動物に成り切るしか能がないと言われて追放された私、慰謝料代わりにもらったゴミアイテムで街に現れたモンスターを倒したら英雄になった件

立風館幻夢/夜野一海

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第44話 2体のロードモンスター

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「……アニマさん!」
「……え?」

 ロープが声を上げたことに反応し、私たちはお互いに離れ、オークの攻撃を避けた。
 オークはダメージを受けた部分を抑え、何やら呪詛を唱えていた。

「綺麗にしなきゃ……綺麗に……」

 ……綺麗に? というかこの声……まさか。

「……ニクス?」

 ……どうやら、ニクスがやられてしまったらしい。

「ニクスって、アニマさんのかつての仲間の?」
「そう……どうやら、覚醒しちゃったみたい」
「……」

 正直……躊躇しちゃう……でも……

「綺麗……綺麗にしなきゃ……汚い……全てが汚い……」

 奴は汚いという名目で、破壊の限りを尽くしている。
 殺人はおろか、街中の建物を破壊している。

「全てが汚いだって? ……いや、今現在、汚いのはアンタだよ……ニクス。今すぐ……止めてあげる!」

 私は怪物となったキセノンに向かう。
 ニクスは普段遠距離攻撃を得意としているが、今の奴は自身の手脚でまるで酔っぱらいのように振り回していた。
 自分が分からなくなっているのか、当たりを縦横無尽に攻撃している。

「お前ら……汚いぞ……綺麗にしなきゃ……綺麗にいいいいいいいい!!」

 ニクスはこちら側に狙いを定め、攻撃を仕掛けてきた。
 私は咄嗟に、カードを翳した。

『ジョブチェンジ! 盾!』

 巨大な盾で攻撃を防御し、隙を作った。

「ロープ! 今!」
「はい! でやぁ!!」

 ロープの蹴り攻撃がニクスに命中し、奴は怯みを見せた。
 よし、今のうちに……。

「きゃあああああああ!!」

 突然、ロープが悲鳴を上げ、私は咄嗟に振り向いた。
 振り向くと、ロープが狼の怪物……コボルトに拘束されていた。

「ロープ!?」

 ロープは首を抑えられ、苦しそうにな状態になっていた。
 早く……助けなきゃ……。

「言う事を聞け……俺は偉い……偉いんだ……」

 コボルトはそんなことを口にしていた。
 こいつは……ロードモンスター? それに……この声……カロン?

「く、苦しい……」

 ……動揺している場合じゃない! 今すぐ助けなきゃ!
 私はカードを翳し、ジョブを変えた。

『ジョブチェンジ! 格闘!』

 私は格闘ジョブに変身し、コボルの顔に目掛けて蹴りをお見舞いした。
 すると、奴はロープを開放し、倒れた。

「ケホ……ゲホ……はぁ……はぁ……」
「ロープ! 大丈夫!?」
「はい……なんとか……」

 ロープは口では大丈夫だと言っているが、誰が見ても致命傷を負っている。

「ロープは向こうで隠れてて! 後は……私がやる……」
「はい……」

 ロープを物陰へ誘導し、私は戦闘態勢に入る。
 後は私が……なんとかしてやる!
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