19 / 96
第十七話
腐男子、エルフ男と再会する
しおりを挟む
(この人……誰だっけ? 本屋のお客さん?)
フードからはチラリと切れ長の目が見える。整った顔をした男だった。
どこかで見た様な……でもどうしても思い出せない。
仕方がないので鑑定と念じ、目の前に浮かび上がった文字を読んだ。
【名前 カミユ】
【年齢 108(人族年齢だと30歳位)】
【種別 エルフ】
【性行為時立場 攻め・受け(リバ)】
【性的嗜好 緊縛・監禁陵辱・死体愛好】
えーっと……最後の一行、見覚えがある……
この男、俺が異世界に来て最初の山小屋にいた黒髪エルフ男のカミユだ。
カミユは少し微笑みながら俺の目を見つめ
「あの時はすまなかったね。何かの術を使ったのかな? 気がついたらキミ、居なくなっていたから驚いたよ」
と話した。
そうだった。俺はカミユともう一人の男に、異世界に来て早々犯されそうになったので時間停止の能力を使って逃げたんだった。
「罪滅ぼしと言ってはなんだけど、ご飯か何か奢らせてくれないかな。馴染みの店があってね、そこが安くてとても美味しい料理を出してくれるんだ。そちらの彼氏さんも是非一緒に」
「ちっ、違っ……!」
思わず席を立つ。か、彼氏じゃないし!
俺が勢いよく立ったせいでテーブルが大きく揺れてしまい、キールがガバッと起きた。
「あ、ヤマト……もう買い物終わった……ん? その人は……誰?」
キールが目をゴシゴシしながらカミユの方を見た。
まぁ、丁度美味しい物を食べてみたかったし、キールも一緒だし、ご飯代がタダなら行ってもいいかな。
俺はキールにカミユの事は知人だと伝え、一緒にその馴染みの店で昼ご飯を食べる事にした。
* * * * *
カミユの案内で本屋から歩いて二十分程の距離にある、入り組んだ路地に入る。
小さなバーなどが立ち並ぶ、飲み屋街のような感じの場所だった。
カミユは地下へと続く階段の前で立ち止まり、馴染みの店はこの下だよ、と階段を下りて行った。俺達二人も後に続き階段を下りた。
年季の入った木製のドアを開ける。ギギギーッと軋む音が鳴り響く。
中は薄暗く、細長く狭い店内だ。カウンター席のみで、客が座る椅子の後ろも人一人通るのがやっとな位の狭さ。
他に客はおらず、カウンターの中に坊主頭の筋肉ムキムキ黒タンクトップ男がグラスを拭いていた。
「アラァ~、カミユじゃない。昼間に珍しいわね~。後ろの子達は友達?」
「そうだよ。さっき本屋で偶然会ってね。おススメの美味しい料理とお酒、出してあげてくれないかな」
坊主頭の店主は任せて~とウインクをした後、材料を取りに奥へ行った。
俺達は席に横並びで座り、カミユに再びキールの事を聞かれたのでキールと俺は本屋の同僚で、今日は買い物に付いてきてもらった、と話した。
キールはカミユに軽く会釈をしたのみで、ずっと無表情で黙っていた。
キールは初対面の人に対しては皆こんな態度なのかな……。
坊主頭の店主は、食材をいくつか持ってきて手際良く切り、炒め始めた。良い匂いが漂ってくる。炒め物をしながら、鍋の方でもスープのようなものをかき混ぜている。
あっという間に料理が二品でき、カウンターテーブルの上に提供される。
一つは野菜と細長い麺をソースの様な調味料で炒めた物で焼きそばみたいな感じ。もう一つは卵と海藻とお肉が入った中華っぽいスープだ。
いただきます、と両手を合わせて焼きそばを食べる。何これ、物凄い美味しい!野菜はシャキシャキしてて、麺もモチモチ歯ごたえがあり、味もしっかりついている。
中華スープもあっさりしているのにコクがあってしつこくない。
キールも気に入った様子でガツガツ食べている。
俺とキールはニコニコ顔の坊主頭の店主とカミユに見つめられながら、無心で食事をかき込んだ。
* * * * *
《はっ!!》
……あれ? ここ、何処……?
