69 / 107
エルフの業と傲慢と
しおりを挟む
ビクトリアは一日目にして脱走を決意した。水と林檎だけの生活は始める前から耐えられるはずがないとわかっていた。エルフの悲願にも興味はなかった。不自由して長く生きるよりもその日その日を楽しく自由気ままに生きれればそれでいい。
そして何より彼女を自由へと駆り立てたのは、
「どうしてトイレがおまるなのよ……! ねえ、家でさせてよ!!」
そう訴えるも、
「できません。規則なので。マナの御子様にはここにいてもらいます」
檻の見張りは家族や親戚ではない。年を取った近所の顔見知り、それも男が一人。態度から長老の息がかかっている。
「漏れそうなんですけど!」
まだまだ家族に甘えたがりではあるものの人間でいう思春期に入っていたため、精神的に堪えられるはずがない。
「規則なので。もしも我慢できないのであれば漏らしても結構ですよ」
少女の涙を見ても見張りは動じない。そもそもこちらを向いていない。壁のような背中を向けて返事をする。この融通が利かない生真面目さが買われ牢の見張り番として抜擢されたのだろう。
「出さなきゃこの檻に火をつけるんだけど?」
引いてダメなら押してみる。そう脅してみるも、
「魔法の使用は特に禁じられていませんが火が回る前に水魔法で消します」
ビクトリアの魔法はまだ習いたて。練習を重ねてもいないのでまだまだ未熟。仮に杖があれば話は別。しかし檻の中にそんな都合よく落ちているはずがない。
(逃げるなら今しかない……まさか初日から脱走するとは思わないだろうし、それに村の中は人が少ない)
母親は川に洗濯、父親は山に柴刈りへ行っている。いつもなら日没前には帰ってくる。
それまでにどうにか見張りの目をかいくぐり脱出しなければならない。
しかしこの見張りが何を要求しても出してくれる気配はない。
(私が出れないなら……)
ビクトリアの悪知恵は働き、一芝居を打つ。
「お腹空いたお腹空いたお腹空いた! 林檎以外の食べ物食べたいー!」
「できません。規則なので」
いくらじたばたして騒いでも見張りは動かない。
その隙をビクトリアは逃さない。
「あー、こんなところにナメクジ……これ食べたら空腹がまぎれるかな……」
ナメクジなどどこにもいない。そして見かけても食べるはずがない。どんなに空腹でも……食べない、たぶん。
「……」
そしてビクトリアは倒れたまま無言になり、身体の動きを止める。呼吸も悟られないようにこっそりとする。仕上げに腰辺りに水をこぼし、水たまりを作る。
「ははは、そう騙そうたって通用しませんよ。大人を舐めんでくださいよ」
見張りは最初子供の浅知恵だろうと見向きもしなかった。
ここからは知恵比べではない、根比べである。
一秒でも早く逃げたいビクトリアは目の前の関門を着実に攻略するために金に等しい時間を犠牲にする。
あらかじめ布石は打っておいた。朝から四六時中騒ぎ、喚き、騒々しい印象を嫌となるほど植え付けた。それがぱたっと止んだら、少しは見向きもしたくなるもの。
(早くして……早く、早く……)
見張りは意外としぶとかった。うっかり眠くなってしまいそうなほどの時間が経過した。
しかし、その時はやってくる。
「た、倒れていやがる……!? まさか本当にナメクジを食べてしまわれたのですか!? ちくしょう、死なれたら俺の責任になっちまう!」
閂が外され、見張りは中に入ってくる。
「失禁もしてる!? ほんとのほんとにナメクジを!?」
そして慌てて近寄ってくる。
「たす、けて……」
ビクトリアはさらに一芝居。
「良かった! まだ生きている! 急いで治癒魔法を──」
見張りの緊張がゆるむ、その一瞬を見逃さない。
「どっそい!!!」
ビクトリアは男の弱点である股間を握りつぶした。
「──っあ!?」
見張りは悲鳴を漏らし、うずくまる。
「引っかかった引っかかった! こんなところでいつもの寝たふりが役に立つなんて人生わからないものね!」
ビクトリアは牢から脱出し、見張りを残したまま閂を閉める。
「マナの御子……いやクソガキ……!」
見張りはエルフの悲願を忘れて憎たらしいガキとしてビクトリアを睨む。
「へへん、変な願望を持つから痛い目に合うのよ、べろべろばー」
煽りに煽って気分を晴らす。
「さあて、あとはみんなが出払った村から脱出すればいいんだもん、楽勝楽勝」
「ははっ、それはどうかな……」
見張りの男は脂汗を滲ませながら微笑む。
「やあね、負け惜しみ? 犬も檻の中ではよおく吠えるものね」
「万が一にもお前が逃げ出した時の想定をしてないとでも?」
そう言って口に指を突っ込み、大きく息を吹いた。
ピィーーーーー!
