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42.聖女様、髪を切る

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「ディナ様……その髪型でよろしいのですか?」
「えぇ……たまには、印象を変えてみないと……」

 半年後、髪が伸びてきた私は、エネマに散髪をしてもらった。
 いつもは少し切って終わりなのだが、今回は……。

「ですが……ディナ様」
「なんでしょう?」
「これは少し……男性的では?」
「……そうですか?」

 ……思い切って短くしてみた。
 エネマは男性的だと言うが、スタッグ様や他の男性よりかは長いとは思う。

「髪ならすぐ長くなりますし、気に入らなかったら二度とこの髪型にしなければいい話ですよ」
「そ、そうですか……」

 エネマは困惑しつつも、散髪に使ったハサミを置き、床に落ちた髪の毛を回収する。
 ……自分で言うのもなんですけど、かなりの量ですね……。
 ……さて。

「今日は久しぶりに、スタッグ様と会う日ですね」

 数日前、久々にスタッグ様から招待状が来た。
 「お茶会をしよう」という提案だった。
 神殿の中で私が退屈していると……彼はそう思って招待状を送ったのだろう。
 最後に会った時、デートがどうのこうの言っていましたが……。
 今の私の髪型を見たら……どう反応するのでしょう? 楽しみですね。

「さ、行きましょうか、エネマ」
「はい」

 私は外に出る準備を整える。
 彼は元気にしているのでしょうか?



「お前……随分変わったな」
「あら? それは煽りと受け取ってもよろしいのですか?」
「い、いや……そうじゃなくて、単にお前らしくないなって」

 別邸の彼の部屋に着き、2人っきりになると、早速彼は私の見た目について、失礼な発言をする。
 ここが公の場だったら、彼は即刻処刑だ……無論、そうなっても私は阻止しますけどね。

「まぁ……鬱陶しかったので切っただけですよ、どうです?」
「その……お前、どんな髪型でも女にしか見えないな」
「……お褒めの言葉どうも」

 ……少し嬉しいような、残念なような……複雑な気持ちだ。
 ……まぁ、気を取り直して、話題を振りますか。

「さて、以前よりかは面白いお話を聞かせていただけるのですよね?」
「お、おう……実は、この間、いつもは優秀な兄がな……」
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