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第7章 【悪魔の科学者】
第7章8 【地獄の悪魔】
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ダギル「落ち着いたか、あの女は」
クロム「ああ。あれほどの切り替えの速さが羨ましいな」
ダギル「そうかい。切り替えってよりも、無理矢理別のところに思考を持っていってるようにしか見えねぇけどな。あれの中身が、最強軍師のヒカリなんだろ?」
クロム「......あぁ」
ヒカリ......
もう疑いようはないな。ネイが消えて、ヒカリがやって来た。あの症状を起こすのは、俺の知る限りヒカリだけだからな。
ダギル「じゃあ、俺は街の様子を見に行ってくるよ。何かあったらすぐに連絡すっから」
クロム「ああ、頼む」
こいつ、まだ怪我が治りきってないというのに、平気な顔してやがる。無理しなくていいというのにな。
かく言う俺も、怪我が治りきってないというのに、訓練場の方に足が動いてるのだがな。もう、一種の病気みたいなもんだな。剣を振ってないと落ち着かない。
フェリシア「クロム様!」
クロム「どうしたフェリシア」
訓練場に向かおうとした俺を止めるかのように、フェリシアが駆け寄ってきた。
フェリシア「クロム様!東4番街にて、街が破壊されております!」
クロム「っ......エンマか」
フェリシア「恐らく。如何なされますか?」
クロム「......今すぐ自警団全員を派遣しろ。俺も行く」
フェリシア「......承知致しました」
まだ、なんの準備も出来てないというのにこれか。クソっ......
クロム「ヒカリ......」
いや、呼ぶのはやめとこう。今のあいつは、まともに戦える状態じゃない。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「まだだ、まだ足りねぇ......」
クロム「そこまでだ!エンマ!」
「ちっ、もう来やがったか」
もうあちらこちらで火の手が上がってる......真夜中だというのに、火のせいで辺りがハッキリと見える。
遅かったか......
だが、これ以上は好きにさせない。
クロム「エンマぁ!」
「やけにやる気だな。まだ日も開けてねえだろ」
クロム「聖域展開!」
「っ......邪魔だどけ!」
昼時と違って、今のこいつはなんだかイラついてるように見える。
「まあいい。お前の聖龍の力。全部貰うぜ」
俺の剣から、青の炎を吸い取ってる......?
クロム「何するつもりだ!」
「足りねぇんだよ。俺がもう一段階次のステージに進むために!」
不気味さを感じた俺は、すぐさまこいつから距離を取る。
「ちっ......」
クロム「......」
何を企んでいるのか......
俺から聖龍の力を吸い取る......聖龍の力を吸い取って、何をするつもりだ?
「おい、聖王。悪いことは言わねぇ、俺に全力で攻撃をぶつけてこい」
クロム「......?」
怪しい。だが、攻撃しなければ奴を倒すことは出来ない。
どう動くべきか......
フェリシア「クロム様!お待たせしました!」
クロム「フェリシア!」
アラン「クロム様、ここからは我らが相手をします」
クロム「そういうわけにもいかない。部下にばっかいい所を持って行かせはせん」
「ゴタゴタうるせぇなぁ!いいから、さっさと聖龍の力を寄越せやゴルァ!」
エンマは、俺にだけ焦点を合わせて攻めてくる。
クロム「っ......仕方ない!聖龍・オーバーレイ!」
「......いいぜ。もっと来い」
アラン「セヤァッ!」
フェリシア「セイッ!」
「お前らは引っ込んでろ!」
「「 っ......! 」」
流石の攻撃力。アランとフェリシアを一瞬で吹き飛ばした。
クロム「っ......聖龍・ルミナスレイ!」
「さあ!もっと来い!」
......これは、奴のメモリに力を吸われていってる?
クロム「っ......」
なるほど。奴は、メモリを完成させるために俺から力を奪っていったのか......
「ちっ、もう気づきやがったか。まあいい。これで、最強のメモリが完成だ」
クロム「しまった......」
「さあ!見せてやるよ!最高の記憶!」
《デストラクション》
デストラクション......滅び......!
「さあ!滅びの時だ!」
体に挿したメモリから、黒い腕が伸びてきて奴の体を締め付けていく。
「......あぁ、いいな。この力」
漆黒の仮面に、ギザギザとした体。そして、溢れんばかりの負のマナ。
「......じゃあ、まず手始めに、クロム、お前には死んでもらおうか」
クロム「っ......聖龍・覚醒!」
赤い炎のオーラを......
