腐男子が男しかいない異世界へ行ったら色々と大変でした

沼木ヒロ

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第五十九話

腐男子、バレる

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 俺は王様の方へ近付いて立ち止まると、手招きをされた。更に近くに来いという事かな。
 俺は一段上がって、座っている王様の目の前に行くと、王様が

「ここに座ってごらん」

 と、微笑みながら膝の上をポンポン叩いてこちらを見た。
 えっ、まさか王様の膝の上に座れって事!?
 流石にそれは……と座るのを躊躇ちゅうちょしていると「いいからいいから」と言われ腰を掴まれ強引に横向きに座らされた。
 え、待って、この状況は一体……

「ほう、これは素晴らしい、近くで見ると更に魅力的だ、とても可愛いね。
 この黒い艶のある髪に、神秘的な黒い瞳、主張し過ぎない整った鼻に口、この体つきも抱き心地も素敵だ。
 シリウスがヤマト君に惚れ込むのも分かる気がするよ」

 王様は俺の髪や顔、体をさわさわ揉み揉みと触りまくってきた。
 俺は王様の膝の上で固まり、どう反応したら良いのか目を泳がせていると、シリウスと黒マントの男の二人が傍に寄って来た。

「ヤマト、ちょっとそのままジッとしててくれるか」

 シリウスが俺の横に立ち、片手をギュッと握ってきた。そして、俺の真正面には黒マントの男がしゃがみ込み「失礼します」と一言言った後両手を俺のお腹に当て、目を閉じた。
 段々とお腹の中がじんわり熱を帯びてきた。え、一体何をされてるんだ俺は。

 少しすると黒マントの男はお腹から手を離し目を開け、衝撃的な事を口走った。

「国王様、殿下、おめでとうございます。このお方は妊娠する事が可能の様です」

 ハァァァァーッ!? 何でバレた!? 魔法か? 魔法的なものを使って俺の体の中を調べたのか!?
 口をパクパクして絶句していると、続けて王様も信じられない事を言い出した。

「すまない、驚かせてしまったかな。
 シリウスがキミとじゃないと結婚しないと言うので妊娠できる体かどうか、失礼ながら調べさせてもらった。
 この黒マントの者はミツアキ。
 数年前、城の庭で倒れているのを使用人達が見つけて保護した際、鑑定能力という不思議な力を持っている事が分かってね。
 それ以来仕えてもらっている」

 鑑定能力と聞いて耳を疑った。それ、俺と同じじゃん!
 しかもミツアキって名前……もしかして俺と同じ日本からの転移者なのか?

 黒マントの男はフードを取りこちらを見た。
 俺と同じ黒髪で黒目……長めの前髪を横に分け肩ぐらいの長さの髪型。
 俺より背が高く、年上……大学生位? の人だった。

「はじめまして、ヤマト様。ミツアキと申します」

 ミツアキさんはそう言いながら、ニッコリと微笑み一礼した。
 
「あ、あの、ミツアキさんはもしかして俺と同……んぐっ!」

 気になってミツアキさんに同じ転移者なのか聞こうとしたら、シリウスが急に口にキスをしてきた。

「……やっぱりヤマトは俺の運命の相手だった……!
 ヤマト、俺と結婚しよう。オマエを是非、正室として迎えたい。
 俺の子供を沢山沢山産んでくれ」
「シリウス……」

 妊娠できる体だとバレてしまった上に、シリウスにプロポーズされてしまった。でも俺は即答できなかった。色々と問題が山積みだし、シリウスともう少し話しをしてから決めたかったからだ。
 俺が返事に困っていると、俺をずっと膝の上に抱っこしている王様がそれを察知してくれたのか話し掛けてきた。

「ヤマト君、私もシリウスとの結婚、歓迎するよ。
 しかし、ヤマト君はまだかなり若そうだ、いくつだね?」
「えと、十六です……」

 俺が自分の歳を話すと、王様もシリウスも表情を曇らせた。

「ふむ…………
 ミツアキ、隣の部屋でヤマト君が妊娠出産に耐える体かどうか少し調べてみてくれるか。
 私とシリウスはここで待っている」
「かしこまりました」

 ミツアキさんは王様の膝の上にいる俺をお姫様抱っこし、ドアへと歩き出した。

「あっ、ああああの、俺……」
「大丈夫、すぐ済むから。俺に任せて」

 何が大丈夫なんだろう、物凄い不安なんだけど……

 ミツアキさんは部屋を出て、隣の部屋へ入りドアに鍵をかけた。
 部屋には大きなベッドが一つ置いてあるのみだった。ここは一体何の部屋なんだろうか。

 あ、そうだ、そんな事よりミツアキさんの事で聞きたい事があるんだった。

「あの、ミツアキさんは……もしかして転移者ですか? 日本名だし、俺と同じ鑑定能力持ってるし」

 ミツアキさんは、俺をベッドに下ろしながら言葉を返してくれた。

「……そうだよ、俺も転移者だ。
 川で溺れていた子猫を助けようと飛び込んで、そのまま川に流されて……この世界へと転移したんだ」

 子猫ってまさかそれ、俺も助けたハニエルでは……
 ハニエル、俺の他にもこうして色んな人を色んな世界へ転移させてるのかな。

「そうだったんですか。でもミツアキさんは何故この世界に? ここ男しかいないですよね。
 俺は元々腐男子だったんで勘違いされてここに飛ばされてしまったんですけど……もしかしてミツアキさんも? ってあの、何を」

 話しているうちにミツアキさんに押し倒されている体勢になっていて、更にミツアキさんが俺の下着ごとパンツを脱がしだしたので焦って手で抵抗した。

「……俺は腐男子じゃないよ。
 男が好きなんだ。ゲイなんだよ、俺」

 そう言いながら片手で口を塞がれ、下着をズルズル脱がされている。

「んんっ!! んーっ!!」
「久しぶりの若い男の子、しかもキミ、結構可愛いよね。俺好みだよ。
 今から妊娠出産に耐える体なのか、タップリ体の中調べさせてもらうからね」

 ヤバイ、この人、体の中調べるとか言いつつ俺にエロイ事しようとしてるんじゃ!?
 クソッ、時間停止能力を使って逃げ……

「あぁ、時間停止能力は使っても意味無いからね。
 俺の時間停止能力で相殺になるから、逃げようとしたって無駄だよ」

 な、なんだってえぇーー!! そんなの聞いてない!!

 必死になって抵抗するも虚しく、ミツアキさんの手が俺の下半身へと伸びていった。
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