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後
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「ロジェ。見たところ、きみは努力家だが、コネはない。ぼくを支援者にするつもりはないかい? きみの学業が何者にも妨げられないことを約束しよう。その代わり、ぼくにこの学園のことや王国のこと、きみの知っているあらゆることを教えてほしい」
わあ直球。でもまあ、なんとなくこうなるだろうな、と思っていた通りの流れではある。
皇国の人間は適材適所志向。凡庸な貴族と優秀な平民が並べば、後者を取る気風なのだ。
才能を妬まれて妨害されている特待生なんて、最もスカウトしたくなる人間なのだろう。というかますますなぜわたくしが殿下の側にいるのか、わからなくなってきたけど。
(……ん? ということは、これからは特待生が殿下の世話係になり、取り柄のないわたくしはお役御免でしょうか!? ど、どうしよう。これでもう殿下をお別れかと思うと、結構悲しい。……いやいや、シャンナ。元からいずれか別れるってわかっていたことでしょう。せめて去り際を美しく――)
「断る。恩を売りつけたつもりなら、俺はそう思ってないからな」
解雇通知の気配を先読みして脳内で素振りしていたわたくしだったが、ロジェがばっさりと断ったのでどうやら世話係継続らしい。
まあ、殿下は非常に良いお方ですけど、何考えてるかわからなくて警戒する心理も理解できる……そこできっぱり否と言える所が、さすが特待生と言ったところでしょうか。強いお人ですね、ロジェ=ギルマン氏。
「そうか。残念だ。でもぼくはいつでもきみを歓迎するから、気が変わったら声をかけてほしいな」
殿下も相手の様子から、受諾されるとは思っていなかったのかもしれない。あっさり身を引いた。ロジェがはん、と鼻を鳴らす。
「気に入らない皇子サマだな。わざわざ隣国まで来て、自分の派閥の地盤固めか?」
「そのつもりがあるなら、ぼくはシャンナやきみより、王国有力貴族の子女と交流を深めた方がよいのだろうけどね」
さらりと言葉の刃を返され、ロジェはぐっと詰まった。わたくしも思わずううむ、と唸る。
(それはまあ、わたくしが最初に声をかけられた時からずっと頭の片隅にあった疑問ではあったのだけど。見聞を広めると言っていらっしゃった殿下だけど、もし人脈などを得たいのであればそれこそAクラス、伯爵位以上の子女と親睦を深めるべきで、はて……?)
「まあ、今はまだお互い知り合ったばかりだし、今後も機会があるだろうから。ぼくともシャンナとも、仲良くしてもらえると嬉しいな」
「どうだか。俺はなれ合うつもりはない。これきりだろうよ、じゃあな」
ロジェは自分の用は終わったと言うように立ち上がり、鞄を抱えてすたすたいなくなってしまった。
わたくしはぽかんとしていたが、少しするとくすくす忍び笑う声が聞こえて、殿下に恐る恐る顔を向ける。
「シャンナ。午後一コマ目の授業はもう半分過ぎてしまっているけれど、その次の科目を覚えているかな?」
「……あー」
「なんでおまえたちがここにいるんだ!?」
「魔法学実技の時間ですので……」
わあ直球。でもまあ、なんとなくこうなるだろうな、と思っていた通りの流れではある。
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殿下も相手の様子から、受諾されるとは思っていなかったのかもしれない。あっさり身を引いた。ロジェがはん、と鼻を鳴らす。
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さらりと言葉の刃を返され、ロジェはぐっと詰まった。わたくしも思わずううむ、と唸る。
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