86 / 107
骨の魔力
しおりを挟む
「いったいぜんたい、我々はどこへ連れて行かれてるのですか?」
「うるさい。喋りながら歩いていると転んで舌を噛むわよ」
「そろそろ目隠しを外しても良くないですか? 初めて入る土地ですし、道なんて覚えられませんよ」
「今からあんたに見せるのは未来の金庫よ。こっちも慎重にならざるを得ないのよ」
隊長は手を縛られ目隠しされた状態で山を歩いていた。側には杖を奪われた魔法使いもいる。同様に目隠しをされていた。この二人を見張るために先導のビクトリア以外に男三人が同行している。
「蜥蜴の骨でしたっけ? 私めは商才はありますがどうも魔法の才に恵まれなくてですね……それが杖の代わりになるなんてとてもとても、信じられませんな」
「ただの蜥蜴じゃないの。マナに適合しすぎた巨大蜥蜴。本当にあるんだからね」
「お言葉ですがエルフ様、商売においては百聞は一見に如かず。やはりこの目で見ないと白黒わからないのですよ」
「だからあんたんとこの魔法使いも連れて来たんでしょう。真偽をはっきりさせるためにもね」
魔法使いは会話にこそ参加しないものの、ぶつぶつと小声を呟き続ける。
「……そうか、あたしは才能で負けたんじゃない、杖の差で負けたんだ……あたしにも骨があれば……遅れを取らない……」
本人は周りに聞こえていないつもりだろうがビクトリアにはしっかり聞き取れていた。
(物騒なことを考えてるようね……馬鹿な真似しなきゃいいんだけど)
十数年前に一度だけ通った道だったが不思議と身体が覚えているもので、例の洞窟に一度も迷子にならず無事に到着した。
(よかった~……無事に到着して……)
これにはビクトリアも胸をなでおろす。なぜなら、
(最近、記憶力に自信なくなっていたのよね。村人の顔と名前が出てこなかったり。私の頭は若いままで正常のようね)
隊長が魔法使いに話しかける。
「着いたらしいぞ。どうだ? 何か感じるか?」
「すごい……なんて濃いマナなの……地上なのにまるでダンジョンにいるみたい……」
「いいか、絶対に変な気を起こすんじゃないぞ。例えここにいる全員を殺したとしても道がわからんことには生きては帰れないんだからな」
「……あんた、ずっと思っていたけど何様なわけ?」
「……は?」
「魔法の才能が微塵もないのに魔法使いのあたしに指図してるの? いったいぜんたいどういう了見?」
「お前こそ、雇用主に向かってなんだその口は。杖を奪われたくせにでかい態度を取ってるんじゃないぞ、木食い虫」
「あら、あたしがいつ杖を奪われたかしら?」
「お前、まさか……!」
「その……まさかよ!」
魔法使いは靴底に隠していた杖に触れて呪文を唱える。
「ファイア!」
濃いマナをたっぷり吸収した炎の魔法は腕を縛るロープを焼き切るだけでなく、視界を奪うほどの光も発した。
「おほほほ! これが実力! あたしも知らざる真の実力!」
魔法使いは見張りを振り切って洞窟に向かって走っていく。
「ひい! 俺は無実! あいつが勝手にやったことなんです!」
隊長は地面に伏して無抵抗をアピールする。
「手間取らせてくれてんじゃないのよ、あの女!」
ビクトリアも強い光のせいで視界を奪われていた。ただしきっちりと魔法使いの位置は把握していた。
(大丈夫、あいつは体重がある分、足音もでかい! おまけに鈍重!)
常日頃から真夜中に素早く数の多い魔物を退治しているビクトリアにとっては止まった的も同然。
すぐさま狙いを定めるも、
「……くっ、ファイア!」
一瞬の迷いが発射を鈍らせる。
発射された火の塊は魔法使いの背後で爆ぜる。
「当たりませんわ、当たりませんわ~!」
そしてついに洞窟に飛び込んでしまった。
「私としたことが逃がしてしまうなんて……すぐに追うわよ!」
「あ、あの、エルフ様!」
「なに!?」
「……私はここに残ってもよろしいでしょうか」
「はあ!?」
見張りの言葉に気が立っていたビクトリアだったが振り返るとすぐに冷静になる。
「い、いたい……いたいよぉ……」
「エルフ様、申し訳…………ありません……」
火の魔法の勢いは凄まじく見張りの三人のうち、二人が深い火傷を負ってしまっていた。
「……そうね、あなたはここに残って二人の看病とこいつの見張りを続けなさい」
「すみません! すみません! すみません!」
「謝ることないわ。どうせあなたたちには期待してないから」
ビクトリアは自分を強く責める。
(私のせいだ……私が不甲斐ないばかりに……)
力で圧倒しているはずなのに、悪知恵で出し抜かれている。杖は一人一本なんて決まりはない。予備の準備くらい、少し考えれば思いつく。
(……よくもやってくれたわね。覚悟なさいよ)
視界が戻ったところで洞窟の前へ。
「隠れてないで出てきなさい!」
そう呼びかけると、
「ファイアーバード!」
暗闇から火の鳥が飛び出してくる。
「マジックミラー!」
前と同じように光の壁で受け取るも、
(詠唱を短縮したのに威力が増してる!? もう骨を拾ったの!?)
洞窟に向かって返す。
中で爆ぜた音が聞こえるが、
「ファイアーバード! ファイアーバード! ファイアーバード!」
「三連発!? マジックミラー!」
不意を突かれるもマジックミラーで受け止められないことはなかった。
「あっはっは! すごいすごい! これが、これが骨の力! あと何発でもファイアーバードが放てられる! おまけに洞窟の中はマナが濃い! ついにあたしにもツキが回って来たってことね!」
「なに、いい気になってるのかしら。あんた如きがこの私に勝てるわけないでしょう」
「止まり木を燃やし炭にしろ! ファイアーバード!」
倍以上の大きさの火の鳥が飛び出す。
「うざ! マジックミラー!」
これも洞窟の中に跳ね返して爆ぜるが、
「あはははっ! あたんなーい!」
けろっとした声が返ってきて神経を逆なでする。
「うざうざうざ! こっちに来て戦いなさいよ!」
「来るのはそっちでしょう!」
にらみ合う両者。どちらも譲らない。
「あー、そう。じゃあエルフと短命種の格の差ってやつ、見せてあげるわ」
「へえ、そう。見せてもらおうかしら」
「ファイアーボール!」
ビクトリアは火の玉を洞窟の中へ繰り出す。
「ははっ、ファイアーボール? ファイアーバードよりも格下じゃない? もしかして上級魔法がつかえ──」
「ファイアーボール!」
爆発音。そして僅かな空白のうちに、
「ちょっとあんた! 人がまだ喋ってる最中」
「ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール!」
洞窟は見た目よりも頑丈。ファイアーボール程度では崩れはしない。
「あ、あんた、いい加減に」
「まだ息の根があったか! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール!」
返事があればひとまずファイアーボール。
「……」
「ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール!」
返事がなくてもファイアーボール。
絶え間なく繰り返される火の玉の波状攻撃。たっぷりの魔力タンクに胡坐をかいた、物量作戦。この十数年でビクトリアは多くの魔物を狩ってきた。その分経験値が溜まり魔力量も大幅に成長していた。だからこそできる大雑把で豪快な作戦だった。
十分間ほど火の玉を放ち続けた後に小休憩を挟む。
「聞こえてるー? もしくは爆発音で耳が遠くなっちゃって聞こえなくなっちゃった? それでも話はやめないんだけどさ~、私はまだまだやれるけどどうする~? さっさと降参して出てきてくれたら命だけは助けてあげるんだけど?」
女魔法使いの返事は、
「誰がお前なんかに降参するか! この洞窟はあたしんだ! 誰にも渡さない! ごほっごほっ」
熱に喉がやられ、喉がガラガラになっていたが威勢はそのままだった。
