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第四十八話
腐男子、立ち尽くす
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その日の夜、部屋にたまたま入ってきたキールの前で、王子は「ヤマトとセックスがしたい」と言い出したのでキールは再び、俺の部屋で監視も兼ねて寝泊まりする事になった。
俺は自分のベッドで、入り口横のベッド(元々は隣の部屋から運んできたノインさんのベッド)には王子、そのすぐ横に予備の布団を敷いてキールが寝る事になった。
ノインさんも嫌な顔一つせず、引き続き一階で布団を敷いて寝てもらえる事になった。
キールが王子のベッドの横で寝る準備をしていると、王子はあからさまに不満そうな顔をして呟いた。
「なぜ、俺の隣がヤマトではないんだ……
キール、お前が向こうへ行け。これは命令だ」
「絶対に嫌です。シリウス様の隣にヤマトを寝かせたら絶対襲いますよね? その命令だけはお聞きできません」
「フン、それじゃあヤマト、俺のベッドで添い寝をしろ」
「駄目に決まってるじゃないですか。
ヤマトが添い寝なんて羨ま……じゃない、絶対にシリウス様が手を出すに決まってます。
ヤマトの柔らかくて美味しそうな体を触ったり摘んだり噛んだり舐めたり弄ったり挿れたり突いたり出したりするのは俺だけ…………
と、とにかく、シリウス様は我慢して下さい」
キールが途中からハァハァしながら変な事を言っていたがスルーしておいた。
俺にとってはキールも王子もあまり大差無い危なさだと思うが、キールがこうして守ってくれるのはありがたい事だと思う。
俺はベッドの中に入ってしばらくの間読みかけの本を読んでいたが、王子がベッドに腰掛けて、モジモジしながら俺の方をジトーッと見ている姿が視界にチラチラ入るので気になってしょうがない。
昼間俺がフェラをしたせいか? いや、あれは半ば強制的に、だったけど……
俺が全力でフェラしたせいで、王子の性欲に火をつけてしまったのか……?
ここは気付かないフリに限るな。
俺は本で顔を隠して続きを読み進めた。
しかし、数ページ読んだところでふと気になった事があったので、への字口をして暇そうにしているシリウスに質問してみた。
「シリウス、一つ質問なんだけど、シリウスは誰にも何も言わず、相談もせずに家を飛び出して来たのか?
お目付役の人とか、護衛の人とか、周りに色々な人が居ただろ?」
王子の護衛の一人だったディルトさんの事もふと気になった。
あの人も今頃王子を探しているんじゃないだろうか。
「そうだな、俺が家を飛び出して来たのは思い立ってやったことだから、誰も知らないし相談もしていない。
まぁ、俺がヤマトの事を好きなのは一部の奴等が知っているから、ここにも俺の居場所を聞きに来る奴がいるかもしれないがな」
「えっ!? それじゃあここでシリウスを匿ってるのがもしバレたら……俺達どうなんの!?」
王子は顎に手を当て、うーんと唸った後口を開いた。
「そうだなぁ……俺が犯罪者なら匿った罪で処罰されるんだろうが……こういう場合はどうなるんだろうな。
まぁ心配するな、万が一の時は俺が何とかして全員守ってやる。
だから安心して俺を匿え」
うーん……益々不安になってきたぞ。
かと言って、王子をここから追い出す事も出来ない。そっちの方が大変な事になりそうで。
仕方ないけど、王子の言葉を信じて言う通りにするしかなさそうだ。
* * * * *
次の日。今日は定休日なので、ノインさんは朝早くから仕入れへと出かけた。
本屋には俺とキールと王子の三人。
暇だしこのまま本屋にいてもノインさんがいないから、と二人に襲われそうなので、王子はキールに任せて俺は街道を掃除がてら散歩する事にした。
街道の掃除は騎士団の人達がたまにやってくれているが、人の往来が激しいのでゴミがよく落ちている。
俺はこのゴミが物凄く嫌で、いつも自主的に拾っている。
今度ポイ捨て禁止の看板でも書いて立ててみようかな。
火鋏でゴミを挟み、ゴミ袋へポイポイ入れながら歩いていると、騎士団の馬車が道の端に止められているのを見つけた。
止められているというより、道からそれて無理矢理止まったという感じで、急停車した車輪の跡が残っていた。
(もしかして……誰かが王子の事聞きに来たとか?)
俺は馬車の後ろから静かに近付いて、そっと馬車の中を覗いてみた。でも、中には誰も乗っていなかった。
前の方に回って御者席の方を見てみると、そこにも人の姿は無く、馬車馬も繋がれておらずその場にはいなかった。
ただ、ベージュ色の膝掛けが座席の下に落ちていただけだった。
(あれ、この膝掛け……見た事ある……)
俺はその膝掛けを拾い上げ、手に取った。
そうだ、この膝掛け……前にロタが夜に見張りをしてくれてた時に持ってたやつに凄く似ている。いや、似ているというより、この角の猫の顔の様な汚れ……間違いない、ロタが持っていたやつだ。
何でロタの持っていた膝掛けがここに落ちている……? 馬車から降りてロタはどこに行った?
グシャグシャになっていた膝掛けを畳もうと広げたら、血の跡の様なものが数カ所付いているのに気付いた。
血は付着して数日経っている感じだった。
(え……これ、血……? 誰の血?
