腐男子が男しかいない異世界へ行ったら色々と大変でした

沼木ヒロ

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第六十一話

腐男子、打ち明ける

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「ヤマト、もう一回キスしてくれ」

 俺に腕枕をしているシリウスが、口を尖らせてキスをねだってきた。
 さっきからもう何度目だろう。

(シリウスがデレてる……面白い)

 唇が触れる位の軽いキスをしてあげると、ギュッと肩を寄せられた。

「可愛い……ホント、何て可愛いんだお前は。
 もう一生離さないからな」

 シリウスは小鳥がついばむように、俺の頬や口に何度もキスをした。
 くすぐったいけど、こういうキスっていいな。愛されてるって感じる。

「あ、そうだ、王様達は? もしかして隣の謁見の間で俺達の事待ってるんじゃ……」

 ふと気になったのでシリウスに聞いてみた。
 俺とシリウスがセックスをしている間に、隣の部屋でずっと待っていたのでは……?
 もしかして俺のあえぎ声とか聞かれてしまってるんじゃ……
 青ざめながら顔を赤くしていると、シリウスは俺の頭をもう片方の手で撫でながら返事をした。

「あぁ、父上達は残りの用事があるとかで何処かへ行った。
 ミツアキによると結局、お前の中にある子宮がまだ未熟とかで、妊娠出産には母体に負担がかかるからまだ適さないみたいだな。あと二、三年は待てだと。
 俺は今すぐにでもヤマトとの子が欲しいが、お前の体の事を考えて中出しだけは我慢するよ」

 中出しだけは我慢する……って、キールと同じ事を言ってる。中出しはしないけど、セックスはするって事だよね?
 俺のお尻が死なない程度に受け入れたい……って、そういえばシリウスに大事な事を言わないといけなかった。俺、恋人が既に三人もいるって事を。
 やっぱり、恋人が三人もいたらシリウスは怒り狂うだろうか。
 元の世界だとあり得ない事だし、完全にアウトでド修羅場決定だもんなぁ……
 上体を起こし、シリウスの方をジッと見た。

「どうした、ヤマト。今日はもう本屋に戻らなくても良いぞ。ちゃんと店主には許可を取っているしな」

 シリウスもむくりと起き上がり、俺の手を握ってきた。

「……ねぇ、シリウス、俺、言わなきゃいけない事があるんだけど……」
「? 何だ? まさか俺と結婚しないとか言うんじゃないだろうな?」

 シリウスの表情が曇り、先程と打って変わって悲しそうな目で俺を見てきた。

「ううん、違う、けど……
 俺、実は最近三人の恋人ができて……シリウス合わせると四人、なんだよね……」
「恋人がさ、三人だと……?」
「うん、そう……幻滅したでしょ?」

 俺は引け目からシリウスから目を逸らし伏せていると、何故か顎クイをされ、更に口にキスをされた。

「んんっ!?」
「……お前、そんな事気にしてたのか。幻滅する訳ないだろ?
 恋人が既に三人もいるとはさすが俺のヤマトだな」

 恋人が三人もいるという告白に一切動じないシリウスに、思わず目が点になった。
 一妻多夫制とはいえ、王室的にもその辺はオッケーなのだろうか。

「恋人が沢山いるという事は、それだけヤマトが魅力的って事だろ?
 モテる妻で俺は鼻が高い。
 今みたいに二人の時は俺の事だけを考え、俺だけを見てくれたらそれで良い」

 シリウスは再び俺の肩を抱き寄せ、キスをした後、ベッドに押し倒した。

「うっ、シ、シリウス!?」
「……とは言え、俺と会っていない間に一気に三人も恋人が出来てるなんて想定外だ。お仕置きが必要だな」

 シリウスがニヤリと笑い、再び首筋をキツく吸い上げながら下着の中に手を入れられ……そのまま続けて二戦目を余儀なくされたのだった。



* * * * *



 次の日の朝、使用人らしき人が本屋まで馬車で送ってくれて無事帰宅した。

 結局昨日はあの後更にもう一回お仕置きという名のセックスをし、疲れ果てた後に豪華な夕食を食べさせてもらい、とてつもなく広い浴場でお風呂に入り、そしてこれまたとてつもなく広いシリウスの部屋で一緒に寝た。
 寝たと言ってもすんなり寝かせてもらえず、シリウスに抱き枕の様に抱きつかれて体中をまさぐられ、顔と首筋にキスを山の様にされ、中々寝る事が出来なかった。

 シリウスはもうずっと王城ここで一緒に暮らそうと言ってくれたが、引っ越しや心の準備もあるし、まだ本屋で働きたいのでもう少し本屋で住み込みで働きたい旨を伝えたら納得してくれた。
 次の定休日にまた会う約束をして、シリウスとは別れた。

「あ、ヤマト君、おかえり!」

 帰ってきたのが朝八時だったので、店主のノインさんは既に朝食を終えレジカウンターで作業をしていた。

「昨日はすみません、仕事途中で抜けてそのまま帰らなくて……」
「いや、国王様の勅令だから仕方ないよ。ヤマト君のせいじゃないし、気にしなくて良いからね。昨日はお客さん、比較的少なかったし、キールと二人でも大丈夫だったから」

 ノインさんがニッコリ微笑んで気遣ってくれた。
 ノインさん、本当に優しいなぁ。この人に保護して貰ったおかげで今の俺があると言っても過言ではない。
 まだまだ沢山働いて恩を返したいから、しばらくの間は本屋の仕事は続けさせて貰いたいな。

 二階の自室で着替えを済まして一階へ下り外掃除をし始めると、丁度キールが出勤してきた。

「ヤマト! 昨日からずっと心配してたんだから……
 体とか大丈夫? 変な事されなかった?」

 肩の辺りの服を引っ張られた後、キールの目線が俺の首元で止まった。

「…………コレ……何?」
「いっ、痛っ……!」

 ブラウスのボタンを乱暴に外され、首元から肩までをあらわにされた。
 今朝自室で着替える時、鏡を見て自分でもビックリした。
 首元に、ブラウスのえりでも隠せない位置にニつ、更に見えない位置にも五つキスマークがあった。
 シリウス、跡付け過ぎだよ……

 俺はほうきを持ったまま、凄い形相ぎょうそうのキールに詰め寄られ、どう返答していいかを必死になって考えたのだった。
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