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第2章 【異世界からの侵略者】
第2章14 【少女の叫び】
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ヴァル「クソっ、目を覚ませ!ヒカリ!」
ヴァルがヒカリの攻撃をかわしながら叫ぶ。しかし、ヒカリにその言葉は届かない。何をされたのかは分からないが、ヒカリは洗脳というよりも、別の何かで操られている気がする。
ヒカリ「............」
そんなことを考えている間も、ヒカリは容赦なく攻撃をし続ける。
ヴェルド「やっぱり、さっきのアイツを倒さねえといけねえか......」
ヴェルドがヒカリの攻撃を防ぎながら言う。
フウロ「しかし、肝心の奴の姿がどこにも見当たらない。一体、どこに消えたんだ?」
さっきの男は意味深な発言をした後姿をくらましている。恐らくはどこかで、この光景を見ていると思われる。
ヴァル「このままやり続けても埒が明かねえ。何かねえのか……」
ヴァルとアルテミスがこちらに引き返してくる。ヒカリの攻撃は、時間が経つにつれ激しくなってきている気がする。
ヒカリ「............」
ヒカリの攻撃は休まる暇が無い、ひたすらに攻撃を続けてくる。
ヴェルド「なんとか、隙を見せてくれねえものか......」
ヴェルドもこちらに引き返してくる。今のヒカリは隙を見せることなんてないだろう。むしろ、私達がほんの一瞬でも隙を見せたらやられそうなレベルである。
ヒカリ「......」
ーー途端に、なぜかヒカリの動きが止まった。
フウロ「今だ!」
フウロとヴァルがすかさず攻め込む。ーーしかし、私は咄嗟に2人を止めようと手を伸ばした。
「ーーエンド カラー」
ヒカリの動きが止まった。そして、その好機を逃さまいとフウロとヴァルが攻めた。それは、間違いだった。私にはそれが勘で分かった。
洞内に大きな爆発がヒカリを中心にして起こる咄嗟のことにフウロとヴァルは避けることが出来ない。否、それは私も同じだった。
避けることが出来ないほどの爆発が起きたーー
……
……
……
「うっ......」
しばらくして、私は体を起こす。辛うじて直撃を逃れたようだ。いや、違う。
ヴェルド「大丈夫か......セリカ......」
ヴェルドが私の正面に立ち、ヒカリの攻撃を防いでくれた。そして、私の無事を確認したヴェルドが、ゆっくりと倒れていく。
「ヴェルド!」
私はヴェルドの体に触れる。息はある。気絶しただけのようだ。
ーー私は目の前を見る。フウロとヴァルが、ヴェルドと同じように仰向けで倒れていた。隣の方ではアルテミスも同じようにしている。
私だけが助かってしまったのか……。私なんかを守るより、アルテミスを守った方が余っ程有用だったかもしれないのに……。
ヒカリ「............」
ヒカリがゆっくりとこちらに近づいてくる。
「ヒカ......リん......」
ヒカリが私に照準を定め、掌をゆっくりとこちらに差し出してくる。禍々しく黒い火の玉が、ゆっくりと形成されていく。
「ーーお願い、ヒカリん。目を......覚まして!」
私は喉に意識を集中させて叫ぶ。
ヒカリ「............」
ヒカリは応答しない。
「お願いヒカリん。思い出して。私達と過ごした時間を。そんなに長くなかったけど、私にとっては大事な時間だったの」
気づいた時、私の目には涙が浮かんでいた。時間が経つにつれてどんどんと溢れていき、やがては目の前が見えなくなるほどに涙で視界が滲んでいる。
「私、昔から友達がいなくて、ギルドに入っても、周りは、友達というより、ただの仲間って、感じだった。でも、ヒカリんは、私にとって、友達って、呼べる存在だった。だから......」
途中途中で息を切らしながら叫ぶ。ヒカリの心に届くように。ヒカリの心に響くように。
ヒカリ「............」
ヒカリの手に火の玉が出来上がる。
「ヒカリん......」
ヒカリ「............」
私の説得も意味がなく、ヒカリが私にトドメを刺そうと火の玉を飛ばしてきた。終わりを覚悟した。この攻撃を直に喰らえば助からない。そして、私には避けることができなかった。
全てがゆっくりと見える中、私は黙って目を閉じた。
「させるかよ!」
攻撃は当たらなかった。私は薄らと目を開ける。目の前にヴァルでも、ヴェルドでもない男の人が立って、ヒカリの腕を掴んでいた。
「嬢ちゃん、ここは俺に任せて下がってな」
男が振り向きながらに言う。私は言われた通りに後ろへと後ずさる。
「おい、ラース。聞こえてんだろ!出てこいよ!」
男はヒカリの腕を掴んだまま空に向かって叫ぶ。
「シヴァか......確か、お前にはイーリアスの侵攻を命じていたはずなんだがな」
さっきの男が現れる。
シヴァ「生憎、勘だけは良いからな」
「その感が羨ましいよ。私には何をするべきかが全くもって見えない」
ヒカリを洗脳した男改めラースと、私を守ってくれた男改めシヴァがヒカリを挟んで会話を続ける。
シヴァ「ーーラース1つ聞きたいことがある」
ラース「なんだね?」
シヴァ「ヒカリに何をした?」
シヴァが静かだが、ハッキリとした威圧感を与えるような口調で言う。
ラース「フッ......簡単な話さ。ヒカリが持っていたメモリをヒカリの体に挿し込んだ。それだけだ」
シヴァ「挿し込んだ......だと?」
シヴァが聞き返す。
ラース「あぁ、そうだ。裏切り者には罰を与えなければならない。今回は被検体になれただけ有難く思って欲しいね」
そう言うと、ラースは何が面白いのか笑いだした。
シヴァ「テメェ......」
シヴァがラースを睨み、歯軋りをする。そして、唾を飲み込んだかと思うと、こう言った。
シヴァ「ラース、俺は決めたぞ」
シヴァが決意に満ちた顔で言う。
ラース「ほう、何を決めたというのだ?」
ラースは興味深げにシヴァの目を見据える。
シヴァ「......今日限りで俺は『解放軍』をやめる」
シヴァが静かに、だが、ハッキリとした口調で言う。
ラース「ーー貴様も裏切ると言うのか」
シヴァ「あぁ、そうだ。俺の可愛い妹にこんな真似をしやがって......テメェは今、ここで死んでもらう!」
シヴァはラースの目を見据え、洞内に響くように大声で言った。
シヴァが宣戦布告した相手は、恐らく敵軍の中で一番強いと思われるラースだ。なのに、なぜそんな相手に宣戦布告をするのか。それが、私にはよく分かった。
『俺の可愛い妹にこんな真似をしやがって』
シヴァが先程言った言葉は、シヴァとヒカリを兄妹であると意味するものである。それに、ヒカリは兄がいると言っていた。2人の兄妹愛はかなり大きいと思われる。ただ、それでも今、ラースに戦いを挑むのはハッキリ言って無謀である。それに、ヒカリは未だに自分を取り戻せていない。
「ダメだよ......そんな奴に勝てれるわけがない......」
私は独り言のように呟いた。
シヴァ「うるせぇ、俺はこいつを殺す。黙って見てな」
独り言のつもりだったが、シヴァにはハッキリ聞こえていたらしい。
ラース「私を殺す前にやらなければならないことがあるのではないか?」
ラースがシヴァに向かって問いかける。やらなければならないこと、それはヒカリのことだろう。
ラース「果たして、君にヒカリを倒すことが出来るかな?」
ラースが余裕の笑みを浮かべながら言う。そして、それが合図であったかのように、再びヒカリが動き出し、攻撃を再開する。
シヴァ「チッやるしかねえのか」
そう言いながら、シヴァがヒカリの攻撃を真正面の位置で全てかわす。
ラース「さて、私はここでのんびり観戦とでもいくか......」
ラースが、片手を地面に当てて椅子を作り、その上に座り込む。多分、錬金術だと思う。手のひらに錬成陣があったのを私は見てたし。
「いや、貴様にはそのまま死んでもらおうか」
ラースが座った途端、何かがラースを襲った。
フウロ「シヴァと言ったな。こいつは私達で始末する」