正気であれば爆発音が続けざまに起こる洞窟の中などストレスで耐えられるはずがない。
それでも彼女は骨にしがみつく。彼女はすでに骨の魔力に魅入られてしまっていた。
「あー、そう。じゃあこのまま──」
「それ以上やるならこっちにも考えがある!」
「ちょっとこっちが話してる最中でしょ、本当に耳が遠く──」
「あと一発でも火の玉を放ってみろ! その瞬間、あたしは大蜥蜴の骨をバラバラに爆散する!」
「は!? はあああ!?」
正気でもなければ勝機もない。ならば最期は相手にいかに利益を残さずに散るか、もしくは道連れにできるか。行き詰った人間は合理性を失う。
「あと三十秒数えて、あたしのもとへ来なくても爆散する! 骨を捨ててあたしに殺されに来い!」
「はああ!? 何よ、その条件! 飲めるはずがないんだけど!」
「いーち! にー!」
「うっざああああ! あの女ああああ!!!」
骨は頑丈であるが詠唱有ファイアーバードの威力なら破壊は可能だ。全損とは行かないだろうが売りに出せる量が減ってしまうかもしれない。
「ここまで馬鹿な生き物だとは思わなかったわ、短命の魔法使いってのは!」
頭脳戦が通じない。ならば自分も頭を空っぽにして飛び掛かるか。いや体格差で勝てるはずがない。
「どうする……どうする……」
困っていると思わぬところから助け船。
「お困りですかな、レディ」
「うわ、隊長!? 目隠しとロープは!? 見張りは何してるの!?」
「見張り殿は火傷を負った二人の治療に集中されています。ところでエルフ様、提案なのですが」
「動くな! それ以上動いたら丸焦げにする!」
ビクトリアは隊長に杖を向ける。
「むー、私めはエルフ様の味方なのですが、今の状況では信じてもらえないのも仕方ありませんな。エルフ様、とりあえずここは私を信じて何も手出ししないでくれますかな」
隊長は説得が難しいと考えると洞窟へ向かう。
「じゅうー!」
「あ、あんた、あいつと合流して何をするつもり!?」
「説得ですよ。私とて絶好の商機を失うのは惜しいのですよ。魔力ブースターになる大蜥蜴の骨。ぜひ欲しい。そして売りさばきたい!」
「じゅういちー!」
そう言って隊長は洞窟の暗闇へと消える。
「じゅうに!」
カウントダウンはまだ聞こえる。
「じゅうさん!」
「じゅうよん!」
「じゅうご!」
「じゅうろく!」
「じゅうなな!」
「じゅうはち!」
「じゅうきゅ」
カウントダウンは19で止まった。
そしてそれから十秒後の出来事だった。
「残念な報告です、エルフ様。説得に失敗してしまいました」
隊長が暗闇から出てくる。魔法使いを連れて。
「あ、あんた、それ……」
魔法使いの喉に大きな切り傷。そこから大量の血が流れていた。
隊長は血糊の付いたナイフを持っていたが、
「おっと、これはお見苦しいものを」
あっさりと捨てる。敵意を見せたらせっかく助かった命が無駄になってしまう。
「説得はしたのですが聞き入れてもらえませんでした。致し方なく、断腸の思いで、私自らがけじめをつけさせていただきました」
「あんた、仲間を殺したの……」
「仲間、ですか。正確には金を受け渡しする雇用関係でしたがね。まあ払う前に殺めてしまいましたが。金が浮いてラッキーなんて、はっはっは」
「……」
「おっと、失礼。場を和ませるつもりが逆効果でしたな。エルフ様、気に病まないでください。彼女がああなったのも説得に応じなかったからです。だからこの血は彼女の判断の末に流れたもの」
説得とは言うがあまりに不自然だった。魔法使いの耳は聞こえなくなっていた。ならばそれ相応に隊長の声も大きくなければ届かないだろう。そもそも隊長の説得も聞こえなかった。
隊長はずっと秤にかけていたのだ。ビクトリアと魔法使い。どっちにつけば自分に利するか。
結果、ビクトリアと手を組むことを選んだ。魔法使いは骨の力を証明した時点で役目を果たしたと判断したのだろう。
この男は冷徹な男だ。金で物事を判断する拝金主義。信用してはならない。しかし今回、彼に助けられたのは事実だ。
「……助かったわ。ありがとう」
ビクトリアは言いたいことは山々だがまずは礼を言う。
「いえいえ、役に立てたのなら光栄です」
しかし聞かねばいけないことが一つある。
「……ねえ、あんた、あのナイフは誰のなの」
「ナイフ、ですか。あれは魔法使いのですよ」
「……そう、わかったわ」
十中八九、嘘だ。魔法使いが杖を隠し持っていたように、隊長はナイフを隠し持っていたに違いない。でなければ腕を拘束していたロープも切れないだろう。
(……短命種のくせに小賢しいわね)
