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ハロウィンの誘惑
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自室にこもり腕を組んで悩む小さき領主。名はフォルテッシモ・シュバルツカッツェ。
彼が悩んでいるのは国の行く末や民の安寧ではなかった。
(ピアニーの仮装どうしようか。キョンシーにしてどんなエロい命令も拒めないようにするか。それとも包帯だけのぐるぐる巻きのセクシー路線でいくか)
どちらにせよ従者のピアニーは顔真っ赤にするに違いない。そして決まって最後は言うことを聞く。最高の女だ。
「ハロウィンか……子供だましと思っていたがこの年になってようやく楽しみがわかってきた。うむ、悪くない悪くないぞ……ふふふ」
悪だくみをするフォルテであったが現実はそううまく行かない。
計算はすでに大きく外れ始めていた。
「ぼっちゃまー!!!!」
そう叫びながら主人の部屋にノックなしで飛び込むのは従者のピアニー・ストーリー。いつもは大人しめの彼女が何故かハイテンション。
「ピアニー! お前というやつは! いきなり入ってくるものだから椅子に座っていながら倒れてしまったではないか!」
フォルテは後頭部をさすりながら立ち上がる。
「ぼっちゃま! ぼっちゃま! ハロウィン! ハロウィンはご存知ですか!?」
叱られながらもハイテンションを維持するピアニー。一応話は聞いているようでフォルテの痛む後頭部をなでなでしている。
「当然知っているに決まっている」
「ではではではどのような催しをするかもご存知ですよね?」
「そりゃ仮装に決まって」
「そう! 仮装! 仮装でございます! ハロウィンといったら仮装! 仮装といったら猫耳でございます! ささ、ここに猫耳があります! 早速つけて」
「するかー!!!!!!」
頭を撫でるどさくさに紛れて装着させられそうだった猫耳を弾き飛ばす。
「あーーーーー!!!??? なんてことを!!!????」
ピアニーは床に落ちた猫耳を愛おしく撫でる。それも痛みを和らげるかのように優しい手つきで。
「俺も領主だ、祭りには参加するし仮装もする。しかし、しかしだ、猫耳は絶対にしない!」
「そんな殺生な……!」
「猫耳を拒否したくらいでショックを受けるな!」
「私はぼっちゃまに合法的に自然な流れで猫耳を着けてもらえると思って準備を頑張ってきたというのに」
「あ、あー……道理で事前準備が豪華で、張り切っていたと思ったらそんな理由だったのか……」
「お祭り用に新曲だってたくさん作りましたし」
「ま、まあ……ピアノの他に専門外の民族楽器の楽譜まで書いていたしな……」
「それもこれもすべてはすべては、猫耳のためだったんですよ」
「いや、それはおかしい」
「おかしくありません……猫耳なんです……全ては猫耳なんです……猫耳がすべてを解決するんです……」
「さっきまで元気だったのにいきなり溶け始めるとか……お前は赤ん坊か」
ハロウィンはまだ始まっていない。始まったもピアニーは従者としてだけでなく音楽家としても働かなくてはいけない。
(う、うむ……ピアニーにはハロウィンの準備に従者として音楽家としても貢献してもらったからな……)
ピアニーはだらりと床の上で溶けている。楽しみを奪わわれて極めて無気力の状態。
「……ったく、しょうがないな……」
フォルテはピアニーの手から猫耳を奪う。
「ぼっちゃま……?」
「……少し……だけだぞ」
そう言ってフォルテは自らの頭に猫耳を装着した。
彼が悩んでいるのは国の行く末や民の安寧ではなかった。
(ピアニーの仮装どうしようか。キョンシーにしてどんなエロい命令も拒めないようにするか。それとも包帯だけのぐるぐる巻きのセクシー路線でいくか)
どちらにせよ従者のピアニーは顔真っ赤にするに違いない。そして決まって最後は言うことを聞く。最高の女だ。
「ハロウィンか……子供だましと思っていたがこの年になってようやく楽しみがわかってきた。うむ、悪くない悪くないぞ……ふふふ」
悪だくみをするフォルテであったが現実はそううまく行かない。
計算はすでに大きく外れ始めていた。
「ぼっちゃまー!!!!」
そう叫びながら主人の部屋にノックなしで飛び込むのは従者のピアニー・ストーリー。いつもは大人しめの彼女が何故かハイテンション。
「ピアニー! お前というやつは! いきなり入ってくるものだから椅子に座っていながら倒れてしまったではないか!」
フォルテは後頭部をさすりながら立ち上がる。
「ぼっちゃま! ぼっちゃま! ハロウィン! ハロウィンはご存知ですか!?」
叱られながらもハイテンションを維持するピアニー。一応話は聞いているようでフォルテの痛む後頭部をなでなでしている。
「当然知っているに決まっている」
「ではではではどのような催しをするかもご存知ですよね?」
「そりゃ仮装に決まって」
「そう! 仮装! 仮装でございます! ハロウィンといったら仮装! 仮装といったら猫耳でございます! ささ、ここに猫耳があります! 早速つけて」
「するかー!!!!!!」
頭を撫でるどさくさに紛れて装着させられそうだった猫耳を弾き飛ばす。
「あーーーーー!!!??? なんてことを!!!????」
ピアニーは床に落ちた猫耳を愛おしく撫でる。それも痛みを和らげるかのように優しい手つきで。
「俺も領主だ、祭りには参加するし仮装もする。しかし、しかしだ、猫耳は絶対にしない!」
「そんな殺生な……!」
「猫耳を拒否したくらいでショックを受けるな!」
「私はぼっちゃまに合法的に自然な流れで猫耳を着けてもらえると思って準備を頑張ってきたというのに」
「あ、あー……道理で事前準備が豪華で、張り切っていたと思ったらそんな理由だったのか……」
「お祭り用に新曲だってたくさん作りましたし」
「ま、まあ……ピアノの他に専門外の民族楽器の楽譜まで書いていたしな……」
「それもこれもすべてはすべては、猫耳のためだったんですよ」
「いや、それはおかしい」
「おかしくありません……猫耳なんです……全ては猫耳なんです……猫耳がすべてを解決するんです……」
「さっきまで元気だったのにいきなり溶け始めるとか……お前は赤ん坊か」
ハロウィンはまだ始まっていない。始まったもピアニーは従者としてだけでなく音楽家としても働かなくてはいけない。
(う、うむ……ピアニーにはハロウィンの準備に従者として音楽家としても貢献してもらったからな……)
ピアニーはだらりと床の上で溶けている。楽しみを奪わわれて極めて無気力の状態。
「……ったく、しょうがないな……」
フォルテはピアニーの手から猫耳を奪う。
「ぼっちゃま……?」
「……少し……だけだぞ」
そう言ってフォルテは自らの頭に猫耳を装着した。
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