フウロだった。いや、フウロだけではない。よく見渡すと、いつの間にかヴァルの姿も消えている。
ヴァル「ヘルドライブ!」
ヴァルがフウロの反対側からラースに向かって攻撃をする。その攻撃は、ラースに直撃した。
ラース「ウザったらしいガキ共が......」
ラースの顔に微かな火傷ができていた。
ラース「デス・ブレイド」
ラースが反撃を仕掛けてくる。ラースの魔法は空中に刃を作り、それをヴァル達の方向へと投げつけてきた。ヴァルとフウロは後方に飛び退くことで回避した。
ヒカリ「............」
攻撃をしてくるのはラースだけではない。ヒカリも同様にシヴァに向かって攻撃をする。
ヒカリ「ヘル・ブレイド」
ヒカリもラースと同じように空中に刃を作り、それをシヴァに向かって投げつける。違う点として、刃に炎がまとわりついている。それを、シヴァもヴァル達と同じように後ろに飛び退くことで回避する。ただ、その時、咄嗟に手を離してしまったせいでヒカリが自由の身となってしまった。
シヴァとヴァル、フウロが互いの背中を合わせる。
シヴァ「お前らがヒカリを唆した張本人か......」
シヴァが後ろのヴァル達に向かって言う。
ヴァル「別に唆したつもりは無かったんだけどな」
ヴァルはあっけらかんとした感じで答える。
シヴァ「フン、お前らのせいで俺もこの軍を裏切る羽目になった。後で責任を取ってもらおうか」
ヴァル「この戦いに勝ったらな」
そう言い合った後、ヴァル達はラースの方へ、シヴァはヒカリの方に向けて攻撃をし始める。
ヴァル「ヘル・グランド!」
フウロ「爆炎剣!」
シヴァ「フレイムドラゴンクロー!」
3人が同時に火属性の大魔法を発動する。洞内に激しい爆風が起こる。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「あの、セリカさん達大丈夫でしょうか?」
私は隣に立つ酒飲m……グリードにそう問いかける。
グリード「さあな。あのまま殺られたかもしれんし、今頃帰ってきてるかもしれない。ただ、一つだけ言えることは、エフィ、俺達はこいつをぶっ飛ばさなきゃならねえ、それだけだ」
グリードは私の問いに目前の女を見据えながら答える。私もそれにつられて女の方を見る。
この女は自らのことを『ミラー』と名乗った。そして、他の敵と同様にグランメモリの所持者であった。
ミラー「あら、ワタクシとの戦闘中にお喋りとは、随分と余裕そうですね」
ミラーが不気味な笑みを浮かべながら言う。
グリード「あぁ、余裕だな。お前は他の奴らと違って大して強くねえからな」
グリードが挑発するように答える。
ミラー「そうですか?あなた達のことを思って手加減をしてあげましたのに、本気を出して欲しいのですね?」
そう言うと、ミラーは胸元から小さな箱を取り出す。
グリード「やっと本気で戦う気になったか」
グリードはそう言うが、言葉に反して表情にはあまり余裕がなさそうな感じがした。
ミラー「あら?これを出した途端に随分と余裕な感じがしなくなりましたね?」
それを察したミラーが再び不気味な笑みを浮かべる。
《ユニコーン》
そして、ミラーは自身の胸元にメモリを挿し込む。ミラーの体が獣の姿に変わり、その見た目は名前通りのユニコーンだった。
「では、続きを始めましょうか?」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
エフィとグリードがミラーと戦っている時、ミラ、レラ、シアラは『カゲロウ』と名乗る侵略者の幹部的存在と戦っていた。
「ウォータースパイラル!」
シアラは目前の男、カゲロウに向かって幾度となく攻撃をする。
カゲロウ「............」
しかし、それは鮮やかに避けられる。先程からこれの繰り返しだ。攻撃をしても全てかわされる。しかし、カゲロウからはこちらに向かって攻撃をしてこない。
こちらの体力が充分に無くなったところで、攻撃を仕掛ける算段か......