ほんの一瞬で、ほぼ奴隷の立ち位置から村を救った英雄に成り上がった。
隊長は今で会って来た人間の中の誰よりも曲者だ。
「そうそう、エルフ様、ご提案があるのです。この素晴らしい商品をより輝かせるアイデアが私めにはあります。その許可を欲しいのです」
早速売った恩を取り戻しに来た。
「いいわよ、言ってみなさい」
「この大蜥蜴の骨を、竜の骨ということにして売り出すのです」
「え、それって確かに儲けるだろうけどバレたりしないの」
「あっはっは! そこは私の腕の見せ所! 断定できない部位を売るのです。素人に牛と豚の骨の見分けがつきましょうか」
「で、でも……」
「お言葉ですがエルフ様。エルフ様が育った環境では縁が遠く理解しづらいことでしょうが、本来金と言うのはこうでもしないと手に入らないのですよ」
「そう、だけども」
「ご安心ください、きちんと売りさばいてみせます。例えバレたとしても知らなかったで通せばいい。それに本来の目的である魔力ブースターとしての役割は果たしているのです。牛の肉だろうが豚の肉だろうが腹を満たせればどちらでもいい。そういう時代なのです」
論戦になればビクトリアに勝ち目はない。側にエミリがいればまた結果は違ったかもしれない。
隊長もまた骨の魔力に魅入られた人間の一人だった。
こうして洞窟に封じられていた骨の魔力は溢れ、伝播していく。
「うるさい。喋りながら歩いていると転んで舌を噛むわよ」
「そろそろ目隠しを外しても良くないですか? 初めて入る土地ですし、道なんて覚えられませんよ」
「今からあんたに見せるのは未来の金庫よ。こっちも慎重にならざるを得ないのよ」
隊長は手を縛られ目隠しされた状態で山を歩いていた。側には杖を奪われた魔法使いもいる。同様に目隠しをされていた。この二人を見張るために先導のビクトリア以外に男三人が同行している。
「蜥蜴の骨でしたっけ? 私めは商才はありますがどうも魔法の才に恵まれなくてですね……それが杖の代わりになるなんてとてもとても、信じられませんな」
「ただの蜥蜴じゃないの。マナに適合しすぎた巨大蜥蜴。本当にあるんだからね」
「お言葉ですがエルフ様、商売においては百聞は一見に如かず。やはりこの目で見ないと白黒わからないのですよ」
「だからあんたんとこの魔法使いも連れて来たんでしょう。真偽をはっきりさせるためにもね」
魔法使いは会話にこそ参加しないものの、ぶつぶつと小声を呟き続ける。
「……そうか、あたしは才能で負けたんじゃない、杖の差で負けたんだ……あたしにも骨があれば……遅れを取らない……」
本人は周りに聞こえていないつもりだろうがビクトリアにはしっかり聞き取れていた。
(物騒なことを考えてるようね……馬鹿な真似しなきゃいいんだけど)
十数年前に一度だけ通った道だったが不思議と身体が覚えているもので、例の洞窟に一度も迷子にならず無事に到着した。
(よかった~……無事に到着して……)
これにはビクトリアも胸をなでおろす。なぜなら、
(最近、記憶力に自信なくなっていたのよね。村人の顔と名前が出てこなかったり。私の頭は若いままで正常のようね)
隊長が魔法使いに話しかける。
「着いたらしいぞ。どうだ? 何か感じるか?」
「すごい……なんて濃いマナなの……地上なのにまるでダンジョンにいるみたい……」
「いいか、絶対に変な気を起こすんじゃないぞ。例えここにいる全員を殺したとしても道がわからんことには生きては帰れないんだからな」
「……あんた、ずっと思っていたけど何様なわけ?」
「……は?」
「魔法の才能が微塵もないのに魔法使いのあたしに指図してるの? いったいぜんたいどういう了見?」
「お前こそ、雇用主に向かってなんだその口は。杖を奪われたくせにでかい態度を取ってるんじゃないぞ、木食い虫」
「あら、あたしがいつ杖を奪われたかしら?」
「お前、まさか……!」
「その……まさかよ!」
魔法使いは靴底に隠していた杖に触れて呪文を唱える。
「ファイア!」
濃いマナをたっぷり吸収した炎の魔法は腕を縛るロープを焼き切るだけでなく、視界を奪うほどの光も発した。
「おほほほ! これが実力! あたしも知らざる真の実力!」
魔法使いは見張りを振り切って洞窟に向かって走っていく。
「ひい! 俺は無実! あいつが勝手にやったことなんです!」
隊長は地面に伏して無抵抗をアピールする。
「手間取らせてくれてんじゃないのよ、あの女!」
ビクトリアも強い光のせいで視界を奪われていた。ただしきっちりと魔法使いの位置は把握していた。
(大丈夫、あいつは体重がある分、足音もでかい! おまけに鈍重!)
