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第六十四話
腐男子、逃れる
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必死になって何処へ逃げるかを考えたけど、やはり外の馬車にいるロタの方へ行った方が良さそうだ。
ノインさんの方へ逃げると二人揃って拘束されかねない。
外に行くためには正面入り口のドアの鍵を開けて出るか、奥の台所横にある裏口から出るしかない。
時間停止能力は一日に一回、一分間だけ。失敗したら終わりだから慎重に考えて使わないと。
俺は鍵が片手で開く裏口の方へ行く事にし、時間停止と頭の中で強く念じた。
ナックルの動きが止まったのを確認して急いで奥の台所へ行き、後ろ向きで鍵を開け外に出て馬車の方へ走って行った。
段々近付いていくうちに、馬車の窓から中に人がいるのが確認できた。
そっと馬車の中を見るとロタが座ったまま本当に寝ていた。
俺は再び後ろ向きで馬車のドアを開け、転がるようにロタの膝の上へと倒れ込み、肩と肘を使って数回ロタの体を小突いた。頼むロタ、早く起きて……!
「んん…………
あ、あれ? ヤマト君?
何で馬車の中に? それにどうしたのその格好……」
「んんーっ! んんっ!」
起きてくれたロタに、後ろ手に縛られている手を解いてくれる様アピールし、手と口のガムテープを剥いでもらった。
「っはっ……た、助かったぁ……」
「これは一体……そういえばナックルの姿が見えないけど、まさかこれ……」
「うん……ナックルって人が店に侵入してきて、いきなり俺を殴ってきて。
その後俺を縛って犯そうとしてきたから、隙を見て逃げてきた。
ロタが寝てる間に俺を犯して、ロタに復讐してやるとか何とか言ってた……」
「な……!! えっ!? 復讐!?」
ロタは俺の言葉を聞いて目を見開き絶句した。
「ゴメン……俺のせいでヤマト君を危険な目に合わせてしまって。
頬の所、もしかしてアイツにぶたれた? 少し腫れてる……」
ロタが平手で殴られた方の頬を優しく手で包んで撫でてくれた。
「平手で殴られたけど大丈夫、ありがとう、ロタ」
撫でてくれているロタの手の上に手を被せ、顔を寄せ擦り擦りした。
ロタの手、温かい……
「クソッ、ヤマト君の綺麗な顔を……
っっ! ナックル……!」
ロタの顔が馬車の窓の外を見てナックルの名前を口にした。
釣られて同じ方向に目をやると、ナックルが馬車の方へ向かって走って来て扉を開けてきた。
「ヤマト君よ、一体どんな術を使いやがったんだよ……
ロタ違うんだ、これは」
「ナックル、お前って奴は……
何が復讐だ、ヤマト君に乱暴して……許されると思ってるのか!?
復讐したいなら俺に直接すればいい、関係無いヤマト君を巻き込むな」
ロタが俺を奥側の席へ座らせ、馬車から降りてナックルの側に行った。
「違う……違うんだよロタ。
俺はお前を今でも愛してるんだよ、お前が……お前が俺のモンにならないのがいけねーんだよ……
俺とセックスした時気持ち良かっただろ? また挿れさせてくれよ、何度でもイかせてやるからよお」
ナックルがロタに抱きついて頬にキスしたり尻を触ったり揉んだりしている。
俺はまるで自分がされているかの様な感覚になり、ゾッと鳥肌が立った。
ロタ、何でされるがままになってるんだよ。振り払うなり殴るなりしろよ!
「……もうヤマト君に危害を加えないと約束してくれるなら……セックス位だったら相手してやってもいい。
だからヤマト君だけは」
えっ……!? ロタ、今何を言って…………
「それマジで? オッケーオッケー、お前をまた抱けるんならヤマト君にはもう手は出さねーよ。
沢山抱いて俺無しじゃ生きていけなくしてやっから」
「ちょっ……ロタ! そんなの駄目……」
(シーーッ)
俺がロタに向いて叫んでいる途中、ロタがこちらへ振り返って人差し指を口に当てたポーズをした。
何か思惑があるのかな、手で自分の口を覆い、叫ぶのをストップした。
にしても、俺を守る為にナックルに体を差し出すとか……
何か、そういうの嫌だ。
どういうつもりなのか、ロタと話したいけど、どうしたら……
「さーて、ロタ、俺と一緒に馬車の中で寝ようぜー。朝になったらここを出発だ」
ナックルがロタの肩を抱き寄せ、こっちへ向かって来たので急いで降りた。
先にナックルが乗り込もうとした時、俺の頭を撫で
「ヤマト君にはすまない事しちまったな。殴ったり怖い思いをさせちまって悪かった。これ治療代に当ててくれ」
そう言いながらポケットから裸状態の紙幣を数枚取り出し、俺の手に握らせてきた。手を開くと紙幣がパッと見、五万円位…………ご、ごまんえん!? 慰謝料的なものも含まれてるとかいうやつ!?
バイト代約半月分位の大金を手にし、思わず固まった。
んー、人間って欲の塊ってのがよく分かる。あれだけ怖い目に遭って殴られたのに、大金を貰ったからまぁ許してもいいか、なんて思ってしまった。
いやいやいや、でも店に不法侵入した事とか、一般市民の俺に暴行した事は騎士団本部でロタに報告してもらいたいかなぁ。お金貰っておいてなんだけど……
それに殴られた所や床に叩きつけられた箇所がまだズキズキする。念の為病院へ行って診てもらおうかな。
ノインさんに後で半休貰えるか聞いてみよう。
ナックルが奥の座席に座った後、続けてロタが馬車に足をかけ、乗り込む時に
「ナックルが寝入ったら話をしよう。裏口で待ってて」
と小声で話しかけられた。
俺は無言で頷き、馬車から死角になっている裏口のドアの前に体育座りをし、ロタが来てくれるのをうつらうつらしながら待ったのだった。
ノインさんの方へ逃げると二人揃って拘束されかねない。
外に行くためには正面入り口のドアの鍵を開けて出るか、奥の台所横にある裏口から出るしかない。
時間停止能力は一日に一回、一分間だけ。失敗したら終わりだから慎重に考えて使わないと。
俺は鍵が片手で開く裏口の方へ行く事にし、時間停止と頭の中で強く念じた。
ナックルの動きが止まったのを確認して急いで奥の台所へ行き、後ろ向きで鍵を開け外に出て馬車の方へ走って行った。
段々近付いていくうちに、馬車の窓から中に人がいるのが確認できた。
そっと馬車の中を見るとロタが座ったまま本当に寝ていた。
俺は再び後ろ向きで馬車のドアを開け、転がるようにロタの膝の上へと倒れ込み、肩と肘を使って数回ロタの体を小突いた。頼むロタ、早く起きて……!
「んん…………
あ、あれ? ヤマト君?
何で馬車の中に? それにどうしたのその格好……」
「んんーっ! んんっ!」
起きてくれたロタに、後ろ手に縛られている手を解いてくれる様アピールし、手と口のガムテープを剥いでもらった。
「っはっ……た、助かったぁ……」
「これは一体……そういえばナックルの姿が見えないけど、まさかこれ……」
「うん……ナックルって人が店に侵入してきて、いきなり俺を殴ってきて。
その後俺を縛って犯そうとしてきたから、隙を見て逃げてきた。
ロタが寝てる間に俺を犯して、ロタに復讐してやるとか何とか言ってた……」
「な……!! えっ!? 復讐!?」
ロタは俺の言葉を聞いて目を見開き絶句した。
「ゴメン……俺のせいでヤマト君を危険な目に合わせてしまって。
頬の所、もしかしてアイツにぶたれた? 少し腫れてる……」
ロタが平手で殴られた方の頬を優しく手で包んで撫でてくれた。
「平手で殴られたけど大丈夫、ありがとう、ロタ」
撫でてくれているロタの手の上に手を被せ、顔を寄せ擦り擦りした。
ロタの手、温かい……
「クソッ、ヤマト君の綺麗な顔を……
っっ! ナックル……!」
ロタの顔が馬車の窓の外を見てナックルの名前を口にした。
釣られて同じ方向に目をやると、ナックルが馬車の方へ向かって走って来て扉を開けてきた。
「ヤマト君よ、一体どんな術を使いやがったんだよ……
ロタ違うんだ、これは」
「ナックル、お前って奴は……
何が復讐だ、ヤマト君に乱暴して……許されると思ってるのか!?
復讐したいなら俺に直接すればいい、関係無いヤマト君を巻き込むな」
ロタが俺を奥側の席へ座らせ、馬車から降りてナックルの側に行った。
「違う……違うんだよロタ。
俺はお前を今でも愛してるんだよ、お前が……お前が俺のモンにならないのがいけねーんだよ……
俺とセックスした時気持ち良かっただろ? また挿れさせてくれよ、何度でもイかせてやるからよお」
ナックルがロタに抱きついて頬にキスしたり尻を触ったり揉んだりしている。
俺はまるで自分がされているかの様な感覚になり、ゾッと鳥肌が立った。
ロタ、何でされるがままになってるんだよ。振り払うなり殴るなりしろよ!
「……もうヤマト君に危害を加えないと約束してくれるなら……セックス位だったら相手してやってもいい。
だからヤマト君だけは」
えっ……!? ロタ、今何を言って…………
「それマジで? オッケーオッケー、お前をまた抱けるんならヤマト君にはもう手は出さねーよ。
沢山抱いて俺無しじゃ生きていけなくしてやっから」
「ちょっ……ロタ! そんなの駄目……」
(シーーッ)
俺がロタに向いて叫んでいる途中、ロタがこちらへ振り返って人差し指を口に当てたポーズをした。
何か思惑があるのかな、手で自分の口を覆い、叫ぶのをストップした。
にしても、俺を守る為にナックルに体を差し出すとか……
何か、そういうの嫌だ。
どういうつもりなのか、ロタと話したいけど、どうしたら……
「さーて、ロタ、俺と一緒に馬車の中で寝ようぜー。朝になったらここを出発だ」
ナックルがロタの肩を抱き寄せ、こっちへ向かって来たので急いで降りた。
先にナックルが乗り込もうとした時、俺の頭を撫で
「ヤマト君にはすまない事しちまったな。殴ったり怖い思いをさせちまって悪かった。これ治療代に当ててくれ」
そう言いながらポケットから裸状態の紙幣を数枚取り出し、俺の手に握らせてきた。手を開くと紙幣がパッと見、五万円位…………ご、ごまんえん!? 慰謝料的なものも含まれてるとかいうやつ!?
バイト代約半月分位の大金を手にし、思わず固まった。
んー、人間って欲の塊ってのがよく分かる。あれだけ怖い目に遭って殴られたのに、大金を貰ったからまぁ許してもいいか、なんて思ってしまった。
いやいやいや、でも店に不法侵入した事とか、一般市民の俺に暴行した事は騎士団本部でロタに報告してもらいたいかなぁ。お金貰っておいてなんだけど……
それに殴られた所や床に叩きつけられた箇所がまだズキズキする。念の為病院へ行って診てもらおうかな。
ノインさんに後で半休貰えるか聞いてみよう。
ナックルが奥の座席に座った後、続けてロタが馬車に足をかけ、乗り込む時に
「ナックルが寝入ったら話をしよう。裏口で待ってて」
と小声で話しかけられた。
俺は無言で頷き、馬車から死角になっている裏口のドアの前に体育座りをし、ロタが来てくれるのをうつらうつらしながら待ったのだった。
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