コンクリートのような無機質な壁と床の六畳位の部屋で、座っている状態で目が覚めた。
俺の両手首……鉄製の手枷がはめられ、鎖に繋がれて頭より下へいかない様固定されている。
あれ……? 何で俺こうなっちゃってるの……?
確かさっきまでキールとご飯食べて、その後食後酒飲まされて……その後の記憶が無い。
え、待って、酒で酔って寝てた? にしてもこの部屋は? 俺どうして鎖で繋がれてる? っつーかキールはどこ?
状況が全くのみ込めずパニックになっていると、鉄製のドアが開いてカミユが入ってきた。
「あらら、もう目が覚めたんだね~残念。薬の量が足りなかったかな。でもまぁいいか」
薬!? あの酒に薬盛られてたのか?
「ここは店の隠し監禁部屋だよ。店主が趣味で作った部屋でね、僕もたまに利用させてもらってるんだ」
か……監禁……部屋!? もしかしてこの状況、非常ーーにマズイんじゃ……
「あ、あのー……俺何でここに繋がれてるの? 一緒にいたキールはどこ?」
恐る恐るカミユに聞くと、カミユは俺の前に来てしゃがみ、俺の頬を撫でながら答えた。
「あー、あの背の高い金髪の子? あの子は別室にいるよ。店主が気に入ったみたいだから、今頃食われちゃってるんじゃないかな~。
キミも今から僕が食べちゃうけどね~」
は!? おいおいちょっと待て、俺だけじゃなくてキールもヤバイ事になってるじゃん!!
俺がタダ飯に釣られてノコノコついて来ちゃったせいでキールまで巻き込んでしまった……俺のバカバカバカ!!
自責の念に駆られている俺をよそに、カミユは手慣れた様子で俺のシャツのボタンを外しだした。
「ヤッ……ヤメロ……!」
足をバタつかせ抵抗したが、両足の上に乗られ身動きが取れなくなった。
「あまり暴れないでくれるかな? 間違えて殴ってしまうかもしれないから」
カミユが笑みを浮かべて言う。でも目は笑っていなかった。
ブラウスのボタンを外されながら首筋も舐められ、俺は絶望感漂う中、必死になってこの場を切り抜ける方法を考えるのだった。
フードからはチラリと切れ長の目が見える。整った顔をした男だった。
どこかで見た様な……でもどうしても思い出せない。
仕方がないので鑑定と念じ、目の前に浮かび上がった文字を読んだ。
【名前 カミユ】
【年齢 108(人族年齢だと30歳位)】
【種別 エルフ】
【性行為時立場 攻め・受け(リバ)】
【性的嗜好 緊縛・監禁陵辱・死体愛好】
えーっと……最後の一行、見覚えがある……
この男、俺が異世界に来て最初の山小屋にいた黒髪エルフ男のカミユだ。
カミユは少し微笑みながら俺の目を見つめ
「あの時はすまなかったね。何かの術を使ったのかな? 気がついたらキミ、居なくなっていたから驚いたよ」
と話した。
そうだった。俺はカミユともう一人の男に、異世界に来て早々犯されそうになったので時間停止の能力を使って逃げたんだった。
「罪滅ぼしと言ってはなんだけど、ご飯か何か奢らせてくれないかな。馴染みの店があってね、そこが安くてとても美味しい料理を出してくれるんだ。そちらの彼氏さんも是非一緒に」
「ちっ、違っ……!」
思わず席を立つ。か、彼氏じゃないし!
