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第四十九話
腐男子、謎が判明する
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俺は馬車の御者席に落ちていた膝掛けを手に、一旦店へと帰った。
その場に留まったままだと、不安で押し潰されそうな気がしたからだ。
火鋏とゴミ袋を外の倉庫へ置いて裏口から中に入る。
一階には誰もおらず、アナログ時計の時を刻む針の音だけが鳴り響いていた。
(二人共、二階にいるのかな)
螺旋階段を上ってすぐの自分の部屋。ついクセで、ノックをせずにドアを開けた。
すると、ドア横のベッドの上でキールが王子を押し倒していた…………え?
二人と俺で見つめ合う事数秒間。
「……えっと、邪魔したな……ごゆっくり」
俺がドアを閉めて出ようとすると、キールと王子が慌てた様子で飛び起きた。
「ヤマト! 待って待って! 違うって!
俺がベッドのシーツを替えようとしたら、座ってたシリウス様の足につまずいて……!」
「そ、そうだぞヤマト! 勘違いするな! 俺にはお前だけだと言っただろ!」
何だ、俺はてっきりキール×王子でおっ始めるんだと思ってちょっと期待したのに……
金髪碧眼のハーフエルフに抱かれる俺様王子とか萌える……後ろの穴を開発されて攻めから受けになり、もうチンコだけじゃイケない体に…………って、今はそんな話をしてる場合じゃなかった。
俺は手に持っていた膝掛けを二人に見せ、止めてあった騎士団の馬車に急停車の跡があった事、膝掛けがロタが持っていた物で血の跡の様なものが数カ所付いている事を伝えた。
「……数日前の血の跡、って事はここを出発して王都へ帰る途中に、何かしらの事件に巻き込まれた、って事?
そしてその後、誰かに連れ去られた……?」
キールはそう言いながら王子の方をチラッと見た。
そうだ、確かロタは夜に王子が怪しい連中と人さらいの話をしていたと言っていた。
結局、ロタが見張りをしてくれていた二週間の間は何事も無く、標的が俺では無い、もしくはロタの勘違いかと思っていたけど……
王子は顎に手を当て、ベッドの上で足組みをし、少し考えてから口を開いた。
「……この辺りは騎士団の団員達が見回りをしてくれているお陰で、他の場所より治安が良いハズなんだが……
もしかして……」
「シリウス、何か心当たりがあるんだったら教えてよ」
俺は、何か思い当たる事がある様子のシリウスに近寄り、足元の床に座った。
「ん、実は……ヤマトに初めて会った日の夜に、ヤマトの身辺調査とついでに護衛もする様に諜報機関の奴等にコッソリ頼んだんだよ」
「俺の身辺調査と護衛……? 何でまた」
「しょうがないだろ、ヤマトの事が好きになって、色々知りたくなって……
ヤマトに近付いて変な動きをしている奴がいたら、誰でもとりあえず捕まえて閉じ込めておけ、って命令したんだよ。
だからつまり、ロタがヤマトに対して何か不審な動きをしていたんだとしたら、ソイツらに捕まった可能性が高い」
「え、それじゃあ何、二週間ずっと見張ってくれてたロタの行動が怪しくて不審な動きだと判断されて、ソイツらに捕まって連れて行かれたかもって事!?」
「二週間? 見張り? 何でまたそんな事をロタが……」
俺はロタが二週間見張りをしてくれた経緯を王子に説明した。
王子は驚いた様子で、俺の方を見下ろしながら黙って聞いていた。
「…………そうだったのか。ロタはあの夜、俺が奴等と話していた所を見てたんだな。勝手に勘違いして……
俺がヤマトを拉致させる訳無いだろ。
奴等はヤマトをさらってきた方が早いって言ってたけどな」
「いや、でも前に、最終的には無理矢理連れて行くとか、監禁して媚薬を大量に飲ませるとか……」
「よく覚えてるなヤマト。あれは冗談に決まってるだろ」
「冗談んんん!?」
「俺は今まで欲しいと思ったものは色んな手を使って手に入れてきたが、お前だけは……その、俺の手で振り向かせてやろうと……
だから、ヤマトに関する不安材料を少しでも取り除こうかと思って護衛をだな」
王子……分かりにくい冗談かまされたせいで、余計な不安とストレスを抱えちゃったじゃないかよ。
「……とにかく、俺、ロタが騎士団本部に無事帰ってるか確認しに行きたい。
もし万が一行方不明になってたら……シリウス、何処に閉じ込められているか知ってる?」
俺は少し震えた手でシリウスの膝を掴み、見上げながら聞いた。
「恐らく、城の地下の牢屋だと思うが……見張りもいるし、ヤマトだけじゃ無理だ。
しょうがない、俺も行ってやるよ」
「ヤマト、俺も一緒に行くよ。
ヤマトとシリウス様二人だけだと心配だから……
とりあえず、ノインさんに出掛けてくるって置き手紙書いてくる。
あと、王都行きの馬車も先に行って探してるから、ヤマトは準備が出来たらシリウス様を連れて下りてきてね」
キールはそう言うとドアを開け、急いで下へと下りて行った。さすがキール、頼りになる。
「あー、せっかく家出してきたのに、もう城へ帰る事になるのか。
ヤマトとも結局セックスできなかったし」
シリウスは、膝を掴んでいた俺の手を握って項垂れている。
「シリウス……早く準備して一階へ下りよう。キールも先に下におりて……」
「そうだ、キールは今部屋にいない!