耳たぶをざわつかせる大きな音が鳴った。あまりのけたたましさに羽休めをしていた鳥の群れが一斉に飛び立っていった。
「ははは、これでわかったか? 俺が見張り番として抜擢された理由が」
「まさか、今ので!?」
エルフ族はウサギのように長い耳は飾りではない。遠くの指笛を聞き取れるほどに聴覚に優れている。
「せいぜい逃げ回るんだな。今この瞬間から村中の奴らがお前を血眼になって探し始めているぜ」
「きいいい! こんなことになら金玉握り潰しておけばよかった!」
ビクトリアは負け惜しみを吐きつつもすぐにその場を離れた。
ビクトリアは隠れながらどこに逃げるかを考える。
西には川が流れている。ここに母親を含め、多くの女性が集まっている。今行けば鉢合わせになる可能性が高い。
東には緩やかな山が続いている。ここに父親を、多くの男性が集まっている。今行けば鉢合わせになる可能性が高い。
南にはしばらく歩いた先に人間が作った街道が伸びている。村に直接つながってはいないものの、短時間でより遠くへ逃げられる。
北には鬱蒼とした森が広がっている。マナが濃く、狂暴な魔物が稀に出現する。危険性が高いため、大人でも立ち入る機会は滅多にない。ビクトリアも一度も踏み入れたことがない。
長い耳が揺れる。聞こえる足音が増えている。続々と村に大人たちが集まってきている。
(西と東は論外……となると南か、北か……)
悩んでいると爽やかと程遠い冷たい風が吹き抜けていった。
ビクトリアは自然と風が吹いてきた方角を見る。
(……逃げるにはリスクはつきものよね)
彼女の足は北へと向く。
道中は思いのほか快適で、少女の足でもスムーズに進んだ。
(なによ、誰も行かないにしては通りやすいじゃない)
整備こそされていないが、誰かが定期的に通っていると思わしき痕跡がちらほら見かける。
(おかげで縫い糸みたいに頑丈な蜘蛛の巣が顔に当たらなくていいんだけど)
次第に足音は聞こえなくなっていく。代わりに自分の心臓の音がはっきりと聞こえる。
(ここまで遠く、一人で来たのは初めてかも……)
開けた場所にたどり着いた時、足は自然と止まる。
「はあ……はあ……ちょっと休憩……」
腰を掛けるにはちょうどいい大きさの岩に身体を委ねる。
息を整え、ようやく周囲の状況を飲み込む。
「なに……ここ……」
木と見間違えていたがそこに木の杭が打ち付けられていた。それも一本ではない。ざっと百本は直線にずらりと並んでいた。
森の奥で突然現れた異様な光景に汗が引っ込む。
「これって……お墓? だとしたら誰の」
「ここはかつてのマナの御子たちのお墓ですよ」
突然の長老の声。今度は引っ込んでいた汗が噴き出る。
「長老!? もうこんなところまで!?」
長老は墓地の中心に立っていた。
「いえいえ、私はずっとここにいたんですよ。新たなマナの御子が生まれたと報告しに来たのです」
ビクトリアは肝心な点を見逃していた。長老が普段どこで何をしているのかちゃんと考えたことがなかった。年寄りらしく隠居し昼寝をしていると思っていた。
「こんな遠くまで飛び出してしまうマナの御子は初めてです。外の空気が吸いたくなったのですか? お転婆なのは結構ですが使命を第一に考えて欲しいものですね。ここは危険です。すぐに帰りましょう。さあ」
手を伸ばしただけでビクトリアは身体がのけ反る。
「よ、よくもまあ、そんなことが言えるわね……」
「はて、なんのことです?」
「魂が腐ってるんじゃないの? 今までこれだけの多くの同胞を殺しておいてよく言うわって言ってるの」
「殺してなんて言いがかりですよ。みんな次第に協力的になってくれましたよ」
「それでも一生牢屋の中なのでしょう」
「当然! 大事な御身、守り抜かなければ!」
「ああ、そう……やっぱクソジジイ……あんた魂が腐ってるよ」
ビクトリアは呼吸を整えると走りだす。まずは並ぶ木の杭の奥へ。
(信仰心があれば墓を荒らすような真似はしないはず……!)
この場にいるのは年老いた寿命間近の老エルフ。魔法を封じ、体力勝負に持ち込めば逃げられると思い込んでいた。
「ファイアボール」
何の躊躇いもなく、魔法を放った。
「は?」
火球はビクトリアの目の前、木の杭に当たると真っ赤に爆ぜた。
「きゃあああ!?」
爆発の衝撃は少女をいとも容易く吹き飛ばす。バラバラになった木の杭の燃えクズと一緒に少女は転がる。
「マナの御子様。あなたが隠れるから大事なお墓に当たってしまったじゃないですか。また作り直さないとですね」
「……どこまで魂が腐ってるの……クソジジイ……」
簡単な治癒魔法で擦り傷を癒せるが火傷はそのまま。やはり彼女の魔法はどれも未熟だった。
「私とてあなたを傷つけたくないのですよ。私には大事な御身を守る使命があるのですから」
「耄碌しすぎて自分の言ったことが一瞬で矛盾しているの気づけないかな……」
「全てはエルフの悲願のためです」
まるで話が通じない。しかし会話を重ねることでわかることもあった。
「……何がエルフの悲願のためよ……偉そうに……本心は、自分のためでしょう」
「はて、いま、なんと」
ビクトリアは治癒をそのままに立ち上がる。
「何度だって言ってやるわ、それも大声で……自分の! ため! でしょう!?」
「違う……私は……エルフ族のために……」
「都合のいいことばっか言ってんじゃないわよ! 堂々としてるようでやり方が陰湿なのよ!! 寝ているうちに牢屋に連れ込んだり! お母さんとお父さんの外堀を埋めたり! どんな犠牲も厭わないと言っておきながら村から離れた場所にこっそりと墓地を作ったり! ぜんぶぜんぶ自分中心の思い通りに進めようとしてて汚いったらありゃしない!」
「い、陰湿だと……」
長老に揺らぎが生まれる。
「寿命が近づいてきて怖気づいてしまったんでしょう!? このままでは普遍的なエルフで終わってしまうって! 小さな森の中で終わる小さな存在だって! だから何者かになりたいって思ったんじゃないの!?」
「ち、ちがう、私は、エルフの悲願のために」
「じゃあもっと堂々としてなさいよ!? と言っても臆病なジジイにはできないでしょうけど!!」
「黙れええ小娘があああああ」
長老はマナをかき集め、
「ファイアボール!」
自分の身の丈よりも大きい火球を放った。
もはやビクトリアの身などどうでもよかった。目障りで耳障りな存在をいち早く抹消したかった。
「逃げるにはリスクはつきもの……!」
ビクトリアは迫りくる火球から逃げようとはしなかった。
「ぶっつけ本番! 頼むわよ、私と……秘密兵器!」
むしろ火球に向けて、まだ火が灯る木のクズを構えた。
「……マジックミラー!」
唱えると朧ながら白い光の不等辺三角形の壁が現れる。
「……ここまでか!」
火球は光の壁の前で爆ぜた。マジックミラーは不完全であり、跳ね返すことは叶わなかった。
「ふははは! 小娘が! 生意気にもわかったような口を聞くからこうなるのだ! ふはは、ふははは!」
勝利を確信し大笑いする長老に、
「ファイア」
小さな火球が当たる。
「あちゃあああ!? 熱い! 熱いあついあついあつい!」
火は瞬く間に服に広がっていく。長老は消そうと必死に地面を転がり回る。結果的に鎮圧に成功したが身体を少し動かしただけで立ち上がる体力を失ってしまった。
「クソジジイ、勝負あったわね」
ビクトリアは木のクズを長老の鼻先に向ける。
「……なるほど、小癪にも即席の杖を作ったわけだ……木の杭の素材はマナが濃い北の森の木だからな……盲点だった……」
魔力をブーストさせたものの結果はギリギリだった。跳ね返すことはできなかったが防風防火にはなった。
「自分の作った杭に殺される……運命って面白いわね。魂が腐ったクズにはお似合いの最期じゃない」
「はてさて、それはどうかな……確かに杖は魔力ブーストになるが素人が使えば体内の魔力をあっという間に吸い尽くす。杖はただ木を削ればできるものではない。専門の知識と長年の経験がなければ完成しないのだ」
長老の知識は侮れない。予想通り、たった二回の魔法を使っただけで豊富であるはずのビクトリアの魔力タンクが空っぽになろうとしていた。
「何も魔法じゃなくていい。鋭利な先端であなたの喉を一突きしてもいいのよ」
「できるものならやってみろ、小娘。私を殺したところで村は何も変わらんぞ。エルフの悲願はエルフの悲願なのだ。私と同じ志を持つ者が受け継ぎ、また新たなマナの御子を探すだろう。それに……」
「それに……?」
「いざ命を奪える立場になると怖いだろう? 臆病な小娘にできるかな?」
「舐めやがって……!」
小さな木の杭を振り上げる。首ではなく、心臓に一突きしようと狙いを定める。
「ふう……ふう……!」
またも心臓の音がうるさく聞こえてくる。
幻聴も聞こえてくる。数多の木の杭から声が聞こえてくる。悲しい、苦しい、仇を取ってくれと囁いているようだった。
「……ちっくしょう!」
ビクトリアは木の杭を捨てた。代わりに長老の股間を踏みつぶす。
「おんぐ!!??」
長老は極限の痛みに気を失った。
「はあ……はあ……!」
木の杭を捨てると幻聴は嘘のように消えてなくなった。
しかし今度は足音がうるさくなってきた。
鬼ごっこはまだ終わらない。
ビクトリアはさらに北へ、森の奥へと進んでいった。
そして何より彼女を自由へと駆り立てたのは、
「どうしてトイレがおまるなのよ……! ねえ、家でさせてよ!!」
そう訴えるも、
「できません。規則なので。マナの御子様にはここにいてもらいます」
檻の見張りは家族や親戚ではない。年を取った近所の顔見知り、それも男が一人。態度から長老の息がかかっている。
「漏れそうなんですけど!」
まだまだ家族に甘えたがりではあるものの人間でいう思春期に入っていたため、精神的に堪えられるはずがない。
「規則なので。もしも我慢できないのであれば漏らしても結構ですよ」
少女の涙を見ても見張りは動じない。そもそもこちらを向いていない。壁のような背中を向けて返事をする。この融通が利かない生真面目さが買われ牢の見張り番として抜擢されたのだろう。
「出さなきゃこの檻に火をつけるんだけど?」
引いてダメなら押してみる。そう脅してみるも、
「魔法の使用は特に禁じられていませんが火が回る前に水魔法で消します」
ビクトリアの魔法はまだ習いたて。練習を重ねてもいないのでまだまだ未熟。仮に杖があれば話は別。しかし檻の中にそんな都合よく落ちているはずがない。
(逃げるなら今しかない……まさか初日から脱走するとは思わないだろうし、それに村の中は人が少ない)
母親は川に洗濯、父親は山に柴刈りへ行っている。いつもなら日没前には帰ってくる。
それまでにどうにか見張りの目をかいくぐり脱出しなければならない。
しかしこの見張りが何を要求しても出してくれる気配はない。
(私が出れないなら……)
ビクトリアの悪知恵は働き、一芝居を打つ。
「お腹空いたお腹空いたお腹空いた! 林檎以外の食べ物食べたいー!」
「できません。規則なので」
いくらじたばたして騒いでも見張りは動かない。
その隙をビクトリアは逃さない。
「あー、こんなところにナメクジ……これ食べたら空腹がまぎれるかな……」
ナメクジなどどこにもいない。そして見かけても食べるはずがない。どんなに空腹でも……食べない、たぶん。
「……」
そしてビクトリアは倒れたまま無言になり、身体の動きを止める。呼吸も悟られないようにこっそりとする。仕上げに腰辺りに水をこぼし、水たまりを作る。
「ははは、そう騙そうたって通用しませんよ。大人を舐めんでくださいよ」
見張りは最初子供の浅知恵だろうと見向きもしなかった。
ここからは知恵比べではない、根比べである。
一秒でも早く逃げたいビクトリアは目の前の関門を着実に攻略するために金に等しい時間を犠牲にする。
あらかじめ布石は打っておいた。朝から四六時中騒ぎ、喚き、騒々しい印象を嫌となるほど植え付けた。それがぱたっと止んだら、少しは見向きもしたくなるもの。
(早くして……早く、早く……)
見張りは意外としぶとかった。うっかり眠くなってしまいそうなほどの時間が経過した。
しかし、その時はやってくる。
「た、倒れていやがる……!? まさか本当にナメクジを食べてしまわれたのですか!? ちくしょう、死なれたら俺の責任になっちまう!」