クロム「......?」
「どうした?聖王。まさか、聖龍の力が使えなくなったか?」
まさか......いや、そんなはずが......
「残念だったなぁ、聖王。じゃあな」
奴が生み出したのはブラックホール。あんなのに吸い込まれちゃ、たまったもんじゃない。
だが、奴が作り出したブラックホールは、ネイが使っていたのと違って、かなりデカい。避けきれるか......?
「グランアタック・シャイン」
「っ......!?」
何者かの攻撃によって、ブラックホールは消滅した。
ヒカリ「クロムさん、私を置いていったら勝てるものも勝てなくなりますよ」
クロム「どうして......」
ヒカリ「あいつを倒すのは私の仕事」
いつもやる気のなさそうな目をしてるヒカリの瞳に、光が灯っている。
「ほう、もしかして、ヒカリの記憶が蘇ったか」
ヒカリ「......私を生かしたのは、あなたらしいですね」
「ああ、そうだよ。死にかけだったお前に、治療を施して記憶を消したのは俺だ」
ヒカリ「......なんでそんな事を」
「お前には死なれちゃ困るからだ。あの人の命令なんだよ」
ヒカリ「......やはり、あなたの後ろにはーー」
「おっと、それ以上は言っちゃいけねぇ。聞いてる奴がゴロゴロいるからな」
ヒカリ「......」
「さあ、決着をつけようか?と言っても、そんな状態で、滅びの力を得た俺に勝てるか?」
そうだ。ヒカリ、お前は戦える状態じゃない。車椅子で出張して来やがって......何のために何も言わずに出て行ったと思ってんだ。
クロム「ヒカリ、引いとけ」
ヒカリ「そんなボロボロな体した人に言われたくありません。私が、奴を倒します」
クロム「しかしーー」
ヒカリ「いいから黙って後ろに下がってろ!あいつは私が倒す。手出しはさせない」
鬼迫の籠った顔付き。お前とエンマとの間に何があるって言うんだ。
「仲間割れか?面白ぇぁ」
ヒカリ「グランアタック・エレキ!」
お前、いつの間にその銃を......
「ほう、グランメモリにはグランメモリか。なら、グランアタック・ダーク」
ヒカリの攻撃と同じようなものを......
「言っとくが、俺の力とお前の機械頼りの力じゃ、俺の方が1枚上だぜ?」
ヒカリ「ちっ......」
「お前の力じゃ俺には適わねえよ。大人しく、引くことだな」
ヒカリ「......」
「やめとけって。お前が持ってるメモリは、全部俺の中にも入ってる」
ヒカリ「ちっ......エンドラル・シー・ザ・リゼントメント・テラ・オブ・サンダー。スクリーン・45・23・263.59・56・300。ディスチャージ」
「......!?」
強力な魔法が、奴の動きを捉え一方的に攻撃する。それを喰らった奴は、地に膝をついて息を整えている。
「まさか......こんなものを使えるとはな」
「世界の記憶と繋がった私は、全ての制限を超えた魔法を、マナの消費、及び世界の原理を無視して使うことが出来る」
「なるほどねぇ。なら、滅びの時だ。ワールドエンド・滅亡」
ヒカリ「っ......!?全員伏せて!エンドカラー」
「遅せぇよ。死んでもらおうか」
ヒカリ「............」
......
......
......
何が起きた?
突然、辺りが真っ暗になったかと思えば、鼓膜をぶち破るほどの轟音が聞こえた。
辺りを見渡せば、夜の街をサンサンと照らしていた炎が全て消え、明かりという明かりが全て消えていた。
ヒカリ「クロム......さん......」
クロム「っ......ヒカリ!おい!しっかりしろ!ヒカリ!」
全ての攻撃を自分の元に集めたのだろう、こいつの体が黒ずんでいた。
アラン「クロム様!」
クロム「アラン!ヒカリが......ヒカリが......」
アラン「落ち着いてください!」
アランがヒカリの心音を確かめている。
アラン「心臓は動いています。呼吸も正常です。肌が黒く見えるのは、クロム様、あなた様も含めて全員です」
クロム「そ......そうなのか......」
アラン「ええ。辺り一帯の光が消えて、色という色が認識し辛くなっているだけかと思われます」
クロム「そ......うか......」
無駄に慌てて、冷静になれなかっただけか......