今から二人で急いでセックスしてから城へ行けばいい! ヤマト、セックスするぞ! 大丈夫、俺はお前相手だと早いから」
「はぁっ!? 何が大丈夫!? ちょ、ちょっと、パンツずらさな……ぅあっ!!」
ベッドに座っていた王子が興奮した様子で俺を床に押し倒し、俺の下着ごとパンツをずらしながら首筋を舐めてきた。
「ま、待って、やめてって! 今それどころじゃ」
「それどころもこれどころもあるか、城に戻ったらまた監視下に置かれて自由に行動できない軟禁生活が始まるんだぞ。
ヤマトにこうして気軽に会ったり触れたりが出来なくなる……それがどんなに辛い事か。
大人しくしてればすぐ終わる、だから今すぐ抱かせろ」
「そんな無茶な……とにかく離れてよ、また今度やればいいだろ…………んあ!?」
慌てて自分の口を塞ぐ。俺今何て言った!?
「いやいや、今のナシ……」
「ヤマト…………また今度……?
また今度か! よし分かったぞ!
今日出来ないのは残念だが……ヤマトがまた今度と言うのならしょうがない、心と体の準備もあるだろうからな……楽しみは後にとっておこう。
ヤマトとの初夜の為に部屋を用意しておかないとな……フフ……」
俺の下着の中に手を入れたまま、王子が頬を赤らめてニヤニヤしながら喋ってる。
変な事言っちゃったけど、とりあえず今すぐのセックスは回避できたか。
王子は城に戻ったらまたしばらく会わないだろうし、あやふやにして忘れて貰うしかないかな……
俺と王子は立ち上がり、王子にずらされた服を整え、一緒にキールの待っている一階へと下りて行った。
その場に留まったままだと、不安で押し潰されそうな気がしたからだ。
火鋏とゴミ袋を外の倉庫へ置いて裏口から中に入る。
一階には誰もおらず、アナログ時計の時を刻む針の音だけが鳴り響いていた。
(二人共、二階にいるのかな)
螺旋階段を上ってすぐの自分の部屋。ついクセで、ノックをせずにドアを開けた。
すると、ドア横のベッドの上でキールが王子を押し倒していた…………え?
二人と俺で見つめ合う事数秒間。
「……えっと、邪魔したな……ごゆっくり」
俺がドアを閉めて出ようとすると、キールと王子が慌てた様子で飛び起きた。
「ヤマト! 待って待って! 違うって!
俺がベッドのシーツを替えようとしたら、座ってたシリウス様の足につまずいて……!」
「そ、そうだぞヤマト! 勘違いするな! 俺にはお前だけだと言っただろ!」
何だ、俺はてっきりキール×王子でおっ始めるんだと思ってちょっと期待したのに……
金髪碧眼のハーフエルフに抱かれる俺様王子とか萌える……後ろの穴を開発されて攻めから受けになり、もうチンコだけじゃイケない体に…………って、今はそんな話をしてる場合じゃなかった。
俺は手に持っていた膝掛けを二人に見せ、止めてあった騎士団の馬車に急停車の跡があった事、膝掛けがロタが持っていた物で血の跡の様なものが数カ所付いている事を伝えた。
「……数日前の血の跡、って事はここを出発して王都へ帰る途中に、何かしらの事件に巻き込まれた、って事?
そしてその後、誰かに連れ去られた……?」
キールはそう言いながら王子の方をチラッと見た。
そうだ、確かロタは夜に王子が怪しい連中と人さらいの話をしていたと言っていた。
結局、ロタが見張りをしてくれていた二週間の間は何事も無く、標的が俺では無い、もしくはロタの勘違いかと思っていたけど……
王子は顎に手を当て、ベッドの上で足組みをし、少し考えてから口を開いた。
「……この辺りは騎士団の団員達が見回りをしてくれているお陰で、他の場所より治安が良いハズなんだが……
もしかして……」
「シリウス、何か心当たりがあるんだったら教えてよ」
俺は、何か思い当たる事がある様子のシリウスに近寄り、足元の床に座った。
「ん、実は……ヤマトに初めて会った日の夜に、ヤマトの身辺調査とついでに護衛もする様に諜報機関の奴等にコッソリ頼んだんだよ」
「俺の身辺調査と護衛……? 何でまた」
「しょうがないだろ、ヤマトの事が好きになって、色々知りたくなって……
ヤマトに近付いて変な動きをしている奴がいたら、誰でもとりあえず捕まえて閉じ込めておけ、って命令したんだよ。
だからつまり、ロタがヤマトに対して何か不審な動きをしていたんだとしたら、ソイツらに捕まった可能性が高い」
「え、それじゃあ何、二週間ずっと見張ってくれてたロタの行動が怪しくて不審な動きだと判断されて、ソイツらに捕まって連れて行かれたかもって事!?」
「二週間? 見張り? 何でまたそんな事をロタが……」
俺はロタが二週間見張りをしてくれた経緯を王子に説明した。
王子は驚いた様子で、俺の方を見下ろしながら黙って聞いていた。
「…………そうだったのか。ロタはあの夜、俺が奴等と話していた所を見てたんだな。勝手に勘違いして……
俺がヤマトを拉致させる訳無いだろ。
奴等はヤマトをさらってきた方が早いって言ってたけどな」
「いや、でも前に、最終的には無理矢理連れて行くとか、監禁して媚薬を大量に飲ませるとか……」
「よく覚えてるなヤマト。あれは冗談に決まってるだろ」
「冗談んんん!?」
「俺は今まで欲しいと思ったものは色んな手を使って手に入れてきたが、お前だけは……その、俺の手で振り向かせてやろうと……
だから、ヤマトに関する不安材料を少しでも取り除こうかと思って護衛をだな」
王子……分かりにくい冗談かまされたせいで、余計な不安とストレスを抱えちゃったじゃないかよ。
「……とにかく、俺、ロタが騎士団本部に無事帰ってるか確認しに行きたい。
もし万が一行方不明になってたら……シリウス、何処に閉じ込められているか知ってる?」
俺は少し震えた手でシリウスの膝を掴み、見上げながら聞いた。
「恐らく、城の地下の牢屋だと思うが……見張りもいるし、ヤマトだけじゃ無理だ。
しょうがない、俺も行ってやるよ」
「ヤマト、俺も一緒に行くよ。
ヤマトとシリウス様二人だけだと心配だから……
とりあえず、ノインさんに出掛けてくるって置き手紙書いてくる。
あと、王都行きの馬車も先に行って探してるから、ヤマトは準備が出来たらシリウス様を連れて下りてきてね」
キールはそう言うとドアを開け、急いで下へと下りて行った。さすがキール、頼りになる。
「あー、せっかく家出してきたのに、もう城へ帰る事になるのか。
ヤマトとも結局セックスできなかったし」
シリウスは、膝を掴んでいた俺の手を握って項垂れている。
「シリウス……早く準備して一階へ下りよう。キールも先に下におりて……」
「そうだ、キールは今部屋にいない!
今から二人で急いでセックスしてから城へ行けばいい! ヤマト、セックスするぞ! 大丈夫、俺はお前相手だと早いから」
「はぁっ!? 何が大丈夫!? ちょ、ちょっと、パンツずらさな……ぅあっ!!」
ベッドに座っていた王子が興奮した様子で俺を床に押し倒し、俺の下着ごとパンツをずらしながら首筋を舐めてきた。
「ま、待って、やめてって! 今それどころじゃ」
「それどころもこれどころもあるか、城に戻ったらまた監視下に置かれて自由に行動できない軟禁生活が始まるんだぞ。
ヤマトにこうして気軽に会ったり触れたりが出来なくなる……それがどんなに辛い事か。
大人しくしてればすぐ終わる、だから今すぐ抱かせろ」
「そんな無茶な……とにかく離れてよ、また今度やればいいだろ…………んあ!?」
慌てて自分の口を塞ぐ。俺今何て言った!?
「いやいや、今のナシ……」
「ヤマト…………また今度……?
また今度か! よし分かったぞ!
今日出来ないのは残念だが……ヤマトがまた今度と言うのならしょうがない、心と体の準備もあるだろうからな……楽しみは後にとっておこう。
ヤマトとの初夜の為に部屋を用意しておかないとな……フフ……」
俺の下着の中に手を入れたまま、王子が頬を赤らめてニヤニヤしながら喋ってる。
変な事言っちゃったけど、とりあえず今すぐのセックスは回避できたか。
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