シアラ達にはそれが分かってはいたが攻撃をやめることをしなかった。1発でも攻撃を当てれば、相手のリズムを崩せると思っていたからだ。しかし、今の状態ではそうすること自体間違っていたと思われる。
レラ「さっきから避けてばっかりで、ちょっとは攻撃するか私達の攻撃に当たりなさいよ!」
痺れを切らしたレラがそう叫ぶ。そう言ったところで無駄な話なのだとシアラは思うのですが......
カゲロウ「拙者は貴様らと戦うつもりはない。貴様らの力に限界が来た時にその防衛を突破する。戦わずして勝つということだ」
カゲロウは淡々とそう言う。シアラ達はこの世界を侵略者の手から守っているだけだ。そうなのだから、シアラ達を倒せばそれでいいはずである。しかし、カゲロウは『戦わずして勝つ』と言っている。一体何を狙っているというのですか。
カゲロウ「......この状況ではラース様に叱られるだけだな。時間が思った以上にかかりすぎた。少し本気を出すとするか」
そう言うと、カゲロウは腰の辺りから小さな箱を取り出す。
《ビートル》
そうだとは思っていたが、それはグランメモリであった。カゲロウはそれを自分の額に差し込む。背中辺りから羽が生え、カブトムシのような姿に変わっていく。
カゲロウ「死にたくなければ道を開けろ」
カゲロウがダミのかかった声で言う。道を開けろと言われたところで、退くという選択肢はない。
ミラ「あなたの方こそ大人しく私達にやられなさい」
ミラがそう言い、自身の体を半人半獣の姿に変える。レラも同じように自身の姿を半人半獣の姿へと変える。
「ヴェルド様が帰ってくるまでにあなたを倒します。そして、ヴェルド様に褒めてもらいますぅ」
シアラはカゲロウに向かって挑発をする。ついでに、ヴェルド様への愛情も込めて。
ヴァルがヒカリの攻撃をかわしながら叫ぶ。しかし、ヒカリにその言葉は届かない。何をされたのかは分からないが、ヒカリは洗脳というよりも、別の何かで操られている気がする。
ヒカリ「............」
そんなことを考えている間も、ヒカリは容赦なく攻撃をし続ける。
ヴェルド「やっぱり、さっきのアイツを倒さねえといけねえか......」
ヴェルドがヒカリの攻撃を防ぎながら言う。
フウロ「しかし、肝心の奴の姿がどこにも見当たらない。一体、どこに消えたんだ?」
さっきの男は意味深な発言をした後姿をくらましている。恐らくはどこかで、この光景を見ていると思われる。
ヴァル「このままやり続けても埒が明かねえ。何かねえのか……」
ヴァルとアルテミスがこちらに引き返してくる。ヒカリの攻撃は、時間が経つにつれ激しくなってきている気がする。
ヒカリ「............」
ヒカリの攻撃は休まる暇が無い、ひたすらに攻撃を続けてくる。
ヴェルド「なんとか、隙を見せてくれねえものか......」
ヴェルドもこちらに引き返してくる。今のヒカリは隙を見せることなんてないだろう。むしろ、私達がほんの一瞬でも隙を見せたらやられそうなレベルである。
ヒカリ「......」
ーー途端に、なぜかヒカリの動きが止まった。
フウロ「今だ!」
フウロとヴァルがすかさず攻め込む。ーーしかし、私は咄嗟に2人を止めようと手を伸ばした。
「ーーエンド カラー」
ヒカリの動きが止まった。そして、その好機を逃さまいとフウロとヴァルが攻めた。それは、間違いだった。私にはそれが勘で分かった。
洞内に大きな爆発がヒカリを中心にして起こる咄嗟のことにフウロとヴァルは避けることが出来ない。否、それは私も同じだった。
避けることが出来ないほどの爆発が起きたーー
……
……
……
「うっ......」
しばらくして、私は体を起こす。辛うじて直撃を逃れたようだ。いや、違う。
ヴェルド「大丈夫か......セリカ......」
ヴェルドが私の正面に立ち、ヒカリの攻撃を防いでくれた。そして、私の無事を確認したヴェルドが、ゆっくりと倒れていく。
「ヴェルド!」
私はヴェルドの体に触れる。息はある。気絶しただけのようだ。
ーー私は目の前を見る。フウロとヴァルが、ヴェルドと同じように仰向けで倒れていた。隣の方ではアルテミスも同じようにしている。