常日頃から真夜中に素早く数の多い魔物を退治しているビクトリアにとっては止まった的も同然。
すぐさま狙いを定めるも、
「……くっ、ファイア!」
一瞬の迷いが発射を鈍らせる。
発射された火の塊は魔法使いの背後で爆ぜる。
「当たりませんわ、当たりませんわ~!」
そしてついに洞窟に飛び込んでしまった。
「私としたことが逃がしてしまうなんて……すぐに追うわよ!」
「あ、あの、エルフ様!」
「なに!?」
「……私はここに残ってもよろしいでしょうか」
「はあ!?」
見張りの言葉に気が立っていたビクトリアだったが振り返るとすぐに冷静になる。
「い、いたい……いたいよぉ……」
「エルフ様、申し訳…………ありません……」
火の魔法の勢いは凄まじく見張りの三人のうち、二人が深い火傷を負ってしまっていた。
「……そうね、あなたはここに残って二人の看病とこいつの見張りを続けなさい」
「すみません! すみません! すみません!」
「謝ることないわ。どうせあなたたちには期待してないから」
ビクトリアは自分を強く責める。
(私のせいだ……私が不甲斐ないばかりに……)
力で圧倒しているはずなのに、悪知恵で出し抜かれている。杖は一人一本なんて決まりはない。予備の準備くらい、少し考えれば思いつく。
(……よくもやってくれたわね。覚悟なさいよ)
視界が戻ったところで洞窟の前へ。
「隠れてないで出てきなさい!」
そう呼びかけると、
「ファイアーバード!」
暗闇から火の鳥が飛び出してくる。
「マジックミラー!」
前と同じように光の壁で受け取るも、
(詠唱を短縮したのに威力が増してる!? もう骨を拾ったの!?)
洞窟に向かって返す。
中で爆ぜた音が聞こえるが、
「ファイアーバード! ファイアーバード! ファイアーバード!」
「三連発!? マジックミラー!」
不意を突かれるもマジックミラーで受け止められないことはなかった。
「あっはっは! すごいすごい! これが、これが骨の力! あと何発でもファイアーバードが放てられる! おまけに洞窟の中はマナが濃い! ついにあたしにもツキが回って来たってことね!」
「なに、いい気になってるのかしら。あんた如きがこの私に勝てるわけないでしょう」
「止まり木を燃やし炭にしろ! ファイアーバード!」
倍以上の大きさの火の鳥が飛び出す。
「うざ! マジックミラー!」
これも洞窟の中に跳ね返して爆ぜるが、
「あはははっ! あたんなーい!」
けろっとした声が返ってきて神経を逆なでする。
「うざうざうざ! こっちに来て戦いなさいよ!」
「来るのはそっちでしょう!」
にらみ合う両者。どちらも譲らない。
「あー、そう。じゃあエルフと短命種の格の差ってやつ、見せてあげるわ」
「へえ、そう。見せてもらおうかしら」
「ファイアーボール!」
ビクトリアは火の玉を洞窟の中へ繰り出す。
「ははっ、ファイアーボール? ファイアーバードよりも格下じゃない? もしかして上級魔法がつかえ──」
「ファイアーボール!」
爆発音。そして僅かな空白のうちに、
「ちょっとあんた! 人がまだ喋ってる最中」
「ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール!」
洞窟は見た目よりも頑丈。ファイアーボール程度では崩れはしない。
「あ、あんた、いい加減に」
「まだ息の根があったか! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール!」
返事があればひとまずファイアーボール。
「……」
「ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール! ファイアーボール!」
返事がなくてもファイアーボール。
絶え間なく繰り返される火の玉の波状攻撃。たっぷりの魔力タンクに胡坐をかいた、物量作戦。この十数年でビクトリアは多くの魔物を狩ってきた。その分経験値が溜まり魔力量も大幅に成長していた。だからこそできる大雑把で豪快な作戦だった。
十分間ほど火の玉を放ち続けた後に小休憩を挟む。
