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12.聖女様、目覚める

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「……ん? ここは……」

 目が覚めると、何やら硬い何かに包み込まれているような気がした。

「……目が覚めたか? カマ野郎」
「……あ、貴方は……」

 そうだった……私は彼と寝ていたのだった。

「……何故私を置き去りにしなかったのですか?」
「べ、別に……辛そうな顔をしてたから、放っておけなかっただけだ……」
「あら、優しいのですね、案外」
「う、うるせぇ……」

 スタッグ王子は、恥じらいの顔を見せている。
 普段から女性に対してこういう態度で振舞っているのなら……たくさんの女性に囲まれているのも納得できますね。

「その……媚薬を仕込んで申し訳なかった……」
「懲りたのですか? まぁ、いい機会でしたね」
「クソ……」

 王子は私を離して起き上がり、服を着替えた。

「お前も早く服を着ろ……そろそろ戻らないとまずいだろう?」

 王子は無理矢理脱がせた私の服を投げつける。
 ……何というか、からかいたくなってしまった。

「あら? 誰のせいでこうなったと思っているのですか? ……私はまだ出たくありませんね」
「この野郎……」
「あら? 歯向かうのですか? 忘れてませんか? は・も・ん」
「……腹が立つ野郎だ!」

 王子は私の肩を掴み、拳を作る。
 ……全く、野蛮な人ですね。

「いいですよ? 殴りたいなら殴っても、でも、聖女の顔に傷が付いたら教会はどう動くと思います?」
「……」
「人にお願いするなら、相応の態度を見せてください」

 私は下の方に指を差す。
 スタッグ王子はそれが何か察したのか、半裸の状態で跪いた。

「ふ、服をお召しになって……一緒に出ましょう……聖女様」
「あはは、いいでしょう、可愛い信徒よ」

 私は足の裏を彼の顔に乗せる。
 なんだろう……最高の気分だ。

「クソ……覚えていろ……このカマ野郎が……」
「何か言いましたか? 処刑しますよ?」
「……何でもないです」
「いいでしょう、では着替えさせてください」
「はぁ!?」

 王子は驚愕の表情を受けべる。
 だがこれは相応の対応ではないだろうか?

「だって、貴方私の服を脱がせたではありませんか、ならば着させるのも貴方がやっていただかないと……それに、媚薬の影響で力が入りません、責任を取る形でやってください」
「なんで俺が……」
「あらぁ? 反抗するのですか?」
「……分かりました」

 スタッグ王子は私の服を手に取り……着替えさせた。

「早くしてください、時間は待ってくれませんよ!」
「かしこまりました!!」

 ふふふ……いい気味です。
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