私だけが助かってしまったのか……。私なんかを守るより、アルテミスを守った方が余っ程有用だったかもしれないのに……。
ヒカリ「............」
ヒカリがゆっくりとこちらに近づいてくる。
「ヒカ......リん......」
ヒカリが私に照準を定め、掌をゆっくりとこちらに差し出してくる。禍々しく黒い火の玉が、ゆっくりと形成されていく。
「ーーお願い、ヒカリん。目を......覚まして!」
私は喉に意識を集中させて叫ぶ。
ヒカリ「............」
ヒカリは応答しない。
「お願いヒカリん。思い出して。私達と過ごした時間を。そんなに長くなかったけど、私にとっては大事な時間だったの」
気づいた時、私の目には涙が浮かんでいた。時間が経つにつれてどんどんと溢れていき、やがては目の前が見えなくなるほどに涙で視界が滲んでいる。
「私、昔から友達がいなくて、ギルドに入っても、周りは、友達というより、ただの仲間って、感じだった。でも、ヒカリんは、私にとって、友達って、呼べる存在だった。だから......」
途中途中で息を切らしながら叫ぶ。ヒカリの心に届くように。ヒカリの心に響くように。
ヒカリ「............」
ヒカリの手に火の玉が出来上がる。
「ヒカリん......」
ヒカリ「............」
私の説得も意味がなく、ヒカリが私にトドメを刺そうと火の玉を飛ばしてきた。終わりを覚悟した。この攻撃を直に喰らえば助からない。そして、私には避けることができなかった。
全てがゆっくりと見える中、私は黙って目を閉じた。
「させるかよ!」
攻撃は当たらなかった。私は薄らと目を開ける。目の前にヴァルでも、ヴェルドでもない男の人が立って、ヒカリの腕を掴んでいた。
「嬢ちゃん、ここは俺に任せて下がってな」
男が振り向きながらに言う。私は言われた通りに後ろへと後ずさる。
「おい、ラース。聞こえてんだろ!出てこいよ!」
男はヒカリの腕を掴んだまま空に向かって叫ぶ。
「シヴァか......確か、お前にはイーリアスの侵攻を命じていたはずなんだがな」
さっきの男が現れる。
シヴァ「生憎、勘だけは良いからな」
「その感が羨ましいよ。私には何をするべきかが全くもって見えない」
ヒカリを洗脳した男改めラースと、私を守ってくれた男改めシヴァがヒカリを挟んで会話を続ける。
シヴァ「ーーラース1つ聞きたいことがある」
ラース「なんだね?」
シヴァ「ヒカリに何をした?」
シヴァが静かだが、ハッキリとした威圧感を与えるような口調で言う。
ラース「フッ......簡単な話さ。ヒカリが持っていたメモリをヒカリの体に挿し込んだ。それだけだ」
シヴァ「挿し込んだ......だと?」
シヴァが聞き返す。
ラース「あぁ、そうだ。裏切り者には罰を与えなければならない。今回は被検体になれただけ有難く思って欲しいね」
そう言うと、ラースは何が面白いのか笑いだした。
シヴァ「テメェ......」
シヴァがラースを睨み、歯軋りをする。そして、唾を飲み込んだかと思うと、こう言った。
シヴァ「ラース、俺は決めたぞ」
シヴァが決意に満ちた顔で言う。
ラース「ほう、何を決めたというのだ?」
ラースは興味深げにシヴァの目を見据える。
シヴァ「......今日限りで俺は『解放軍』をやめる」
シヴァが静かに、だが、ハッキリとした口調で言う。
ラース「ーー貴様も裏切ると言うのか」
シヴァ「あぁ、そうだ。俺の可愛い妹にこんな真似をしやがって......テメェは今、ここで死んでもらう!」
シヴァはラースの目を見据え、洞内に響くように大声で言った。
シヴァが宣戦布告した相手は、恐らく敵軍の中で一番強いと思われるラースだ。なのに、なぜそんな相手に宣戦布告をするのか。それが、私にはよく分かった。
『俺の可愛い妹にこんな真似をしやがって』
シヴァが先程言った言葉は、シヴァとヒカリを兄妹であると意味するものである。それに、ヒカリは兄がいると言っていた。2人の兄妹愛はかなり大きいと思われる。ただ、それでも今、ラースに戦いを挑むのはハッキリ言って無謀である。それに、ヒカリは未だに自分を取り戻せていない。
「ダメだよ......そんな奴に勝てれるわけがない......」
