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第7章 【悪魔の科学者】
第7章6 【揃った記憶】
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メイ「えーっと、暗証番号は0815......っと。あ、開いた」
まさか、本当にベッドの裏に隠し金庫があるとは思わなかった。それに、暗証番号が誕生日って、1番やっちゃいけないやつだよ。
メイ「うわぁ、紙くずだらけ......しかもこれ、大事な手紙とかそういうのばっか......」
大事な物だから金庫に入れるというのは何も間違ってないが、もっと丁寧に入れとこうよ。
メイ「あ、もしかしてこれかな?」
黒と無色透明の小さな箱。無色透明の方は、中に赤やら青の糸?みたいなものが見える。
......これが、世界を破壊できるほどの力を持つ物。しかも、作り出したのはヒカリさん。
メイ「信じられないよ......」
私は、ネイさんの言う『ただの人間』だから、何か出来るわけじゃない。でも、ヒカリさんの気持ちを分かろうとすることはできる。
......
......
......
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
メイ「お兄ちゃん、あったよ、これ」
僅か数分でメイが戻って来た。その手には、黒と無色透明のメモリが握られている。
メイ「......」
どうすればいいのか。ヒカリが生きてることをどう受け止めればいいのか。今の街の状況を、どうすればいいのか。
メイの顔には、そんなどうにもならない状況に対しての悲しみが浮かんでいる。
クロム「そんな顔するな。気が滅入る」
メイ「......ごめん」
明日......
チャンスは1度きりだ。
メモリは渡す。だが、隙を見てネイを取り戻す。言うだけなら簡単だが、実際にやるのはとても難しい。
メイ「お兄ちゃん、ヴァルさん達にも伝えた方が良いんじゃない?」
クロム「......いや、これは俺達の問題だ。そう何度もあいつらの力を借りるわけにはいかない」
何度も何度もあいつらに借りを作るのはゴメンだからな。それに、これ以上あいつらを俺達の問題に巻き込みたくない。
......
......
......
クロム「メイ、明日は戦いになりそうな気がする。自警団の奴ら全員に戦闘準備をしとけと伝えとけ」
メイ「うん。無理しないようにね」
クロム「これくらいで、俺が引くわけにはいかん」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
そして翌日。
時刻は昼下がり頃。場所は自警団本部。いつ奴が来るか分からん状況で、ずーっと気を張っていたため、精神的な疲労がそろそろヤバい。
ルーダ「来ないな......」
「って思った瞬間に現れるんだよなぁ」
......!来た!
声は聞こえる。だが、奴の姿は見えない。
「ここだよここ。上を見上げてみな」
クロム「......?」
上......?
クロム「っ......!」
天井の木の支えの部分に、奴は器用に立っていた。いや、浮いていたの方が正しいだろう。
「用意したか?例の物は」
クロム「......ここにある」
雑にポケットの中に入れていたメモリを、奴に見せびらかす。
「おぉ、ちゃんとあったんだな。それを寄越せ」
クロム「......これが欲しかったら、ネイを返せ」
「返せねぇ......それは無理な相談だなぁ。体返しちまったら、俺幽霊になっちまうからなぁ。それ以外で手ぇ打てや」
クロム「断る」
「......へぇ、強気だねぇ。今のお前らが、束になっても俺には勝てないってことを知ってるだろ?」
クロム「やってみなければ分からない。昨日と違って、今日は万全の体制だ」
「そんなボロボロな体を、『万全の体制』って言えるのかねぇ。まあいい。話し合いが無理なら、暴力で奪うだけだ。世の中は分かりやすくて良いよなぁ?」
奴が降りてきた。
クロム「全員構えろ!」
ネイを、いや、エンマを囲うようにして自警団のメンバー全員が配置する。
「ほう、全方向からなら、どれか1つでも当たるだろうって算段か」
クロム「それだけじゃない。聖域展開!」
奴は、邪龍であるネイの体を使っている。
今、俺が敷いた領域には、聖なる力が散りばめられている。外にでも出ようものなら、一瞬でその体を浄化させる。
「なるほど。俺の弱点はリサーチ済みってか。面白ぇ。やってやろうじゃねえか」
杖でもしてないと支えられないこの体だが、奴を倒すだけならこの空間で問題ない。
クロム「聖龍・ルイン!」
「だから、効かねーー」
指で弾こうとしたエンマだったが、俺の攻撃は奴に弾き飛ばされずに当たった。
「......?何をした?」
「この領域内では、聖龍の力は100倍だ。いつもの感覚でやってたら、死ぬのはお前だぞ?」
「......容赦ねぇなぁ聖王。この体、ネイなんだぞ?」
クロム「分かってるさ。お前の魂だけに攻撃を当ててる」
「ハッ......バカみてぇな話だなこりゃぁ。ただ、そうなると話は違ってくるもんだ。本気で行かせてもらうぜ?」
こちらも、本気で行こう。
クロム「聖龍・覚醒!」
「赤い炎。覚悟を決めた聖王か。面白ぇ。今度は、歯応えがありそうだな」
クロム「来い!」
「オラァーー」
ルーダ「せい!」
ラグエ「喰らえ!」
「お前らの攻撃は効かーー」
ルーダとラグエの攻撃が、エンマの背を討ち取った。
「ぐっ......なんでだ......」
クロム「もう1つ言い忘れていた」
「何?」
クロム「この領域内にいる者は、全員聖の力を帯びる。お前は、ここにいる時点で袋の鼠なんだよ。嫌なら、大人しくネイの体から離れることだな」
「......なるほどねぇ。なら、お前らが攻撃出来ねえほどの速さで攻めれば良いんだろ?」
どれだけの速さで来ようが、四方八方を囲まれた状態のお前に、自由に動き続けることの出来る場所などない。
クロム「聖龍・オーバーレイ!」
「......ふっ、俺の速さに、ついて来れるかな?」
クロム「なっ......」
奴の姿が消えた......?
「後ろだよ。聖王」
クロム「っ......グァッ......」
一瞬で背後に回られた。
「そして、次は正面だ」
クロム「グハッ......」
傷口に直にやってくる攻撃。普通に攻撃されるよりもかなり痛い。
フェリシア「クロム様!」
「お前ら雑魚は引っ込んでろ」
フェリシア「きゃっ......!」
ルーダ「グァッ!」
ラグエ「っ......!......」
ものの数秒で、周りを囲んでいた仲間を、全員やられた。
なんて速さだ......
「どうやら、俺の速さについて来れる奴はいねぇようだな。じゃあ、このメモリは俺がいただくとするか」
クロム「っ......待て......」
「目当てのもんは手に入った。じゃあ、後はこの城を壊すか」
クロム「待てと言っている......」
「ほう?そんなボロボロな体で、よく動けれるなぁ。バケモンじゃねえか」
確かに、俺の体はボロボロだ。戦うなんてできっこない。
ただ、それでも俺は立ち上がる。このまま、奴の好きにさせる気はない。
クロム「セヤァッ!」
「動けねぇのに無理すんなよ」
クロム「グァッ......!」
「あーあ、傷口から汚ぇ赤色を零しやがって......まあいいや。この城壊すのは後にしてやるよ」
クロム「くっ......そっ......」
「フレイム、ウォーター、トルネード、エレキ、ブリザード、シャイン、ダーク、クリスタル。揃ったな、8本のグランメモリが」
クロム「......何する......つもりだ」
「最高のショーだ。見てろ、聖王。これが、創界の記憶。世界は俺の物だぁ!」
奴の体から、6本のメモリが抜かれていく。
そうだ、ヒカリは、メモリを入れられておかしくなっていた。これが、ネイがヒカリであるという紛れもない証拠だ。
そして、俺から奪い上げた2本のメモリが、その6本と合わさり、1つの巨大なメモリを作り出す。
クロム「なんだ......それは......」
「全てを破壊する記憶。滅びの記憶だ。これで、俺は更なる力を手にすることが出来る。残念だったな、聖王!世界は俺のものだ!」
大きく高笑いするエンマ。今すぐにでもぶった斬ってやりたいのに、体が動かない......
「もうこの8本に用はねぇ。返してやるよ」
俺の目の前に用済みのメモリを投げ捨てるエンマ。見上げれば、エンマは不気味な笑みを浮かべている。
クロム「くっ......そォォォォォ!」
這い蹲るようにして立ち上がり、油断しきった奴の体に1発ぶち込む。
「っ......!」
予想外だったのか、咄嗟に両腕を回して俺の攻撃を防いでいる。
クロム「セヤァッ......!」
「っ......メモリが反応しない?」
クロム「ここでお前を止める!聖龍・ルミナスレイ!」
「っ......クソっ......何故だ?何故動かない」
何か、不都合が起きてるらしい。これはチャンス......
クロム「聖龍・ジャッジメントルイン!」
審判の時だ!お前は、俺の民を傷付けた!その罪、魂に直と刻んでやる!
「っ......どこからその力が......」
クロム「セヤァァァァァァァ!」
「っ......この力なら......いいぜ、もっと来い!俺を殺す気で来い!」
クロム「セヤァァァァァァァァァァッ!」
全神経を剣に集中させて、奴の魂に傷をつけていく。
「っ......まだだ、まだだァ!」
クロム「セヤァッ!」
......
......
......
クロム「はぁ......はぁ......はぁ......」
ネイが倒れてる......
やったか......?
「お前、気に入ったぞ」
クロム「っ......どこだ。どこにいる」
「ここだよ。また天井の骨組みだ」
クロム「っ......!」
危機一髪のところでネイから離れたか......
「じゃあな。お前のお陰で目当てのもんは手に入ったよ。ネイは返してやる。メモリ同様、用済みだ」
それだけ言い残して、奴は消え去った。
クロム「......あぅッ」
今になって、開いた傷口の痛みが強烈に伝わってくる。
クロム「......全員、生きてるか?」
ルーダ「こっちはなんとか大丈夫だ。死んだフリしてて助かった」
クロム「ふざけるなよお前。俺がどんだけ大変な思いをしてたと思ってんだ」
ルーダ「分かってるよ。悪かった。んで、他も全員大丈夫だ。気絶させられただけだ」
確かに、流血沙汰になってるのは俺だけだし、他の面々から呼吸の音は聞こえる。
クロム「......逃がしてしまった」
ルーダ「お前だけのせいじゃない。何も出来なかった、俺達にも責任はある。今は、あいつの動きを追うことが大事だ」
クロム「......」
慰めなくたって良いんだがな。優しい奴だ。
クロム「メイ!巻き込まれてないか!」
メイ「うん......大丈夫だよ。今から、回復させるから」
クロム「俺はいい。先に、ネイを見てくれ。乗っ取られてる間に、何かされてたらたまったもんじゃないからな」
メイ「うん......」
まあ、敵を信じるなんておかしな話だが、あいつは何もしてないだろうな。少なくとも、触れたら爆発するとか、そういうのだけはない。
だって、あいつは自分ですることに快楽を得るような奴だ。そんな奴が、時限爆弾とかいう自分では手を下さない方法を取らないだろう。
メイ「ネイさん大丈夫?」
ただ、ネイをこのまま寝たきりにさせるくらいならやって来そうではある。こいつは、奴を倒せれる唯一の存在かもしれないからな。何も問題が無ければいいが......
「......メイさん?」
メイ「......良かった」
何も無さそうだな。良かった良かった。
「あれ......?私、死んだはずじゃ......」
クロム「何寝ぼけた事言ってんだ。お前のような不死者が、そう簡単に死ぬはずがないだろ」
「不死者......?何を言ってるんですか?............って、何なんですか!この体!?」
突然、取り乱したように立ち上がるネイ。何か、様子がおかしい。
「ってて......」
立ち上がっても、それは一瞬ですぐに倒れる。
メイ「ネイさん!まだ安定して立てないのに、無理しちゃダメだよ!」
「ネイ?誰のことですか?」
メイ「え......?ネイさんは、ネイさんでしょ?」
嫌な予感がする......。いや、嫌な予感というよりかは、不気味な予感。
「何言ってるんですか、メイさん。私は、ヒカリですよ。というか、なんで、自殺したはずなのに、こんな姿で、こんな所にーー」
クロム「落ち着け!ネイ!」
「だから、ネイって誰ですか!私はヒカリです!あなた達の目の前で、自殺したはずの......自殺したはず............なんで......」
こういう時だけは変な感覚が働くんだ。
戻ってきたはずのネイは、中身をヒカリへと変えていた。
まさか、本当にベッドの裏に隠し金庫があるとは思わなかった。それに、暗証番号が誕生日って、1番やっちゃいけないやつだよ。
メイ「うわぁ、紙くずだらけ......しかもこれ、大事な手紙とかそういうのばっか......」
大事な物だから金庫に入れるというのは何も間違ってないが、もっと丁寧に入れとこうよ。
メイ「あ、もしかしてこれかな?」
黒と無色透明の小さな箱。無色透明の方は、中に赤やら青の糸?みたいなものが見える。
......これが、世界を破壊できるほどの力を持つ物。しかも、作り出したのはヒカリさん。
メイ「信じられないよ......」
私は、ネイさんの言う『ただの人間』だから、何か出来るわけじゃない。でも、ヒカリさんの気持ちを分かろうとすることはできる。
......
......
......
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
メイ「お兄ちゃん、あったよ、これ」
僅か数分でメイが戻って来た。その手には、黒と無色透明のメモリが握られている。
メイ「......」
どうすればいいのか。ヒカリが生きてることをどう受け止めればいいのか。今の街の状況を、どうすればいいのか。
メイの顔には、そんなどうにもならない状況に対しての悲しみが浮かんでいる。
クロム「そんな顔するな。気が滅入る」
メイ「......ごめん」
明日......
チャンスは1度きりだ。
メモリは渡す。だが、隙を見てネイを取り戻す。言うだけなら簡単だが、実際にやるのはとても難しい。
メイ「お兄ちゃん、ヴァルさん達にも伝えた方が良いんじゃない?」
クロム「......いや、これは俺達の問題だ。そう何度もあいつらの力を借りるわけにはいかない」
何度も何度もあいつらに借りを作るのはゴメンだからな。それに、これ以上あいつらを俺達の問題に巻き込みたくない。
......
......
......
クロム「メイ、明日は戦いになりそうな気がする。自警団の奴ら全員に戦闘準備をしとけと伝えとけ」
メイ「うん。無理しないようにね」
クロム「これくらいで、俺が引くわけにはいかん」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
そして翌日。
時刻は昼下がり頃。場所は自警団本部。いつ奴が来るか分からん状況で、ずーっと気を張っていたため、精神的な疲労がそろそろヤバい。
ルーダ「来ないな......」
「って思った瞬間に現れるんだよなぁ」
......!来た!
声は聞こえる。だが、奴の姿は見えない。
「ここだよここ。上を見上げてみな」
クロム「......?」
上......?
クロム「っ......!」
天井の木の支えの部分に、奴は器用に立っていた。いや、浮いていたの方が正しいだろう。
「用意したか?例の物は」
クロム「......ここにある」
雑にポケットの中に入れていたメモリを、奴に見せびらかす。
「おぉ、ちゃんとあったんだな。それを寄越せ」
クロム「......これが欲しかったら、ネイを返せ」
「返せねぇ......それは無理な相談だなぁ。体返しちまったら、俺幽霊になっちまうからなぁ。それ以外で手ぇ打てや」
クロム「断る」
「......へぇ、強気だねぇ。今のお前らが、束になっても俺には勝てないってことを知ってるだろ?」
クロム「やってみなければ分からない。昨日と違って、今日は万全の体制だ」
「そんなボロボロな体を、『万全の体制』って言えるのかねぇ。まあいい。話し合いが無理なら、暴力で奪うだけだ。世の中は分かりやすくて良いよなぁ?」
奴が降りてきた。
クロム「全員構えろ!」
ネイを、いや、エンマを囲うようにして自警団のメンバー全員が配置する。
「ほう、全方向からなら、どれか1つでも当たるだろうって算段か」
クロム「それだけじゃない。聖域展開!」
奴は、邪龍であるネイの体を使っている。
今、俺が敷いた領域には、聖なる力が散りばめられている。外にでも出ようものなら、一瞬でその体を浄化させる。
「なるほど。俺の弱点はリサーチ済みってか。面白ぇ。やってやろうじゃねえか」
杖でもしてないと支えられないこの体だが、奴を倒すだけならこの空間で問題ない。
クロム「聖龍・ルイン!」
「だから、効かねーー」
指で弾こうとしたエンマだったが、俺の攻撃は奴に弾き飛ばされずに当たった。
「......?何をした?」
「この領域内では、聖龍の力は100倍だ。いつもの感覚でやってたら、死ぬのはお前だぞ?」
「......容赦ねぇなぁ聖王。この体、ネイなんだぞ?」
クロム「分かってるさ。お前の魂だけに攻撃を当ててる」
「ハッ......バカみてぇな話だなこりゃぁ。ただ、そうなると話は違ってくるもんだ。本気で行かせてもらうぜ?」
こちらも、本気で行こう。
クロム「聖龍・覚醒!」
「赤い炎。覚悟を決めた聖王か。面白ぇ。今度は、歯応えがありそうだな」
クロム「来い!」
「オラァーー」
ルーダ「せい!」
ラグエ「喰らえ!」
「お前らの攻撃は効かーー」
ルーダとラグエの攻撃が、エンマの背を討ち取った。
「ぐっ......なんでだ......」
クロム「もう1つ言い忘れていた」
「何?」
クロム「この領域内にいる者は、全員聖の力を帯びる。お前は、ここにいる時点で袋の鼠なんだよ。嫌なら、大人しくネイの体から離れることだな」
「......なるほどねぇ。なら、お前らが攻撃出来ねえほどの速さで攻めれば良いんだろ?」
どれだけの速さで来ようが、四方八方を囲まれた状態のお前に、自由に動き続けることの出来る場所などない。
クロム「聖龍・オーバーレイ!」
「......ふっ、俺の速さに、ついて来れるかな?」
クロム「なっ......」
奴の姿が消えた......?
「後ろだよ。聖王」
クロム「っ......グァッ......」
一瞬で背後に回られた。
「そして、次は正面だ」
クロム「グハッ......」
傷口に直にやってくる攻撃。普通に攻撃されるよりもかなり痛い。
フェリシア「クロム様!」
「お前ら雑魚は引っ込んでろ」
フェリシア「きゃっ......!」
ルーダ「グァッ!」
ラグエ「っ......!......」
ものの数秒で、周りを囲んでいた仲間を、全員やられた。
なんて速さだ......
「どうやら、俺の速さについて来れる奴はいねぇようだな。じゃあ、このメモリは俺がいただくとするか」
クロム「っ......待て......」
「目当てのもんは手に入った。じゃあ、後はこの城を壊すか」
クロム「待てと言っている......」
「ほう?そんなボロボロな体で、よく動けれるなぁ。バケモンじゃねえか」
確かに、俺の体はボロボロだ。戦うなんてできっこない。
ただ、それでも俺は立ち上がる。このまま、奴の好きにさせる気はない。
クロム「セヤァッ!」
「動けねぇのに無理すんなよ」
クロム「グァッ......!」
「あーあ、傷口から汚ぇ赤色を零しやがって......まあいいや。この城壊すのは後にしてやるよ」
クロム「くっ......そっ......」
「フレイム、ウォーター、トルネード、エレキ、ブリザード、シャイン、ダーク、クリスタル。揃ったな、8本のグランメモリが」
クロム「......何する......つもりだ」
「最高のショーだ。見てろ、聖王。これが、創界の記憶。世界は俺の物だぁ!」
奴の体から、6本のメモリが抜かれていく。
そうだ、ヒカリは、メモリを入れられておかしくなっていた。これが、ネイがヒカリであるという紛れもない証拠だ。
そして、俺から奪い上げた2本のメモリが、その6本と合わさり、1つの巨大なメモリを作り出す。
クロム「なんだ......それは......」
「全てを破壊する記憶。滅びの記憶だ。これで、俺は更なる力を手にすることが出来る。残念だったな、聖王!世界は俺のものだ!」
大きく高笑いするエンマ。今すぐにでもぶった斬ってやりたいのに、体が動かない......
「もうこの8本に用はねぇ。返してやるよ」
俺の目の前に用済みのメモリを投げ捨てるエンマ。見上げれば、エンマは不気味な笑みを浮かべている。
クロム「くっ......そォォォォォ!」
這い蹲るようにして立ち上がり、油断しきった奴の体に1発ぶち込む。
「っ......!」
予想外だったのか、咄嗟に両腕を回して俺の攻撃を防いでいる。
クロム「セヤァッ......!」
「っ......メモリが反応しない?」
クロム「ここでお前を止める!聖龍・ルミナスレイ!」
「っ......クソっ......何故だ?何故動かない」
何か、不都合が起きてるらしい。これはチャンス......
クロム「聖龍・ジャッジメントルイン!」
審判の時だ!お前は、俺の民を傷付けた!その罪、魂に直と刻んでやる!
「っ......どこからその力が......」
クロム「セヤァァァァァァァ!」
「っ......この力なら......いいぜ、もっと来い!俺を殺す気で来い!」
クロム「セヤァァァァァァァァァァッ!」
全神経を剣に集中させて、奴の魂に傷をつけていく。
「っ......まだだ、まだだァ!」
クロム「セヤァッ!」
......
......
......
クロム「はぁ......はぁ......はぁ......」
ネイが倒れてる......
やったか......?
「お前、気に入ったぞ」
クロム「っ......どこだ。どこにいる」
「ここだよ。また天井の骨組みだ」
クロム「っ......!」
危機一髪のところでネイから離れたか......
「じゃあな。お前のお陰で目当てのもんは手に入ったよ。ネイは返してやる。メモリ同様、用済みだ」
それだけ言い残して、奴は消え去った。
クロム「......あぅッ」
今になって、開いた傷口の痛みが強烈に伝わってくる。
クロム「......全員、生きてるか?」
ルーダ「こっちはなんとか大丈夫だ。死んだフリしてて助かった」
クロム「ふざけるなよお前。俺がどんだけ大変な思いをしてたと思ってんだ」
ルーダ「分かってるよ。悪かった。んで、他も全員大丈夫だ。気絶させられただけだ」
確かに、流血沙汰になってるのは俺だけだし、他の面々から呼吸の音は聞こえる。
クロム「......逃がしてしまった」
ルーダ「お前だけのせいじゃない。何も出来なかった、俺達にも責任はある。今は、あいつの動きを追うことが大事だ」
クロム「......」
慰めなくたって良いんだがな。優しい奴だ。
クロム「メイ!巻き込まれてないか!」
メイ「うん......大丈夫だよ。今から、回復させるから」
クロム「俺はいい。先に、ネイを見てくれ。乗っ取られてる間に、何かされてたらたまったもんじゃないからな」
メイ「うん......」
まあ、敵を信じるなんておかしな話だが、あいつは何もしてないだろうな。少なくとも、触れたら爆発するとか、そういうのだけはない。
だって、あいつは自分ですることに快楽を得るような奴だ。そんな奴が、時限爆弾とかいう自分では手を下さない方法を取らないだろう。
メイ「ネイさん大丈夫?」
ただ、ネイをこのまま寝たきりにさせるくらいならやって来そうではある。こいつは、奴を倒せれる唯一の存在かもしれないからな。何も問題が無ければいいが......
「......メイさん?」
メイ「......良かった」
何も無さそうだな。良かった良かった。
「あれ......?私、死んだはずじゃ......」
クロム「何寝ぼけた事言ってんだ。お前のような不死者が、そう簡単に死ぬはずがないだろ」
「不死者......?何を言ってるんですか?............って、何なんですか!この体!?」
突然、取り乱したように立ち上がるネイ。何か、様子がおかしい。
「ってて......」
立ち上がっても、それは一瞬ですぐに倒れる。
メイ「ネイさん!まだ安定して立てないのに、無理しちゃダメだよ!」
「ネイ?誰のことですか?」
メイ「え......?ネイさんは、ネイさんでしょ?」
嫌な予感がする......。いや、嫌な予感というよりかは、不気味な予感。
「何言ってるんですか、メイさん。私は、ヒカリですよ。というか、なんで、自殺したはずなのに、こんな姿で、こんな所にーー」
クロム「落ち着け!ネイ!」
「だから、ネイって誰ですか!私はヒカリです!あなた達の目の前で、自殺したはずの......自殺したはず............なんで......」
こういう時だけは変な感覚が働くんだ。
戻ってきたはずのネイは、中身をヒカリへと変えていた。
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革命を回避するために必要なのは、制度でも権力でもない。「人を知る」ことこそが鍵だと、ロイは気付く。
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そこで出会う一人ひとりの想いと現実が、やがて国の未来を大きく左右していくことになるとは、この時のロイはまだ知らない。
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