しかし、今の攻撃はなんだったんだ?辺りから全ての光を奪い去って、ここら一帯を真っ黒に染め上げた。
クロム「......一旦撤退だ」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
そして翌日。
この日、俺達は破壊された街の瓦礫撤去、及び住人の安全確認などを行っていた。
幸いとでも言うべきなのだろう。今日この日、エンマが暴れたという話は聞かなかった。もしかしたら、どこかで小規模に暴れているのかもしれないが、大規模な破壊は行われていないことは確かだ。
フェリシア「クロム様!報告致します。負傷者230人、死傷者34人です」
クロム「......そうか。分かった」
結局、犠牲者が出る羽目になってしまった。
このままでは、民からの俺への信用も無くなっていくばかりだ。早く、あいつを止めなければならない。
クロム「......ヒカリは無事か?」
フェリシア「メイ様の治療によって、なんとか意識を取り戻しました。今は、自室という名の書庫に籠って何かをしております」
そう言えば、武器を作るとか言ってたな。まさか、あの銃だけがそれではないだろう。
それにしても、素材はどこから手に入れたんだろうな。銃なんて高級品、作るだけでもかなりの額がかかるというのに、素材まで全て自分で集めるとは......
相変わらず、侮れない奴だ。あいつなら、エンマを倒してくれるかもしれない。そんな淡い期待を抱いている。
アラン「クロム様、次の戦闘に向けての会議をしたいと考えております」
クロム「分かった。後で本部に全員を集合させよう」
そろそろ、無駄なプライドを捨ててヴァル達に助けを乞うか。ヒカリの事もあるし。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
そして、その日の夜。
やけに静かな夜だった。嵐の前の静けさっていうやつかな。とかそんな事を考えながら俺は眠りについていた。
まさか、この夜にとんでもない事が起きるとは思わなかったからな。
《ドッカーン!!!》
またしても鼓膜をぶち破るほどの爆発音が聞こえてきた。
折角、良い感じに寝れていたのに......
クロム「何事だ!」
メイ「お兄ちゃん!?」
扉を開けると、すぐそこにメイがいた。
クロム「どうした?」
メイ「い、いや、なんだか凄い音が聞こえたから......」
そうだよな。あれだけの音だ。隣部屋のメイにも当たり前のように聞こえている。
クロム「音の発信源はどこだ?」
メイ「書庫の方から聞こえた気がするけど......」
書庫......?まさか、ヒカリが......!?
クロム「行ってみよう......」
△▼△▼△▼△▼
あれきり、何度も聞こえてくる爆発音を頼りに俺達は前へ前へと進んでいた。
突然、瓦礫でも飛んでくるんじゃないかと思ってビクビク進んでいたのは内緒だ。
クロム「おーい、ヒカリー?」
何が来ても大丈夫なように、剣を構えて扉を開ける。
ヒカリ「出来た......最高の傑作......!」
クロム「ヒカリ......?」
ヒカリ「あ、クロムさん!見てください!」
「見てください!」と言われて見せられたのは、結晶の塊。
もしかして、グランメモリか?それにしては、形が綺麗な長方形ではなく、先端部分に8色のキーホルダーになった飾りが付いてる。全部が違う形なので、文章で伝えるのは難しいな。というか、グランメモリなら、体に突き挿して使うんだろ?そんな、長方形に少しのギザっとした変形と、キーホルダーが付いてるので使えるのか?
ヒカリ「凄いでしょ!最高でしょ!天才でしょ!」
なんか、どっかで聞いたことのあるセリフだな。しかも、このシチュエーション。さては、作者ライダー好きだな?
ヒカリ「これで、エンマを倒すことが出来ます!あぁ、いい物を作りました......」
なんだかよく分からんが、とりあえず逆転できるってことなのか?
クロム「一応聞いとくが、どうやって使うんだ?」
ヒカリ「私の体に挿して使います!」
そんな堂々と言わんでくれ。冷静に見て、それ、ただの危ない奴だからな。
クロム「......」
ヒカリ「さあ!これでエンマをギッタンギッタンのボッコボコにしてやりますよー!」
まあ、倒せるのならなんでもいいか。
クロム「いいかヒカリ。今後、夜中に爆発音起こして俺達の眠りを妨げるんじゃねえぞ。分かったな」
それだけ言って、俺とメイは去った。
クロム「ああ。あれほどの切り替えの速さが羨ましいな」
ダギル「そうかい。切り替えってよりも、無理矢理別のところに思考を持っていってるようにしか見えねぇけどな。あれの中身が、最強軍師のヒカリなんだろ?」
クロム「......あぁ」
ヒカリ......
もう疑いようはないな。ネイが消えて、ヒカリがやって来た。あの症状を起こすのは、俺の知る限りヒカリだけだからな。
ダギル「じゃあ、俺は街の様子を見に行ってくるよ。何かあったらすぐに連絡すっから」
クロム「ああ、頼む」
こいつ、まだ怪我が治りきってないというのに、平気な顔してやがる。無理しなくていいというのにな。
かく言う俺も、怪我が治りきってないというのに、訓練場の方に足が動いてるのだがな。もう、一種の病気みたいなもんだな。剣を振ってないと落ち着かない。
フェリシア「クロム様!」
クロム「どうしたフェリシア」
訓練場に向かおうとした俺を止めるかのように、フェリシアが駆け寄ってきた。
フェリシア「クロム様!東4番街にて、街が破壊されております!」
クロム「っ......エンマか」
フェリシア「恐らく。如何なされますか?」
クロム「......今すぐ自警団全員を派遣しろ。俺も行く」
フェリシア「......承知致しました」
まだ、なんの準備も出来てないというのにこれか。クソっ......
クロム「ヒカリ......」
いや、呼ぶのはやめとこう。今のあいつは、まともに戦える状態じゃない。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「まだだ、まだ足りねぇ......」
クロム「そこまでだ!エンマ!」
「ちっ、もう来やがったか」
もうあちらこちらで火の手が上がってる......真夜中だというのに、火のせいで辺りがハッキリと見える。
遅かったか......
だが、これ以上は好きにさせない。
クロム「エンマぁ!」
「やけにやる気だな。まだ日も開けてねえだろ」
クロム「聖域展開!」
「っ......邪魔だどけ!」
昼時と違って、今のこいつはなんだかイラついてるように見える。
「まあいい。お前の聖龍の力。全部貰うぜ」
俺の剣から、青の炎を吸い取ってる......?
クロム「何するつもりだ!」
「足りねぇんだよ。俺がもう一段階次のステージに進むために!」
不気味さを感じた俺は、すぐさまこいつから距離を取る。
「ちっ......」
クロム「......」
何を企んでいるのか......
俺から聖龍の力を吸い取る......聖龍の力を吸い取って、何をするつもりだ?
「おい、聖王。悪いことは言わねぇ、俺に全力で攻撃をぶつけてこい」
クロム「......?」
怪しい。だが、攻撃しなければ奴を倒すことは出来ない。
どう動くべきか......
フェリシア「クロム様!お待たせしました!」
クロム「フェリシア!」
アラン「クロム様、ここからは我らが相手をします」
クロム「そういうわけにもいかない。部下にばっかいい所を持って行かせはせん」
「ゴタゴタうるせぇなぁ!いいから、さっさと聖龍の力を寄越せやゴルァ!」
エンマは、俺にだけ焦点を合わせて攻めてくる。
クロム「っ......仕方ない!聖龍・オーバーレイ!」
「......いいぜ。もっと来い」
アラン「セヤァッ!」
フェリシア「セイッ!」
「お前らは引っ込んでろ!」
「「 っ......! 」」
流石の攻撃力。アランとフェリシアを一瞬で吹き飛ばした。
クロム「っ......聖龍・ルミナスレイ!」
「さあ!もっと来い!」
......これは、奴のメモリに力を吸われていってる?
クロム「っ......」
なるほど。奴は、メモリを完成させるために俺から力を奪っていったのか......
「ちっ、もう気づきやがったか。まあいい。これで、最強のメモリが完成だ」
クロム「しまった......」
「さあ!見せてやるよ!最高の記憶!」
《デストラクション》
デストラクション......滅び......!
「さあ!滅びの時だ!」
体に挿したメモリから、黒い腕が伸びてきて奴の体を締め付けていく。
「......あぁ、いいな。この力」
漆黒の仮面に、ギザギザとした体。そして、溢れんばかりの負のマナ。
「......じゃあ、まず手始めに、クロム、お前には死んでもらおうか」
クロム「っ......聖龍・覚醒!」
赤い炎のオーラを......
クロム「......?」
「どうした?聖王。まさか、聖龍の力が使えなくなったか?」
まさか......いや、そんなはずが......
「残念だったなぁ、聖王。じゃあな」
奴が生み出したのはブラックホール。あんなのに吸い込まれちゃ、たまったもんじゃない。
だが、奴が作り出したブラックホールは、ネイが使っていたのと違って、かなりデカい。避けきれるか......?
「グランアタック・シャイン」
「っ......!?」
何者かの攻撃によって、ブラックホールは消滅した。
ヒカリ「クロムさん、私を置いていったら勝てるものも勝てなくなりますよ」
クロム「どうして......」
ヒカリ「あいつを倒すのは私の仕事」
いつもやる気のなさそうな目をしてるヒカリの瞳に、光が灯っている。
「ほう、もしかして、ヒカリの記憶が蘇ったか」
ヒカリ「......私を生かしたのは、あなたらしいですね」
「ああ、そうだよ。死にかけだったお前に、治療を施して記憶を消したのは俺だ」
ヒカリ「......なんでそんな事を」
「お前には死なれちゃ困るからだ。あの人の命令なんだよ」
ヒカリ「......やはり、あなたの後ろにはーー」
「おっと、それ以上は言っちゃいけねぇ。聞いてる奴がゴロゴロいるからな」
ヒカリ「......」
「さあ、決着をつけようか?と言っても、そんな状態で、滅びの力を得た俺に勝てるか?」
そうだ。ヒカリ、お前は戦える状態じゃない。車椅子で出張して来やがって......何のために何も言わずに出て行ったと思ってんだ。
クロム「ヒカリ、引いとけ」
ヒカリ「そんなボロボロな体した人に言われたくありません。私が、奴を倒します」
クロム「しかしーー」
ヒカリ「いいから黙って後ろに下がってろ!あいつは私が倒す。手出しはさせない」
鬼迫の籠った顔付き。お前とエンマとの間に何があるって言うんだ。
「仲間割れか?面白ぇぁ」
ヒカリ「グランアタック・エレキ!」
お前、いつの間にその銃を......
「ほう、グランメモリにはグランメモリか。なら、グランアタック・ダーク」
ヒカリの攻撃と同じようなものを......
「言っとくが、俺の力とお前の機械頼りの力じゃ、俺の方が1枚上だぜ?」
ヒカリ「ちっ......」
「お前の力じゃ俺には適わねえよ。大人しく、引くことだな」
ヒカリ「......」
「やめとけって。お前が持ってるメモリは、全部俺の中にも入ってる」
ヒカリ「ちっ......エンドラル・シー・ザ・リゼントメント・テラ・オブ・サンダー。スクリーン・45・23・263.59・56・300。ディスチャージ」
「......!?」
強力な魔法が、奴の動きを捉え一方的に攻撃する。それを喰らった奴は、地に膝をついて息を整えている。
「まさか......こんなものを使えるとはな」
「世界の記憶と繋がった私は、全ての制限を超えた魔法を、マナの消費、及び世界の原理を無視して使うことが出来る」
「なるほどねぇ。なら、滅びの時だ。ワールドエンド・滅亡」
ヒカリ「っ......!?全員伏せて!エンドカラー」
「遅せぇよ。死んでもらおうか」
ヒカリ「............」
......
......
......
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突然、辺りが真っ暗になったかと思えば、鼓膜をぶち破るほどの轟音が聞こえた。
辺りを見渡せば、夜の街をサンサンと照らしていた炎が全て消え、明かりという明かりが全て消えていた。
ヒカリ「クロム......さん......」
クロム「っ......ヒカリ!おい!しっかりしろ!ヒカリ!」
全ての攻撃を自分の元に集めたのだろう、こいつの体が黒ずんでいた。
アラン「クロム様!」
クロム「アラン!ヒカリが......ヒカリが......」
アラン「落ち着いてください!」
アランがヒカリの心音を確かめている。
アラン「心臓は動いています。呼吸も正常です。肌が黒く見えるのは、クロム様、あなた様も含めて全員です」
クロム「そ......そうなのか......」
アラン「ええ。辺り一帯の光が消えて、色という色が認識し辛くなっているだけかと思われます」
クロム「そ......うか......」
無駄に慌てて、冷静になれなかっただけか......
しかし、今の攻撃はなんだったんだ?辺りから全ての光を奪い去って、ここら一帯を真っ黒に染め上げた。
クロム「......一旦撤退だ」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
そして翌日。
この日、俺達は破壊された街の瓦礫撤去、及び住人の安全確認などを行っていた。
幸いとでも言うべきなのだろう。今日この日、エンマが暴れたという話は聞かなかった。もしかしたら、どこかで小規模に暴れているのかもしれないが、大規模な破壊は行われていないことは確かだ。
フェリシア「クロム様!報告致します。負傷者230人、死傷者34人です」
クロム「......そうか。分かった」
結局、犠牲者が出る羽目になってしまった。
このままでは、民からの俺への信用も無くなっていくばかりだ。早く、あいつを止めなければならない。
クロム「......ヒカリは無事か?」
フェリシア「メイ様の治療によって、なんとか意識を取り戻しました。今は、自室という名の書庫に籠って何かをしております」
そう言えば、武器を作るとか言ってたな。まさか、あの銃だけがそれではないだろう。
それにしても、素材はどこから手に入れたんだろうな。銃なんて高級品、作るだけでもかなりの額がかかるというのに、素材まで全て自分で集めるとは......
相変わらず、侮れない奴だ。あいつなら、エンマを倒してくれるかもしれない。そんな淡い期待を抱いている。
アラン「クロム様、次の戦闘に向けての会議をしたいと考えております」
クロム「分かった。後で本部に全員を集合させよう」
そろそろ、無駄なプライドを捨ててヴァル達に助けを乞うか。ヒカリの事もあるし。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
そして、その日の夜。
やけに静かな夜だった。嵐の前の静けさっていうやつかな。とかそんな事を考えながら俺は眠りについていた。
まさか、この夜にとんでもない事が起きるとは思わなかったからな。
《ドッカーン!!!》
またしても鼓膜をぶち破るほどの爆発音が聞こえてきた。
折角、良い感じに寝れていたのに......
クロム「何事だ!」
メイ「お兄ちゃん!?」
扉を開けると、すぐそこにメイがいた。
クロム「どうした?」
メイ「い、いや、なんだか凄い音が聞こえたから......」
そうだよな。あれだけの音だ。隣部屋のメイにも当たり前のように聞こえている。
クロム「音の発信源はどこだ?」
メイ「書庫の方から聞こえた気がするけど......」
書庫......?まさか、ヒカリが......!?
クロム「行ってみよう......」
△▼△▼△▼△▼
あれきり、何度も聞こえてくる爆発音を頼りに俺達は前へ前へと進んでいた。
突然、瓦礫でも飛んでくるんじゃないかと思ってビクビク進んでいたのは内緒だ。
クロム「おーい、ヒカリー?」
何が来ても大丈夫なように、剣を構えて扉を開ける。
ヒカリ「出来た......最高の傑作......!」
クロム「ヒカリ......?」
ヒカリ「あ、クロムさん!見てください!」
「見てください!」と言われて見せられたのは、結晶の塊。
もしかして、グランメモリか?それにしては、形が綺麗な長方形ではなく、先端部分に8色のキーホルダーになった飾りが付いてる。全部が違う形なので、文章で伝えるのは難しいな。というか、グランメモリなら、体に突き挿して使うんだろ?そんな、長方形に少しのギザっとした変形と、キーホルダーが付いてるので使えるのか?
ヒカリ「凄いでしょ!最高でしょ!天才でしょ!」
なんか、どっかで聞いたことのあるセリフだな。しかも、このシチュエーション。さては、作者ライダー好きだな?
ヒカリ「これで、エンマを倒すことが出来ます!あぁ、いい物を作りました......」
なんだかよく分からんが、とりあえず逆転できるってことなのか?
クロム「一応聞いとくが、どうやって使うんだ?」
ヒカリ「私の体に挿して使います!」
そんな堂々と言わんでくれ。冷静に見て、それ、ただの危ない奴だからな。
クロム「......」
ヒカリ「さあ!これでエンマをギッタンギッタンのボッコボコにしてやりますよー!」
まあ、倒せるのならなんでもいいか。
クロム「いいかヒカリ。今後、夜中に爆発音起こして俺達の眠りを妨げるんじゃねえぞ。分かったな」
それだけ言って、俺とメイは去った。
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なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
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