「聞こえてるー? もしくは爆発音で耳が遠くなっちゃって聞こえなくなっちゃった? それでも話はやめないんだけどさ~、私はまだまだやれるけどどうする~? さっさと降参して出てきてくれたら命だけは助けてあげるんだけど?」
女魔法使いの返事は、
「誰がお前なんかに降参するか! この洞窟はあたしんだ! 誰にも渡さない! ごほっごほっ」
熱に喉がやられ、喉がガラガラになっていたが威勢はそのままだった。
正気であれば爆発音が続けざまに起こる洞窟の中などストレスで耐えられるはずがない。
それでも彼女は骨にしがみつく。彼女はすでに骨の魔力に魅入られてしまっていた。
「あー、そう。じゃあこのまま──」
「それ以上やるならこっちにも考えがある!」
「ちょっとこっちが話してる最中でしょ、本当に耳が遠く──」
「あと一発でも火の玉を放ってみろ! その瞬間、あたしは大蜥蜴の骨をバラバラに爆散する!」
「は!? はあああ!?」
正気でもなければ勝機もない。ならば最期は相手にいかに利益を残さずに散るか、もしくは道連れにできるか。行き詰った人間は合理性を失う。
「あと三十秒数えて、あたしのもとへ来なくても爆散する! 骨を捨ててあたしに殺されに来い!」
「はああ!? 何よ、その条件! 飲めるはずがないんだけど!」
「いーち! にー!」
「うっざああああ! あの女ああああ!!!」
骨は頑丈であるが詠唱有ファイアーバードの威力なら破壊は可能だ。全損とは行かないだろうが売りに出せる量が減ってしまうかもしれない。
「ここまで馬鹿な生き物だとは思わなかったわ、短命の魔法使いってのは!」
頭脳戦が通じない。ならば自分も頭を空っぽにして飛び掛かるか。いや体格差で勝てるはずがない。
「どうする……どうする……」
困っていると思わぬところから助け船。
「お困りですかな、レディ」
「うわ、隊長!? 目隠しとロープは!? 見張りは何してるの!?」
「見張り殿は火傷を負った二人の治療に集中されています。ところでエルフ様、提案なのですが」
「動くな! それ以上動いたら丸焦げにする!」
ビクトリアは隊長に杖を向ける。
「むー、私めはエルフ様の味方なのですが、今の状況では信じてもらえないのも仕方ありませんな。エルフ様、とりあえずここは私を信じて何も手出ししないでくれますかな」
隊長は説得が難しいと考えると洞窟へ向かう。
「じゅうー!」
「あ、あんた、あいつと合流して何をするつもり!?」
「説得ですよ。私とて絶好の商機を失うのは惜しいのですよ。魔力ブースターになる大蜥蜴の骨。ぜひ欲しい。そして売りさばきたい!」
「じゅういちー!」
そう言って隊長は洞窟の暗闇へと消える。
「じゅうに!」
カウントダウンはまだ聞こえる。
「じゅうさん!」
「じゅうよん!」
「じゅうご!」
「じゅうろく!」
「じゅうなな!」
「じゅうはち!」
「じゅうきゅ」
カウントダウンは19で止まった。
そしてそれから十秒後の出来事だった。
「残念な報告です、エルフ様。説得に失敗してしまいました」
隊長が暗闇から出てくる。魔法使いを連れて。
「あ、あんた、それ……」
魔法使いの喉に大きな切り傷。そこから大量の血が流れていた。
隊長は血糊の付いたナイフを持っていたが、
「おっと、これはお見苦しいものを」
あっさりと捨てる。敵意を見せたらせっかく助かった命が無駄になってしまう。
「説得はしたのですが聞き入れてもらえませんでした。致し方なく、断腸の思いで、私自らがけじめをつけさせていただきました」
「あんた、仲間を殺したの……」
「仲間、ですか。正確には金を受け渡しする雇用関係でしたがね。まあ払う前に殺めてしまいましたが。金が浮いてラッキーなんて、はっはっは」
「……」
「おっと、失礼。場を和ませるつもりが逆効果でしたな。エルフ様、気に病まないでください。彼女がああなったのも説得に応じなかったからです。だからこの血は彼女の判断の末に流れたもの」
説得とは言うがあまりに不自然だった。魔法使いの耳は聞こえなくなっていた。ならばそれ相応に隊長の声も大きくなければ届かないだろう。そもそも隊長の説得も聞こえなかった。
