イケメンに婚約破棄されましたが面食いなのでぜってえ復縁してみせますわ!

田村ケンタッキー

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【第4章】ロデオに吹く情熱の風 フラメンコも愛も踏み込みが肝心

アレクシス嬢と迫る黒い影

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 黒仮面は獲物を探していた。若い平民の娘がうってつけだ。多少騒ぎになっても帰せば沈静化する。金を握らせればなおさらだ。貴族はだめだ。大きな役割を果たしているわけでもないのに声が大きい。ウーゴが動かざるを得なくなる。
 これは人助けにもなる。女が一人で夜歩きしたらどんな目に合うのか警告になる。これは訓練の一種なのだ。
 そう言い聞かせて黒仮面は獲物を探す。そこにまさにちょうどよさそう娘が現れる。

「イケメン♪ イケメン♪ イケ、イケ、イケメン♪ イケメン♪ どこ、いる? イケ、イケ、イケメン♪」

 奇妙な歌を口ずさみながらルンルンステップで真夜中の道を闊歩する。
 黒仮面は思う。

(なんだ、あのアホは……?)

 酔っ払いのようだがそうではない。運動神経は高く、しっかりとした足取りだ。

(じゃあ素面であの小恥ずかしい歌を……? 正気か……?)

 あまりにアホすぎて攫うことを躊躇してしまう。側にいるだけで周囲の人間の知能を下げてしまいそうだ。

(催眠魔法で眠らせるから知能は関係ないがな……)

 アホならアホで罪悪感が少なくて済む。

(悪く思うな、むしろありがたく思え……貴様のような低知能でも役に立たせてやるんだからな……)

 黒仮面は獲物を奇妙な歌を口ずさむ女に定め、追跡した。

「イケイケイケイケメン~~~♪ イケイケイケイケメン~~~~~~♪ イケイケイケイケイケイケイケーメン、イケメンメン♪」

 どうやら女は男との出会いを求めているようだった。

(この街に住む人間ならこの時間帯には出歩かなくなるとも知らないはずがない。初めて夜歩きする、もしくは観光客といったところか)

 正気と思えない女はどんどんと入り組んだ路地へと進んでいく。

(そろそろ頃合いか)

 絶好の接触ポイント。人目につかないうえ、どれだけ声を大きく上げようと衛兵に届くことはない。
 足音だけでない、気配も消して距離を詰める。
 黒仮面は振り向かれることなく女の後ろに立ち、手を伸ばす。
 女はまるで隙だらけだった。

(いや、おかしい……こんなに隙だらけのはずがない)

 黒仮面の直感は的中した。
 女はくるりと振り返り、

「悪行は今宵まででしてよ、変質者ー!!!」

 華麗な回し蹴りを放った。
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