私は独り言のように呟いた。
シヴァ「うるせぇ、俺はこいつを殺す。黙って見てな」
独り言のつもりだったが、シヴァにはハッキリ聞こえていたらしい。
ラース「私を殺す前にやらなければならないことがあるのではないか?」
ラースがシヴァに向かって問いかける。やらなければならないこと、それはヒカリのことだろう。
ラース「果たして、君にヒカリを倒すことが出来るかな?」
ラースが余裕の笑みを浮かべながら言う。そして、それが合図であったかのように、再びヒカリが動き出し、攻撃を再開する。
シヴァ「チッやるしかねえのか」
そう言いながら、シヴァがヒカリの攻撃を真正面の位置で全てかわす。
ラース「さて、私はここでのんびり観戦とでもいくか......」
ラースが、片手を地面に当てて椅子を作り、その上に座り込む。多分、錬金術だと思う。手のひらに錬成陣があったのを私は見てたし。
「いや、貴様にはそのまま死んでもらおうか」
ラースが座った途端、何かがラースを襲った。
フウロ「シヴァと言ったな。こいつは私達で始末する」
フウロだった。いや、フウロだけではない。よく見渡すと、いつの間にかヴァルの姿も消えている。
ヴァル「ヘルドライブ!」
ヴァルがフウロの反対側からラースに向かって攻撃をする。その攻撃は、ラースに直撃した。
ラース「ウザったらしいガキ共が......」
ラースの顔に微かな火傷ができていた。
ラース「デス・ブレイド」
ラースが反撃を仕掛けてくる。ラースの魔法は空中に刃を作り、それをヴァル達の方向へと投げつけてきた。ヴァルとフウロは後方に飛び退くことで回避した。
ヒカリ「............」
攻撃をしてくるのはラースだけではない。ヒカリも同様にシヴァに向かって攻撃をする。
ヒカリ「ヘル・ブレイド」
ヒカリもラースと同じように空中に刃を作り、それをシヴァに向かって投げつける。違う点として、刃に炎がまとわりついている。それを、シヴァもヴァル達と同じように後ろに飛び退くことで回避する。ただ、その時、咄嗟に手を離してしまったせいでヒカリが自由の身となってしまった。
シヴァとヴァル、フウロが互いの背中を合わせる。
シヴァ「お前らがヒカリを唆した張本人か......」
シヴァが後ろのヴァル達に向かって言う。
ヴァル「別に唆したつもりは無かったんだけどな」
ヴァルはあっけらかんとした感じで答える。
シヴァ「フン、お前らのせいで俺もこの軍を裏切る羽目になった。後で責任を取ってもらおうか」
ヴァル「この戦いに勝ったらな」
そう言い合った後、ヴァル達はラースの方へ、シヴァはヒカリの方に向けて攻撃をし始める。
ヴァル「ヘル・グランド!」
フウロ「爆炎剣!」
シヴァ「フレイムドラゴンクロー!」
3人が同時に火属性の大魔法を発動する。洞内に激しい爆風が起こる。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「あの、セリカさん達大丈夫でしょうか?」
私は隣に立つ酒飲m……グリードにそう問いかける。
グリード「さあな。あのまま殺られたかもしれんし、今頃帰ってきてるかもしれない。ただ、一つだけ言えることは、エフィ、俺達はこいつをぶっ飛ばさなきゃならねえ、それだけだ」
グリードは私の問いに目前の女を見据えながら答える。私もそれにつられて女の方を見る。
この女は自らのことを『ミラー』と名乗った。そして、他の敵と同様にグランメモリの所持者であった。
ミラー「あら、ワタクシとの戦闘中にお喋りとは、随分と余裕そうですね」
ミラーが不気味な笑みを浮かべながら言う。
グリード「あぁ、余裕だな。お前は他の奴らと違って大して強くねえからな」
グリードが挑発するように答える。
ミラー「そうですか?あなた達のことを思って手加減をしてあげましたのに、本気を出して欲しいのですね?」
そう言うと、ミラーは胸元から小さな箱を取り出す。
グリード「やっと本気で戦う気になったか」
グリードはそう言うが、言葉に反して表情にはあまり余裕がなさそうな感じがした。
ミラー「あら?これを出した途端に随分と余裕な感じがしなくなりましたね?」
