理不尽に抗議して逆ギレ婚約破棄されたら、高嶺の皇子様に超絶執着されています!?

鳴田るな

文字の大きさ
24 / 95

10.殿下はツンツン苦学生も世話係にしたいようだ(そして速攻断られた) 前

しおりを挟む
「いいか。俺は別におまえたちに気を許したわけじゃない。これはただ、出された食べ物がそのまま残飯扱いになるのが我慢ならないから、仕方なく片付けているだけだ」
「そうだね、ぼくはもうお腹いっぱいだから」
「それなのに欲張っておかわりなんかするな! 食材がかわいそうだろうが!」
「そうだね。いけると思ったけど、見込みが甘すぎたね。次からはちゃんと考えてお会計をするよ」
「……おまえ、さては俺をばかにしているのか!?」
「羨ましい食いっぷりだなあって思っているだけだよ。ぼくもそれだけ食べられればいいのにな……」
「筋肉つけろよ」
「つかなかったんだよ、試してみたけど……」

 赤髪の苦学生は、みるみると殿下が追加で買ってきたお昼食あれこれを腹に収めていく。

 三人前……いやもっとあったかも。わたくしはせめてこれぐらいはと、空になった皿を返却用にまとめたり、コップに水をつぎ足したりしている。あっという間に片付いていくから結構忙しい。

 わたくしは小食気味だし、殿下は普通に一人前程度しか召し上がらないから、目の前の少年の見事な食いっぷりには爽快感がある。
 言葉遣いや所作は乱暴だが、下品とは感じさせない。ただただ活力に溢れていて元気がいい、という印象だ。

「おいしい?」
「ばかにしているのか? うちの国は皇国より美食文化だぞ、なめるなよ。食堂の料理がうまいのは、この学校の数少ない良い所の一つだ」
「あはは。こちらの国の料理は、盛り付けが本当に綺麗だよね。皇国は栄養になればそれで充分、みたいな所があるからなあ」
「効率重視なのは良いことだと思うけどな」

 そしてツンケンした態度の割に、結構話が盛り上がっている……。

 早速懐柔され気味に見えるとは言え、苦学生はお貴族様という生き物を総じて嫌っているようだ。言動からありありと伝わってくる。

 殿下はこういった場面でも、まったくめげる様子はなく、穏やかな微笑を浮かべたままだ。
 わたくしなんか、こういう態度をレオナールとかに取られると「はい、その通りです」と返し、嵐が過ぎるまでは俯いて口を閉ざした。

 渋い反応をされても引かぬ媚びぬ殿下の姿勢には、おののいてしまう。

(でも、婚約破棄された以上、わたくしもぼんやりしているだけでなく、真面目に自分の将来を考えねばならないわけで……他人との関わりを嫌がっているばかりでは、きっと駄目なのよね)

 はあ、とため息をついて視線を下ろすと、またも空になったカップが目に入る。急いでおかわりを追加すれば、苦学生はすぐに手に取り、豪快にぐいっとあおった。ごくごくと喉を鳴らしてから「ぷはあ!」と勢いよくテーブルに戻す。

 飲みっぷりも見事だし、美しい完食である。

 思わず拍手してしまうと、じろっとにらまれてしまった。

「一応自己紹介はしておく。ロジェ=ギルマンだ。平民、特待生。以上」
「ハインリヒ。ハインツでいいよ」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。 2/26 番外編を投稿しました。 読んでいただけると嬉しいです。 思っていたよりずっとたくさん読んでいただいていてとても嬉しいです。 とてもとてもありがとうございます!!   

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~

しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。 豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。 ――食事が、冷めているのだ。 どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。 「温かいごはんが食べたい」 そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。 地下厨房からの高速搬送。 専用レーンを爆走するカートメイド。 扉の開閉に命をかけるオープナー。 ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!? 温かさは、ホッとさせてくれる。 それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。 冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、 食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ! -

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...