まさかロタ……の……?)
それに気付いた瞬間、背筋がゾッとし、変な汗が出た。心がゾワゾワする。
俺は嫌な予感がし、膝掛けを握りしめてその場に立ち尽くした。
俺は自分のベッドで、入り口横のベッド(元々は隣の部屋から運んできたノインさんのベッド)には王子、そのすぐ横に予備の布団を敷いてキールが寝る事になった。
ノインさんも嫌な顔一つせず、引き続き一階で布団を敷いて寝てもらえる事になった。
キールが王子のベッドの横で寝る準備をしていると、王子はあからさまに不満そうな顔をして呟いた。
「なぜ、俺の隣がヤマトではないんだ……
キール、お前が向こうへ行け。これは命令だ」
「絶対に嫌です。シリウス様の隣にヤマトを寝かせたら絶対襲いますよね? その命令だけはお聞きできません」
「フン、それじゃあヤマト、俺のベッドで添い寝をしろ」
「駄目に決まってるじゃないですか。
ヤマトが添い寝なんて羨ま……じゃない、絶対にシリウス様が手を出すに決まってます。
ヤマトの柔らかくて美味しそうな体を触ったり摘んだり噛んだり舐めたり弄ったり挿れたり突いたり出したりするのは俺だけ…………
と、とにかく、シリウス様は我慢して下さい」
キールが途中からハァハァしながら変な事を言っていたがスルーしておいた。
俺にとってはキールも王子もあまり大差無い危なさだと思うが、キールがこうして守ってくれるのはありがたい事だと思う。
俺はベッドの中に入ってしばらくの間読みかけの本を読んでいたが、王子がベッドに腰掛けて、モジモジしながら俺の方をジトーッと見ている姿が視界にチラチラ入るので気になってしょうがない。
昼間俺がフェラをしたせいか? いや、あれは半ば強制的に、だったけど……
俺が全力でフェラしたせいで、王子の性欲に火をつけてしまったのか……?
ここは気付かないフリに限るな。
俺は本で顔を隠して続きを読み進めた。
しかし、数ページ読んだところでふと気になった事があったので、への字口をして暇そうにしているシリウスに質問してみた。
「シリウス、一つ質問なんだけど、シリウスは誰にも何も言わず、相談もせずに家を飛び出して来たのか?
お目付役の人とか、護衛の人とか、周りに色々な人が居ただろ?」
王子の護衛の一人だったディルトさんの事もふと気になった。
あの人も今頃王子を探しているんじゃないだろうか。
「そうだな、俺が家を飛び出して来たのは思い立ってやったことだから、誰も知らないし相談もしていない。
まぁ、俺がヤマトの事を好きなのは一部の奴等が知っているから、ここにも俺の居場所を聞きに来る奴がいるかもしれないがな」
「えっ!? それじゃあここでシリウスを匿ってるのがもしバレたら……俺達どうなんの!?」
王子は顎に手を当て、うーんと唸った後口を開いた。
「そうだなぁ……俺が犯罪者なら匿った罪で処罰されるんだろうが……こういう場合はどうなるんだろうな。
まぁ心配するな、万が一の時は俺が何とかして全員守ってやる。
だから安心して俺を匿え」
うーん……益々不安になってきたぞ。
かと言って、王子をここから追い出す事も出来ない。そっちの方が大変な事になりそうで。
仕方ないけど、王子の言葉を信じて言う通りにするしかなさそうだ。
* * * * *
次の日。今日は定休日なので、ノインさんは朝早くから仕入れへと出かけた。
本屋には俺とキールと王子の三人。
暇だしこのまま本屋にいてもノインさんがいないから、と二人に襲われそうなので、王子はキールに任せて俺は街道を掃除がてら散歩する事にした。
街道の掃除は騎士団の人達がたまにやってくれているが、人の往来が激しいのでゴミがよく落ちている。
俺はこのゴミが物凄く嫌で、いつも自主的に拾っている。
今度ポイ捨て禁止の看板でも書いて立ててみようかな。
火鋏でゴミを挟み、ゴミ袋へポイポイ入れながら歩いていると、騎士団の馬車が道の端に止められているのを見つけた。
止められているというより、道からそれて無理矢理止まったという感じで、急停車した車輪の跡が残っていた。
(もしかして……誰かが王子の事聞きに来たとか?)
俺は馬車の後ろから静かに近付いて、そっと馬車の中を覗いてみた。でも、中には誰も乗っていなかった。
前の方に回って御者席の方を見てみると、そこにも人の姿は無く、馬車馬も繋がれておらずその場にはいなかった。
ただ、ベージュ色の膝掛けが座席の下に落ちていただけだった。
(あれ、この膝掛け……見た事ある……)
俺はその膝掛けを拾い上げ、手に取った。
そうだ、この膝掛け……前にロタが夜に見張りをしてくれてた時に持ってたやつに凄く似ている。いや、似ているというより、この角の猫の顔の様な汚れ……間違いない、ロタが持っていたやつだ。
何でロタの持っていた膝掛けがここに落ちている……? 馬車から降りてロタはどこに行った?
グシャグシャになっていた膝掛けを畳もうと広げたら、血の跡の様なものが数カ所付いているのに気付いた。
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