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3.聖女様、ピンチ

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「ディナ様、そろそろお時間です」

「おやおや、楽しい時間はあっという間ですねぇ、そうは思いませんか? 聖女様」

「えぇ……そうですね……」



 もう、時間か……早いような遅いような……。



「それでは私はこれで、また会いましょう、聖女様」



 スタッグ王子はそう言って壇上を降りて行った。

 なんでしょう……長い時間つまらない話を聞いていた影響か、目眩が……。



「ディナ様? どうされましたか?」

「いえ……なんでも……」



 体が……熱い。

 それに……。



「大丈夫ですか? ご気分悪いのでは……もしや……性欲が……」



 これはまずい……



「ちょっと……風に当たってきます」

「では私も……」

「一人にさせてください!!」

「あ……申し訳ございません」



 私は足早に外に出た。







「はぁ……はぁ……」



 私は王城の誰もいないところへと出た。

 非常にまずい状況になってしまった、なぜこんな時にこんなことが起こってしまうのだろうか。



「こ、こんな時に……『発情してしまう』なんて……」



 無論、いくら聖女として振舞っているとはいえ、所詮私は男。

 本能的に、そういう感情にもなる。

 だが、こんな公の場で発情してしまうなんて、なんとはしたない……。

 こうなることも考えて、王城に来る前にエネマに処理してもらっていたのに……。

 幸い、「その部分」は、厚く着込んでいる修道服のおかげで、目立ってはいなかった。



「と、とりあえず、早くこの感情を抑えなければ……」



 ……この辺りには誰もいない。

 今のうちに……。



「おやおや聖女様、こんばんは」



 修道服を脱ごうとしたその時、そんな声が聞こえた。

 私は思わず、手を止め、声のする方向に顔を向けた。

 その声には聞き覚えがあった……その声の主は。



「スタッグ王子……」



 そう、あのつまらない話を展開していたスタッグ王子だった。



「こんなにも早い再会になるとは思いませんでしたね」

「そ、そうですね……」



 スタッグ王子は、不気味な笑みを浮かべながら私に話しかけてきた。

 何故だろうか……妙な胸騒ぎがする。



「いやはや……貴方っての人は……他の女性とはまるで違う」

「……どういうことですか?」



 私がスタッグ王子に質問をすると、彼は突然、私の肩を掴み、壁に打ち付けた。
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