僕と自分と俺の日々

いしきづ川

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ホットコーヒー

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 初秋の薄曇りの金曜日の朝、筒井和也は会社の応援出張で地方の事業所に来ていた。こっちに来て一ヶ月となる。

和也が勤める検査会社は全国に事業所があり、各事業所で人手が足りなくなると全国から出張で作業応援にいく事になっていた。

今回は和也にもお呼びがかかり、この出張もあと一週間程となっていた。
ただ今週末は三連休ということもあり、多くの出張応援者は昼から半休を取って一時帰宅する事になっっていた。
和也と同じように別の地域から応援出張に来ている同僚が、インスタントコーヒーを作る和也の隣にきて言った。

「筒井さん、今日は帰るんですか?季節変わりましたね。今朝は涼しい通り越して寒いですよ。こっちに応援きた時は夏だったんですけどね。」

和也は毎朝のルーティンでインスタントコーヒを作って飲んでいるが、確かに今朝はコーヒーの香りや、お湯の暖かさが少し優しく感じられた。

「今日帰るよ。今持ってきてるシャツは半袖しかないから、長袖を補充しに帰らないと。」

和也は同僚に
「コーヒー飲む?インスタントだけど。☕」
同僚は勧めに答えて
「すいません。いただきます。」
和也はもう一杯作り
「紙コップ熱いよ。コップ二重にしする?持つ時の熱さは少しはマシかも。砂糖とミルクはご自由に。」
と言ってコーヒーの入った紙コップを同僚に手渡した。
「確かに熱いですね。じゃあ、紙コップ二重にします。ちなみに砂糖とミルクって何処にあるんです?」
同僚が和也に尋ねると
ポットが置かれてる棚の上段奥から砂糖とコーヒーフレッシュを出した。
「これどうぞ。」
「いや、いつのなんですかこれ?」
「先週かな?」
「絶対ない。砂糖はともかくコーヒーフレッシュは常温で一年は経ってる」
同僚の返しに和也は
「コーヒーフレッシュは常に常温でしょ」
「確かに…、でもなんか棚の奥からと言うのが嫌。冷蔵庫から出てくるのならともかく。」
「あぁ、なんだか解るきがする。」
「ブラックにしときます。」
砂糖とコーヒーフレッシュを棚に戻すと二人はコーヒーを持ち、席に戻ることにした。

そんな時、同僚から場繋ぎ的な質問がきた。
「そういえば、ダイエットの成果どうなったんですか?こっちにきた時はやるぞーって意気込んでましたが?」
「そこ聞く?いや、聞いてくれる?やっと、ここまできたよ。5キロは減ったよ。辛いねん。こっちきて野菜ばっかりで。」
同僚は一度立ち止まり和也の全身をみて
「誤差っすね。(-_-;)」

「えっ!減ったわ。( ̄▽ ̄;)」
「いや、誤差っすね。(゜o゜)\(-_-)」

この二人の不毛なやり取りが朝礼が始まるまで続く事になった。
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