隊長はずっと秤にかけていたのだ。ビクトリアと魔法使い。どっちにつけば自分に利するか。
結果、ビクトリアと手を組むことを選んだ。魔法使いは骨の力を証明した時点で役目を果たしたと判断したのだろう。
この男は冷徹な男だ。金で物事を判断する拝金主義。信用してはならない。しかし今回、彼に助けられたのは事実だ。
「……助かったわ。ありがとう」
ビクトリアは言いたいことは山々だがまずは礼を言う。
「いえいえ、役に立てたのなら光栄です」
しかし聞かねばいけないことが一つある。
「……ねえ、あんた、あのナイフは誰のなの」
「ナイフ、ですか。あれは魔法使いのですよ」
「……そう、わかったわ」
十中八九、嘘だ。魔法使いが杖を隠し持っていたように、隊長はナイフを隠し持っていたに違いない。でなければ腕を拘束していたロープも切れないだろう。
(……短命種のくせに小賢しいわね)
ほんの一瞬で、ほぼ奴隷の立ち位置から村を救った英雄に成り上がった。
隊長は今で会って来た人間の中の誰よりも曲者だ。
「そうそう、エルフ様、ご提案があるのです。この素晴らしい商品をより輝かせるアイデアが私めにはあります。その許可を欲しいのです」
早速売った恩を取り戻しに来た。
「いいわよ、言ってみなさい」
「この大蜥蜴の骨を、竜の骨ということにして売り出すのです」
「え、それって確かに儲けるだろうけどバレたりしないの」
「あっはっは! そこは私の腕の見せ所! 断定できない部位を売るのです。素人に牛と豚の骨の見分けがつきましょうか」
「で、でも……」
「お言葉ですがエルフ様。エルフ様が育った環境では縁が遠く理解しづらいことでしょうが、本来金と言うのはこうでもしないと手に入らないのですよ」
「そう、だけども」
「ご安心ください、きちんと売りさばいてみせます。例えバレたとしても知らなかったで通せばいい。それに本来の目的である魔力ブースターとしての役割は果たしているのです。牛の肉だろうが豚の肉だろうが腹を満たせればどちらでもいい。そういう時代なのです」
論戦になればビクトリアに勝ち目はない。側にエミリがいればまた結果は違ったかもしれない。
隊長もまた骨の魔力に魅入られた人間の一人だった。
こうして洞窟に封じられていた骨の魔力は溢れ、伝播していく。
0
あなたにおすすめの小説
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
狙って追放された創聖魔法使いは異世界を謳歌する
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーから追放される~異世界転生前の記憶が戻ったのにこのままいいように使われてたまるか!
【第15回ファンタジー小説大賞の爽快バトル賞を受賞しました】
ここは異世界エールドラド。その中の国家の1つ⋯⋯グランドダイン帝国の首都シュバルツバイン。
主人公リックはグランドダイン帝国子爵家の次男であり、回復、支援を主とする補助魔法の使い手で勇者パーティーの一員だった。
そんな中グランドダイン帝国の第二皇子で勇者のハインツに公衆の面前で宣言される。
「リック⋯⋯お前は勇者パーティーから追放する」
その言葉にリックは絶望し地面に膝を着く。
「もう2度と俺達の前に現れるな」
そう言って勇者パーティーはリックの前から去っていった。
それを見ていた周囲の人達もリックに声をかけるわけでもなく、1人2人と消えていく。
そしてこの場に誰もいなくなった時リックは⋯⋯笑っていた。
「記憶が戻った今、あんなワガママ皇子には従っていられない。俺はこれからこの異世界を謳歌するぞ」
そう⋯⋯リックは以前生きていた前世の記憶があり、女神の力で異世界転生した者だった。
これは狙って勇者パーティーから追放され、前世の記憶と女神から貰った力を使って無双するリックのドタバタハーレム物語である。
*他サイトにも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした
むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる