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第九章「波乱のダンスパーティ」
花嫁探し
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「...!!!」
キラキラと光るシャンパンタワーを中心に男女のペアがそれぞれ喋ったり踊ったりしている。驚くことに男女以外のペアもいた。男同士、女同士。顔がそっくりの二人(双子か?)いろんな形のペアが皆楽しそうに手を繋いだり囁きあったりしている。そんな不思議な光景に目が奪われた。
「...これ」
「アイザックのパーティは世間のよりだいぶ規定が緩いんだよ。同性だろうが、家族だろうが、二人が愛し合ってるなら良し。まあ主催者があれだしな」
そう言われるとすんなり頷ける。アイザックの性格ではなんでもオッケーとか笑って受け入れてもらえそうだ。ここにいる皆が笑顔でいられるならこれはこれでありだなと思った。
「な?練習にちょうどいいだろ?このパーティーならルトを笑う奴なんでどこにもいない」
「そう…だといいけど」
「はは、緊張を飛ばす為にも踊るか」
「えっ」
「ダンスパーティに来たのに踊らないわけにはいかないだろ」
「俺は・・・おどらない!」
「ああ、踊れないのか」
クスクスと笑って俺の腰に手を添えてきた。ビクッと体が反応するが、そのまま流れるようにクルクルとまわっていく。転ばないように足並み合わせて一緒のタイミングで方向転換する。
「そうそう、そこで腕をこっちに」
「えっわっちょ」
「ほら、遅い遅い」
そう言って、楽しそうにバンがリードしていく。俺はされるがままにダンスらしきものを踊った。やがてなんとなくコツが掴めるようになり、バンの顔を見る余裕が出来た。目が合い、笑いかけられる。
「飲み込み早いな、才能あるんじゃないか?」
「・・・」
「ははは、その姿で眉間にしわ寄せない」
「っわかってる!」
いつもの癖で眉間に寄せてしまうが、女子の姿でこの顔はさすがにだめだろう。俺はなるべく眉間に力を入れないように体から力を抜いた。
「ふう」
「ちょっと休憩するか?」
「そっそうする!!」
「元気な返事だこと」
ハハッと笑いながら俺を近くのテーブルに誘導していく。踊りを終えて緊張が解けたのか、靴擦れしたことに気づいた。
「...あ」
「どうした?」
「いや、なんでもない」
「?」
ここで心配させるのは嫌なので黙っておいた。不思議そうに俺を見ていたバンが誰かに肩を叩かれ振り向く。振り返ったバンがその男を見て喜ぶ。
「お!クリスじゃないか」
バンが嬉しそうにその男性の肩に腕を回した。クリスと呼ばれた男は顔色を変えずバンを見ていた。
(新しい奴がどんどん出てくるな...)
俺が盗み見していると、クリスがゆっくりと口を開いた。思ったよりも低い声が響いてくる。
「アイザックはどこだ」
「さっき入口で見たけど、もう中に入ってきてるんじゃないか?」
「...そうか」
そしてまた黙ってしまう。俺が言うのもアレだがこいつかなり寡黙な奴だな。そんなことを考えていると、クリスと目が合ってしまい、盗み見しているのがバレてしまう。何も言ってこないが無言の圧力を送られる。負けじと睨み返した。
「...」
「...」
「ん?おいおい。何、睨み合ってんだ二人共」
「バンの新しい女か」
「違う違う、ルトも髪型が崩れるから暴れるなって」
「違うのか?」
「ああ、ルトは俺の友人だ」
へえ、というような顔を向けられる。なんか文句あっかと睨もうとした時、自分が女の姿をしている事に気づく。ここで怪しまれては困るが負けたくない気持ちが勝った。ムキになって睨みつける。クリスも眉間の皴を濃くしながら見下ろしてきた。
「ルト、こっちはクリス。アイザックの恋人だ」
「...!」
さっきのアイザックとバンの会話を思いだす。刺されるとか、それが愛し方とか言ってたけどコイツのことだったのか。
(確かに危なそうなやつ…)
バンをはさんで睨み合う俺とクリス。困ったなと頭をかいてるバンだったが、そこに助け舟がきた。
「バン!さがしたぞ~こんなとこにいたんにゃー」
アイザックが会場のカップルの間をすり抜けて走り寄ってくる。それを見たクリスは誰よりも早くアイザックに駆け寄った。その姿はTHE忠犬。今までのクールっぷりはどこへやらだ。
「アイザック!」
「あ、クリスもいたんだ。ちょうどいいし皆で久しぶりに飲まない~?」
「俺は是非そうしたい所だが...」
バンが俺の方をちらりと見た。幼馴染と言っていたし、積もる話もあるだろう。だけどお人好しのバンのことだ、俺をこの場に一人で置いていくのは忍びないと思ったに違いない。俺に向けられる目がそう訴えていた。
「行ってこいよ、俺もちょうど疲れてたから、あそこで休みたかったし」
テーブル周辺では座れないので奥にあるカウンターを指差した。あそこなら腰掛ける椅子もあるから、靴擦れした足も休められるだろう。
「そうか?じゃあ…少し行ってくるが、何かあったら言えよ」
「ああわかってる」
心配するバンの背中を押す。そこまでしてやっとアイザック達の方に歩いて行った。たまに振り返って俺を見てくるので、その度に作り笑いを貼り付け手を振ってやった。過保護すぎだって。
「はあ」
疲れた。ヒールってのもそうだし、この煌びやかな空間に気疲れしたのも大きい。嫌いじゃないけど賑やかすぎだし、何より人との距離が近い。俺にとっては色々ストレスの溜まる空間だ。
「...」
カウンターまで歩いていく。端の方の椅子に腰掛け、靴擦れで痛む足首をさすった。靴を脱いだらだいぶ良くなったが、外気に触れるとヒリヒリと痛む。
「...はあ」
「オーダーは?」
「え?」
突然、上から言葉が降ってきて驚いた。見上げればカウンターの先にマスターのような男が立っていて、しきりにコップを拭いている。
「オーダー」
「えっと」
マスターの後ろに並ぶワインはどれも年代物っぽくて、俺じゃ手が伸ばせないものばかり。焦ってると右隣から声が聞こえてきた。
「俺にルカ、彼女にはイーを」
「畏まりました」
「?!」
マスターがワイン棚の上の方からとびきり高そうな一本を取り出し、ピカピカに磨かれたコップに注いだ。そして俺の前には小さく切られた果実の添えられたジュースが置かれる。戸惑ってると、頼んだ男性がこちらを見て笑った。
「おじちゃんの奢り」
「あ...えっと」
「どうぞ気にせず飲んでちょ」
「え、でも」
マスターに頼んだ時の凛とした雰囲気はどこへやら、どこかの酔っ払いみたいな態度で返される。その変わりように驚いてると
「おじちゃん、ここまでナンパした子と来てたんだけどね。彼女、トイレへ行ったきり帰ってこなくなっちゃってさ」
「...ああ」
なんとなく察して言葉を失う。いい人を他に見つけたのかこの男に飽きたのか。とにかく逃げられたんだな。当の本人はヘラヘラと笑っており平気そうなのかと思いきや、突然ばったりとカウンターに突っ伏した。
「だから、そのジュース代は彼女の分だから...おもっきし飲んじゃって...はは」
相当ショックを受けてるようだ。少々哀れに思えた。ジュースを一度見てから椅子から立ち上がる。そして。
「隣失礼します」
ジュースを持ったまま隣に腰掛けた。なんだか不憫に思えてジュース代の愚痴ぐらいは聞いてやろうと思ったのだ。俺の意図を感じたのか男はぽつりぽつりと話し出した。適当に相槌をうって聞き手にまわる。どうやら男はこの街の人間ではないらしく、花嫁を探しにわざわざ遠方から訪れてきたようだ。
(それでこのざまか...)
俺の周りには幸か不幸かモテまくりのイケメンが多くてそういう愚痴を聞かされたことはない。そのせいか余計不憫に思えて、俺も一緒になって愚痴合戦を始めていた。
「おれ…じゃなくて、私も。わかりますそれ。よく浮気されるんで」
「え、ほんとかい?お嬢ちゃんも苦労してるんだなあ」
「ルトです」
「ああ、おじちゃんの名前は...」
そこで、一瞬口ごもった。どうしたんだろうと顔を覗こうとすると、彼はすぐに口を開く。
「ヴォルド、だ。ヴォルドお兄さんでいいぞ」
「ではヴォルドおじさんで」
「うっそれはないよールトちゃーん」
「はは」
口元を押さえて笑っていると、ヴォルドが目を見開いてこちらを凝視してくる。前髪が長くて顔はよくわからないが、言動に対してそれほど老けてないように思える。
「ルトちゃん、可愛いなあ...」
「えっ」
ヴォルドさんが突然起き上がり、俺の手に自分の手を重ねてきた。何事かと構えるが何をしてくるわけでもなくただ見つめてくる。居た堪れなくて俯いた。
「ルトちゃん、浮気されるって言ってたけど今彼氏はいるん?」
「えーっと」
いるかいないか、と言われれば
「彼氏は…いません」
「あれ、そうなんだ?てっきり彼氏がいるのかと思った」
「はは...」
思い当たる節がないわけでもないけど。別に付き合ってるわけじゃない。利害の一致で共に暮らしてるだけ。決してあんな俺様悪魔が好きなわけじゃない。
(好き・・・)
そこまで考えて顔が真っ赤になる。ぶんぶんと頭を振って思考を掻き消した。
「そっか。じゃあ遠慮はいらないね。おじちゃん口説いてもいい?」
「むり、論外」
「うええ!?論外っておじちゃん泣きそう・・・」
「すみません、でも訂正はしません」
「ええー毒舌ー」
と言いつつも笑ってる。そこは大人の包容力なのかヴォルドさんは構わず手を置いたまま話しかけてくる。肩が近い。でも不思議と不快感は感じなかった。なんでかよく分からないけど、この人は気持ち悪くない。だからこうやって近づかれても、いつもみたいに蹴り落とすことはしなかった。
「あの。近いです」
でもやっぱり我慢の限界はあるわけで、軽く押し返す。
「あっごめんごめん」
「はあ...ヴォルドさん、悪いこと言わないんで故郷の方で探したほうがいいと思いますよ、花嫁は」
「何言ってるのさ、ここに適役が」
「いません」
「いる」
「子供みたいなこと言わないでください、ほらもうお酒はやめてこっち飲んでください」
「ええーもう一杯飲みたいー」
「わがまま言わない」
完全に酔っぱらいの世話になってる。俺は飲みかけのジュースをヴォルドさんに差し出した。これで少しでも薄めないと。しかし、ヴォルドさんは一向に口をつけようとせず、ただグラスを見つめている。
「何してるんですか早く飲んで」
「これさ」
「はい」
「ルトちゃんが飲んでたやつ」
「はい」
「ルトちゃんが口をつけてたグラス」
「はい..ってこら!いちいち変なこと考えんな!」
「ふはは!遅いのである!」
ヴォルドさんの考えてる内容をなんとなく察して、グラスを取り返そうとするが...既のところで奪い去られてしまった。そしてそのまま嬉しそうに飲み干していくヴォルドさん。
「ぷはー!うまい!」
「...はあ、まったく」
飲み終えたグラスを取り返し、俺はため息をついた。
(大人気ないというより、子供っぽい人だな...)
俺は空になったグラスを眺めつつ、隣に座るヴォルドさんを観察してみた。黒色の髪は緩くウェーブしていて肩につかない程度の長さ。前髪のせいで顔はよく見えない(照明も薄暗いし)けど鼻筋は高いので雰囲気はイケメンっぽい。手足は長く、スタイルもいい。グラスを傾ける姿はそれなりに色気も大人っぽさも醸し出してる...のに、女が近寄ってこないのは...やはり、問題は性格。というか雰囲気?
「...はあ」
「なにさルトちゃん」
「いえ何も。ただ、俺は応援してますよ」
「おれ?」
「あっ!私!私は応援してますので!」
ぼろが出そうになり急いで立ち上がる。そろそろバンも終わったかなと、カウンターを離れようとした。その時、ヴォルドさんの手が伸びてきて、俺の腕を掴んだ。
「えっ何」
「あし」
「足?」
「怪我してるよね」
「!っ」
そういえばすっかり忘れていた。俺靴擦れしていたんだった。下を向いて自分の足首に目をやる。痛々しく擦り剥けている傷跡。それを見たヴォルドさんが何を言うより先に、俺の靴を脱がした。びっくりしつつ取り返そうと手を伸ばす。
「ちょっなにするんだ!」
「このまま履いて帰ったら悪化するよ」
「そりゃ、そうだけど...!」
裸足では帰れない。靴を返せ、と手を差し出し睨むがヴォルドさんは返そうとしなかった。
「何するつもりだ」
「これ、おじちゃんの使いな」
「え?」
そう言って渡されたのは、今の今まで自身で履いていたヴォルドさんの皮靴だった。年季の入ったもののようだがよく手入れされているのか形が崩れていない。
「いや、ドレスに革靴って不格好...って、それにこれがないとヴォルドさんが」
「おじちゃんの事は気にしないでいいよ。酔っ払いが靴はいてないなんてザラだし。はいどーぞ」
「で、でも...」
「履かないとキスするよ」
「履く!!履きます!」
「ははっ最初から素直に履いてればいいのに、ルトちゃんは素直じゃないなあ」
苦笑しながらヴォルドさんが靴を履かせてくれた。一回り大きいヴォルドさんの革靴にすっぽりと包まれすぐに脱げそうになる。しかし先程のような痛みはなくこれ以上傷が悪化することはなさそうでホッと安心した。
「ほいほい、あとはなるべく早めに手当するんだよ」
「...ありがと、ございます」
「あらー素直にお礼言われるとおじちゃん照れちゃうなあ~」
「...っ」
「お礼はこれでいいよ?」
自らの頬を指差してウィンクしてきた。そこにキスしろと?俺はしかめっ面のまま頭を横に振った。
「それは無理」
「だと思ったー残念!」
特に傷ついたようでもない様子。特に期待はしていなかったようだ。
(だけど、この恩は返したいよな・・・)
と考えていた時だった。
「きゃーあの人見てみて!」
「何あのイケメン!」
「でも見たことのないお顔ね?」
カウンター近くにいた女性たちがざわめきだす。何事かとその視線の先を見て、凍り付いた。
カツ、カツン…
その姿に心臓が止まるかと思った。
(う、嘘だろ・・・?)
見間違いか。いや、そんなわけない。何度見直しても確信が強まるだけ。どうしてお前がここに・・・
(レイン・・?!)
あの甘い微笑み、柔らかな物腰、ぼうっと見とれてしまうスタイル。すらりと長い手足。外見だけ見ればどこぞの貴公子だが。
(見間違うわけがない...あれは、森の中で俺を見下ろした目だ)
暗く不穏な光を宿した目。あれは・・・あの日、俺を、ザクをボロボロにした犯人と同じものだ。
(どうして、なんでレインがここに?)
俺は一気に頭の中が沸騰しそうになった。いろんな感情がぐちゃぐちゃに混ざり合って激しい頭痛に襲われた。拳を強く握り締め、殴りかかろうとする衝動を必死に抑える。ここはバンの友人が主催した大切なパーティだ。ここで暴れるわけにはいかない。それに今はザクがいない...もしレインのそばに使い魔がいたら完全に不利だ。
「大丈夫?ルトちゃん」
ヴォルドさんが心配そうに俺の肩をたたいてくる。そうだった、今俺は女の姿だった。流石にこのままレインと接触したくない。
「だ…大丈夫です、すみません」
「おじちゃんはもう行くけどルトちゃんはどうする?」
「えっと、連れが迎えに来るので」
「ああ、そっかそっか」
じゃあ心配いらんな、と笑って俺に手を振った。カウンターに酒代を置き身なりを整え、ヴォルドさんは颯爽と去っていく。
「...」
一人になると、不思議なぐらい心細くなった。レインと出くわすのが怖くてカウンター椅子から離れられない。レインはシャンパンタワーの会場中央部にいたから、ここにいればまず見つかることはないだろう。
(どうする...)
氷が溶けて水だけになったグラスを握り締める。
「やっほおお!お嬢ちゃんっ」
「ーっ!」
突然、隣に誰かが座ってきた。体をびくりと震わせ俯く。
(誰だ・・・)
ゆっくりと声のした方を見れば、どこかで見た顔がそこにあった。眩しい金髪にたくさんのピアス。真っ黒な目の下のクマ。
(あれ、コイツどこかで・・・あ!!思い出した..!レインの使い魔の...えっと)
「オレサマの名前はジャックルってんだ、ジャックでいいぜえ」
「...」
そう、ジャックと呼ばれていた。レインの使い魔で俺たちを追い込んだ一人。あの時の事が蘇り、顔をしかめる。
(くそ、こんなに早くバレるなんて...!)
冷や汗が背中を伝う。
キラキラと光るシャンパンタワーを中心に男女のペアがそれぞれ喋ったり踊ったりしている。驚くことに男女以外のペアもいた。男同士、女同士。顔がそっくりの二人(双子か?)いろんな形のペアが皆楽しそうに手を繋いだり囁きあったりしている。そんな不思議な光景に目が奪われた。
「...これ」
「アイザックのパーティは世間のよりだいぶ規定が緩いんだよ。同性だろうが、家族だろうが、二人が愛し合ってるなら良し。まあ主催者があれだしな」
そう言われるとすんなり頷ける。アイザックの性格ではなんでもオッケーとか笑って受け入れてもらえそうだ。ここにいる皆が笑顔でいられるならこれはこれでありだなと思った。
「な?練習にちょうどいいだろ?このパーティーならルトを笑う奴なんでどこにもいない」
「そう…だといいけど」
「はは、緊張を飛ばす為にも踊るか」
「えっ」
「ダンスパーティに来たのに踊らないわけにはいかないだろ」
「俺は・・・おどらない!」
「ああ、踊れないのか」
クスクスと笑って俺の腰に手を添えてきた。ビクッと体が反応するが、そのまま流れるようにクルクルとまわっていく。転ばないように足並み合わせて一緒のタイミングで方向転換する。
「そうそう、そこで腕をこっちに」
「えっわっちょ」
「ほら、遅い遅い」
そう言って、楽しそうにバンがリードしていく。俺はされるがままにダンスらしきものを踊った。やがてなんとなくコツが掴めるようになり、バンの顔を見る余裕が出来た。目が合い、笑いかけられる。
「飲み込み早いな、才能あるんじゃないか?」
「・・・」
「ははは、その姿で眉間にしわ寄せない」
「っわかってる!」
いつもの癖で眉間に寄せてしまうが、女子の姿でこの顔はさすがにだめだろう。俺はなるべく眉間に力を入れないように体から力を抜いた。
「ふう」
「ちょっと休憩するか?」
「そっそうする!!」
「元気な返事だこと」
ハハッと笑いながら俺を近くのテーブルに誘導していく。踊りを終えて緊張が解けたのか、靴擦れしたことに気づいた。
「...あ」
「どうした?」
「いや、なんでもない」
「?」
ここで心配させるのは嫌なので黙っておいた。不思議そうに俺を見ていたバンが誰かに肩を叩かれ振り向く。振り返ったバンがその男を見て喜ぶ。
「お!クリスじゃないか」
バンが嬉しそうにその男性の肩に腕を回した。クリスと呼ばれた男は顔色を変えずバンを見ていた。
(新しい奴がどんどん出てくるな...)
俺が盗み見していると、クリスがゆっくりと口を開いた。思ったよりも低い声が響いてくる。
「アイザックはどこだ」
「さっき入口で見たけど、もう中に入ってきてるんじゃないか?」
「...そうか」
そしてまた黙ってしまう。俺が言うのもアレだがこいつかなり寡黙な奴だな。そんなことを考えていると、クリスと目が合ってしまい、盗み見しているのがバレてしまう。何も言ってこないが無言の圧力を送られる。負けじと睨み返した。
「...」
「...」
「ん?おいおい。何、睨み合ってんだ二人共」
「バンの新しい女か」
「違う違う、ルトも髪型が崩れるから暴れるなって」
「違うのか?」
「ああ、ルトは俺の友人だ」
へえ、というような顔を向けられる。なんか文句あっかと睨もうとした時、自分が女の姿をしている事に気づく。ここで怪しまれては困るが負けたくない気持ちが勝った。ムキになって睨みつける。クリスも眉間の皴を濃くしながら見下ろしてきた。
「ルト、こっちはクリス。アイザックの恋人だ」
「...!」
さっきのアイザックとバンの会話を思いだす。刺されるとか、それが愛し方とか言ってたけどコイツのことだったのか。
(確かに危なそうなやつ…)
バンをはさんで睨み合う俺とクリス。困ったなと頭をかいてるバンだったが、そこに助け舟がきた。
「バン!さがしたぞ~こんなとこにいたんにゃー」
アイザックが会場のカップルの間をすり抜けて走り寄ってくる。それを見たクリスは誰よりも早くアイザックに駆け寄った。その姿はTHE忠犬。今までのクールっぷりはどこへやらだ。
「アイザック!」
「あ、クリスもいたんだ。ちょうどいいし皆で久しぶりに飲まない~?」
「俺は是非そうしたい所だが...」
バンが俺の方をちらりと見た。幼馴染と言っていたし、積もる話もあるだろう。だけどお人好しのバンのことだ、俺をこの場に一人で置いていくのは忍びないと思ったに違いない。俺に向けられる目がそう訴えていた。
「行ってこいよ、俺もちょうど疲れてたから、あそこで休みたかったし」
テーブル周辺では座れないので奥にあるカウンターを指差した。あそこなら腰掛ける椅子もあるから、靴擦れした足も休められるだろう。
「そうか?じゃあ…少し行ってくるが、何かあったら言えよ」
「ああわかってる」
心配するバンの背中を押す。そこまでしてやっとアイザック達の方に歩いて行った。たまに振り返って俺を見てくるので、その度に作り笑いを貼り付け手を振ってやった。過保護すぎだって。
「はあ」
疲れた。ヒールってのもそうだし、この煌びやかな空間に気疲れしたのも大きい。嫌いじゃないけど賑やかすぎだし、何より人との距離が近い。俺にとっては色々ストレスの溜まる空間だ。
「...」
カウンターまで歩いていく。端の方の椅子に腰掛け、靴擦れで痛む足首をさすった。靴を脱いだらだいぶ良くなったが、外気に触れるとヒリヒリと痛む。
「...はあ」
「オーダーは?」
「え?」
突然、上から言葉が降ってきて驚いた。見上げればカウンターの先にマスターのような男が立っていて、しきりにコップを拭いている。
「オーダー」
「えっと」
マスターの後ろに並ぶワインはどれも年代物っぽくて、俺じゃ手が伸ばせないものばかり。焦ってると右隣から声が聞こえてきた。
「俺にルカ、彼女にはイーを」
「畏まりました」
「?!」
マスターがワイン棚の上の方からとびきり高そうな一本を取り出し、ピカピカに磨かれたコップに注いだ。そして俺の前には小さく切られた果実の添えられたジュースが置かれる。戸惑ってると、頼んだ男性がこちらを見て笑った。
「おじちゃんの奢り」
「あ...えっと」
「どうぞ気にせず飲んでちょ」
「え、でも」
マスターに頼んだ時の凛とした雰囲気はどこへやら、どこかの酔っ払いみたいな態度で返される。その変わりように驚いてると
「おじちゃん、ここまでナンパした子と来てたんだけどね。彼女、トイレへ行ったきり帰ってこなくなっちゃってさ」
「...ああ」
なんとなく察して言葉を失う。いい人を他に見つけたのかこの男に飽きたのか。とにかく逃げられたんだな。当の本人はヘラヘラと笑っており平気そうなのかと思いきや、突然ばったりとカウンターに突っ伏した。
「だから、そのジュース代は彼女の分だから...おもっきし飲んじゃって...はは」
相当ショックを受けてるようだ。少々哀れに思えた。ジュースを一度見てから椅子から立ち上がる。そして。
「隣失礼します」
ジュースを持ったまま隣に腰掛けた。なんだか不憫に思えてジュース代の愚痴ぐらいは聞いてやろうと思ったのだ。俺の意図を感じたのか男はぽつりぽつりと話し出した。適当に相槌をうって聞き手にまわる。どうやら男はこの街の人間ではないらしく、花嫁を探しにわざわざ遠方から訪れてきたようだ。
(それでこのざまか...)
俺の周りには幸か不幸かモテまくりのイケメンが多くてそういう愚痴を聞かされたことはない。そのせいか余計不憫に思えて、俺も一緒になって愚痴合戦を始めていた。
「おれ…じゃなくて、私も。わかりますそれ。よく浮気されるんで」
「え、ほんとかい?お嬢ちゃんも苦労してるんだなあ」
「ルトです」
「ああ、おじちゃんの名前は...」
そこで、一瞬口ごもった。どうしたんだろうと顔を覗こうとすると、彼はすぐに口を開く。
「ヴォルド、だ。ヴォルドお兄さんでいいぞ」
「ではヴォルドおじさんで」
「うっそれはないよールトちゃーん」
「はは」
口元を押さえて笑っていると、ヴォルドが目を見開いてこちらを凝視してくる。前髪が長くて顔はよくわからないが、言動に対してそれほど老けてないように思える。
「ルトちゃん、可愛いなあ...」
「えっ」
ヴォルドさんが突然起き上がり、俺の手に自分の手を重ねてきた。何事かと構えるが何をしてくるわけでもなくただ見つめてくる。居た堪れなくて俯いた。
「ルトちゃん、浮気されるって言ってたけど今彼氏はいるん?」
「えーっと」
いるかいないか、と言われれば
「彼氏は…いません」
「あれ、そうなんだ?てっきり彼氏がいるのかと思った」
「はは...」
思い当たる節がないわけでもないけど。別に付き合ってるわけじゃない。利害の一致で共に暮らしてるだけ。決してあんな俺様悪魔が好きなわけじゃない。
(好き・・・)
そこまで考えて顔が真っ赤になる。ぶんぶんと頭を振って思考を掻き消した。
「そっか。じゃあ遠慮はいらないね。おじちゃん口説いてもいい?」
「むり、論外」
「うええ!?論外っておじちゃん泣きそう・・・」
「すみません、でも訂正はしません」
「ええー毒舌ー」
と言いつつも笑ってる。そこは大人の包容力なのかヴォルドさんは構わず手を置いたまま話しかけてくる。肩が近い。でも不思議と不快感は感じなかった。なんでかよく分からないけど、この人は気持ち悪くない。だからこうやって近づかれても、いつもみたいに蹴り落とすことはしなかった。
「あの。近いです」
でもやっぱり我慢の限界はあるわけで、軽く押し返す。
「あっごめんごめん」
「はあ...ヴォルドさん、悪いこと言わないんで故郷の方で探したほうがいいと思いますよ、花嫁は」
「何言ってるのさ、ここに適役が」
「いません」
「いる」
「子供みたいなこと言わないでください、ほらもうお酒はやめてこっち飲んでください」
「ええーもう一杯飲みたいー」
「わがまま言わない」
完全に酔っぱらいの世話になってる。俺は飲みかけのジュースをヴォルドさんに差し出した。これで少しでも薄めないと。しかし、ヴォルドさんは一向に口をつけようとせず、ただグラスを見つめている。
「何してるんですか早く飲んで」
「これさ」
「はい」
「ルトちゃんが飲んでたやつ」
「はい」
「ルトちゃんが口をつけてたグラス」
「はい..ってこら!いちいち変なこと考えんな!」
「ふはは!遅いのである!」
ヴォルドさんの考えてる内容をなんとなく察して、グラスを取り返そうとするが...既のところで奪い去られてしまった。そしてそのまま嬉しそうに飲み干していくヴォルドさん。
「ぷはー!うまい!」
「...はあ、まったく」
飲み終えたグラスを取り返し、俺はため息をついた。
(大人気ないというより、子供っぽい人だな...)
俺は空になったグラスを眺めつつ、隣に座るヴォルドさんを観察してみた。黒色の髪は緩くウェーブしていて肩につかない程度の長さ。前髪のせいで顔はよく見えない(照明も薄暗いし)けど鼻筋は高いので雰囲気はイケメンっぽい。手足は長く、スタイルもいい。グラスを傾ける姿はそれなりに色気も大人っぽさも醸し出してる...のに、女が近寄ってこないのは...やはり、問題は性格。というか雰囲気?
「...はあ」
「なにさルトちゃん」
「いえ何も。ただ、俺は応援してますよ」
「おれ?」
「あっ!私!私は応援してますので!」
ぼろが出そうになり急いで立ち上がる。そろそろバンも終わったかなと、カウンターを離れようとした。その時、ヴォルドさんの手が伸びてきて、俺の腕を掴んだ。
「えっ何」
「あし」
「足?」
「怪我してるよね」
「!っ」
そういえばすっかり忘れていた。俺靴擦れしていたんだった。下を向いて自分の足首に目をやる。痛々しく擦り剥けている傷跡。それを見たヴォルドさんが何を言うより先に、俺の靴を脱がした。びっくりしつつ取り返そうと手を伸ばす。
「ちょっなにするんだ!」
「このまま履いて帰ったら悪化するよ」
「そりゃ、そうだけど...!」
裸足では帰れない。靴を返せ、と手を差し出し睨むがヴォルドさんは返そうとしなかった。
「何するつもりだ」
「これ、おじちゃんの使いな」
「え?」
そう言って渡されたのは、今の今まで自身で履いていたヴォルドさんの皮靴だった。年季の入ったもののようだがよく手入れされているのか形が崩れていない。
「いや、ドレスに革靴って不格好...って、それにこれがないとヴォルドさんが」
「おじちゃんの事は気にしないでいいよ。酔っ払いが靴はいてないなんてザラだし。はいどーぞ」
「で、でも...」
「履かないとキスするよ」
「履く!!履きます!」
「ははっ最初から素直に履いてればいいのに、ルトちゃんは素直じゃないなあ」
苦笑しながらヴォルドさんが靴を履かせてくれた。一回り大きいヴォルドさんの革靴にすっぽりと包まれすぐに脱げそうになる。しかし先程のような痛みはなくこれ以上傷が悪化することはなさそうでホッと安心した。
「ほいほい、あとはなるべく早めに手当するんだよ」
「...ありがと、ございます」
「あらー素直にお礼言われるとおじちゃん照れちゃうなあ~」
「...っ」
「お礼はこれでいいよ?」
自らの頬を指差してウィンクしてきた。そこにキスしろと?俺はしかめっ面のまま頭を横に振った。
「それは無理」
「だと思ったー残念!」
特に傷ついたようでもない様子。特に期待はしていなかったようだ。
(だけど、この恩は返したいよな・・・)
と考えていた時だった。
「きゃーあの人見てみて!」
「何あのイケメン!」
「でも見たことのないお顔ね?」
カウンター近くにいた女性たちがざわめきだす。何事かとその視線の先を見て、凍り付いた。
カツ、カツン…
その姿に心臓が止まるかと思った。
(う、嘘だろ・・・?)
見間違いか。いや、そんなわけない。何度見直しても確信が強まるだけ。どうしてお前がここに・・・
(レイン・・?!)
あの甘い微笑み、柔らかな物腰、ぼうっと見とれてしまうスタイル。すらりと長い手足。外見だけ見ればどこぞの貴公子だが。
(見間違うわけがない...あれは、森の中で俺を見下ろした目だ)
暗く不穏な光を宿した目。あれは・・・あの日、俺を、ザクをボロボロにした犯人と同じものだ。
(どうして、なんでレインがここに?)
俺は一気に頭の中が沸騰しそうになった。いろんな感情がぐちゃぐちゃに混ざり合って激しい頭痛に襲われた。拳を強く握り締め、殴りかかろうとする衝動を必死に抑える。ここはバンの友人が主催した大切なパーティだ。ここで暴れるわけにはいかない。それに今はザクがいない...もしレインのそばに使い魔がいたら完全に不利だ。
「大丈夫?ルトちゃん」
ヴォルドさんが心配そうに俺の肩をたたいてくる。そうだった、今俺は女の姿だった。流石にこのままレインと接触したくない。
「だ…大丈夫です、すみません」
「おじちゃんはもう行くけどルトちゃんはどうする?」
「えっと、連れが迎えに来るので」
「ああ、そっかそっか」
じゃあ心配いらんな、と笑って俺に手を振った。カウンターに酒代を置き身なりを整え、ヴォルドさんは颯爽と去っていく。
「...」
一人になると、不思議なぐらい心細くなった。レインと出くわすのが怖くてカウンター椅子から離れられない。レインはシャンパンタワーの会場中央部にいたから、ここにいればまず見つかることはないだろう。
(どうする...)
氷が溶けて水だけになったグラスを握り締める。
「やっほおお!お嬢ちゃんっ」
「ーっ!」
突然、隣に誰かが座ってきた。体をびくりと震わせ俯く。
(誰だ・・・)
ゆっくりと声のした方を見れば、どこかで見た顔がそこにあった。眩しい金髪にたくさんのピアス。真っ黒な目の下のクマ。
(あれ、コイツどこかで・・・あ!!思い出した..!レインの使い魔の...えっと)
「オレサマの名前はジャックルってんだ、ジャックでいいぜえ」
「...」
そう、ジャックと呼ばれていた。レインの使い魔で俺たちを追い込んだ一人。あの時の事が蘇り、顔をしかめる。
(くそ、こんなに早くバレるなんて...!)
冷や汗が背中を伝う。
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