理不尽に抗議して逆ギレ婚約破棄されたら、高嶺の皇子様に超絶執着されています!?

鳴田るな

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「これは……普通に会話しているだけですよ? それに、とても親密な……そう、家族の問題なんです。よそ者に口を挟まないでいただきたい」
「そうですね、僕は厄介なお節介者だ。王国のルールを不必要に乱すのはよくないし、一家庭のいざこざにいちいち首を突っ込んでいるわけにもいかない」
「おわかりいただけたようで何よりです」
「――ただし。そんな建前は、目の前の理不尽を見逃していい言い訳にはならない。まずはその人を離してください、侯爵。それからゆっくり話をしましょう?」

 爽やかながら、はっきりきっぱりした物言いだった。

 そう、この人はそういう人だ。
 ルールを知り、空気を読んだ上で、それでも間違えているものは間違えていると主張できる人だ。

 そして穏やかで優しげな見た目をしている割に、結構好戦的なのである。

「それにね。今、あなたが締め上げている人、僕の大事な人なんです。だからまあ、割と僕もこの場の関係者って言えるんですよ」

 …………。あっ、えっと、その……あ、ありがとうございます。身に余る光栄……きっと深い意味はないのだろうけど、一瞬ドキッとしてしまう自分が憎い。

 そうですか、大事な人……そっかあ……へー……。

 しかし皇子殿下の言葉に、わたくしもわあーっと舞い上がってしまったわけだが、侯爵も似たようなものだったらしい。

 急に感覚がなくなって、わたくしはその場に崩れ落ち、咳き込む。手を離されたのだとわかったけど、安堵なんて全然できそうになかった。不穏な空気が辺りに立ちこめ、仁王立ちになった侯爵から明らかに危ない気配が漂いだす。

「――ああ、腹が立つ。そもそもそうだ、学園にお前が現れてから、マノンはおかしくなった」

 侯爵はブツブツと口の中で小さく何か言いながら、ゆっくりと殿下のいる方に歩み出す。

「そこにいるのはシャンナですよ。侯爵閣下ともあろう方が、人違いで乱暴を働くのはおよしなさい」
「違う。マノンだ。帰ってきた。帰ってくるはずだった。レオナールは馬鹿な息子だが、仮の夫にはちょうどいい。そう――お前さえいなければ、全て順調だったはずなのに」
「もし学園に僕がいなければ、彼女は階段から突き落とされていた。あの高さでは軽くても大怪我、最悪そのまま死んでいたでしょう。所有権とやらを持ち出すのなら、まずしっかり守るべきだったのでは? 貴方は息子に正確な指示を出せていなかったし、彼女のケアもできていなかった」
「……うるさい」
「それどころか、誰よりも先に彼女の希有な才能に気がついておきながら、黙殺した。いえ、隠匿しようとしましたね? おかげでシャンナは自分が他人と違う目を持っていることに、十年も気がつかなかった。非効率的かつ、不愉快なやり方だ」
「黙れ……」
「そもそも息子を巻き込んだのも、保身のためではないのかな。貴方は既に一度、マノン=ザンカーにフラれている。二度目は耐えられなかった。だからこんな、誰が見てもお粗末なやり方しかできなかったのでは?」

 ぶつん、と何かが切れた音が聞こえた気がした。

 いつになく攻撃的な殿下の口撃をハラハラ見守っていたら、火の玉ストレートを急所にぶち込んで大炎上させた感。

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