腐男子が男しかいない異世界へ行ったら色々と大変でした

沼木ヒロ

文字の大きさ
77 / 96
第七十五話

腐男子、舐められる

しおりを挟む
 浴室へと行くと、既にディルトさんはシャワーを済ませた後で誰も居なかった。
 俺は少し残念に思いながら、シャワーのお湯を出してササッと洗って出た。

(一人で抜く位なら、最初からディルトさんと一緒にお風呂に入れば良かった……)

 タオルで髪の毛をガシガシと拭きながら自室へと戻り、ベッドに腰掛けて読みかけだった本に手を伸ばした。
 今読んでいる本は人間ヒューマンに一目惚れした獣人の、種族を越えた切ない恋の話。確か人間ヒューマンの子の方に親同士が決めた許嫁がいる事が分かって、獣人が身を引こうとしている辺りまで読んだんだった。
 本を持ったままベッドに寝転んでペラペラとしおりが挟んである場所までめくっていると、誰かがドアをノックした。はーい、と返事をするとキールが遠慮しがちに覗いてきた。

「……ヤマト、入ってもいい?」
「ん……何か用?」

 目だけをキールの方にやり、本をペラペラめくっていると、キールはこっちへと歩み寄り俺が寝そべっているベッドに腰掛けた。

「用は特に無いんだけど、さっきの……食堂で俺がエバン君と出て行ったじゃない? ヤマトが気にしてるかなと思って」
「……んー、少し……」
「俺ね、エバン君に宣戦布告されたよ。
 料理なら負けません、ヤマトさんの胃袋を掴むのは僕です! キールさんには負けません! ……って事をネチネチ長々と言われただけだよ」
「……そうなんだ」

 俺は本から目線を外す事無くキールに返事をした。
 なんだ、別に大した事なかったのか。気にして損したな。

 そう思っているとキールが突然本を取り上げ、俺の顔の横に手をついて見下ろしてきた。

「っ……! キール、本返して……」
「ヤマト、少し怒ってた? もしかしてヤキモチ?」
「なっ……そんな訳……」
「ヤマトは人と話しをする時はいつも目を見て話してくれるのに、今日は本ばかり見て俺と目を合わせてくれないから。
 あの時ヤマトを一人残して、俺とエバン君だけで内緒話したのがそんなに嫌だったんだ。
 ヤキモチなんて、可愛いね、ヤマト」

 キールが本を横の棚に置き、俺の上に覆いかぶさってきた。
 ヤキモチ? ずっと胸に引っかかっていたこのモヤモヤ感、ヤキモチ焼いてたのか自分。え、誰に? キールに? それともエバン君に?

「大丈夫だよ、俺が愛してるのはヤマト一人だけだから」

 キールはそう言いながら口にキスをしてきた。あっという間に口の中に舌を入れられ、舌を絡め取りながら上顎や喉の奥手前を舌でつつーっと舐められ、溢れてきた唾を吸われた。

「ん……美味しい、ヤマトの唾……」

 コク、と喉を鳴らしながらキールの手が股間の方へと伸びたので、思わず手で止めた。
 ディルトさんとのセックスで沢山出し、さらにその後自慰まで致したのでさすがにちょっと休憩したい。

「ま、待ってキール……そこはやめて……」
「何で? シャワー浴びてきたんでしょ? 俺が気持ち良くしてあげるから」
「いや、俺、その……さっき一人で抜いちゃったから……休憩したいというか何というか」

 しどろもどろで答えると、キールはキョトンと呆気にとられた顔をしたが直ぐに怒った様な表情になって荒げた声を出した。

「一人でしたの!? 何で俺を呼んでくれなかったの!? ヤマトのを根元までずっぽり舐めたかったのに! ヤマトの精液を一滴残らず飲みたかったのに! なんて勿体ない……!」
「…………キール…………」

 キールが超絶イケメンじゃなかったらドン引きしてたわ……いや、今も若干引いてるけど……

「ヤマト、今度ムラムラした時は絶対に俺を呼んでよね。飛んでくるから。ヤマトの望む事なんだってしてあげる。
 前も後ろもふやけるまで舐めてあげるし、セックスもヤマトが満足するまでしてあげる。だから、ね、お願い」

 キールが俺の耳元でそう呟いた後、耳をレロッと舐めて甘噛みした。小さな刺激に体がビクッと反応した。

「……っ……!」
「ね、ヤマト……」

 キールが耳を甘噛みした後耳たぶを舐め、そのまま穴の中に舌を入れてきた。舌を出し入れされ、ゾワゾワッと鳥肌が立ち、体は更にビクビク震えた。

「っあっ……や、やだ、それやだ……!」
「ん……ホント感じやすいね、ヤマト。可愛い」

 上から押さえ込まれたまま耳を執拗に舐められ、なんとも言えない感覚に耐えきれず俺はつい観念して

「分かっ……た、分かったから……やめて……!」

 と返事をしてしまった。

「……ふ……絶対だよ? 俺が処理してあげるからね」

 耳の穴に舌をズブズブ入れられ、もう片方の耳も指でクニクニといじられ、鳥肌が立ったままおさまらない。

「あっ……あぁっ……! わ、分かった、分かった……からぁ……!」

 涙目になってそう答えると、キールはようやく耳から口を離してくれた。

「ゴメン、ヤマトが可愛すぎてついしつこくやっちゃった。待って、耳、拭いてあげる」

 キールは俺がさっき頭を拭いていたタオルを手に取り、乾いている部分で耳を拭いてくれた。

「ハイ、綺麗になったよ。
 それじゃ俺、そろそろ自分の部屋に帰るね。読書の邪魔してゴメン、また後でね」

 キールはおでこにキスをし、手を振って部屋から出て行った。
 俺は布団を頭の上まで掛け、またもや健気に勃ち上がってしまっていた自分の元気な息子を恨めしく見つめながら、ひたすら心を無にしてベッドの中でうずくまるのだった。
しおりを挟む
感想 88

あなたにおすすめの小説

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

処理中です...