いします」
アリア 「アリア・エインズワースだ。ここの店主で魔法使いだ」
ソフィー 「アリアさん……」
アリア 「……どうしたんだい? 私の顔に、なにか付いてるのかな?」
ソフィー 「……アリアさんは、アーロンさんのこと、どう思ってるんですか……?」
アリア 「……その質問に、どういう意図があるのかはわからないけれど、私は別にこの男に特別な感情を抱いているわけではないよ」
ソフィー 「……だったら、こうしても平気、ですよね」
(SE ソフィーがアーロンの腕に抱きつく音)
アーロン 「お、おい、どういうつもりだよ」
ソフィー 「私、アーロンさんのこと、気に入っちゃいました」
アーロン 「アリア、なんとかしてくれ」
アリア 「よかったじゃないか。かわいい女の子に抱きつかれて」
アーロン 「アリア、さん……?」
ソフィー 「というのは、冗談、です。ごめんなさい」
アリア 「……そう」
アーロン 「まったく、冗談でも抱きつくのはやめておけよ」
ソフィー 「はーい」
アリア 「……ところで、アーロン、ずっと気になっていたんだが、その服、腕のところが破れているけれど、どうしたんだい?」
アーロン 「え? ああ、これは、魔物に噛まれたときの……」
アリア 「怪我は、治っているようだが?」
アーロン 「それは、ソフィーが治癒の魔法で治してくれたんだよ」
アリア 「治癒術……か」
アーロン 「そういえば、アリアは、その治癒術を使わないよな」
アリア 「使わないんじゃない、使えないんだ」
アーロン 「使えない?」
アリア 「……ああ、私には、才能がなかったようでね」
アーロン 「才能、か」
アリア 「あ、そうだ、キミ、もう疲れただろう。そこの部屋が空いているから、休んでくるといい」
ソフィー 「はい、実は、少し眠たくなってきてました」
(SE 空き部屋の扉の開閉音)
アーロン 「……アリアでも人を気遣うんだな」
アリア 「見るからに疲れていたからね」
アーロン 「なにもそれだけが理由じゃねえだろ? なにか、ソフィーに言いにくいことでもあるのか?」
アリア 「……そういうところは鋭いよね」
アーロン 「アリア、ソフィーについて、なにか心当たりがあるんだろ?」
アリア 「ああ、治癒術は特定の血族にしか使えないからね」
アーロン 「特定の血族って……」
アリア 「……皇族だ。といっても、皇族が全員治癒術を使えるというわけではないらしいけどね」
アーロン 「それじゃあ、ソフィーは皇族なのか」
アリア 「……これは、私の仮説だけど、彼女は皇族を模したホムンクルスなんじゃないかと考えている」
アーロン 「あの認識票を見て、そう思ったのか」
アリア 「ああ、ソフィア皇女殿下を模したホムンクルス、だろうね」
アーロン 「いったいなんのためにホムンクルスなんて作ったんだよ」
アリア 「ソフィアを次期皇帝にして、傀儡にするためだろうね。だけど、そのソフィア本人は賢い子だから、命令通りに動かせるホムンクルスを作ろうとした……」
アーロン 「傀儡……、いかにも貴族が考えそうなことだな」
アリア 「……そう、だね」
アーロン 「いや、でも待てよ、じゃあ、ソフィーは、なんで自我があるんだ?」
アリア 「あまりこういうことは言いたくないけれど……。失敗作だから、だろうね」
アーロン 「失敗作だから……」
アリア 「ホムンクルスとはいえ、生み出されてしまえば、普通の生物と同じで感情をもつんだ。失敗作だから、感情を縛る術をかける前に廃棄したが、ソフィーは運良く生き延びることができた……といったところか」
アーロン 「廃棄……。胸糞悪いな」
アリア 「ああ、まったくだ。彼女は、そのホムンクルスの21番目の個体なんだろ? ということは、これまで20人ものホムンクルスが殺されたことになる」
アーロン 「……こりゃ、なんとしてもアルトリウスを皇帝にしないといけないな」
アリア 「ああ、だけど、これはあくまで私の仮説だからね。ソフィーには、気取られないようにしてくれ」
アーロン 「当然だ」
アリア 「ふう、それじゃあ、ごちそうさま。私は部屋に戻って、調合の続きをするよ」
アーロン 「へいへい、そうしてくれ」
つづく
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