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第ニ話
腐男子、天使に会う
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はっと目が覚めると壁一面真っ白で、だだっ広い部屋に俺はいた。
あれ?
俺さっき事故にあって瀕死だったような。
目も見えるし手足も動く。
着ている制服も綺麗なままで何故かパイプ椅子に座っていた。
そして俺の目の前に同じくパイプ椅子に座って、下を向いてスナック菓子らしきものをポリポリ食べている幼女がいた。
綺麗な白色の腰まである姫カットのストレートロング。
頭の上にはぼんやり輪のような物が浮いている。
瞳も睫毛も白色、足首まである白のロングワンピ、背中から生えている羽根も白色……
って、
『えぇ!? て、天使……!?』
思わず叫んでしまった。
「モグモグ……ん? 気が付いたようじゃの」
白髪幼女天使がこちらを向いた。
「やっと起きてくれたか、ここにお主がやってきて二時間……暇だったからお菓子を食べて待っておったぞ」
幼女はそう言いながら手についたスナック菓子の粉を自分のワンピースでガシガシ乱暴に拭いた。
汚いな、おぃ。せっかくの白ワンピースが。
「あ、あの……ここは天国なんですか? 俺やっぱり死んでしまったんでしょうか……」
「うむ、お前は残念だが死んだぞ」
幼女は間髪入れず返事をした。
マジか……俺やっぱり死んじゃったんだ。
俺まだ16歳だったのに。
もう少し生きてBL生活エンジョイしたかった。
BLカフェとかBL喫茶へ行かずして人生終わったのか。
俺が頭を抱えて悶えていると幼女天使が口を開いた。
「ワシの名はハニエル。一応天使だ。
通常なら死んだ者は肉体から離れた魂だけの状態になり、閻魔様の元で天国行きか地獄行きかの審判を受けるのだ。
しかしお主は猫に化けて下界で遊んでいたワシを、身を呈して助けてくれた。
礼を言っておくぞ」
ん? 何て言った?
猫に化けて?
身を呈して助けてくれた?
あの子猫はこの幼女天使だったってことか。
ぽかーんと呆けている俺に向けて続けて幼女天使は続けて言葉を口にした。
「そのお主の勇敢な行いに免じて閻魔様に特例の生き返り措置を設けて貰った。
まず一つ目。全く違う世界、違う人種、違う身分で赤ん坊として一から人生をやり直す。
その場合、前世の記憶は全て抹消されるが今よりも裕福で人間関係にも恵まれた貴族の子供として転生させよう。
二つ目は今の姿、記憶を持ったまま別の世界で生き返る。
この場合、生きやすい様に特別に3つだけチート能力を授けよう。
最後三つ目は生き返り措置ではなく、他の死者と同じく魂だけの姿になり、娯楽も何も無い天国で静かに暮らしていく。
この三つの中から選べ」
突然俺の人生を左右する非常に重大な三つの選択肢を突きつけられた。
キタキタ、キマシタヨー!
異世界転移モノの正にテンプレ。
自分がまさかマジで生き返ったり異世界へ行ける事になるとは夢にも思わなかったが本当にあったんだな。
でもまぁ、とにかく今はどの選択肢にするかを決めなきゃだな。
三つ目の魂だけになり天国で暮らすのはつまらなさそうなので選択肢から外す。
残るは一つ目の赤ん坊として生まれ変わるか二つ目のこの姿のまま異世界で生き返るかだ。
赤ん坊からやり直すのも悪くないが記憶が全て無くなるのか……
今までの自分が生きてきた思い出が全て無くなるのは正直かなり辛い。
何より大好きだったBL作品達の記憶も無くなるのが……それだけは絶対に嫌だった。
もう自分の愛するBLコレクションを手にする事はなくなっても、大切な記憶だけはしっかりと忘れずに胸に刻んでおきたい。
時々思い出して癒されたいんだよ。
それに日本とは違う異世界でもBLは存在しているだろう。
かの哲学者ソクラテスも少年を愛していたし、江戸時代でも男色家はいたらしいし。
どの時代、国にもBLは存在するはず。
ならば俺は今度は異世界で生のBLを堪能するまでだ!!
「じゃあ二つ目で! 俺を異世界で生き返らせてくれ!」
三十秒位悩んだが俺にはこれしかない。
即決だ。
「早っっっ! お主、本当にいいのか!? も、もう少し悩んだ方が……」
「いーやっ! 俺には二つ目しかない。
この姿のまま、記憶を持ったまま異世界で生き返らせてくれ!」
もはや俺に迷いなど無かった。
「よーし、分かった。決断が早い奴はワシは好きだぞ。
それでは早速お主を異世界へ転移させよう。
お主にピッタリなチート能力も付けてな」
ハニエルはそう言うと彼女の身長程の長い木の杖を突如出現させ、俺の足の方へ向けた。
すると俺の足元に魔法陣の様なものが現れ全身を眩い光に包まれた。
つま先から細かい光の粒になって俺の体が徐々に消えていく。
いよいよ異世界転移が始まったんですね!
異世界かー、どんな世界なのかなぁ。
何だかワクワクしてきたぞ。
「転移先の異世界もチート能力も、お主にピッタリなものを選んだ。言葉も通じるようにしてあるから安心するがいい。
海野大和、達者でな」
ハニエルが微笑みながら呟いた姿を見たのを最後に、俺は徐々に意識が遠のいていった。
あれ?
俺さっき事故にあって瀕死だったような。
目も見えるし手足も動く。
着ている制服も綺麗なままで何故かパイプ椅子に座っていた。
そして俺の目の前に同じくパイプ椅子に座って、下を向いてスナック菓子らしきものをポリポリ食べている幼女がいた。
綺麗な白色の腰まである姫カットのストレートロング。
頭の上にはぼんやり輪のような物が浮いている。
瞳も睫毛も白色、足首まである白のロングワンピ、背中から生えている羽根も白色……
って、
『えぇ!? て、天使……!?』
思わず叫んでしまった。
「モグモグ……ん? 気が付いたようじゃの」
白髪幼女天使がこちらを向いた。
「やっと起きてくれたか、ここにお主がやってきて二時間……暇だったからお菓子を食べて待っておったぞ」
幼女はそう言いながら手についたスナック菓子の粉を自分のワンピースでガシガシ乱暴に拭いた。
汚いな、おぃ。せっかくの白ワンピースが。
「あ、あの……ここは天国なんですか? 俺やっぱり死んでしまったんでしょうか……」
「うむ、お前は残念だが死んだぞ」
幼女は間髪入れず返事をした。
マジか……俺やっぱり死んじゃったんだ。
俺まだ16歳だったのに。
もう少し生きてBL生活エンジョイしたかった。
BLカフェとかBL喫茶へ行かずして人生終わったのか。
俺が頭を抱えて悶えていると幼女天使が口を開いた。
「ワシの名はハニエル。一応天使だ。
通常なら死んだ者は肉体から離れた魂だけの状態になり、閻魔様の元で天国行きか地獄行きかの審判を受けるのだ。
しかしお主は猫に化けて下界で遊んでいたワシを、身を呈して助けてくれた。
礼を言っておくぞ」
ん? 何て言った?
猫に化けて?
身を呈して助けてくれた?
あの子猫はこの幼女天使だったってことか。
ぽかーんと呆けている俺に向けて続けて幼女天使は続けて言葉を口にした。
「そのお主の勇敢な行いに免じて閻魔様に特例の生き返り措置を設けて貰った。
まず一つ目。全く違う世界、違う人種、違う身分で赤ん坊として一から人生をやり直す。
その場合、前世の記憶は全て抹消されるが今よりも裕福で人間関係にも恵まれた貴族の子供として転生させよう。
二つ目は今の姿、記憶を持ったまま別の世界で生き返る。
この場合、生きやすい様に特別に3つだけチート能力を授けよう。
最後三つ目は生き返り措置ではなく、他の死者と同じく魂だけの姿になり、娯楽も何も無い天国で静かに暮らしていく。
この三つの中から選べ」
突然俺の人生を左右する非常に重大な三つの選択肢を突きつけられた。
キタキタ、キマシタヨー!
異世界転移モノの正にテンプレ。
自分がまさかマジで生き返ったり異世界へ行ける事になるとは夢にも思わなかったが本当にあったんだな。
でもまぁ、とにかく今はどの選択肢にするかを決めなきゃだな。
三つ目の魂だけになり天国で暮らすのはつまらなさそうなので選択肢から外す。
残るは一つ目の赤ん坊として生まれ変わるか二つ目のこの姿のまま異世界で生き返るかだ。
赤ん坊からやり直すのも悪くないが記憶が全て無くなるのか……
今までの自分が生きてきた思い出が全て無くなるのは正直かなり辛い。
何より大好きだったBL作品達の記憶も無くなるのが……それだけは絶対に嫌だった。
もう自分の愛するBLコレクションを手にする事はなくなっても、大切な記憶だけはしっかりと忘れずに胸に刻んでおきたい。
時々思い出して癒されたいんだよ。
それに日本とは違う異世界でもBLは存在しているだろう。
かの哲学者ソクラテスも少年を愛していたし、江戸時代でも男色家はいたらしいし。
どの時代、国にもBLは存在するはず。
ならば俺は今度は異世界で生のBLを堪能するまでだ!!
「じゃあ二つ目で! 俺を異世界で生き返らせてくれ!」
三十秒位悩んだが俺にはこれしかない。
即決だ。
「早っっっ! お主、本当にいいのか!? も、もう少し悩んだ方が……」
「いーやっ! 俺には二つ目しかない。
この姿のまま、記憶を持ったまま異世界で生き返らせてくれ!」
もはや俺に迷いなど無かった。
「よーし、分かった。決断が早い奴はワシは好きだぞ。
それでは早速お主を異世界へ転移させよう。
お主にピッタリなチート能力も付けてな」
ハニエルはそう言うと彼女の身長程の長い木の杖を突如出現させ、俺の足の方へ向けた。
すると俺の足元に魔法陣の様なものが現れ全身を眩い光に包まれた。
つま先から細かい光の粒になって俺の体が徐々に消えていく。
いよいよ異世界転移が始まったんですね!
異世界かー、どんな世界なのかなぁ。
何だかワクワクしてきたぞ。
「転移先の異世界もチート能力も、お主にピッタリなものを選んだ。言葉も通じるようにしてあるから安心するがいい。
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