俺が勢いよく立ったせいでテーブルが大きく揺れてしまい、キールがガバッと起きた。
「あ、ヤマト……もう買い物終わった……ん? その人は……誰?」
キールが目をゴシゴシしながらカミユの方を見た。
まぁ、丁度美味しい物を食べてみたかったし、キールも一緒だし、ご飯代がタダなら行ってもいいかな。
俺はキールにカミユの事は知人だと伝え、一緒にその馴染みの店で昼ご飯を食べる事にした。
* * * * *
カミユの案内で本屋から歩いて二十分程の距離にある、入り組んだ路地に入る。
小さなバーなどが立ち並ぶ、飲み屋街のような感じの場所だった。
カミユは地下へと続く階段の前で立ち止まり、馴染みの店はこの下だよ、と階段を下りて行った。俺達二人も後に続き階段を下りた。
年季の入った木製のドアを開ける。ギギギーッと軋む音が鳴り響く。
中は薄暗く、細長く狭い店内だ。カウンター席のみで、客が座る椅子の後ろも人一人通るのがやっとな位の狭さ。
他に客はおらず、カウンターの中に坊主頭の筋肉ムキムキ黒タンクトップ男がグラスを拭いていた。
「アラァ~、カミユじゃない。昼間に珍しいわね~。後ろの子達は友達?」
「そうだよ。さっき本屋で偶然会ってね。おススメの美味しい料理とお酒、出してあげてくれないかな」
坊主頭の店主は任せて~とウインクをした後、材料を取りに奥へ行った。
俺達は席に横並びで座り、カミユに再びキールの事を聞かれたのでキールと俺は本屋の同僚で、今日は買い物に付いてきてもらった、と話した。
キールはカミユに軽く会釈をしたのみで、ずっと無表情で黙っていた。
キールは初対面の人に対しては皆こんな態度なのかな……。
坊主頭の店主は、食材をいくつか持ってきて手際良く切り、炒め始めた。良い匂いが漂ってくる。炒め物をしながら、鍋の方でもスープのようなものをかき混ぜている。
あっという間に料理が二品でき、カウンターテーブルの上に提供される。
一つは野菜と細長い麺をソースの様な調味料で炒めた物で焼きそばみたいな感じ。もう一つは卵と海藻とお肉が入った中華っぽいスープだ。
いただきます、と両手を合わせて焼きそばを食べる。何これ、物凄い美味しい!野菜はシャキシャキしてて、麺もモチモチ歯ごたえがあり、味もしっかりついている。
中華スープもあっさりしているのにコクがあってしつこくない。
キールも気に入った様子でガツガツ食べている。
俺とキールはニコニコ顔の坊主頭の店主とカミユに見つめられながら、無心で食事をかき込んだ。
* * * * *
《はっ!!》
……あれ? ここ、何処……?
コンクリートのような無機質な壁と床の六畳位の部屋で、座っている状態で目が覚めた。
俺の両手首……鉄製の手枷がはめられ、鎖に繋がれて頭より下へいかない様固定されている。
あれ……? 何で俺こうなっちゃってるの……?
確かさっきまでキールとご飯食べて、その後食後酒飲まされて……その後の記憶が無い。
え、待って、酒で酔って寝てた? にしてもこの部屋は? 俺どうして鎖で繋がれてる? っつーかキールはどこ?
状況が全くのみ込めずパニックになっていると、鉄製のドアが開いてカミユが入ってきた。
「あらら、もう目が覚めたんだね~残念。薬の量が足りなかったかな。でもまぁいいか」
薬!? あの酒に薬盛られてたのか?
「ここは店の隠し監禁部屋だよ。店主が趣味で作った部屋でね、僕もたまに利用させてもらってるんだ」
か……監禁……部屋!? もしかしてこの状況、非常ーーにマズイんじゃ……
「あ、あのー……俺何でここに繋がれてるの? 一緒にいたキールはどこ?」
恐る恐るカミユに聞くと、カミユは俺の前に来てしゃがみ、俺の頬を撫でながら答えた。
「あー、あの背の高い金髪の子? あの子は別室にいるよ。店主が気に入ったみたいだから、今頃食われちゃってるんじゃないかな~。
キミも今から僕が食べちゃうけどね~」
は!? おいおいちょっと待て、俺だけじゃなくてキールもヤバイ事になってるじゃん!!
俺がタダ飯に釣られてノコノコついて来ちゃったせいでキールまで巻き込んでしまった……俺のバカバカバカ!!
自責の念に駆られている俺をよそに、カミユは手慣れた様子で俺のシャツのボタンを外しだした。
「ヤッ……ヤメロ……!」
足をバタつかせ抵抗したが、両足の上に乗られ身動きが取れなくなった。
「あまり暴れないでくれるかな? 間違えて殴ってしまうかもしれないから」
カミユが笑みを浮かべて言う。でも目は笑っていなかった。
ブラウスのボタンを外されながら首筋も舐められ、俺は絶望感漂う中、必死になってこの場を切り抜ける方法を考えるのだった。
12
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる