僕と自分と俺の日々

いしきづ川

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時限式ドッカーン?

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夏の暑い日の朝、筒井和也はエアコンの効いた会社内で次の仕事で使う書類の準備をしていると、事務の担当者から、和也宛の宅配便が届いたと連絡がきた。和也は荷物を受取に事務室へ向かった。
 「荷物が到着したと連絡があったんですが。」

事務員が届いた荷物のなかから和也宛の荷物をもってきた。
「受け取りのサインをお願いします。」
和也は事務的に事務所の帳簿にサインをすると、荷物の送り先を確認した。仕事で使う測定器の点検校正会社からだった。以前測定器を点検校正会社に出したものが点検校正が終わって返ってきたのだ。

和也は受け取った荷物をもって自分の席に戻ると、荷物を部下に渡して中身の確認をしたあと、倉庫へ戻すように指示を出し、先程の準備の続きを再開しようとした。
荷物を受け取った部下から思わぬ報告を受けた。

「筒井さん、この箱なんか鳴ってません?」
「えっ!どれ」
和也は箱を受け取ると箱に音が聞こえたので、耳を当てた。

ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!…

「うわぁ、聞こえる。」
「箱開けて時限爆弾でドカンとかないですよね?」
「ええ~、これもしかしてもしかするとかある?」
「ちょっと慎重に開けますね。」

二人が騒がしくやり取りしていると和也の上司がやってきた。
「なになに、どうしたの?」
「校正会社から届いた筒井さん宛の荷物からピッ!ピッ!と音が…。」
「えっ!恨みでも買った?」
上司は和也の方をみてきた。
「そんなわけないでしょ。開けたらわかることです。」
「このご時世はなにがあるか分からないから、気をつけてよ。」
「分かりました。とりあえず開けてみますね」
和也はそっと箱をあけることにした。
箱の中身はやはり測定器だった。電源が入ったままだったので、ピッ!ピッ!ピッ!と、鳴っていただけだった。
「ホントに勘弁して欲しい。びびるわ。」
「まぁ、測定器電源切り忘れとかやめて欲しいですね。よく電池切れなかったよな。」
「点検校正出来立て?」
「どれだけ工場直送にこだわってるの?!」
「いやいや、ビールじゃないんだから。」
「どうします。点検校正会社に一言いいます?」
部下は訊いてきたが、和也は必要ないと答えた。

「緊張して少し痩せたわ。」
「じゃあ、点検校正会社にお礼しないと」
「えっ、減量って、減量する度にお金払う仕組いつから?」
「昨年末?」
「なんでやね~ん( ´∀`)Σ⊂(゚Д゚ )
そんなん無いわ」

和也は中断していた仕事の準備を再開した。
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