閂が外され、見張りは中に入ってくる。
「失禁もしてる!? ほんとのほんとにナメクジを!?」
そして慌てて近寄ってくる。
「たす、けて……」
ビクトリアはさらに一芝居。
「良かった! まだ生きている! 急いで治癒魔法を──」
見張りの緊張がゆるむ、その一瞬を見逃さない。
「どっそい!!!」
ビクトリアは男の弱点である股間を握りつぶした。
「──っあ!?」
見張りは悲鳴を漏らし、うずくまる。
「引っかかった引っかかった! こんなところでいつもの寝たふりが役に立つなんて人生わからないものね!」
ビクトリアは牢から脱出し、見張りを残したまま閂を閉める。
「マナの御子……いやクソガキ……!」
見張りはエルフの悲願を忘れて憎たらしいガキとしてビクトリアを睨む。
「へへん、変な願望を持つから痛い目に合うのよ、べろべろばー」
煽りに煽って気分を晴らす。
「さあて、あとはみんなが出払った村から脱出すればいいんだもん、楽勝楽勝」
「ははっ、それはどうかな……」
見張りの男は脂汗を滲ませながら微笑む。
「やあね、負け惜しみ? 犬も檻の中ではよおく吠えるものね」
「万が一にもお前が逃げ出した時の想定をしてないとでも?」
そう言って口に指を突っ込み、大きく息を吹いた。
ピィーーーーー!
耳たぶをざわつかせる大きな音が鳴った。あまりのけたたましさに羽休めをしていた鳥の群れが一斉に飛び立っていった。
「ははは、これでわかったか? 俺が見張り番として抜擢された理由が」
「まさか、今ので!?」
エルフ族はウサギのように長い耳は飾りではない。遠くの指笛を聞き取れるほどに聴覚に優れている。
「せいぜい逃げ回るんだな。今この瞬間から村中の奴らがお前を血眼になって探し始めているぜ」
「きいいい! こんなことになら金玉握り潰しておけばよかった!」
ビクトリアは負け惜しみを吐きつつもすぐにその場を離れた。
ビクトリアは隠れながらどこに逃げるかを考える。
西には川が流れている。ここに母親を含め、多くの女性が集まっている。今行けば鉢合わせになる可能性が高い。
東には緩やかな山が続いている。ここに父親を、多くの男性が集まっている。今行けば鉢合わせになる可能性が高い。
南にはしばらく歩いた先に人間が作った街道が伸びている。村に直接つながってはいないものの、短時間でより遠くへ逃げられる。
北には鬱蒼とした森が広がっている。マナが濃く、狂暴な魔物が稀に出現する。危険性が高いため、大人でも立ち入る機会は滅多にない。ビクトリアも一度も踏み入れたことがない。
長い耳が揺れる。聞こえる足音が増えている。続々と村に大人たちが集まってきている。
(西と東は論外……となると南か、北か……)
悩んでいると爽やかと程遠い冷たい風が吹き抜けていった。
ビクトリアは自然と風が吹いてきた方角を見る。
(……逃げるにはリスクはつきものよね)
彼女の足は北へと向く。
道中は思いのほか快適で、少女の足でもスムーズに進んだ。
(なによ、誰も行かないにしては通りやすいじゃない)
整備こそされていないが、誰かが定期的に通っていると思わしき痕跡がちらほら見かける。
(おかげで縫い糸みたいに頑丈な蜘蛛の巣が顔に当たらなくていいんだけど)
次第に足音は聞こえなくなっていく。代わりに自分の心臓の音がはっきりと聞こえる。
(ここまで遠く、一人で来たのは初めてかも……)
開けた場所にたどり着いた時、足は自然と止まる。
「はあ……はあ……ちょっと休憩……」
腰を掛けるにはちょうどいい大きさの岩に身体を委ねる。
息を整え、ようやく周囲の状況を飲み込む。
「なに……ここ……」
木と見間違えていたがそこに木の杭が打ち付けられていた。それも一本ではない。ざっと百本は直線にずらりと並んでいた。
森の奥で突然現れた異様な光景に汗が引っ込む。
「これって……お墓? だとしたら誰の」
「ここはかつてのマナの御子たちのお墓ですよ」
突然の長老の声。今度は引っ込んでいた汗が噴き出る。
「長老!? もうこんなところまで!?」
長老は墓地の中心に立っていた。
「いえいえ、私はずっとここにいたんですよ。新たなマナの御子が生まれたと報告しに来たのです」
ビクトリアは肝心な点を見逃していた。長老が普段どこで何をしているのかちゃんと考えたことがなかった。年寄りらしく隠居し昼寝をしていると思っていた。
「こんな遠くまで飛び出してしまうマナの御子は初めてです。外の空気が吸いたくなったのですか? お転婆なのは結構ですが使命を第一に考えて欲しいものですね。ここは危険です。すぐに帰りましょう。さあ」
手を伸ばしただけでビクトリアは身体がのけ反る。
「よ、よくもまあ、そんなことが言えるわね……」
「はて、なんのことです?」
「魂が腐ってるんじゃないの? 今までこれだけの多くの同胞を殺しておいてよく言うわって言ってるの」
「殺してなんて言いがかりですよ。みんな次第に協力的になってくれましたよ」
「それでも一生牢屋の中なのでしょう」
「当然! 大事な御身、守り抜かなければ!」
「ああ、そう……やっぱクソジジイ……あんた魂が腐ってるよ」
ビクトリアは呼吸を整えると走りだす。まずは並ぶ木の杭の奥へ。
(信仰心があれば墓を荒らすような真似はしないはず……!)
この場にいるのは年老いた寿命間近の老エルフ。魔法を封じ、体力勝負に持ち込めば逃げられると思い込んでいた。
「ファイアボール」
何の躊躇いもなく、魔法を放った。
「は?」
火球はビクトリアの目の前、木の杭に当たると真っ赤に爆ぜた。
「きゃあああ!?」
爆発の衝撃は少女をいとも容易く吹き飛ばす。バラバラになった木の杭の燃えクズと一緒に少女は転がる。
「マナの御子様。あなたが隠れるから大事なお墓に当たってしまったじゃないですか。また作り直さないとですね」
「……どこまで魂が腐ってるの……クソジジイ……」
簡単な治癒魔法で擦り傷を癒せるが火傷はそのまま。やはり彼女の魔法はどれも未熟だった。
「私とてあなたを傷つけたくないのですよ。私には大事な御身を守る使命があるのですから」
「耄碌しすぎて自分の言ったことが一瞬で矛盾しているの気づけないかな……」
「全てはエルフの悲願のためです」
まるで話が通じない。しかし会話を重ねることでわかることもあった。
「……何がエルフの悲願のためよ……偉そうに……本心は、自分のためでしょう」
「はて、いま、なんと」
ビクトリアは治癒をそのままに立ち上がる。
「何度だって言ってやるわ、それも大声で……自分の! ため! でしょう!?」
「違う……私は……エルフ族のために……」
「都合のいいことばっか言ってんじゃないわよ! 堂々としてるようでやり方が陰湿なのよ!! 寝ているうちに牢屋に連れ込んだり! お母さんとお父さんの外堀を埋めたり! どんな犠牲も厭わないと言っておきながら村から離れた場所にこっそりと墓地を作ったり! ぜんぶぜんぶ自分中心の思い通りに進めようとしてて汚いったらありゃしない!」
「い、陰湿だと……」
長老に揺らぎが生まれる。
「寿命が近づいてきて怖気づいてしまったんでしょう!? このままでは普遍的なエルフで終わってしまうって! 小さな森の中で終わる小さな存在だって! だから何者かになりたいって思ったんじゃないの!?」
「ち、ちがう、私は、エルフの悲願のために」
「じゃあもっと堂々としてなさいよ!? と言っても臆病なジジイにはできないでしょうけど!!」
「黙れええ小娘があああああ」
長老はマナをかき集め、
「ファイアボール!」
自分の身の丈よりも大きい火球を放った。
もはやビクトリアの身などどうでもよかった。目障りで耳障りな存在をいち早く抹消したかった。
「逃げるにはリスクはつきもの……!」
ビクトリアは迫りくる火球から逃げようとはしなかった。
「ぶっつけ本番! 頼むわよ、私と……秘密兵器!」
むしろ火球に向けて、まだ火が灯る木のクズを構えた。
「……マジックミラー!」
唱えると朧ながら白い光の不等辺三角形の壁が現れる。
「……ここまでか!」
火球は光の壁の前で爆ぜた。マジックミラーは不完全であり、跳ね返すことは叶わなかった。
「ふははは! 小娘が! 生意気にもわかったような口を聞くからこうなるのだ! ふはは、ふははは!」
勝利を確信し大笑いする長老に、
「ファイア」
小さな火球が当たる。
「あちゃあああ!? 熱い! 熱いあついあついあつい!」
火は瞬く間に服に広がっていく。長老は消そうと必死に地面を転がり回る。結果的に鎮圧に成功したが身体を少し動かしただけで立ち上がる体力を失ってしまった。
「クソジジイ、勝負あったわね」
ビクトリアは木のクズを長老の鼻先に向ける。
「……なるほど、小癪にも即席の杖を作ったわけだ……木の杭の素材はマナが濃い北の森の木だからな……盲点だった……」
魔力をブーストさせたものの結果はギリギリだった。跳ね返すことはできなかったが防風防火にはなった。
「自分の作った杭に殺される……運命って面白いわね。魂が腐ったクズにはお似合いの最期じゃない」
「はてさて、それはどうかな……確かに杖は魔力ブーストになるが素人が使えば体内の魔力をあっという間に吸い尽くす。杖はただ木を削ればできるものではない。専門の知識と長年の経験がなければ完成しないのだ」
長老の知識は侮れない。予想通り、たった二回の魔法を使っただけで豊富であるはずのビクトリアの魔力タンクが空っぽになろうとしていた。
「何も魔法じゃなくていい。鋭利な先端であなたの喉を一突きしてもいいのよ」
「できるものならやってみろ、小娘。私を殺したところで村は何も変わらんぞ。エルフの悲願はエルフの悲願なのだ。私と同じ志を持つ者が受け継ぎ、また新たなマナの御子を探すだろう。それに……」
「それに……?」
「いざ命を奪える立場になると怖いだろう? 臆病な小娘にできるかな?」
「舐めやがって……!」
小さな木の杭を振り上げる。首ではなく、心臓に一突きしようと狙いを定める。
「ふう……ふう……!」
またも心臓の音がうるさく聞こえてくる。
幻聴も聞こえてくる。数多の木の杭から声が聞こえてくる。悲しい、苦しい、仇を取ってくれと囁いているようだった。
「……ちっくしょう!」
ビクトリアは木の杭を捨てた。代わりに長老の股間を踏みつぶす。
「おんぐ!!??」
長老は極限の痛みに気を失った。
「はあ……はあ……!」
木の杭を捨てると幻聴は嘘のように消えてなくなった。
しかし今度は足音がうるさくなってきた。
鬼ごっこはまだ終わらない。
ビクトリアはさらに北へ、森の奥へと進んでいった。
0
あなたにおすすめの小説
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
狙って追放された創聖魔法使いは異世界を謳歌する
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーから追放される~異世界転生前の記憶が戻ったのにこのままいいように使われてたまるか!
【第15回ファンタジー小説大賞の爽快バトル賞を受賞しました】
ここは異世界エールドラド。その中の国家の1つ⋯⋯グランドダイン帝国の首都シュバルツバイン。
主人公リックはグランドダイン帝国子爵家の次男であり、回復、支援を主とする補助魔法の使い手で勇者パーティーの一員だった。
そんな中グランドダイン帝国の第二皇子で勇者のハインツに公衆の面前で宣言される。
「リック⋯⋯お前は勇者パーティーから追放する」
その言葉にリックは絶望し地面に膝を着く。
「もう2度と俺達の前に現れるな」
そう言って勇者パーティーはリックの前から去っていった。
それを見ていた周囲の人達もリックに声をかけるわけでもなく、1人2人と消えていく。
そしてこの場に誰もいなくなった時リックは⋯⋯笑っていた。
「記憶が戻った今、あんなワガママ皇子には従っていられない。俺はこれからこの異世界を謳歌するぞ」
そう⋯⋯リックは以前生きていた前世の記憶があり、女神の力で異世界転生した者だった。
これは狙って勇者パーティーから追放され、前世の記憶と女神から貰った力を使って無双するリックのドタバタハーレム物語である。
*他サイトにも掲載しています。
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした
むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる