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しおりを挟む困惑していると、ロジェがはーっと大きな息を吐き出し、指をピッと立てて続けた。
「まず、最初。俺が派手に火だるまを作っただろ。ちょっと細工もしたから内側の奴に危険はない魔法だったが、まあ見た目は派手だし、それなりの熱さは感じるし、近くででっけー火柱が立ったら普通少しは慌てる。皇子サマは一瞬でその辺見抜いたらしいが――あんたもさ、あのとき全く中止を考えてなかっただろ?」
『こけおどし程度では、殿下は満足なされないかと』
「つまりシャンナには、炎の見た目の割にぼくが危険でない確信があった。同時に、ロジェがどういった魔法を使ったかも理解していたということだね」
皇子殿下が穏やかに補足すると、うんうんとロジェは頷き、二本目の指を立てた。
「次。精霊級術式を展開したとき、あんたは危険性をわかっていてあえて止めなかった。……何のことですかなんて顔すんなよ、先生が血相変えて駆け寄りに行くのを目の端で見たっつの。言っておくが、俺はやめって言われたらやめるつもりだったからな? 一応は……」
「今度は本当に真剣な魔法が放たれることも、それでいてぼくが相殺することもシャンナは確信していたってことだね。わからなくてぼんやり見過ごしたのじゃなくて、理解した上で見届けた。……ちゃんと立会人を果たしていたということだ」
口々に言ってくる二人を交互に見つめ、わたくしは縮こまる。
「あの……わたくし、何かまずいことをしたのでしょうか……?」
「いや、まずいっつか、すげーじゃん。実はとんでもねーやり手ってことだろ? なのになんでベルメールに一度もやり返さなかったのか、よくわかんねーけど……」
……んんん? これはどうも、成り行きで誤解と過大評価を受けている気がしてきた。
わたくしはふう、と息を吐き出してから、手でお椀の形を作り、簡単な風魔法の詠唱を唱える。
ひゅるる、と少しだけわたくしの手の中に風が立ち、そして消えた。
目の前で繰り広げられた魔法に、ロジェ=ギルマンが眉をひそめる。
「なんだよ、ふざけてんのか? 俺のとっておきの手の内を見抜いた奴が、その程度しかできないわけねえだろ」
「いえ……今の、割と頑張っての結果です。これが精一杯なのですよ、わたくし」
「……え、マジ?」
「“沈黙のシャリーアンナ”は、ぐずでのろまで何の取り柄もない女と伝わっていませんでしたか? 悲しいことではありますが、その話自体は事実ですので。わたくしには、この程度の魔法の才能しかありません」
ロジェ=ギルマンは信じられないものを見る目になっている。
すると今度は、皇子殿下がため息を吐き出して苦笑した。
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