それを察したミラーが再び不気味な笑みを浮かべる。
《ユニコーン》
そして、ミラーは自身の胸元にメモリを挿し込む。ミラーの体が獣の姿に変わり、その見た目は名前通りのユニコーンだった。
「では、続きを始めましょうか?」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
エフィとグリードがミラーと戦っている時、ミラ、レラ、シアラは『カゲロウ』と名乗る侵略者の幹部的存在と戦っていた。
「ウォータースパイラル!」
シアラは目前の男、カゲロウに向かって幾度となく攻撃をする。
カゲロウ「............」
しかし、それは鮮やかに避けられる。先程からこれの繰り返しだ。攻撃をしても全てかわされる。しかし、カゲロウからはこちらに向かって攻撃をしてこない。
こちらの体力が充分に無くなったところで、攻撃を仕掛ける算段か......
シアラ達にはそれが分かってはいたが攻撃をやめることをしなかった。1発でも攻撃を当てれば、相手のリズムを崩せると思っていたからだ。しかし、今の状態ではそうすること自体間違っていたと思われる。
レラ「さっきから避けてばっかりで、ちょっとは攻撃するか私達の攻撃に当たりなさいよ!」
痺れを切らしたレラがそう叫ぶ。そう言ったところで無駄な話なのだとシアラは思うのですが......
カゲロウ「拙者は貴様らと戦うつもりはない。貴様らの力に限界が来た時にその防衛を突破する。戦わずして勝つということだ」
カゲロウは淡々とそう言う。シアラ達はこの世界を侵略者の手から守っているだけだ。そうなのだから、シアラ達を倒せばそれでいいはずである。しかし、カゲロウは『戦わずして勝つ』と言っている。一体何を狙っているというのですか。
カゲロウ「......この状況ではラース様に叱られるだけだな。時間が思った以上にかかりすぎた。少し本気を出すとするか」
そう言うと、カゲロウは腰の辺りから小さな箱を取り出す。
《ビートル》
そうだとは思っていたが、それはグランメモリであった。カゲロウはそれを自分の額に差し込む。背中辺りから羽が生え、カブトムシのような姿に変わっていく。
カゲロウ「死にたくなければ道を開けろ」
カゲロウがダミのかかった声で言う。道を開けろと言われたところで、退くという選択肢はない。
ミラ「あなたの方こそ大人しく私達にやられなさい」
ミラがそう言い、自身の体を半人半獣の姿に変える。レラも同じように自身の姿を半人半獣の姿へと変える。
「ヴェルド様が帰ってくるまでにあなたを倒します。そして、ヴェルド様に褒めてもらいますぅ」
シアラはカゲロウに向かって挑発をする。ついでに、ヴェルド様への愛情も込めて。
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“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
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加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
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王太子ロイは、かつて二度の革命によって祖国を崩壊させてしまった過去を持つ。命を落とすたび、彼はある時点へと巻き戻される。そして今、三度目の人生が静かに幕を開けようとしていた。
――自分は民を理解しているつもりだった。
だが実際には、その表面しか見えていなかったのだ。
その痛烈な自覚から、物語は動き始める。
革命を回避するために必要なのは、制度でも権力でもない。「人を知る」ことこそが鍵だと、ロイは気付く。
彼はエコール学園での生活を通じ、身分も立場も異なる様々な人間と深く関わっていく。
そこで出会う一人ひとりの想いと現実が、やがて国の未来を大きく左右していくことになるとは、この時のロイはまだ知らない。
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