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第7章 吸血鬼、日々鍛えてますから!
吸血鬼の過去 その8 ~回復~
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「す、すみません! ワシとしたことが……」
「……え?」
私は困惑してしまった。
え? なんでいきなり態度変えたの?
「あのねぇ、この子たちにとってはかけがえのない、家族同然の仲間なんだから、そんな言い方しちゃダメでしょ?」
「は、はい……」
ゴルドちゃんは……その女性の叱りを真摯に聞いていた。
……一通り叱ると、女性は私たちに向かって笑顔を見せた。
「あのね、この人が言いたいのは、『そんな風に悲しんでたら、いざ戻ってきた時に同じように悲しんじゃうでしょ? 笑顔でいなさい』……ってことだと思うよ、そうよね?」
「は、はい! おっしゃる通りです!」
私とリンちゃんは、目が点になってしまった。
なんなの……このドワーフ……。
そういえば、ゴルドちゃんが言ってた受付の嬢ちゃんって……この人の事だよね?
じゃ、じゃあ……。
「ゴルドちゃん……この人の事が……」
「そうそう! この人、私にゾッコンらしくてねぇ、私は夫一筋だし、その夫ももうこの世にいないし、私ももう歳だから、やめて欲しいんだけどね……」
「……はぁ」
なるほど、好きな人の命令だから聞いたってこと……。
「それより、仲間の子、重体なんだろう?」
「……はい」
「なら、さっき言った通り、笑顔で出迎えられるよう、ちゃんと祈ってやりなさいな」
「……」
……受付の人の言い分はもっともだった。
まずは……笑顔でラピスちゃんを迎えよう、そして……ちゃんと謝ろう。
私たちは、受付の人の言葉を胸に、ラピスちゃんを待ち続けた。
☆
「いやぁほんま! 心配かけてもうてすまんわぁ」
……数時間後、診療所のベッドの上でラピスちゃんはまるで何事も無かったかのように声を掛けた。
元気そうな声だが、全身に包帯がまかれていて、心配する要素しかない。
「ラピラピ~、アタシバリ心配したんだから~」
「いてててて! 急に抱き着くなや! は、恥ずかしいねん……」
ラピスちゃんは顔を真っ赤にしながらも、リンちゃんを抱き返し、頭を撫でた。
「あ、そうそう! ノンノンがラピラピと話がしたいんだって!」
「う、ウチに?」
「うん! アタシ、外で待ってるね!」
リンちゃんは、私の肩を叩くと、笑顔で部屋を出た。
……ど、どうしよう、自分で言い出したことなんだけど、いざ1対1で話すのはちょっと緊張する。
「それで、なんやねん、ウチに話って」
「あのね……ラピスちゃん……その……」
どうしよう、頭の中真っ白だ。
何か言いたかったはずなのに、何も思いつかない。
頭の中で描いた絵画が、単色に塗りつぶされたかのような感覚だ。
「なにも話さんなら、ウチが話題振ってもええか?」
「……なに?」
ラピスちゃんは、テンパる私を見て、少し呆れた様子で話題を振った。
なんだろう……こんなに大怪我したのは、私が余計な事をしたからだ……とでもいうつもりなのだろうか?
まぁでも、言われても仕方がない、私は下手をすると、ラピスちゃんを殺したも同然の事をしようとしたのだから。
私は覚悟を決め、目を閉じ、自分の唾を飲んだ。
「キセノンはんは、リンはんの事……どう思うとるんや?」
「……え?」
私は困惑してしまった。
え? なんでいきなり態度変えたの?
「あのねぇ、この子たちにとってはかけがえのない、家族同然の仲間なんだから、そんな言い方しちゃダメでしょ?」
「は、はい……」
ゴルドちゃんは……その女性の叱りを真摯に聞いていた。
……一通り叱ると、女性は私たちに向かって笑顔を見せた。
「あのね、この人が言いたいのは、『そんな風に悲しんでたら、いざ戻ってきた時に同じように悲しんじゃうでしょ? 笑顔でいなさい』……ってことだと思うよ、そうよね?」
「は、はい! おっしゃる通りです!」
私とリンちゃんは、目が点になってしまった。
なんなの……このドワーフ……。
そういえば、ゴルドちゃんが言ってた受付の嬢ちゃんって……この人の事だよね?
じゃ、じゃあ……。
「ゴルドちゃん……この人の事が……」
「そうそう! この人、私にゾッコンらしくてねぇ、私は夫一筋だし、その夫ももうこの世にいないし、私ももう歳だから、やめて欲しいんだけどね……」
「……はぁ」
なるほど、好きな人の命令だから聞いたってこと……。
「それより、仲間の子、重体なんだろう?」
「……はい」
「なら、さっき言った通り、笑顔で出迎えられるよう、ちゃんと祈ってやりなさいな」
「……」
……受付の人の言い分はもっともだった。
まずは……笑顔でラピスちゃんを迎えよう、そして……ちゃんと謝ろう。
私たちは、受付の人の言葉を胸に、ラピスちゃんを待ち続けた。
☆
「いやぁほんま! 心配かけてもうてすまんわぁ」
……数時間後、診療所のベッドの上でラピスちゃんはまるで何事も無かったかのように声を掛けた。
元気そうな声だが、全身に包帯がまかれていて、心配する要素しかない。
「ラピラピ~、アタシバリ心配したんだから~」
「いてててて! 急に抱き着くなや! は、恥ずかしいねん……」
ラピスちゃんは顔を真っ赤にしながらも、リンちゃんを抱き返し、頭を撫でた。
「あ、そうそう! ノンノンがラピラピと話がしたいんだって!」
「う、ウチに?」
「うん! アタシ、外で待ってるね!」
リンちゃんは、私の肩を叩くと、笑顔で部屋を出た。
……ど、どうしよう、自分で言い出したことなんだけど、いざ1対1で話すのはちょっと緊張する。
「それで、なんやねん、ウチに話って」
「あのね……ラピスちゃん……その……」
どうしよう、頭の中真っ白だ。
何か言いたかったはずなのに、何も思いつかない。
頭の中で描いた絵画が、単色に塗りつぶされたかのような感覚だ。
「なにも話さんなら、ウチが話題振ってもええか?」
「……なに?」
ラピスちゃんは、テンパる私を見て、少し呆れた様子で話題を振った。
なんだろう……こんなに大怪我したのは、私が余計な事をしたからだ……とでもいうつもりなのだろうか?
まぁでも、言われても仕方がない、私は下手をすると、ラピスちゃんを殺したも同然の事をしようとしたのだから。
私は覚悟を決め、目を閉じ、自分の唾を飲んだ。
「キセノンはんは、リンはんの事……どう思うとるんや?」
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