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後
しおりを挟む期待を裏切らない、雑多で怪しげながら魅惑的なものたちが並べられている空間が広がっている。
所狭しと物が置かれていて、歩ける場所が下りてきた階段と同じぐらいの広さしかない。
天井は案外と高く、しかも照明も結構明るい。
上を見れば、天井からもよくわからに布などが垂れ下がっていた。
わたくしが知っている魔道具店は、大体簡素なカウンターでカタログを広げて注文をすると、店員が引っ込んでいって持ってきてくれる――あるいは後日家に届けてくれる、という形態のことが多かった。
こんな風に、現物をずらずら並べている場所を見るのははじめてだ。
学園に来て二年も経つが、まさか徒歩行動圏内にこのようなお店があったなんて。
「……きらきら。すごい」
きょろきょろ見回す五歳児が、たぶん我々の総意を述べた。有言実行で、興味深そうにあっちこっち見ているがちゃんと手は自分の服を握ったままである。
「ふん、そうかね。その辺じゃ落ち着かないだろ、もっと奥まで来な」
まんざらでもなさそうに返したのはご老体だ。この店の店主と見える。
目深にフードを被っていて、なんかこう……今にも「ヒッヒッヒ」とか笑い出しそうな感じだ。お年を召していらっしゃるとは思うが、性別はいまいち判別がつかない。パイプをくわえて杖をつく姿が、なんとも様になっている。
ちなみに当然のように、店主殿には煙も光も見えない。でもこの場で目を懲らそうとすると、途端に四方八方がうるさくなって目が開けていられなくなりそうだから、あまりちゃんとは判別できなさそうだ。
それとこれも今日、というかさっき知ったことなのだけど、わたくしの目、多少であれば見る魔力の量? を調整? できるらしい。ぼんやり眺めている分には普通の景色が見えているけど、集中して一点に焦点を合わせると光や煙がもやーっとし出す、的な……なんというか、そんな感じなのだ。
しかし地下空間なのに案外広いというか、少し広すぎない? って気もしてきた。もしかして空間拡張とかしているのかな。あれ、便利だけど失敗すると拡張させた空間が一気に元に戻って……要するに圧死のリスクが常につきまとう、結構怖い魔法なんですけどね。
さて、怪しげな店主にぞろぞろくっついていく我々の前には、また階段が現れた。更に下りだ。なんとまさかの地下二階。迷路みたいですっごくわくわくする。
地下二階は地下一階よりも小さめ空間な気がするが、上とは趣が異なる。
椅子と机が並んでいて、お話しをする用の部屋という雰囲気だ。
わたくし達がなんとなく各々適当に腰掛けると、店主がふーっと煙を吐き出してから一言。
「んで? 隣の国からわざわざ来て、一体何をお探しなんですかね、お坊ちゃん」
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