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第2章 【異世界からの侵略者】
第2章19 【心に広がる闇】
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フウロ「やけに入り組んだ道の先に拠点など作ろうと思ったな」
薄暗い路地。迷路のように入り組んだ曲がり角の多さ。こんなところが私達の街にあったんだなって、ちょっとした街再発見気分になる。
シヴァ「俺が考えたわけじゃねぇよ。全部ヒカリだ」
フウロの質問に、先頭を歩くシヴァが答える。
ライオス「お前はあいつの事を『ヒカリ』と言うんだな」
ライオスが後ろの方から言う。
シヴァ「3年くらい前までは『ラク』って呼んでたさ。ラクシュミーって長ぇからな。ただ、思春期なんかどうなのか知らねえけど、『グランメモリ』を初めて作りだした日から急に『ヒカリと呼べ』なんて言い出してさ」
「思春期ってヒカリん何歳なの?」
私はふと思った疑問を口にする。
シヴァ「あれ?聞いてなかったのか?あいつは13......いや、この間誕生日迎えたから14だ」
ヴェルド「じゅ、14!?そんなガキに俺達は翻弄されてたってのか」
ヴェルドが驚きを口にする。
グリード「全っ前年相応の話し方じゃねぇなァ」
グリードもヴェルドと同じように言う。
シヴァ「まあ、話し方に関しては昔からだからな。ただ......」
シヴァがそこで意味もなく口を閉じた。
フウロ「ただ......なんだ?」
フウロが問う。
シヴァ「いや、やっぱなんでもねえや」
フウロ「そうか......」
そして、暫くの沈黙が流れた。いや、正しくは流れようとしていた
シアラ「そういえば、あのイーリアスの王子様達はどうなったんでしょうね?ヴェルド様」
沈黙が流れ、良い感じのシリアスが流れていたのをシアラがぶち壊した。いやまぁ、みんなして黙りってのも空気が悪くなるだけだからいいのだけれど。
ヴェルド「俺に聞かれても分からねえし、しれっとくっつくな!」
ヴェルドが体にまとわりつくシアラを剥がしながら言う。
シヴァ「王子様?誰のことだ?」
シヴァが問いかけてくる。
ヴェルド「ああ、まあ、簡単に言うとヒカリをいとも簡単に打ち負かした隣国イーリアスの王子だ」
シヴァ「ヒカリを誑かした張本人ってわけか......」
「いや、それはなんか違うよ!?」
セリカは思わずツッコミを入れてしまう。
シヴァ「これ終わったらいっちょそいつをぶっ飛ばしに行くか......」
シヴァが右手でグーの形を作り、左の開いた手のひらに押し付ける。この発言がフラグにならなければいいのだが。
それからしばらくの間、私達は黙ってシヴァの後をついて行った。
シヴァ「さてと、ここが拠点だが......」
シヴァが目的の場所に来たらしく立ち止まる。
辿り着いたのはどう見てもただの一軒家。なんか魔女が怪しい研究を行うために使ってそうなくらいには太陽の光が届かない場所だ。
フウロ「拠点の割には警備が薄れてるな」
フウロが皆が思っているであろうことを言う。
シヴァ「普通、あんなことを伝えたはずなんだからもっと警備がいてもおかしくなかったんだが......」
そこでシヴァは喋るのをやめ、私達の頭上を見上げる。
シヴァ「お前ら!避けろ!」
何かを見つけたらしいシヴァが大声で叫ぶ。
ヴァル「セリカ!」
突然のことに硬直してしまった私をヴァルが押し倒す。その直後、私がさっきまでいた場所に大岩が落ちてきた。
カゲロウ「流石だなシヴァ。しっかりと我らの動きを掴んでいる」
シヴァが見上げた場所、そこには『カゲロウ』がいた。
シヴァ「下から来た俺が間違ってたな」
フウロ「どういうことだ?」
シヴァ「見てみろ周りを」
シヴァがそう言うので周り、特に家の屋根などの上の方を見てみる。
ヴェルド「まだ屍があんなに残ってるのか...」
ヴェルドが上を見上げて言う。
シヴァ「屍は土人形にして増幅させることも可能らしいからな。それに、それだけじゃねえ」
シヴァがカゲロウのいた方向と反対の方を見る。
「あら、シヴァさん。裏切ったとラース様から聞きましたが、それは本当のようだったのですね」
露出の派手な女が不気味な笑みを浮かべ、こちらを見下ろしている。
ヴェルド「なんであの女がここにいやがるんだ」
ヴェルドがミラーを見上げ、そう憎たらしく呟く。ミラーは確かに捕らえて捕虜にしてあったはずなのに......
