152 / 434
第6章 【龍の涙】
第6章13 【アイスフレイム】
しおりを挟む
「さあ!皆様早くも3日目!まだまだ盛り上がっているでしょうか!」
ちっ、うるせえ実況だ。近くに行くと余計にうるさく聞こえる。グリードの気持ちが分かるなこりゃ。
「本日も、実況は私モルゴと解説はケビンさん!そして、ゲストに、ななななんと!我らがグランアーク王国現国王!アトラス王だーーーー!」
マジかよ。国のトップが実況席に座るってどんな状況だ?普通じゃねえ。
「アトラス王!本日はよろしくお願いします!」
「うむ。よろしく頼むよ。と言っても、何を話せばいいのか分からないんじゃがな!ハッハッハ!」
「大丈夫です!実況は私がしますので、ただ感想を漏らしていけば問題はありません!」
「そうか!それは実に楽しみじゃなー!ハッハッハ!」
これが現国王か......。クロムとはまた違った感じの明るい王様だな。妙に馴染みやすそうな王様だ。
「さて!本日は午前と午後で別の試合を行います!まずは午前の部!極限の闘技場!」
この、目の前にそびえ立つでけぇ建物の事か。
「ルールは簡単!まず初めに、どのチームから挑むか順番を決めます!って、もう決めてますね」
順番は、俺から順にハイルン、ジン、エスメラルダ、シオン、レイヴン、キュウセイ、シアラ。
「この闘技場には、数々の魔物が現れます!魔物は、Eから順番に、クラスが存在します!最高はSです!それで、各魔物を倒すと、クラスに応じた得点が入ります!」
「獲得した点に応じて順位が決まるわけですな」
「ええ!ただし、この闘技場には一定数しか魔物はいません!自分の力量に応じてどこでやめるかを考えてくださいね!」
「別に、やられたらそれで終わりではないのか?」
「はい。そこのとこ、疑問に思いますよね!闘技場の内部でやられた場合、それまでに稼いだ点は全て失います!更に、チームとして1回戦、2回戦と稼いだポイントも一部減ってしまいます!」
「なるほど。無理せず頑張れと」
「ええ!クラスの高い魔物が出てくる中盤に、全力で挑むことが出来る3番目、4番目あたりの人が有利ですね」
何が3番目、4番目が有利だ。こんなもの、1番最初の奴が全部ぶっ飛ばせば終わるじゃねえか。って事で、俺が有利だ。
エレノアの分、しっかりと稼いでやるぜ。
「それでは、最初のチャレンジャー!ヴェルド選手!意気込みをどうぞ!」
「......」
「ヴェルド選手?」
「他のギルドに点は渡さねえ。全部、俺がぶっ飛ばしてやる!」
「おぉっと!これは物凄いやる気だー!そんな大口叩いて大丈夫なのかー!?」
エスメラルダ「グランメモリーズも中々の大物を出してきましたわね。そんなので負けたら大変ですよ?」
勝手に言ってろ。マジでお前らには点を渡さねえからな。特に、ダークソウルの野郎共には......
「それでは始まります!ヴェルド選手!準備をしてください!」
準備も何も、もうとっくに出来ている。
「カントダウンを始めます!3!」
「2!」
「1!」
「全員ぶっ飛ばしてやるぜ!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「アイスニードル!アイスバスター!」
10、20、30......
ヴェルドは着々と魔物達を討伐していっている。
この様子なら、中盤のBとAまでは楽に進められそうだ。
ただ、問題はSランクに入ってから。話によれば、Sランクの魔物は凶暴で大型なものが多い。果たして、ヴェルドが同時に襲いかかってくるSランクを討伐できるだろうか。
「アイススピア!」
40......。
「これは凄い!凄い!凄い!ヴェルド選手!1人でもう半分も討伐しかねない勢いだー!」
エフィ「凄いですねヴェルドさん。本当に全部討伐しかねない勢いですよー。私としては、動物さん達が傷つくのはちょっと、アレなんですけど......」
そういや、そんな設定もあったかな......。
シロップ「ネイー、もうちょっと奥に行って見ようよー」
「無理言わないでください。この席は、丁度実況席の真正面なんですから。バレますよ」
シロップ「なんかめんどくさいね~。ここからじゃ、よく見えないよ~」
龍人の体+ツクヨミという事がバレている。ネイの姿でいても、あの王女様は気づく。変な気を起こさせないためにも、なるべく姿は見せない方がいい。
なんで、あの人が私のことを知っているのだろうか。関わりがあったのは、800年前の王女。今の王女とは接点の欠片もないはず。
そもそも、今の王族が昔からの血筋とは限らない。800年間崩れることのない王国なんてあるはずがない。
......いや、ただの偶然だろう。この国は運が良かっただけ。長い戦争があっても負けることはなかった。市民の反乱も無かった。ただそれだけ。偶然と言うよりも、ただの奇跡かな。
「アイスグラウンド!」
50......やっと折り返し地点。でも、ここから先の敵の強さを考えると、まだ序盤を終えた感じだ。
ネメシス「ヴェルドの野郎、中々やるな!1人でバッタバッタと薙ぎ倒してらぁ!」
フェイ「すげー!すげーよ!ヴェルド兄!」
ギーグ「確かに凄いでしょうけど、まだまだライオスさんには及びませんね」
レイ「そうね。まだまだライオスには追いついてないわ」
デン「......」
ギーグ「どうした?デン。急に真面目な顔して」
デン「いや、なんでもない。ただ、ヴェルドが疲れ出してきたなと」
流石のヴェルドも、70を超えれば疲労が表に出てくる。全部倒すとか言っていたが、やられるまで戦われると困る。
適当に、キリのいいところで切り上げてほしい。
「アイスクリエイト!氷山!」
これは、本気で最後まで戦うな。負けないよう祈ろう。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「あ"ぁ"......あ"ぁ"......」
今何体目だ。
「ヴェルド選手!ななな、なんと!80体目を討伐し終えましたァ!」
80か......。まだ20も残ってる。それに、ここから先はSランクの魔物共が襲いかかってくる。ここらで切り上げてもいいと思うが、それではMAXの点が入らない。
エレノアの分を俺が繋げるんだ。あの、バカ軍師を見返してやるんだ。
「ヴェルド選手!まだまだ続行するつもりのようです!」
「ヴェルド様ぁ!頑張ってくださぁーい!」
お前、一応敵チームだぞ?それに、今んとこ最下位に近い順位じゃねえか。
まあいいか。あいつはあいつ。俺は俺。
「これが、Sランクの魔物ってやつか......」
なんか、どこかの村で見た人工物モンスターと似てるな。それが、19体出てくると......。あと1体は、SSランクの魔物が存在しているというところか。
「そろそろ、使ってみてもいい頃か......」
ヴァル以外には見せたことのない、新たなる俺の魔法。
「見てろよ!バカ軍師!アイスフレイム!」
氷と炎の合わせ技。相反する属性の魔法を同時に扱う。
あいつの話も役に立つもんだ。得意属性はただの思い込み。相反する属性は同時に扱えないというのも、ただの思い込み。
その思い込みを無くした時、魔法は1段階上へと進む。
「これはこれはこれは!?氷と炎の相反する属性を同時に扱っているぞー!?」
「来いよ!化け物共!俺の氷と炎の前に震え上がれ!フレイムクラフト・火山!」
これも、1ヶ月の修行で手に入れた技。
未だ誰も成し得たことのない、火の造形魔法。火は燃やす専門だからな。作る側にはならねえ。その常識を、俺はぶち壊した。
「ダイヤモンド・フレア!」
よし、85!
「リバーサル・マジック!」
「これはこれはこれは!?きゅ、90体目を討伐しましたー!?」
「ほう。これは中々ですな」
「ええ。この国には、これ程の魔導士がいたのですね」
「引っ込んでろ化け物!スターダスト・アイスフレイム!」
まだだ。まだ強くなれる。
こんな威力で満足してるようじゃ、100体なんて夢のまた夢だ。
「カタストロフ・氷火!」
「きゅ、99体目ー!?」
「ゴーゴー!ヴェルド様ぁ!」
見たか、バカ軍師。これが、俺の実力だ。
「......」
パーカーのせいで、全く見えねえが、きっと悔しそうな顔をしてるに違いねえな。この目で見てみたい。あいつが、俺に対して驚く姿を。
「さて、噂のSSランクの魔物はどいつだ?」
99体倒した。残るは、その1体だけなのだが、どこにも姿は見えない。
「......?兎?」
まさか......な。
「グァァァァ!」
まさか......な。兎が、突然巨大化して凶暴になったとか、そんなわけねえよな?うん。
「グァァァァ!」
あーそうですか。これが、噂のSSランクって奴か。迫力満点だなこりゃぁ。
「フレイムクラフト・獄炎!」
「グァッ!」
こりゃ、効いてねえな。つっても、今から諦めることは不可能。やるしかねえ。
「来いよ、化け兎。俺が、てめぇを調理ーー」
「グギャァッ!」
「なっ......ブハッ!」
カッコイイセリフ言ってる時に攻撃してくんなよ。
「アイスクリエイト・氷河!」
「グラァっ!」
「カタストロフ・氷火!」
ダメだ。全然効いてねえ......。
折角、ヴァルの野郎と肩並べて鍛えて習得した魔法なのに、ここで真価を発揮してくれねえのか。
「ヴェルド!負けんじゃねぇ!」
あいつの声がここまで響いてくる。
「......分かってるよ!俺は、こいつには負けねえ!お前にも負けねえ!誰にも負けねえ!」
1発、喰らわせてやるか。
俺に、悪魔殺しの素質があると言ったネイ。あいつを恐怖で震え上がらせるほどの魔法。多分、あと5ヶ月くらいは嫌われる。じゃあ、なんでヴァルは大丈夫なんだよ。今から使う魔法は、あいつの滅龍奥義にも匹敵するぞ?
「......滅魔奥義・絶冷氷華」
「グァ!グァ!グァァァァ!?」
......
......
......
「ひゃ、100体目、討伐完了......」
後で聞いた話だが、ここで出てきた魔物は全部そっくりに作られ偽物。だが、素材にアンデッド属性の物が多く含まれていたらしくーー生き物として動かすためらしいーーアンデッドを皆殺しに出来る俺が圧倒的に有利だったとの事。オマケに、1番を引いちまったから正に作戦勝ち。
つまり、俺の実力は予想以上だったが、これくらいは簡単だと踏まれていたらしい。腹が立つ。
観覧席にいたあいつの顔は、きっとちょっと驚いただけだったのだろう。畜生。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「え~ヴェルド選手が、まさかまさかの100体討伐を成し得たため、ここで他ギルドは0点とするのも色々言われそうなので、ここで急遽、別ルールで2位から下の順位をつけたいと思います!」
ハイルン「ほう、他のルールで、2位から下と......」
シオン「まあ良いではないか。100体討伐は、ここにいる我らでは難しかろう。そこの、黒魔導士さんを除いてな」
キュウセイ「......」
エスメラルダ「そうですね。シオンさんでも、あれは無理ですよね?」
シオン「ああ。あんな化け物軍団、我では絶対に無理だな。1位はグランメモリーズBの物だ」
「はい!他チームの同意が得られたようなので、ルールを説明します!ルールは簡単、急遽用意させていただいた、騎士団試験用の魔法具に、思いきりの魔法をぶち当ててもらいます!この魔法具は、当たったマナの量、力を数値として映し出します!」
「なるほど。その数値が高い順に順位をつけるということかな?」
「ええ!そうです!それでは、先程決めた順番でよろしくお願いします!」
ハイルン「じゃあ、まず俺からだな。絶対封鎖!」
22051。
「これは、高いのかね?」
「まだ分かりません。他のチームの方々が出す数字次第です!」
ジン「炎闇陣・デビルブラスト......」
35827。
「おお!ジン選手!1万点以上ハイルン選手を抜きました!」
エスメラルダ「じゃあ、次は私ですね。双剣乱舞!」
32567。
「ハイルン選手よりかは上ですが、惜しくもジン選手より下です!」
エスメラルダ「あちゃぁ、力みすぎちゃったかなぁ」
シオン「では、次は我だな。滅龍奥義・深淵の波動」
58691。
「おおっと!シオン選手!大きく抜かしましたァ!」
レイヴン「滅龍奥義・呪怨封殺」
65321。
「またまた大きく抜かしたァ!流石、コールドミラーの魔導士!」
ハイルン「このままだと、俺最下位かよ!?」
キュウセイ「......」
1。
「あ、あの~キュウセイ選手?真面目にやっていただけませんか?」
キュウセイ「これが、俺の真面目だ」
「そ、そうですか......」
シアラ「ヴェルド様が頑張った分、シアラも頑張ります!水界の奇跡!」
99999......。
「......ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ!?」
「やりましたよ!ヴェルド様ぁ!」
「そのう、グランメモリーズとは、強い魔導士の集まりなのかね?とても弱小とは思えないのだが」
「......え、ええっと、2位、グランメモリーズAチーム。3位、コールドミラー、4位、シェミスターライト、5位、ハイドロオーシャンズ、6位、トゥインクルアスタロト、7位、マジックアルケミスト、8位、ダークソウルとなります。え、ええっと、このままお昼休憩となります。続きは午後からです!」
1位:グランメモリーズB29点
2位:コールドミラー27点
3位:ダークソウル21点
4位:グランメモリーズA19点
5位:シェミスターライト16点
6位:ハイドロオーシャンズ15点
7位:マジックアルケミスト12点
8位:トゥインクルアスタロト7点
*トゥインクルアスタロトもマジックアルケミストも優勝候補です。
ちっ、うるせえ実況だ。近くに行くと余計にうるさく聞こえる。グリードの気持ちが分かるなこりゃ。
「本日も、実況は私モルゴと解説はケビンさん!そして、ゲストに、ななななんと!我らがグランアーク王国現国王!アトラス王だーーーー!」
マジかよ。国のトップが実況席に座るってどんな状況だ?普通じゃねえ。
「アトラス王!本日はよろしくお願いします!」
「うむ。よろしく頼むよ。と言っても、何を話せばいいのか分からないんじゃがな!ハッハッハ!」
「大丈夫です!実況は私がしますので、ただ感想を漏らしていけば問題はありません!」
「そうか!それは実に楽しみじゃなー!ハッハッハ!」
これが現国王か......。クロムとはまた違った感じの明るい王様だな。妙に馴染みやすそうな王様だ。
「さて!本日は午前と午後で別の試合を行います!まずは午前の部!極限の闘技場!」
この、目の前にそびえ立つでけぇ建物の事か。
「ルールは簡単!まず初めに、どのチームから挑むか順番を決めます!って、もう決めてますね」
順番は、俺から順にハイルン、ジン、エスメラルダ、シオン、レイヴン、キュウセイ、シアラ。
「この闘技場には、数々の魔物が現れます!魔物は、Eから順番に、クラスが存在します!最高はSです!それで、各魔物を倒すと、クラスに応じた得点が入ります!」
「獲得した点に応じて順位が決まるわけですな」
「ええ!ただし、この闘技場には一定数しか魔物はいません!自分の力量に応じてどこでやめるかを考えてくださいね!」
「別に、やられたらそれで終わりではないのか?」
「はい。そこのとこ、疑問に思いますよね!闘技場の内部でやられた場合、それまでに稼いだ点は全て失います!更に、チームとして1回戦、2回戦と稼いだポイントも一部減ってしまいます!」
「なるほど。無理せず頑張れと」
「ええ!クラスの高い魔物が出てくる中盤に、全力で挑むことが出来る3番目、4番目あたりの人が有利ですね」
何が3番目、4番目が有利だ。こんなもの、1番最初の奴が全部ぶっ飛ばせば終わるじゃねえか。って事で、俺が有利だ。
エレノアの分、しっかりと稼いでやるぜ。
「それでは、最初のチャレンジャー!ヴェルド選手!意気込みをどうぞ!」
「......」
「ヴェルド選手?」
「他のギルドに点は渡さねえ。全部、俺がぶっ飛ばしてやる!」
「おぉっと!これは物凄いやる気だー!そんな大口叩いて大丈夫なのかー!?」
エスメラルダ「グランメモリーズも中々の大物を出してきましたわね。そんなので負けたら大変ですよ?」
勝手に言ってろ。マジでお前らには点を渡さねえからな。特に、ダークソウルの野郎共には......
「それでは始まります!ヴェルド選手!準備をしてください!」
準備も何も、もうとっくに出来ている。
「カントダウンを始めます!3!」
「2!」
「1!」
「全員ぶっ飛ばしてやるぜ!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「アイスニードル!アイスバスター!」
10、20、30......
ヴェルドは着々と魔物達を討伐していっている。
この様子なら、中盤のBとAまでは楽に進められそうだ。
ただ、問題はSランクに入ってから。話によれば、Sランクの魔物は凶暴で大型なものが多い。果たして、ヴェルドが同時に襲いかかってくるSランクを討伐できるだろうか。
「アイススピア!」
40......。
「これは凄い!凄い!凄い!ヴェルド選手!1人でもう半分も討伐しかねない勢いだー!」
エフィ「凄いですねヴェルドさん。本当に全部討伐しかねない勢いですよー。私としては、動物さん達が傷つくのはちょっと、アレなんですけど......」
そういや、そんな設定もあったかな......。
シロップ「ネイー、もうちょっと奥に行って見ようよー」
「無理言わないでください。この席は、丁度実況席の真正面なんですから。バレますよ」
シロップ「なんかめんどくさいね~。ここからじゃ、よく見えないよ~」
龍人の体+ツクヨミという事がバレている。ネイの姿でいても、あの王女様は気づく。変な気を起こさせないためにも、なるべく姿は見せない方がいい。
なんで、あの人が私のことを知っているのだろうか。関わりがあったのは、800年前の王女。今の王女とは接点の欠片もないはず。
そもそも、今の王族が昔からの血筋とは限らない。800年間崩れることのない王国なんてあるはずがない。
......いや、ただの偶然だろう。この国は運が良かっただけ。長い戦争があっても負けることはなかった。市民の反乱も無かった。ただそれだけ。偶然と言うよりも、ただの奇跡かな。
「アイスグラウンド!」
50......やっと折り返し地点。でも、ここから先の敵の強さを考えると、まだ序盤を終えた感じだ。
ネメシス「ヴェルドの野郎、中々やるな!1人でバッタバッタと薙ぎ倒してらぁ!」
フェイ「すげー!すげーよ!ヴェルド兄!」
ギーグ「確かに凄いでしょうけど、まだまだライオスさんには及びませんね」
レイ「そうね。まだまだライオスには追いついてないわ」
デン「......」
ギーグ「どうした?デン。急に真面目な顔して」
デン「いや、なんでもない。ただ、ヴェルドが疲れ出してきたなと」
流石のヴェルドも、70を超えれば疲労が表に出てくる。全部倒すとか言っていたが、やられるまで戦われると困る。
適当に、キリのいいところで切り上げてほしい。
「アイスクリエイト!氷山!」
これは、本気で最後まで戦うな。負けないよう祈ろう。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「あ"ぁ"......あ"ぁ"......」
今何体目だ。
「ヴェルド選手!ななな、なんと!80体目を討伐し終えましたァ!」
80か......。まだ20も残ってる。それに、ここから先はSランクの魔物共が襲いかかってくる。ここらで切り上げてもいいと思うが、それではMAXの点が入らない。
エレノアの分を俺が繋げるんだ。あの、バカ軍師を見返してやるんだ。
「ヴェルド選手!まだまだ続行するつもりのようです!」
「ヴェルド様ぁ!頑張ってくださぁーい!」
お前、一応敵チームだぞ?それに、今んとこ最下位に近い順位じゃねえか。
まあいいか。あいつはあいつ。俺は俺。
「これが、Sランクの魔物ってやつか......」
なんか、どこかの村で見た人工物モンスターと似てるな。それが、19体出てくると......。あと1体は、SSランクの魔物が存在しているというところか。
「そろそろ、使ってみてもいい頃か......」
ヴァル以外には見せたことのない、新たなる俺の魔法。
「見てろよ!バカ軍師!アイスフレイム!」
氷と炎の合わせ技。相反する属性の魔法を同時に扱う。
あいつの話も役に立つもんだ。得意属性はただの思い込み。相反する属性は同時に扱えないというのも、ただの思い込み。
その思い込みを無くした時、魔法は1段階上へと進む。
「これはこれはこれは!?氷と炎の相反する属性を同時に扱っているぞー!?」
「来いよ!化け物共!俺の氷と炎の前に震え上がれ!フレイムクラフト・火山!」
これも、1ヶ月の修行で手に入れた技。
未だ誰も成し得たことのない、火の造形魔法。火は燃やす専門だからな。作る側にはならねえ。その常識を、俺はぶち壊した。
「ダイヤモンド・フレア!」
よし、85!
「リバーサル・マジック!」
「これはこれはこれは!?きゅ、90体目を討伐しましたー!?」
「ほう。これは中々ですな」
「ええ。この国には、これ程の魔導士がいたのですね」
「引っ込んでろ化け物!スターダスト・アイスフレイム!」
まだだ。まだ強くなれる。
こんな威力で満足してるようじゃ、100体なんて夢のまた夢だ。
「カタストロフ・氷火!」
「きゅ、99体目ー!?」
「ゴーゴー!ヴェルド様ぁ!」
見たか、バカ軍師。これが、俺の実力だ。
「......」
パーカーのせいで、全く見えねえが、きっと悔しそうな顔をしてるに違いねえな。この目で見てみたい。あいつが、俺に対して驚く姿を。
「さて、噂のSSランクの魔物はどいつだ?」
99体倒した。残るは、その1体だけなのだが、どこにも姿は見えない。
「......?兎?」
まさか......な。
「グァァァァ!」
まさか......な。兎が、突然巨大化して凶暴になったとか、そんなわけねえよな?うん。
「グァァァァ!」
あーそうですか。これが、噂のSSランクって奴か。迫力満点だなこりゃぁ。
「フレイムクラフト・獄炎!」
「グァッ!」
こりゃ、効いてねえな。つっても、今から諦めることは不可能。やるしかねえ。
「来いよ、化け兎。俺が、てめぇを調理ーー」
「グギャァッ!」
「なっ......ブハッ!」
カッコイイセリフ言ってる時に攻撃してくんなよ。
「アイスクリエイト・氷河!」
「グラァっ!」
「カタストロフ・氷火!」
ダメだ。全然効いてねえ......。
折角、ヴァルの野郎と肩並べて鍛えて習得した魔法なのに、ここで真価を発揮してくれねえのか。
「ヴェルド!負けんじゃねぇ!」
あいつの声がここまで響いてくる。
「......分かってるよ!俺は、こいつには負けねえ!お前にも負けねえ!誰にも負けねえ!」
1発、喰らわせてやるか。
俺に、悪魔殺しの素質があると言ったネイ。あいつを恐怖で震え上がらせるほどの魔法。多分、あと5ヶ月くらいは嫌われる。じゃあ、なんでヴァルは大丈夫なんだよ。今から使う魔法は、あいつの滅龍奥義にも匹敵するぞ?
「......滅魔奥義・絶冷氷華」
「グァ!グァ!グァァァァ!?」
......
......
......
「ひゃ、100体目、討伐完了......」
後で聞いた話だが、ここで出てきた魔物は全部そっくりに作られ偽物。だが、素材にアンデッド属性の物が多く含まれていたらしくーー生き物として動かすためらしいーーアンデッドを皆殺しに出来る俺が圧倒的に有利だったとの事。オマケに、1番を引いちまったから正に作戦勝ち。
つまり、俺の実力は予想以上だったが、これくらいは簡単だと踏まれていたらしい。腹が立つ。
観覧席にいたあいつの顔は、きっとちょっと驚いただけだったのだろう。畜生。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「え~ヴェルド選手が、まさかまさかの100体討伐を成し得たため、ここで他ギルドは0点とするのも色々言われそうなので、ここで急遽、別ルールで2位から下の順位をつけたいと思います!」
ハイルン「ほう、他のルールで、2位から下と......」
シオン「まあ良いではないか。100体討伐は、ここにいる我らでは難しかろう。そこの、黒魔導士さんを除いてな」
キュウセイ「......」
エスメラルダ「そうですね。シオンさんでも、あれは無理ですよね?」
シオン「ああ。あんな化け物軍団、我では絶対に無理だな。1位はグランメモリーズBの物だ」
「はい!他チームの同意が得られたようなので、ルールを説明します!ルールは簡単、急遽用意させていただいた、騎士団試験用の魔法具に、思いきりの魔法をぶち当ててもらいます!この魔法具は、当たったマナの量、力を数値として映し出します!」
「なるほど。その数値が高い順に順位をつけるということかな?」
「ええ!そうです!それでは、先程決めた順番でよろしくお願いします!」
ハイルン「じゃあ、まず俺からだな。絶対封鎖!」
22051。
「これは、高いのかね?」
「まだ分かりません。他のチームの方々が出す数字次第です!」
ジン「炎闇陣・デビルブラスト......」
35827。
「おお!ジン選手!1万点以上ハイルン選手を抜きました!」
エスメラルダ「じゃあ、次は私ですね。双剣乱舞!」
32567。
「ハイルン選手よりかは上ですが、惜しくもジン選手より下です!」
エスメラルダ「あちゃぁ、力みすぎちゃったかなぁ」
シオン「では、次は我だな。滅龍奥義・深淵の波動」
58691。
「おおっと!シオン選手!大きく抜かしましたァ!」
レイヴン「滅龍奥義・呪怨封殺」
65321。
「またまた大きく抜かしたァ!流石、コールドミラーの魔導士!」
ハイルン「このままだと、俺最下位かよ!?」
キュウセイ「......」
1。
「あ、あの~キュウセイ選手?真面目にやっていただけませんか?」
キュウセイ「これが、俺の真面目だ」
「そ、そうですか......」
シアラ「ヴェルド様が頑張った分、シアラも頑張ります!水界の奇跡!」
99999......。
「......ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ!?」
「やりましたよ!ヴェルド様ぁ!」
「そのう、グランメモリーズとは、強い魔導士の集まりなのかね?とても弱小とは思えないのだが」
「......え、ええっと、2位、グランメモリーズAチーム。3位、コールドミラー、4位、シェミスターライト、5位、ハイドロオーシャンズ、6位、トゥインクルアスタロト、7位、マジックアルケミスト、8位、ダークソウルとなります。え、ええっと、このままお昼休憩となります。続きは午後からです!」
1位:グランメモリーズB29点
2位:コールドミラー27点
3位:ダークソウル21点
4位:グランメモリーズA19点
5位:シェミスターライト16点
6位:ハイドロオーシャンズ15点
7位:マジックアルケミスト12点
8位:トゥインクルアスタロト7点
*トゥインクルアスタロトもマジックアルケミストも優勝候補です。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
35
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる