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第六十五話
腐男子、更に増える
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「……君…………マト君…………」
(んん……何か顔がくすぐったい……)
いつの間にか体育座りのまま、後頭部を裏口のドアにつけて寝てしまったようだ。
ふと目を開けるとロタが俺の横にしゃがみ、指で頬や口元を触っていた。
そして今気付いたけど俺、口が半開きだ。更に涎も出てる気がする、超恥ずかしい。慌てて手で口元を拭いた。
「ヤマト君の寝顔、無防備で可愛いね。
ゴメンねヤマト君、待たせちゃって。ナックルの奴、中々寝てくんなくてさ~、膝枕してやったらやっと寝た」
「膝枕……」
「俺の脚柔らかくないけど、ヤマト君が膝枕してって言ったらいくらでもしてあげるよぉ」
そう喋りながらロタは垂れ気味の赤い瞳の目尻を下げ、ニコニコしながら俺の頭を撫でた。つい、ドキッとしてしまう。
ロタは前も思ったけど変な色気がある。フェロモン的なものが出てるのか、こう優しくされるとグラッとくる。
しかも昔は不特定多数の奴等と体の関係があったようだし、ナックルみたいな奴達が自分の事が好きなんだと勘違いして、ロタに関係を迫ったんだろうなと推測できる。
それにしても、さっきので頬が赤くなったままだ。それに気付かれないよう、紛らわすようにロタに病院の事をそれとなく聞いてみた。
「あ、あのさ、ナックルに殴られた所がずっとズキズキ痛むから病院へ行って診てもらおうかなと思ってるんだけど、何処にあるか教えてくれない?」
「……それは全然いいけど、本当に大丈夫?
この辺りだと王都に大きいのが一つあるから、朝ここを出発する時に一緒に乗っていく? 今日は夜から仕事だから、病院付き添ってあげるよ。
その前に一旦本部へ戻って今回の件の報告と、被害者のヤマト君に詳しく話を聞かせてもらう事になるけど」
「あ、やっぱりナックルが本屋に不法侵入した事とか、俺に暴行した事……上の人に報告してくれるんだ。
ナックルからさっき治療代にって五万円握らされたんだけど……口止め料ッポイから返したいんだよ」
五万円、つい受け取ってしまったけど、これ絶対口止め料としてだよな。
あの手慣れた感じだと、今までも被害者の人達にこうしてお金を握らせて口止めしていたのかな。
どう考えてもあんな奴が副長っておかしいし。
「あぁ、勿論ちゃんと報告するよ。
多分、良くて降格と謹慎処分、常習性があって悪質だと認められれば最悪、除団処分になるかもしれない。
もし除団とか謹慎処分になれば俺も顔を合わせずに済むし、セックスの相手をしなくて済むからね。元々相手してやる気なんて無いし」
そうなんだ、ロタは上に報告してナックルが処分される事を見越してセックスの相手はしてやってもいいとか言ってたんだ。
ホッと胸を撫で下ろしているとロタが俺の隣に座り、耳元で囁いてきた。
「でも、愛するヤマト君だけは別だよ。
ヤマト君が望むならどんな事でもしてあげる。好きな所舐めてあげるし、沢山気持ち良くしてイかせてあげる。ヤマト君の全てが好きだから……
ホラ、今もヤマト君の隣にいるだけでこんなに胸が……」
ロタは俺の手を取り、ロタの胸元心臓辺りに置いた。ホントだ、ロタの心臓がバクバク鳴っている。
「あ……え……えっと……」
何て反応したらいいか考えているとロタと目が合った。
「ねぇ、ヤマト君は好きな人いるの?
もしいなかったら、えと、俺と付き合ってくれないかな」
ロタの胸に置いたままの俺の手を、ロタは両手でギュッと握ってきた。ロタの手が小刻みに震え、唇を噛み締めてる。
ロタが本気で俺の事を好いてくれているのは分かってるし、とても嬉しい。
でも俺、既に恋人が四人もいるんだよなぁ…………
「好きな人……っていうか、俺、実は恋人があの、言いにくいんだけど、四人もいるんだよね……」
「……四人?」
「うん……本屋のキールと、仕事で知り合った猫人族のエバン君、シリウス王子にディルトさん……」
「ディルトさんも!?
うわー、ちゃっかり俺より先にヤマト君の恋人になってるなんて……知らなかった……ディルトさん、俺に黙ってたのか……」
ロタは俺に四人の恋人がいる事より、自分より先にディルトさんが俺と恋人になっている事に驚いていた。
「俺、ヤマト君に恋人が四人いても全然大丈夫だよ。だってヤマト君の容姿なら当たり前っていうか少ない位っていうか。
俺、昔は色んな人と遊んでたけど、今はもうヤマト君一筋でヤマト君の事しか考えられない……
だから五人目の恋人にしてくれないかなぁ。
大事にするから……ね、お願い。
ヤマト君、愛してる」
ロタは座ったまま俺の手を引き寄せ、抱きしめてきた。
ロタの事は好きだ。出会った当初は最悪だったけど、その後はとても優しくて俺の事守ってくれて、色々と助けてもらった。
正直な話、恋人が四人から五人に増えてもあまり変わらない気がするし……
ロタとは今後も仲良くしていきたいし、傍にいて欲しい。だから……
「……うん、いいよ。俺でよければ」
「ホ、ホント!? ホントに!?」
そう答えると、ロタはビックリした表情で俺の顔を見たかと思いきや、涙目になりながら再び俺をより強く抱きしめてきた。
「嬉しい……ホント嬉しい……!
ありがとう、ヤマト君……大好き」
ロタはそう口にした後、顔を傾けて唇が軽く触れる位のキスをしてきた。
(ロタの唇、柔らかい……
……俺、とうとう恋人が五人もできちゃった……皆と上手くやっていけるかなぁ)
月明かりに照らされる中ロタとキスをしながらふと、今後の事について考えてしまった。
(今度、全員で集まって今後の事を色々話しあわないとな……)
今度の定休日、シリウスと会う約束をしているから、その日に皆集まれないか相談してみよう。何か良い案が出るかもしれない。
とりあえずロタの唇から離れ、木曜の定休日に一緒にシリウスの所へ行けないかを話したら、丁度休みだから大丈夫っていう返事を貰った。
キールは多分大丈夫だから、後はエバン君とディルトさんだ。
エバン君は朝会った時に、ディルトさんは騎士団本部へ立ち寄った時に話してみよう。
「ヤマト君、まだ朝まで時間あるし、そろそろ寝ようか。
俺は馬車に戻って寝るから」
ん? 馬車に戻るって事はナックルと二人きりって事か?
思わず、立ち上がったロタの袖をギュッと握った。
「っ……ヤ、ヤマト君!?」
「嫌だ……アイツの所に行っちゃ嫌だ」
だって、アイツと二人きりだと朝アイツが起きた時に寝ているロタがナニされるかもしれない。色々と危険な気がして、安心して寝られない。
「……ヤマト君っ……可愛い……!!
もしかして心配してくれてるの?
それとも嫉妬?」
「えっ、それは…………っわっ!!」
ロタはひょいと俺を持ち上げ、お姫様抱っこをした。
「それじゃ、このままヤマト君の部屋に行こうかな。
ベッドで添い寝してあげるよ。
あ、でも俺、逆に興奮して眠れないかも…………ってこの台詞、前も言った気がする。その時はヤマト君にスルーされたけどねぇ」
「……そうだ、前も言ってたねその台詞。
俺も今日は……興奮して眠れないかも。一緒に朝まで起きておこうかな……」
ロタは俺のおでこにキスをし、お姫様抱っこされたまま部屋まで運ばれ、ベッドの上で朝まで一緒に過ごしたのだった。
(んん……何か顔がくすぐったい……)
いつの間にか体育座りのまま、後頭部を裏口のドアにつけて寝てしまったようだ。
ふと目を開けるとロタが俺の横にしゃがみ、指で頬や口元を触っていた。
そして今気付いたけど俺、口が半開きだ。更に涎も出てる気がする、超恥ずかしい。慌てて手で口元を拭いた。
「ヤマト君の寝顔、無防備で可愛いね。
ゴメンねヤマト君、待たせちゃって。ナックルの奴、中々寝てくんなくてさ~、膝枕してやったらやっと寝た」
「膝枕……」
「俺の脚柔らかくないけど、ヤマト君が膝枕してって言ったらいくらでもしてあげるよぉ」
そう喋りながらロタは垂れ気味の赤い瞳の目尻を下げ、ニコニコしながら俺の頭を撫でた。つい、ドキッとしてしまう。
ロタは前も思ったけど変な色気がある。フェロモン的なものが出てるのか、こう優しくされるとグラッとくる。
しかも昔は不特定多数の奴等と体の関係があったようだし、ナックルみたいな奴達が自分の事が好きなんだと勘違いして、ロタに関係を迫ったんだろうなと推測できる。
それにしても、さっきので頬が赤くなったままだ。それに気付かれないよう、紛らわすようにロタに病院の事をそれとなく聞いてみた。
「あ、あのさ、ナックルに殴られた所がずっとズキズキ痛むから病院へ行って診てもらおうかなと思ってるんだけど、何処にあるか教えてくれない?」
「……それは全然いいけど、本当に大丈夫?
この辺りだと王都に大きいのが一つあるから、朝ここを出発する時に一緒に乗っていく? 今日は夜から仕事だから、病院付き添ってあげるよ。
その前に一旦本部へ戻って今回の件の報告と、被害者のヤマト君に詳しく話を聞かせてもらう事になるけど」
「あ、やっぱりナックルが本屋に不法侵入した事とか、俺に暴行した事……上の人に報告してくれるんだ。
ナックルからさっき治療代にって五万円握らされたんだけど……口止め料ッポイから返したいんだよ」
五万円、つい受け取ってしまったけど、これ絶対口止め料としてだよな。
あの手慣れた感じだと、今までも被害者の人達にこうしてお金を握らせて口止めしていたのかな。
どう考えてもあんな奴が副長っておかしいし。
「あぁ、勿論ちゃんと報告するよ。
多分、良くて降格と謹慎処分、常習性があって悪質だと認められれば最悪、除団処分になるかもしれない。
もし除団とか謹慎処分になれば俺も顔を合わせずに済むし、セックスの相手をしなくて済むからね。元々相手してやる気なんて無いし」
そうなんだ、ロタは上に報告してナックルが処分される事を見越してセックスの相手はしてやってもいいとか言ってたんだ。
ホッと胸を撫で下ろしているとロタが俺の隣に座り、耳元で囁いてきた。
「でも、愛するヤマト君だけは別だよ。
ヤマト君が望むならどんな事でもしてあげる。好きな所舐めてあげるし、沢山気持ち良くしてイかせてあげる。ヤマト君の全てが好きだから……
ホラ、今もヤマト君の隣にいるだけでこんなに胸が……」
ロタは俺の手を取り、ロタの胸元心臓辺りに置いた。ホントだ、ロタの心臓がバクバク鳴っている。
「あ……え……えっと……」
何て反応したらいいか考えているとロタと目が合った。
「ねぇ、ヤマト君は好きな人いるの?
もしいなかったら、えと、俺と付き合ってくれないかな」
ロタの胸に置いたままの俺の手を、ロタは両手でギュッと握ってきた。ロタの手が小刻みに震え、唇を噛み締めてる。
ロタが本気で俺の事を好いてくれているのは分かってるし、とても嬉しい。
でも俺、既に恋人が四人もいるんだよなぁ…………
「好きな人……っていうか、俺、実は恋人があの、言いにくいんだけど、四人もいるんだよね……」
「……四人?」
「うん……本屋のキールと、仕事で知り合った猫人族のエバン君、シリウス王子にディルトさん……」
「ディルトさんも!?
うわー、ちゃっかり俺より先にヤマト君の恋人になってるなんて……知らなかった……ディルトさん、俺に黙ってたのか……」
ロタは俺に四人の恋人がいる事より、自分より先にディルトさんが俺と恋人になっている事に驚いていた。
「俺、ヤマト君に恋人が四人いても全然大丈夫だよ。だってヤマト君の容姿なら当たり前っていうか少ない位っていうか。
俺、昔は色んな人と遊んでたけど、今はもうヤマト君一筋でヤマト君の事しか考えられない……
だから五人目の恋人にしてくれないかなぁ。
大事にするから……ね、お願い。
ヤマト君、愛してる」
ロタは座ったまま俺の手を引き寄せ、抱きしめてきた。
ロタの事は好きだ。出会った当初は最悪だったけど、その後はとても優しくて俺の事守ってくれて、色々と助けてもらった。
正直な話、恋人が四人から五人に増えてもあまり変わらない気がするし……
ロタとは今後も仲良くしていきたいし、傍にいて欲しい。だから……
「……うん、いいよ。俺でよければ」
「ホ、ホント!? ホントに!?」
そう答えると、ロタはビックリした表情で俺の顔を見たかと思いきや、涙目になりながら再び俺をより強く抱きしめてきた。
「嬉しい……ホント嬉しい……!
ありがとう、ヤマト君……大好き」
ロタはそう口にした後、顔を傾けて唇が軽く触れる位のキスをしてきた。
(ロタの唇、柔らかい……
……俺、とうとう恋人が五人もできちゃった……皆と上手くやっていけるかなぁ)
月明かりに照らされる中ロタとキスをしながらふと、今後の事について考えてしまった。
(今度、全員で集まって今後の事を色々話しあわないとな……)
今度の定休日、シリウスと会う約束をしているから、その日に皆集まれないか相談してみよう。何か良い案が出るかもしれない。
とりあえずロタの唇から離れ、木曜の定休日に一緒にシリウスの所へ行けないかを話したら、丁度休みだから大丈夫っていう返事を貰った。
キールは多分大丈夫だから、後はエバン君とディルトさんだ。
エバン君は朝会った時に、ディルトさんは騎士団本部へ立ち寄った時に話してみよう。
「ヤマト君、まだ朝まで時間あるし、そろそろ寝ようか。
俺は馬車に戻って寝るから」
ん? 馬車に戻るって事はナックルと二人きりって事か?
思わず、立ち上がったロタの袖をギュッと握った。
「っ……ヤ、ヤマト君!?」
「嫌だ……アイツの所に行っちゃ嫌だ」
だって、アイツと二人きりだと朝アイツが起きた時に寝ているロタがナニされるかもしれない。色々と危険な気がして、安心して寝られない。
「……ヤマト君っ……可愛い……!!
もしかして心配してくれてるの?
それとも嫉妬?」
「えっ、それは…………っわっ!!」
ロタはひょいと俺を持ち上げ、お姫様抱っこをした。
「それじゃ、このままヤマト君の部屋に行こうかな。
ベッドで添い寝してあげるよ。
あ、でも俺、逆に興奮して眠れないかも…………ってこの台詞、前も言った気がする。その時はヤマト君にスルーされたけどねぇ」
「……そうだ、前も言ってたねその台詞。
俺も今日は……興奮して眠れないかも。一緒に朝まで起きておこうかな……」
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