シヴァ「お前ら、隙をついて上に上がることが出来るか?」
シヴァが問いかけてくる。
フウロ「数だけ見れば出来なくもないが......」
それにフウロが答える。しかし、数だけなら無理はなさそうに見えるが、相手は全員グランメモリ持ちだ。普通に考えて無理である。
ヴァル「いんや。俺なら出来るぜ」
ヴァルが握り拳に炎をまとわりつかせ答える。
シヴァ「そうか。なら頼む」
シヴァが短く答える。
カゲロウ「さて、貴様らにこの我らを突破出来るか?」
カゲロウが黒色のメモリを取り出した。
《ビートル》
《バード》
《ユニコーン》
カゲロウ、ミラー、そしてひょっこりと現れたキルディスがそれぞれメモリを体に突き挿して化け物へと変身した。
カゲロウ「さて、では始めますーー」
ヴァル「炎龍砲!」
変身したカゲロウが何か言い終える前にヴァルが口から炎を吹き出し攻撃する。完全に準備段階だったカゲロウに攻撃が派手に直撃し、その体を炎で包み込んだ。
ヴァル「地獄龍の鉄砕!」
ヴァルがそれによって出来た隙を逃さず、カゲロウに追撃を仕掛ける。もちろんの事だが、それも当たり、カゲロウのグランメモリが壊された。もしかしたら、命まで壊してるかもしれないが、敵なので気にしなくていいだろう。
ヴァル「まずは1人」
僅か10秒でヴァルが1人目を撃破した。
「なっ......」
これに対し、相手の兵達は驚いている。それは私達も同じことなのだが、これはまたとないチャンスである。上に上がるなら今しかない。
シヴァ「よくやったヴァル」
シヴァが称賛の拍手を送る。
シヴァ「じゃ、俺達も本気出さねえとな」
そう言い、シヴァもグランメモリを出した。
《ドラゴン》
シヴァ「悪いが、今日がテメーらの命日だ。テメーらには即退場してもらうぜ」
そう言い、シヴァは自分のでこにグランメモリを突き挿し、体を小型のドラゴンへと変貌させた。
ライオス「俺達も行くぞ!」
ライオスが高く飛び、屍を薙ぎ倒しながら屋根へと飛び移る。
デン「俺達もついて行きますライオスさん!」
自称ライオス護衛隊の三馬鹿もついて行く。
シヴァ「オラァ!」
シヴァが腕を横一直線に振り、ミラーを屍諸共薙飛ばす。
シアラ「ではヴェルド様。ここは彼らで十分だと思うので、私達は帰りましょうか」
シアラは相変わらずの緊張感のなさでヴェルドにまとわりつき言う。
ヴェルド「バカヤロウ。俺達も戦うに決まってんだろ、つか離せ!その手を!」
ヴェルドとシアラがこんな状況で夫婦漫才をしている。
ヴェルド「なんだセリカ!その目は!」
私の呆れたような眼差しに気づいたヴェルドが叫ぶ。
キルディス「クソ、こいつら格段に強くなってやがる。つか、ゴードとビズはどこに行った!?」
ミラー「ゴードはこいつらに倒されました。ビズは今頃例の計画の準備を始めているはずです」
キルディス「俺達でどうにか出来るのかこれ?」
ミラー「それをどうにかするのが私たちの使命です」
「何を苦戦している貴様ら」
野太い声が響き、さっきまでの押せ押せムードが一気に静まり返る。
ミラー「ら、ラース様」
ヒカリを助けに行った時に、確かに鍾乳洞に閉じ込めたはずのラースがそこにいた。
ラース「もうよい、貴様らは帰れ。こいつらは我が直々に相手をしてやる」
そう言い、ラースがグランメモリを出す。
《キング》
シヴァ「まずい、あれを使われたら......」
シヴァが変身を解く。
フウロ「どうしたシヴァ?」
フウロが問いかける。
シヴァ「あれは今までのグランメモリとは格が違うんだ。あれとまともに戦ったら俺達は死ぬ」
多分でも、余程のことがあればでもなく、『死ぬ』。その言葉はそれがどれだけ恐ろしいものなのかを物語っていた。
シヴァ「とにかくお前らここは一旦撤退だ!ある程度挑発もしてやったしもう十分だ」
シヴァがラースに背を向け真っ先に逃げ出そうとする。とにかく大変なことが起こるとわかった皆も同じように逃げ出そうとする。
ラース「逃げれると思うなよ」
ラースの体がみるみる人ならざる者の姿に変わる。そして、それは確かに今までの奴らとは格も次元も違った。
「なんだ...あれは...」
ライオスが目の前のとてつもなく大きな怪物を見て呟く。
周りの建物の3倍はあるかと思う大きさ。そして、骨格のほとんどが剣で出来ており、とてつもない厳つさを放っている。
ラース「破滅の閃光」
ラースが両の手を合わせ、前に突き出す。
シヴァ「まずい!」
シヴァがそう言うが、もう遅かった。ラースの手の平から繰り出される閃光が私達を襲う。
私は咄嗟に身をかがめるがそんなことをしても意味が無いというのが分かった。
……
……
……
ーーしばらくして私は目を開けた。そして辺りを見渡す。何が起きたのかは知らないが、全員閃光を逃れられたようだ。
ヒカリ「大......丈......夫......?」
目の前にヒカリが立ち、全ての攻撃を吸収していた。
シヴァ「ヒカリ、なんでここに来た!」
シヴァがヒカリに駆け寄り叱責する。
ヒカリ「私......だっ......て......戦え......る......それ......に......ラー......ス......に......勝てれ......る......のは......私......だけ......」
ヒカリが途切れ途切れに話す。
シヴァ「だからってお前の今の状態じゃ戦えるわけがないだろ!」
シヴァがまたしても大声で叱る。
ラース「ごちゃごちゃとうるさい兄貴だな。まあよい。ミラー、キルディス、やっぱりここに残っていろ」
ミラー「まさか、あの計画を実行するおつもりで?」
ラース「その通りだ。そのためにはヒカリを捕えなければなるまい」
ミラー「分かりました。では」
ラースと何かを話していたミラーが変身を解き、グランメモリを抜き出す。そして、それをヒカリに向かって投げつける。
そして、それがヒカリに刺さる。
ヒカリ「うっ…………」
そのメモリがヒカリの体に吸い込まれることは無かったが、ヒカリの動きが止まる。
ラース「シヴァ、君は邪魔だ」
ラースが再び両の手を合わせ、前に突き出す。
ヴァル「まずい!」
ヴァルが叫び、ラースに飛びかかる。ーーしかし、間に合わない。
ヒカリ「安心したまえ、私が狙うのは『ヒカリ』だけだ」
そう言い、ラースは閃光を一点に集中させ、ヒカリに向けて飛ばした。
シヴァ「させねえ!」
動けなくなったヒカリを庇い、シヴァが攻撃を喰らう。
それを見たミラーがグランメモリを遠距離から回収する。
ヒカリ「お兄......ちゃん......?」
シヴァの胸あたりから血が吹き出す。
シヴァ「悪い、ヒカリ。俺はもう......お前と一緒に......いれそうにねえや......」
シヴァが途切れ途切れに話し、静かに目を閉じる。
ヒカリ「お兄......ちゃん......お兄......ちゃん!」
ヒカリがシヴァの体を必死に揺する。だけど、あれはもうーー
ラース「行け、お前ら」
ラースがそう指示をすると、屍が私達に襲いかかってきた。
フウロ「くそ、ここは一旦退くぞ!」
フウロが叫び、それを聞いたヴェルド達が撤退し始める。
ヴァル「おい、ヒカリ逃げるぞ!」
ヴァルがヒカリの元に駆け寄り、抱き抱えようとする。
キルディス「てめえは大人しく引っ込んでろ!」
キルディスがヒカリを抱えようとしたヴァルに向かって攻撃する。
ヴァル「チッ......」
間一髪のところで直撃を逃れたが、ヒカリを離してしまった。
キルディス「じゃあな。『グランメモリーズ』、いや『神の記憶』共」
キルディスがヒカリを抱え逃げ出した。
ヴァル「あっ、待てゴラァ!」
慌ててヴァルが追いかける。
ミラー「残念ですが、貴方達はここで大人しく引っ込んでください」
ヴァルの追尾をミラーがヘンテコな鏡を突き出して阻止する。そして、ヒカリを抱えたキルディスはラースとともに消え去った、他の屍諸共一緒に。
ヴァル「クソっ!」
ヴァルが地面に握り拳を打ち付け、地面が派手に割れた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァハト「それで、ヒカリを連れ去られたというわけか......」
一通りの話を聞き終えたマスターのヴァハトが静かにそう言った。
ネメシス「どうすんだ?あいつ無しじゃ、その、『ラース』って奴には勝てねえんだろ?」
ネメシスが問いかけてくる。
「「「 …… 」」」
この問に答えられるものは誰もいない。
フウロ「ーー私達が奴に隙を作らせ、そこにヴァルが『グランブレイク』を仕掛ければ勝てれなくもないが......」
静まり返った状況でフウロが提案する。
ライオス「確かに、それが一番良さそうではあるが、どうやって隙を作らせるかだ。下手をすれば全滅なんてことも考えられる」
ライオスが腕組をしたまま言う。
「うーん」
結局皆黙ってしまった。
「ーーというか、ミラーはどうしたの!?」
私はあの場でのことを思い返して今更ながらに訊ねた。
グリード「あー、それに関しちゃ俺が悪ぃ。隙を見られて逃げられちまった......しかも、かなり前。言い忘れてたぜェ」
それに対してグリードがそう答えてそれで終わる。本来ならもっと罵倒の言葉とかが飛び交うと思ったのだが......
「「「 …… 」」」
そして、またしても沈黙が訪れる。
「相変わらず、ここは暗い場所だな。次来る時は明るい雰囲気の中に来たいもんだ」
僅かな沈黙を破って誰かがギルドの戸を開ける。
ヴェルド「なんだ。この間の王子様じゃねえか」
扉を開けて入ってきた人物は、この間色々とあったばかりの王子様。一国の王子がまたしても私達に用か、とも思ったけど黙っておいた。
アラン「我が主に向かってなんたる口の利き方」
クロム「いや、いいんだアラン。というか、この流れ前にもやった気がするんだがな」
そう言い、王子様ことクロムがすたすたとマスターの所へとやって来る。
ヴァハト「何の用だ、クロム」
ヴァハトがクロムに問いかける。
クロム「ヒカリを取り戻してまた連れ去られたらしいな」
ヴァハト「それがどうした」
クロム「いや、今日はこれを見てほしくてここに来たんだ」
そう言い、クロムは懐から1枚の紙を差し出す。
ヴァハト「これの出処はもしやラグナロクか?」
マスターの顔が厳しい表情へと変わり、クロムに問う。
クロム「そうだ。だが、これは恐らく奴らがラグナロクの名を使って送ってきたと思われる」
ヴァハト「その証拠は、と聞きたいところだが、お前さんがそう思う気持ちもわかる」
マスターは何を見てそんな険しい表情になったのか気になった私は紙を覗き見る。
そこにはこう書いてあった。
『明日、この世界の征服の大一環としてグランアークに進行する。しかし、お前らに最後のチャンスを与えてやろう。明日、6月14日、グランアーク王国聖龍の墓場にて交渉の場を設ける。ラグナロク王国国王グリモワ』
まあ、確かにこの文章を見る限りではラースが送ってきたと思われる。ただ、何故ラグナロクの名を使ったのかが気になるところである。
ヴァハト「これはお前さんのところに直接届いたのか?」
クロム「いや、アトラス国王から直々に話し合いの場を求められてな。そこで受け取った」
ヴァハト「そうか。それで、これをここに持ってきた理由を一応聞いておこう」
クロム「あのメモリを破壊できる奴が1人でいいから欲しい。その話し合いの場にてラースを討ち取る。そのためにだ」
分かってはいたことだが、いざ協力を求められても力になれるのかどうかという疑問がある。それに、グランブレイクを行えるのは、恐らくヴァルだけである。
マスターがヴァルの方を見る。
ヴァル「俺は構わねえぜ。何より、そいつを倒すために俺が必要なんだったら断る理由なんかねえだろ?」
ヴァルがいつものように活気に満ち溢れた顔で言う。
ヴァル「それに、ヒカリを取り戻すことが出来るのはそこだけかもしれねえんだ」
クロム「そう言って貰えるとありがたい」
クロムが立ち上がり、ヴァルに手を差し出す。
ヴァル「お前とは気が合いそうだな、クロム」
差し出された手の平をヴァルが握る。
ヴェルド「待てよ。ヴァルが行くなら俺も行くぜ」
急にヴェルドが立ち上がり、そう言う。
シアラ「ヴェルド様が行かれるのであれば私もついて行きますぅ」
シアラもいつものようにヴェルドにまとわりつきながら言う。
グリード「お前らばかりにカッコつけさせるわけにゃぁ行かねえなァ」
グリードも行く気満々のようだ。
そして、それに釣られるかのようにギルドから『俺も行く!』という声が次々と響き渡る。
クロム「1つだけ言っておく。死んでも俺は責任を取らん」
この空気に似合わぬことをクロムが言うが、何故か活性が上がる。
ヴァハト「決まりのようだなクロム」
マスターも立ち上がった。
ヴァハト「セリカ、お前も行け。行ってヒカリを助けて来い」
なぜか私の方を見てマスターがそう言ったが、その理由はよく分かった。
「はい!」
ヒカリんを取り戻すチャンスは今しかない。私が、いや、私達の最後の戦いなのだ。
薄暗い路地。迷路のように入り組んだ曲がり角の多さ。こんなところが私達の街にあったんだなって、ちょっとした街再発見気分になる。
シヴァ「俺が考えたわけじゃねぇよ。全部ヒカリだ」
フウロの質問に、先頭を歩くシヴァが答える。
ライオス「お前はあいつの事を『ヒカリ』と言うんだな」
ライオスが後ろの方から言う。
シヴァ「3年くらい前までは『ラク』って呼んでたさ。ラクシュミーって長ぇからな。ただ、思春期なんかどうなのか知らねえけど、『グランメモリ』を初めて作りだした日から急に『ヒカリと呼べ』なんて言い出してさ」
「思春期ってヒカリん何歳なの?」
私はふと思った疑問を口にする。
シヴァ「あれ?聞いてなかったのか?あいつは13......いや、この間誕生日迎えたから14だ」
ヴェルド「じゅ、14!?そんなガキに俺達は翻弄されてたってのか」
ヴェルドが驚きを口にする。
グリード「全っ前年相応の話し方じゃねぇなァ」
グリードもヴェルドと同じように言う。
シヴァ「まあ、話し方に関しては昔からだからな。ただ......」
シヴァがそこで意味もなく口を閉じた。
フウロ「ただ......なんだ?」
フウロが問う。
シヴァ「いや、やっぱなんでもねえや」
フウロ「そうか......」
そして、暫くの沈黙が流れた。いや、正しくは流れようとしていた
シアラ「そういえば、あのイーリアスの王子様達はどうなったんでしょうね?ヴェルド様」
沈黙が流れ、良い感じのシリアスが流れていたのをシアラがぶち壊した。いやまぁ、みんなして黙りってのも空気が悪くなるだけだからいいのだけれど。
ヴェルド「俺に聞かれても分からねえし、しれっとくっつくな!」
ヴェルドが体にまとわりつくシアラを剥がしながら言う。
シヴァ「王子様?誰のことだ?」
シヴァが問いかけてくる。
ヴェルド「ああ、まあ、簡単に言うとヒカリをいとも簡単に打ち負かした隣国イーリアスの王子だ」
シヴァ「ヒカリを誑かした張本人ってわけか......」
「いや、それはなんか違うよ!?」
セリカは思わずツッコミを入れてしまう。
シヴァ「これ終わったらいっちょそいつをぶっ飛ばしに行くか......」
シヴァが右手でグーの形を作り、左の開いた手のひらに押し付ける。この発言がフラグにならなければいいのだが。
それからしばらくの間、私達は黙ってシヴァの後をついて行った。
シヴァ「さてと、ここが拠点だが......」
シヴァが目的の場所に来たらしく立ち止まる。
辿り着いたのはどう見てもただの一軒家。なんか魔女が怪しい研究を行うために使ってそうなくらいには太陽の光が届かない場所だ。
フウロ「拠点の割には警備が薄れてるな」
フウロが皆が思っているであろうことを言う。
シヴァ「普通、あんなことを伝えたはずなんだからもっと警備がいてもおかしくなかったんだが......」
そこでシヴァは喋るのをやめ、私達の頭上を見上げる。
シヴァ「お前ら!避けろ!」
何かを見つけたらしいシヴァが大声で叫ぶ。
ヴァル「セリカ!」
突然のことに硬直してしまった私をヴァルが押し倒す。その直後、私がさっきまでいた場所に大岩が落ちてきた。
カゲロウ「流石だなシヴァ。しっかりと我らの動きを掴んでいる」
シヴァが見上げた場所、そこには『カゲロウ』がいた。
シヴァ「下から来た俺が間違ってたな」
フウロ「どういうことだ?」
シヴァ「見てみろ周りを」
シヴァがそう言うので周り、特に家の屋根などの上の方を見てみる。
ヴェルド「まだ屍があんなに残ってるのか...」
ヴェルドが上を見上げて言う。
シヴァ「屍は土人形にして増幅させることも可能らしいからな。それに、それだけじゃねえ」
シヴァがカゲロウのいた方向と反対の方を見る。
「あら、シヴァさん。裏切ったとラース様から聞きましたが、それは本当のようだったのですね」
露出の派手な女が不気味な笑みを浮かべ、こちらを見下ろしている。
ヴェルド「なんであの女がここにいやがるんだ」
ヴェルドがミラーを見上げ、そう憎たらしく呟く。ミラーは確かに捕らえて捕虜にしてあったはずなのに......
シヴァ「お前ら、隙をついて上に上がることが出来るか?」
シヴァが問いかけてくる。
フウロ「数だけ見れば出来なくもないが......」
それにフウロが答える。しかし、数だけなら無理はなさそうに見えるが、相手は全員グランメモリ持ちだ。普通に考えて無理である。
ヴァル「いんや。俺なら出来るぜ」
ヴァルが握り拳に炎をまとわりつかせ答える。
シヴァ「そうか。なら頼む」
シヴァが短く答える。
カゲロウ「さて、貴様らにこの我らを突破出来るか?」
カゲロウが黒色のメモリを取り出した。
《ビートル》
《バード》
《ユニコーン》
カゲロウ、ミラー、そしてひょっこりと現れたキルディスがそれぞれメモリを体に突き挿して化け物へと変身した。
カゲロウ「さて、では始めますーー」
ヴァル「炎龍砲!」
変身したカゲロウが何か言い終える前にヴァルが口から炎を吹き出し攻撃する。完全に準備段階だったカゲロウに攻撃が派手に直撃し、その体を炎で包み込んだ。
ヴァル「地獄龍の鉄砕!」
ヴァルがそれによって出来た隙を逃さず、カゲロウに追撃を仕掛ける。もちろんの事だが、それも当たり、カゲロウのグランメモリが壊された。もしかしたら、命まで壊してるかもしれないが、敵なので気にしなくていいだろう。
ヴァル「まずは1人」
僅か10秒でヴァルが1人目を撃破した。
「なっ......」
これに対し、相手の兵達は驚いている。それは私達も同じことなのだが、これはまたとないチャンスである。上に上がるなら今しかない。
シヴァ「よくやったヴァル」
シヴァが称賛の拍手を送る。
シヴァ「じゃ、俺達も本気出さねえとな」
そう言い、シヴァもグランメモリを出した。
《ドラゴン》
シヴァ「悪いが、今日がテメーらの命日だ。テメーらには即退場してもらうぜ」
そう言い、シヴァは自分のでこにグランメモリを突き挿し、体を小型のドラゴンへと変貌させた。
ライオス「俺達も行くぞ!」
ライオスが高く飛び、屍を薙ぎ倒しながら屋根へと飛び移る。
デン「俺達もついて行きますライオスさん!」
自称ライオス護衛隊の三馬鹿もついて行く。
シヴァ「オラァ!」
シヴァが腕を横一直線に振り、ミラーを屍諸共薙飛ばす。
シアラ「ではヴェルド様。ここは彼らで十分だと思うので、私達は帰りましょうか」
シアラは相変わらずの緊張感のなさでヴェルドにまとわりつき言う。
ヴェルド「バカヤロウ。俺達も戦うに決まってんだろ、つか離せ!その手を!」
ヴェルドとシアラがこんな状況で夫婦漫才をしている。
ヴェルド「なんだセリカ!その目は!」
私の呆れたような眼差しに気づいたヴェルドが叫ぶ。
キルディス「クソ、こいつら格段に強くなってやがる。つか、ゴードとビズはどこに行った!?」
ミラー「ゴードはこいつらに倒されました。ビズは今頃例の計画の準備を始めているはずです」
キルディス「俺達でどうにか出来るのかこれ?」
ミラー「それをどうにかするのが私たちの使命です」
「何を苦戦している貴様ら」
野太い声が響き、さっきまでの押せ押せムードが一気に静まり返る。
ミラー「ら、ラース様」
ヒカリを助けに行った時に、確かに鍾乳洞に閉じ込めたはずのラースがそこにいた。
ラース「もうよい、貴様らは帰れ。こいつらは我が直々に相手をしてやる」
そう言い、ラースがグランメモリを出す。
《キング》
シヴァ「まずい、あれを使われたら......」
シヴァが変身を解く。
フウロ「どうしたシヴァ?」
フウロが問いかける。
シヴァ「あれは今までのグランメモリとは格が違うんだ。あれとまともに戦ったら俺達は死ぬ」
多分でも、余程のことがあればでもなく、『死ぬ』。その言葉はそれがどれだけ恐ろしいものなのかを物語っていた。
シヴァ「とにかくお前らここは一旦撤退だ!ある程度挑発もしてやったしもう十分だ」
シヴァがラースに背を向け真っ先に逃げ出そうとする。とにかく大変なことが起こるとわかった皆も同じように逃げ出そうとする。
ラース「逃げれると思うなよ」
ラースの体がみるみる人ならざる者の姿に変わる。そして、それは確かに今までの奴らとは格も次元も違った。
「なんだ...あれは...」
ライオスが目の前のとてつもなく大きな怪物を見て呟く。
周りの建物の3倍はあるかと思う大きさ。そして、骨格のほとんどが剣で出来ており、とてつもない厳つさを放っている。
ラース「破滅の閃光」
ラースが両の手を合わせ、前に突き出す。
シヴァ「まずい!」
シヴァがそう言うが、もう遅かった。ラースの手の平から繰り出される閃光が私達を襲う。
私は咄嗟に身をかがめるがそんなことをしても意味が無いというのが分かった。
……
……
……
ーーしばらくして私は目を開けた。そして辺りを見渡す。何が起きたのかは知らないが、全員閃光を逃れられたようだ。
ヒカリ「大......丈......夫......?」
目の前にヒカリが立ち、全ての攻撃を吸収していた。
シヴァ「ヒカリ、なんでここに来た!」
シヴァがヒカリに駆け寄り叱責する。
ヒカリ「私......だっ......て......戦え......る......それ......に......ラー......ス......に......勝てれ......る......のは......私......だけ......」
ヒカリが途切れ途切れに話す。
シヴァ「だからってお前の今の状態じゃ戦えるわけがないだろ!」
シヴァがまたしても大声で叱る。
ラース「ごちゃごちゃとうるさい兄貴だな。まあよい。ミラー、キルディス、やっぱりここに残っていろ」
ミラー「まさか、あの計画を実行するおつもりで?」
ラース「その通りだ。そのためにはヒカリを捕えなければなるまい」
ミラー「分かりました。では」
ラースと何かを話していたミラーが変身を解き、グランメモリを抜き出す。そして、それをヒカリに向かって投げつける。
そして、それがヒカリに刺さる。
ヒカリ「うっ…………」
そのメモリがヒカリの体に吸い込まれることは無かったが、ヒカリの動きが止まる。
ラース「シヴァ、君は邪魔だ」
ラースが再び両の手を合わせ、前に突き出す。
ヴァル「まずい!」
ヴァルが叫び、ラースに飛びかかる。ーーしかし、間に合わない。
ヒカリ「安心したまえ、私が狙うのは『ヒカリ』だけだ」
そう言い、ラースは閃光を一点に集中させ、ヒカリに向けて飛ばした。
シヴァ「させねえ!」
動けなくなったヒカリを庇い、シヴァが攻撃を喰らう。
それを見たミラーがグランメモリを遠距離から回収する。
ヒカリ「お兄......ちゃん......?」
シヴァの胸あたりから血が吹き出す。
シヴァ「悪い、ヒカリ。俺はもう......お前と一緒に......いれそうにねえや......」
シヴァが途切れ途切れに話し、静かに目を閉じる。
ヒカリ「お兄......ちゃん......お兄......ちゃん!」
ヒカリがシヴァの体を必死に揺する。だけど、あれはもうーー
ラース「行け、お前ら」
ラースがそう指示をすると、屍が私達に襲いかかってきた。
フウロ「くそ、ここは一旦退くぞ!」
フウロが叫び、それを聞いたヴェルド達が撤退し始める。
ヴァル「おい、ヒカリ逃げるぞ!」
ヴァルがヒカリの元に駆け寄り、抱き抱えようとする。
キルディス「てめえは大人しく引っ込んでろ!」
キルディスがヒカリを抱えようとしたヴァルに向かって攻撃する。
ヴァル「チッ......」
間一髪のところで直撃を逃れたが、ヒカリを離してしまった。
キルディス「じゃあな。『グランメモリーズ』、いや『神の記憶』共」
キルディスがヒカリを抱え逃げ出した。
ヴァル「あっ、待てゴラァ!」
慌ててヴァルが追いかける。
ミラー「残念ですが、貴方達はここで大人しく引っ込んでください」
ヴァルの追尾をミラーがヘンテコな鏡を突き出して阻止する。そして、ヒカリを抱えたキルディスはラースとともに消え去った、他の屍諸共一緒に。
ヴァル「クソっ!」
ヴァルが地面に握り拳を打ち付け、地面が派手に割れた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァハト「それで、ヒカリを連れ去られたというわけか......」
一通りの話を聞き終えたマスターのヴァハトが静かにそう言った。
ネメシス「どうすんだ?あいつ無しじゃ、その、『ラース』って奴には勝てねえんだろ?」
ネメシスが問いかけてくる。
「「「 …… 」」」
この問に答えられるものは誰もいない。
フウロ「ーー私達が奴に隙を作らせ、そこにヴァルが『グランブレイク』を仕掛ければ勝てれなくもないが......」
静まり返った状況でフウロが提案する。
ライオス「確かに、それが一番良さそうではあるが、どうやって隙を作らせるかだ。下手をすれば全滅なんてことも考えられる」
ライオスが腕組をしたまま言う。
「うーん」
結局皆黙ってしまった。
「ーーというか、ミラーはどうしたの!?」
私はあの場でのことを思い返して今更ながらに訊ねた。
グリード「あー、それに関しちゃ俺が悪ぃ。隙を見られて逃げられちまった......しかも、かなり前。言い忘れてたぜェ」
それに対してグリードがそう答えてそれで終わる。本来ならもっと罵倒の言葉とかが飛び交うと思ったのだが......
「「「 …… 」」」
そして、またしても沈黙が訪れる。
「相変わらず、ここは暗い場所だな。次来る時は明るい雰囲気の中に来たいもんだ」
僅かな沈黙を破って誰かがギルドの戸を開ける。
ヴェルド「なんだ。この間の王子様じゃねえか」
扉を開けて入ってきた人物は、この間色々とあったばかりの王子様。一国の王子がまたしても私達に用か、とも思ったけど黙っておいた。
アラン「我が主に向かってなんたる口の利き方」
クロム「いや、いいんだアラン。というか、この流れ前にもやった気がするんだがな」
そう言い、王子様ことクロムがすたすたとマスターの所へとやって来る。
ヴァハト「何の用だ、クロム」
ヴァハトがクロムに問いかける。
クロム「ヒカリを取り戻してまた連れ去られたらしいな」
ヴァハト「それがどうした」
クロム「いや、今日はこれを見てほしくてここに来たんだ」
そう言い、クロムは懐から1枚の紙を差し出す。
ヴァハト「これの出処はもしやラグナロクか?」
マスターの顔が厳しい表情へと変わり、クロムに問う。
クロム「そうだ。だが、これは恐らく奴らがラグナロクの名を使って送ってきたと思われる」
ヴァハト「その証拠は、と聞きたいところだが、お前さんがそう思う気持ちもわかる」
マスターは何を見てそんな険しい表情になったのか気になった私は紙を覗き見る。
そこにはこう書いてあった。
『明日、この世界の征服の大一環としてグランアークに進行する。しかし、お前らに最後のチャンスを与えてやろう。明日、6月14日、グランアーク王国聖龍の墓場にて交渉の場を設ける。ラグナロク王国国王グリモワ』
まあ、確かにこの文章を見る限りではラースが送ってきたと思われる。ただ、何故ラグナロクの名を使ったのかが気になるところである。
ヴァハト「これはお前さんのところに直接届いたのか?」
クロム「いや、アトラス国王から直々に話し合いの場を求められてな。そこで受け取った」
ヴァハト「そうか。それで、これをここに持ってきた理由を一応聞いておこう」
クロム「あのメモリを破壊できる奴が1人でいいから欲しい。その話し合いの場にてラースを討ち取る。そのためにだ」
分かってはいたことだが、いざ協力を求められても力になれるのかどうかという疑問がある。それに、グランブレイクを行えるのは、恐らくヴァルだけである。
マスターがヴァルの方を見る。
ヴァル「俺は構わねえぜ。何より、そいつを倒すために俺が必要なんだったら断る理由なんかねえだろ?」
ヴァルがいつものように活気に満ち溢れた顔で言う。
ヴァル「それに、ヒカリを取り戻すことが出来るのはそこだけかもしれねえんだ」
クロム「そう言って貰えるとありがたい」
クロムが立ち上がり、ヴァルに手を差し出す。
ヴァル「お前とは気が合いそうだな、クロム」
差し出された手の平をヴァルが握る。
ヴェルド「待てよ。ヴァルが行くなら俺も行くぜ」
急にヴェルドが立ち上がり、そう言う。
シアラ「ヴェルド様が行かれるのであれば私もついて行きますぅ」
シアラもいつものようにヴェルドにまとわりつきながら言う。
グリード「お前らばかりにカッコつけさせるわけにゃぁ行かねえなァ」
グリードも行く気満々のようだ。
そして、それに釣られるかのようにギルドから『俺も行く!』という声が次々と響き渡る。
クロム「1つだけ言っておく。死んでも俺は責任を取らん」
この空気に似合わぬことをクロムが言うが、何故か活性が上がる。
ヴァハト「決まりのようだなクロム」
マスターも立ち上がった。
ヴァハト「セリカ、お前も行け。行ってヒカリを助けて来い」
なぜか私の方を見てマスターがそう言ったが、その理由はよく分かった。
「はい!」
ヒカリんを取り戻すチャンスは今しかない。私が、いや、私達の最後の戦いなのだ。
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