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第6章 【龍の涙】
第6章24 【呪術の番人】
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「「「 うわぁぁぁぁぁ!!! 」」」
ドン!
デン!
ガン!
チン!
ヴァル「お、重てぇ......」
上からバッタバッタと人が降ってくる。落ちてくる度に、俺の体へととんでもない負荷が......あ、重たいとか言いたいわけじゃないよ。
セリカ「ここどこ?」
見覚えのある景色......あれだ、なんかの鉱石が張り巡らされているあの洞窟だ。
ヴァル「そういや、城の手前で落ちてたもんな......」
エフィ「どうします?上の方はとっくに塞がれてますよ」
レラ「というか、ここって何なの?」
ああ、説明すると長くなるな。どうしよう......。
ヴァル「あれだ。俺とセリカとネイが落ちて、あの王女様どもに捕らえられた場所だ」
ミラ「ああ、なるほど。そこね」
今ので理解出来たのか?
セリカ「......とりあえず、出口を探しましょ?」
ヴァル「あるのか?出口」
セリカ「さあ?でも、隅々まで探したってわけじゃないんだし」
ミラ「まあ、何とかなるわよ。魔法だって使えるんだし。ほらヴァル。自慢の嗅覚で出口をさがして」
あのさぁ、俺の鼻はそんな便利なもんじゃねえんだよ。この状況なら、風の音を聞き分けられるネイの方が......
ヴァル「お、こっちから新鮮な風の匂いが」
ヤバい。こんな澄んだ場所だと、綺麗な空気の匂いが分かる。どうしよう。まあいいや、出口が分かるならそれに越したことはない。
ヴァル「よぉーし、こっちだー!ついてこい!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
フウロ「風神の舞!」
エスメラルダ「双剣乱舞!」
高速に回転する剣と剣が、甲高い音を立てている。
モデル業を営んでいると聞いたが、自身を鍛え上げる時間は十分に確保しているようだ。剣に無駄な動きが一切ない。
フウロ「お前、その剣の動き、どこで覚えた?」
エスメラルダ「モデルやってる同業者に、この手の使い手がいてね。教えてもらったのよ。モデルをしながら」
なるほど。無駄な生き方は一切していないというわけか。剣一筋の私と互角に渡り合う剣の強さ。
フウロ「私も、モデルをやれば強くなれるだろうか」
エスメラルダ「馬鹿なこと言わないでよ。あんたは、その剣の強さ一つで十分でしょ!?」
フウロ「いや、人生というのは、欠片も無駄にしたくはない。出来ることはなんでもやってみるべきだと思う」
エスメラルダ「好きにやりなさいよ。あなたの人生だわ。だけど、それならここで手を抜く訳には行かないわね」
フウロ「......水神の舞!」
エスメラルダ「布陣・剣鬼!」
あたりに散らばる大量の短剣。その全てが、私に狙いを定めて飛んでくる。
フウロ「雷雨!」
所詮はただの剣。雷を当てて撃ち落とす。習得してよかったライオスの技。
フウロ「次はこちらから仕掛けさせてもらう!氷炎乱舞!」
ヴァルとヴェルドが見せた、炎と氷を同時に操る技。出来ないと思っていたが、あの2人が出来たところを見ると、私にも出来るようになっていた。
エスメラルダの2本の剣と、私の剣。お互いに、剣に対する愛は深いようだ。剣についている傷と、それを治した痕。戦えば、エスメラルダの剣にもその痕が付いているのが分かる。そこから、剣への愛を感じる。
普通の人なら、ボロボロになって、錆びれた剣は捨ててしまう。でも、私は物を大事にする。大事にし過ぎるほどに。
フウロ「......そろそろ決着を付けよう」
エスメラルダ「OK。必殺技で勝負よ!桜羅双乱舞!」
フウロ「火、水、然、風、雷。アトリビュートブレイク!」
......
......
......
エスメラルダ「......流石ね。その剣に付いてる、何度も治した痕。私のより凄いわね」
フウロ「お前も、中々に物を大事にするんだな。今回は、私の剣への愛が強かっただけだ」
エスメラルダ「......じゃあ、次は私のボロ剣で負けを認めさせてあげるわ」
私の勝ちだ。
また1つ、剣に傷がついた。大会が終わったら、いつもの鍛冶屋に持っていかないとな。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
セリカ「ねぇヴァル。本当に、こっちの方角から新鮮な......風の香りだっけ?を感じてるの?」
ヴァル「言い訳させてもらうと、その風が吹いてくる方角が変わってるんだよ。だから、さっきから方角が定まらねえ......」
何それ......結局は、その鼻はダメだってことなんじゃないの?
ミラ「困ったわねぇ。これじゃあ、日が暮れちゃうわよ」
レラ「その日は見えないけどね......」
エフィ「大丈夫ですよ。きっと、何とかなります」
みんなお気楽でいいなぁ。私は、鍵が全部無くなってることがどうにも気がかりだって言うのに。
ヴァル「お、何だこりゃ?」
雑誌......それも、モデル雑誌。ヴァルが拾ったのは、丁度エスメラルダが表紙の回だ。
ミラ「なんでこんな物がここにあるのかしら?」
エフィ「ひぇっ!」
突然、エフィが尻もちをついて倒れる。
ヴァル「どうした、エフィ!」
エフィ「あ、あの......こ、これ......」
エフィが指さした方向。
ヴァル「骸骨......?」
大分、岩と同化するように黒ずんでいるが、間違いなく人体の頭のような骨格の骨である。
ミラ「ここに落ちてる雑誌と、人体の骨......ここに落ちて出られなかった人かしら?」
レラ「1度入ったら出られない、正に脱獄不可能の迷宮って感じだね」
たまたま持ち合わせていたのが、このモデル雑誌か......
セリカ「20日目、今日も外に出られそうにない。私は、ここで生涯を終えてしまうのだろう。だから、ここに書き記しておく」
ヴァル「何読んでんだ?」
セリカ「この雑誌に、なんか手書きで書いてある文章」
レラ「へぇ......なんて書いてあるの?」
セリカ「ちょっと待ってね。『この洞窟に落とされてから、飲まず食わずで20日間生き続けた。水のない環境で、これだけ生きられたのは、最早奇跡だと思う。もし、ここに落ちてくる者がいるのなら、呪術師に気をつけよ』」
ヴァル「呪術師?」
エフィ「処刑人かなんかでしょうか?」
セリカ「さあ?文章はここで終わってるね」
呪術師か......。大分時間が経ってるから分かんないけど、確かにこの遺骨には、所々に傷痕が残っている。それに、この雑誌が割と最近のものであるということから考えるに、その呪術師は普通にいると考えられる。
ヴァル「何にせよ、早くしねえと死ぬってことだな。急ごうぜ」
ミラ「そうねぇ。この雑誌は、何かのために貰っておきましょうか」
レラ「いるの?これ」
ミラ「だってこれ、2年前に発売された限定版じゃない。傷物だけど、お値打ちものよ」
そうなのか......知らなかった......。いや、でも要らなくない?こんなの、魔法の1発だって防げやしない。
ヴァル「......?何か、生き物の匂いを感じるぞ。人だ」
セリカ「もしかして、私達以外にも落とされた人が?」
ヴァル「......全員、俺の後ろに下がれ」
どういう事?でも、ヴァルは真剣な顔。おふざけではない。
「あら?随分と鼻がいいのねぇ」
ヴァル「誰だテメェ。ここに落とされた奴じゃねえな」
「ふふ、ふふ。そうよ、私は、呪術師。人を呪い殺すのが仕事......」
ヴァル「要するに、処刑人って事か」
「ええそうよ。私は死神。シヴィニア。別名、深淵の呪殺者・ハーデスとも呼ばれているわ」
聞いた事のない名前......当たり前か。処刑人なんて、表に立って仕事をするわけじゃないし。
エフィ「あっ......うっ......」
セリカ「どうしたの!?エフィ!」
突然、エフィが腹を抱えて倒れる。顔が真っ青になっていて、まるで食べてた物に毒でも盛られてたみたいだ。
シヴィニア「ふふ、ふふ。その子、簡単に呪いが効くのね......」
ヴァル「テメェ!今すぐ呪いを解け!」
シヴィニア「解く?無理よ。呪いは、発動したら最後。解くことなんて出来ないわよ?」
ヴァル「なんだと......!?」
シヴィニア「呪いは、かかれば最後。死ぬまで効果は持続されるわ」
なんて事だ。って事は、エフィはずっとこのまま。私達の中に、治癒術を使える者はいない。せめて、私の元にアルラウネの鍵だけでもあれば......
ヴァル「呪術ってのは、発動者殺せば解除されんだろ?なら、俺はお前を殺す!」
シヴィニア「良いわ。その目。殺せるものなら殺してみなさい」
ヴァル「地獄龍の鉄砕!」
シヴィニア「アハハハハ」
ヴァルの攻撃を易々とかわしている。
ミラ「ヴァル、私達も援護するわ!変身」
レラ「変身!」
ミラが悪魔の姿に、レラが天使のような姿へと変わる。
ミラ「サタンブレイク!」
レラ「エンジェルバリア!」
シヴィニア「悪魔の攻撃に、天使の護り。良いわ。もっとそういうのを頂戴!」
......なんか、ネイと似てる部分を感じる。気のせいだろうか。
シヴィニア「はいタッチ」
ヴァル「っ......!」
シヴィニア「どんな呪いをかけてあげようかしら?そこの可愛い子と同じ?それとも、頭痛?腰痛?筋肉痛?」
ヴァル「腰痛以外でお願いします」
シヴィニア「分かったわ。腰痛ね」
ヴァル「痛ってぇ......!ネイ乗せて歩いてた分が今になってやって来たぁ!」
これ、なんていう状況?わざとやってるの?
ミラ「サタンブレス!」
レラ「エンジェルスピア!」
シヴィニア「残念。筋はいいのだけれどねぇ。私には当たらないわ」
ヴァル「氷龍の翼撃!」
シヴィニア「っ......」
やっとシヴィニアにまともな攻撃が当たった。
シヴィニア「......良いわ。この痛み。良いわねぇ」
ヴァル「ドMかよ......そのキャラはネイだけで十分だ。......悪ぃ、やっぱお前そのまんまでいいわ。ネイには清楚系ヒロインになってもらうし」
シヴィニア「......よく分かんないけど、私はあなたを呪い殺す。その覚悟は出来てるかしら?」
私も、ヴァルが言ったことの意味が分からなかった。そこだけは同情する。ただ、殺すという部分は同情できない。
ヴァル「めんどくせぇなこいつ!攻撃が当たらねぇ......」
シヴィニア「あなた、いい筋してるわ。でも、そんな速さじゃ私には当たらない」
この状況、どうすれば......
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴェルド「シアラ、お前、なんで俺についてきてんだ」
シアラ「シアラはヴェルド様と運命を共にするのですよ」
ヴェルド「やめろ。俺はそんなつもりねえんだよ。離れろ!」
シアラ「えぇ、シアラがいた方が、敵をたくさん倒せると思いますよ?2人1組で移動した方が、前と後ろで戦うことだって出来ますし」
ぜってぇフウロの言葉を丸パクリしただけだろ。お前がそんな考えを持ってるわけがねえ。俺と一緒にいるための口実だ。
「おやお2人さん。デートの途中か?」
ヴェルド「誰だテメェ」
「忘れたとは言わせんぞ。ネイちゃんの既婚者が」
悪ぃ。それ俺じゃねえわ。人違いだわ。
ヴェルド「何を間違えてんのか知らねえけど、俺はあいつにさらさら興味はねぇ。つか、俺が言うのもあれだが、この状況見てよくそんな言葉が出たな」
「......すまん。あまりにもあの光景が脳裏にチラつくもんだから間違えた。今のは忘れてくれ」
忘れるも何も、気持ち悪すぎて忘れられねえんだけど。
ヴェルド「まあいいや。ここで会ったが運命。ポイントにさせてもらうぜ」
レイガ「俺の名前はレイガ。氷の造形魔導士だ」
ヴェルド「俺の名前はヴェルド。氷と炎の造形魔導士だ」
こいつ、シアラには興味ねえんだな。既婚者はダメとかそういうこと言ってたし、この状況をそうだと認識してんだろうな。まあ、変な要求してくるよりかは、黙って戦ってもらった方が良い。
レイガ「1対2か。分が悪いな。ピアナ、お前も出てこい」
ピアナ「『俺1人に任せてろ』って言ったのはどこの誰よ」
レイガ「すまない。流石に、相手が2人では分が悪いと思ってな」
ピアナ「はぁ......もう分かったわよ。お似合いカップルには申し訳ないけど、私達が勝たせてもらうからね!」
いや、カップルじゃなく、ストーカーする立場とストーカーされてる立場の関係なんですが......。
ドン!
デン!
ガン!
チン!
ヴァル「お、重てぇ......」
上からバッタバッタと人が降ってくる。落ちてくる度に、俺の体へととんでもない負荷が......あ、重たいとか言いたいわけじゃないよ。
セリカ「ここどこ?」
見覚えのある景色......あれだ、なんかの鉱石が張り巡らされているあの洞窟だ。
ヴァル「そういや、城の手前で落ちてたもんな......」
エフィ「どうします?上の方はとっくに塞がれてますよ」
レラ「というか、ここって何なの?」
ああ、説明すると長くなるな。どうしよう......。
ヴァル「あれだ。俺とセリカとネイが落ちて、あの王女様どもに捕らえられた場所だ」
ミラ「ああ、なるほど。そこね」
今ので理解出来たのか?
セリカ「......とりあえず、出口を探しましょ?」
ヴァル「あるのか?出口」
セリカ「さあ?でも、隅々まで探したってわけじゃないんだし」
ミラ「まあ、何とかなるわよ。魔法だって使えるんだし。ほらヴァル。自慢の嗅覚で出口をさがして」
あのさぁ、俺の鼻はそんな便利なもんじゃねえんだよ。この状況なら、風の音を聞き分けられるネイの方が......
ヴァル「お、こっちから新鮮な風の匂いが」
ヤバい。こんな澄んだ場所だと、綺麗な空気の匂いが分かる。どうしよう。まあいいや、出口が分かるならそれに越したことはない。
ヴァル「よぉーし、こっちだー!ついてこい!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
フウロ「風神の舞!」
エスメラルダ「双剣乱舞!」
高速に回転する剣と剣が、甲高い音を立てている。
モデル業を営んでいると聞いたが、自身を鍛え上げる時間は十分に確保しているようだ。剣に無駄な動きが一切ない。
フウロ「お前、その剣の動き、どこで覚えた?」
エスメラルダ「モデルやってる同業者に、この手の使い手がいてね。教えてもらったのよ。モデルをしながら」
なるほど。無駄な生き方は一切していないというわけか。剣一筋の私と互角に渡り合う剣の強さ。
フウロ「私も、モデルをやれば強くなれるだろうか」
エスメラルダ「馬鹿なこと言わないでよ。あんたは、その剣の強さ一つで十分でしょ!?」
フウロ「いや、人生というのは、欠片も無駄にしたくはない。出来ることはなんでもやってみるべきだと思う」
エスメラルダ「好きにやりなさいよ。あなたの人生だわ。だけど、それならここで手を抜く訳には行かないわね」
フウロ「......水神の舞!」
エスメラルダ「布陣・剣鬼!」
あたりに散らばる大量の短剣。その全てが、私に狙いを定めて飛んでくる。
フウロ「雷雨!」
所詮はただの剣。雷を当てて撃ち落とす。習得してよかったライオスの技。
フウロ「次はこちらから仕掛けさせてもらう!氷炎乱舞!」
ヴァルとヴェルドが見せた、炎と氷を同時に操る技。出来ないと思っていたが、あの2人が出来たところを見ると、私にも出来るようになっていた。
エスメラルダの2本の剣と、私の剣。お互いに、剣に対する愛は深いようだ。剣についている傷と、それを治した痕。戦えば、エスメラルダの剣にもその痕が付いているのが分かる。そこから、剣への愛を感じる。
普通の人なら、ボロボロになって、錆びれた剣は捨ててしまう。でも、私は物を大事にする。大事にし過ぎるほどに。
フウロ「......そろそろ決着を付けよう」
エスメラルダ「OK。必殺技で勝負よ!桜羅双乱舞!」
フウロ「火、水、然、風、雷。アトリビュートブレイク!」
......
......
......
エスメラルダ「......流石ね。その剣に付いてる、何度も治した痕。私のより凄いわね」
フウロ「お前も、中々に物を大事にするんだな。今回は、私の剣への愛が強かっただけだ」
エスメラルダ「......じゃあ、次は私のボロ剣で負けを認めさせてあげるわ」
私の勝ちだ。
また1つ、剣に傷がついた。大会が終わったら、いつもの鍛冶屋に持っていかないとな。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
セリカ「ねぇヴァル。本当に、こっちの方角から新鮮な......風の香りだっけ?を感じてるの?」
ヴァル「言い訳させてもらうと、その風が吹いてくる方角が変わってるんだよ。だから、さっきから方角が定まらねえ......」
何それ......結局は、その鼻はダメだってことなんじゃないの?
ミラ「困ったわねぇ。これじゃあ、日が暮れちゃうわよ」
レラ「その日は見えないけどね......」
エフィ「大丈夫ですよ。きっと、何とかなります」
みんなお気楽でいいなぁ。私は、鍵が全部無くなってることがどうにも気がかりだって言うのに。
ヴァル「お、何だこりゃ?」
雑誌......それも、モデル雑誌。ヴァルが拾ったのは、丁度エスメラルダが表紙の回だ。
ミラ「なんでこんな物がここにあるのかしら?」
エフィ「ひぇっ!」
突然、エフィが尻もちをついて倒れる。
ヴァル「どうした、エフィ!」
エフィ「あ、あの......こ、これ......」
エフィが指さした方向。
ヴァル「骸骨......?」
大分、岩と同化するように黒ずんでいるが、間違いなく人体の頭のような骨格の骨である。
ミラ「ここに落ちてる雑誌と、人体の骨......ここに落ちて出られなかった人かしら?」
レラ「1度入ったら出られない、正に脱獄不可能の迷宮って感じだね」
たまたま持ち合わせていたのが、このモデル雑誌か......
セリカ「20日目、今日も外に出られそうにない。私は、ここで生涯を終えてしまうのだろう。だから、ここに書き記しておく」
ヴァル「何読んでんだ?」
セリカ「この雑誌に、なんか手書きで書いてある文章」
レラ「へぇ......なんて書いてあるの?」
セリカ「ちょっと待ってね。『この洞窟に落とされてから、飲まず食わずで20日間生き続けた。水のない環境で、これだけ生きられたのは、最早奇跡だと思う。もし、ここに落ちてくる者がいるのなら、呪術師に気をつけよ』」
ヴァル「呪術師?」
エフィ「処刑人かなんかでしょうか?」
セリカ「さあ?文章はここで終わってるね」
呪術師か......。大分時間が経ってるから分かんないけど、確かにこの遺骨には、所々に傷痕が残っている。それに、この雑誌が割と最近のものであるということから考えるに、その呪術師は普通にいると考えられる。
ヴァル「何にせよ、早くしねえと死ぬってことだな。急ごうぜ」
ミラ「そうねぇ。この雑誌は、何かのために貰っておきましょうか」
レラ「いるの?これ」
ミラ「だってこれ、2年前に発売された限定版じゃない。傷物だけど、お値打ちものよ」
そうなのか......知らなかった......。いや、でも要らなくない?こんなの、魔法の1発だって防げやしない。
ヴァル「......?何か、生き物の匂いを感じるぞ。人だ」
セリカ「もしかして、私達以外にも落とされた人が?」
ヴァル「......全員、俺の後ろに下がれ」
どういう事?でも、ヴァルは真剣な顔。おふざけではない。
「あら?随分と鼻がいいのねぇ」
ヴァル「誰だテメェ。ここに落とされた奴じゃねえな」
「ふふ、ふふ。そうよ、私は、呪術師。人を呪い殺すのが仕事......」
ヴァル「要するに、処刑人って事か」
「ええそうよ。私は死神。シヴィニア。別名、深淵の呪殺者・ハーデスとも呼ばれているわ」
聞いた事のない名前......当たり前か。処刑人なんて、表に立って仕事をするわけじゃないし。
エフィ「あっ......うっ......」
セリカ「どうしたの!?エフィ!」
突然、エフィが腹を抱えて倒れる。顔が真っ青になっていて、まるで食べてた物に毒でも盛られてたみたいだ。
シヴィニア「ふふ、ふふ。その子、簡単に呪いが効くのね......」
ヴァル「テメェ!今すぐ呪いを解け!」
シヴィニア「解く?無理よ。呪いは、発動したら最後。解くことなんて出来ないわよ?」
ヴァル「なんだと......!?」
シヴィニア「呪いは、かかれば最後。死ぬまで効果は持続されるわ」
なんて事だ。って事は、エフィはずっとこのまま。私達の中に、治癒術を使える者はいない。せめて、私の元にアルラウネの鍵だけでもあれば......
ヴァル「呪術ってのは、発動者殺せば解除されんだろ?なら、俺はお前を殺す!」
シヴィニア「良いわ。その目。殺せるものなら殺してみなさい」
ヴァル「地獄龍の鉄砕!」
シヴィニア「アハハハハ」
ヴァルの攻撃を易々とかわしている。
ミラ「ヴァル、私達も援護するわ!変身」
レラ「変身!」
ミラが悪魔の姿に、レラが天使のような姿へと変わる。
ミラ「サタンブレイク!」
レラ「エンジェルバリア!」
シヴィニア「悪魔の攻撃に、天使の護り。良いわ。もっとそういうのを頂戴!」
......なんか、ネイと似てる部分を感じる。気のせいだろうか。
シヴィニア「はいタッチ」
ヴァル「っ......!」
シヴィニア「どんな呪いをかけてあげようかしら?そこの可愛い子と同じ?それとも、頭痛?腰痛?筋肉痛?」
ヴァル「腰痛以外でお願いします」
シヴィニア「分かったわ。腰痛ね」
ヴァル「痛ってぇ......!ネイ乗せて歩いてた分が今になってやって来たぁ!」
これ、なんていう状況?わざとやってるの?
ミラ「サタンブレス!」
レラ「エンジェルスピア!」
シヴィニア「残念。筋はいいのだけれどねぇ。私には当たらないわ」
ヴァル「氷龍の翼撃!」
シヴィニア「っ......」
やっとシヴィニアにまともな攻撃が当たった。
シヴィニア「......良いわ。この痛み。良いわねぇ」
ヴァル「ドMかよ......そのキャラはネイだけで十分だ。......悪ぃ、やっぱお前そのまんまでいいわ。ネイには清楚系ヒロインになってもらうし」
シヴィニア「......よく分かんないけど、私はあなたを呪い殺す。その覚悟は出来てるかしら?」
私も、ヴァルが言ったことの意味が分からなかった。そこだけは同情する。ただ、殺すという部分は同情できない。
ヴァル「めんどくせぇなこいつ!攻撃が当たらねぇ......」
シヴィニア「あなた、いい筋してるわ。でも、そんな速さじゃ私には当たらない」
この状況、どうすれば......
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴェルド「シアラ、お前、なんで俺についてきてんだ」
シアラ「シアラはヴェルド様と運命を共にするのですよ」
ヴェルド「やめろ。俺はそんなつもりねえんだよ。離れろ!」
シアラ「えぇ、シアラがいた方が、敵をたくさん倒せると思いますよ?2人1組で移動した方が、前と後ろで戦うことだって出来ますし」
ぜってぇフウロの言葉を丸パクリしただけだろ。お前がそんな考えを持ってるわけがねえ。俺と一緒にいるための口実だ。
「おやお2人さん。デートの途中か?」
ヴェルド「誰だテメェ」
「忘れたとは言わせんぞ。ネイちゃんの既婚者が」
悪ぃ。それ俺じゃねえわ。人違いだわ。
ヴェルド「何を間違えてんのか知らねえけど、俺はあいつにさらさら興味はねぇ。つか、俺が言うのもあれだが、この状況見てよくそんな言葉が出たな」
「......すまん。あまりにもあの光景が脳裏にチラつくもんだから間違えた。今のは忘れてくれ」
忘れるも何も、気持ち悪すぎて忘れられねえんだけど。
ヴェルド「まあいいや。ここで会ったが運命。ポイントにさせてもらうぜ」
レイガ「俺の名前はレイガ。氷の造形魔導士だ」
ヴェルド「俺の名前はヴェルド。氷と炎の造形魔導士だ」
こいつ、シアラには興味ねえんだな。既婚者はダメとかそういうこと言ってたし、この状況をそうだと認識してんだろうな。まあ、変な要求してくるよりかは、黙って戦ってもらった方が良い。
レイガ「1対2か。分が悪いな。ピアナ、お前も出てこい」
ピアナ「『俺1人に任せてろ』って言ったのはどこの誰よ」
レイガ「すまない。流石に、相手が2人では分が悪いと思ってな」
ピアナ「はぁ......もう分かったわよ。お似合いカップルには申し訳ないけど、私達が勝たせてもらうからね!」
いや、カップルじゃなく、ストーカーする立場とストーカーされてる立場の関係なんですが......。
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