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第8章√NH 【星界の家族】
第8章18 【命】
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なぜだ?
なぜ、私が押されている?
親父と融合して、最強の力を手に入れたというのに。
なぜ、こんな私よりも小さな少女達に押されているのだ?
ーー分からない。
なんで......
なぜ......
"俺達"は涙を流しているのだ?
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヒカリ「グランアタック・クリスタル!」
彩ネイ「「「 龍雷園・輝きの風雷剣! 」」」
「あ"ぁぁぁ......あ"ぁ......」
ヒカリ「グランアタック・ブリザード!」
黒い影は、ただただ私達の攻撃を浴び続ける。
反撃をすることが出来ずに、ただ蠢いている。
人体錬成によって生まれた魂と融合したんだ。そんな簡単に同調するわけがない。
そもそも、人体錬成が成功するという事実自体が有り得ないことだ。一体、何をしたら"マーキュリー"という存在が生まれるのだろうか。
「私は......俺は......」
ヒカリ「グランアタック・トルネード」
データを具現化して攻撃するヒカリの魔法。大規模の自然災害を再現してるわけだから、相当強いはず。そんな攻撃を喰らっても、まだまだ動ける奴の底知れぬ体力が恐ろしい。
でも、奴だってもう限界なはずだ。このまま攻撃し続ければ、いつかは倒れるだろう。
彩ネイ「「「 輝導羅戦幻彩・絆の記憶! 」」」
今にして思えば、この技名は長すぎるし読みがめちゃくちゃ過ぎるなとは思う。もう少し、シンプルに6人の名前を入れれたら良かったな。僕には思いつかないけど。
「あ"ぁ......ぁ......」
黒い影が、燃え尽きた炭のように黒ずんだ皮膚が剥がれ落ちていく。あともう少しの衝撃を与えれば、もう完全に回復することは不可能になるだろう。
ヒカリ「最後の1発、入れるわよ」
彩ネイ「「「 任せた 」」」
「わた......し......は......お......れは......」
ヒカリ「せめて、安らかに眠りなさい。グランアタック・シャイン」
眩い光が奴の体を包み込み、まるで天にでも連れて行くかのように光の粒が空へと舞い上がっていく。
彼も、この美しい星空のどこかで、太陽という名の神に照らされる星々の一部となるだろう。
ヒカリ「......終わったのね」
彩ネイ「「「 生命反応はない。ヒカリの攻撃で、完全に消滅したようだ。お疲れ様だ 」」」
長いようで、短い星界での日々だった。しかも、その大半が戦いに身を投じていた。本当なら、お姉ちゃんと会うためだけにやって来たはずなのにね。
だが、僕にはまだやらなければならない事がある。
彩ネイ「「「 ヒカリ、協力して欲しいことがまだある 」」」
ヒカリ「ここまで来たら、何にでも付き合ってあげるわよ」
彩ネイ「「「 物分りのいい子で助かる。じゃあ、世界の書庫に移動しようか 」」」
イデアル「......待って」
彩ネイ「「「 お姉ちゃん...... 」」」
イデアル「また、どこかに行くのですか?折角、会えたというのに」
ーー+1でやるべき事が増えてしまった。
本来の目的を忘れてはいけなかったね。ボロボロになったお姉ちゃんだけど、話をするくらいの体力なら、1日2日で戻るだろう。
ラナ「まだ、やらなきゃいけない事がある。お姉ちゃんは、お父さんの看病をしててくれ」
イデアル「......絶対に、帰ってきてね」
ラナ「約束する。僕も、ヒカリも、必ず家族の元へと戻る」
別に、僕がやらなければならない事は、そう難しいことではないし、2度とこちらの世界に戻って来れないというわけではない。ただ、ちょっと念には念を入れに行くだけだ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
暗い暗い、黄泉の世界と言っても差支えのない空間。
四方八方から聞こえる龍の咆哮。
ラナがこの場所を知っていたのは、未来の私だったからという理由だったんだね。
「何の用だ。邪龍」
「あなたを、この空間に閉じ込め続けるために来ました」
「ほう。念入れか......。確かに、つい先程の衝撃波で、ここら辺が割れやすくはなっていたな。後数分もあればこじ開けられただろうな」
暗い空間に、少しの光が差し込んでいる。ここをこじ開ければ、恐らくは星界に繋がる。早めに来て正解だった。
「だが、空間の裂け目を、お前はどうやって閉じるつもりだ?邪龍と言えど、空間を弄れる力はないはずだ」
「ええ。私自身、世界の構築は無理ですよ。ですが、あなたを覆い尽くすほどの空間の壁を作るくらいのことは出来ます」
「......なるほどな。だが、この空間には何も無い。錬金術、及び魔法の大原則。無から有は作り出せない。これはどうするつもりだ?」
「私の体が新たな空間の壁となります。名付けて、ラナスフィアですね」
「......お前、どうやって生き延びた?俺は、お前の体を消滅させられなかったが、魂を消滅させることは出来たはずだ。お前が、邪龍の姿として現れた時から、その疑問だけが頭の中を駆け巡っている。教えろ」
「簡単な話ですよ。魂は消えた。でも、その記憶だけは世界が記録していた。私は、人体錬成によってその記憶を受け継いだに過ぎないんですよ」
「......お前が、俺を閉じ込めようが、俺は必ずお前を殺しに行く。いずれ、その時が来るだろう」
「ええ。ですから、その時までは精々この狭い空間で暴れていてください」
「..................」
話すことはもうない。
アポカリプス。最後に、感謝だけを伝えておきましょう。
「あなたのお陰で、私は解放された。それだけは、感謝しておきます」
「ふんっ。俺に感謝する者が現れようとはな。だが、お前が解放されたことは、お前が大事に思う世界を壊すことになる。俺は、お前の世界。いや、全ての世界を破壊する」
分かってますとも。だから、こうして私の体を使って絶対防御の陣を張ってるんじゃないですか。
「最終防衛陣・ラナスフィア」
私が、たったの15年間だけど、体に蓄積させたエネルギーを全て放出する。
細胞の1つ1つがアポカリプスの周囲を覆い、最強の防衛陣を作り出す。
その時が来るまで、おやすみなさい、私。
(ヒカリ、始めて)
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヒカリ「まさか、人体錬成は人体錬成でも、魂の移動だけなら簡単に出来るのね。知らなかったわ」
ネイ「残念ですけど、魂の移動も、相当量の知識を溜め込んだ人しか出来ませんけどね。それを簡単だと言えるヒカリちゃんは凄いです」
ヒカリ「はいはい、お世辞はいいわよ。で、聞かせてもらうけど、その体何?」
マジマジと私の体を隅から隅まで見渡してくる。
しまったな。服を着せた状態にしてれば良かった。今のままじゃただの露出狂だ。とりあえず、適当に本から生成するか。
ネイ「出来るだけ、元の私を再現したかったんですけど、キャラクリに龍人が無かったものですから。仕方なしに何となく似てるエルフを選んだわけですよ」
ヒカリ「エルフって羽あったっけ?それに、尻尾の代わりに、小さい羽が腰から生えてるけど天翼族なんじゃないの?」
フリューゲル......?
あれ?エルフを選んでた気がしたのだけれど、気づかないうちに天翼族にしてた?
ヒカリ「ま、何でもいいか。顔立ちはネイそのもののロリ顔だし」
ネイ「それは言わない約束です」
ヒカリ「キャラクリするなら、そのロリ顔を変えれば良かったじゃない」
ネイ「それやったら誰も認識できなるなるでしょ。だから、多少気になってもこのままなんです」
変えられるのなら、子供っぽい顔は変えたかったけどね。でも、そうしたらヴァル達が分からなくなる。私は私でありたいからこそ、なるべく似たような見た目にしたのだ。
ただ、なんで龍人と猿人の姿だけが無かったのだろう?ヒカリが猿人で、元の私が龍人だったからかな?よく分からないな。
ヒカリ「......これで、アポカリプスが異界を突破する事は無くなったのよね?」
ネイ「無くなったわけではありません。出てくるまでの時間を稼いでるだけです。そのうち、あいつは外に出ますよ。私を追いかけて」
ヒカリ「面倒な奴ね」
ネイ「ええ。ですが、必ず私が倒します。昔殺された借りを返さないといけませんからね」
ヒカリ「......」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ウルガ「は......は......」
シリウス「どうだ?喋れるか?」
ウルガ「なんと......か......まだ......まだ......ですけど......」
シリウス「そこまで回復したのなら十分だな。ゆっくりでも、何があったかくらいは話せるか?」
ウルガ「簡単な......言葉......でなら......」
ペテルギウスが必要そうだな。
イデアル「シリウスさん、お父さんの様子はどうですか?」
シリウス「喋れるくらいにまでは回復した。後は、ペテルギウスを連れて来て話を読み解くだけだな」
イデアル「そうですか......」
シリウス「お前の妹はまだ帰って来ないのか?かれこれ2日は経ってるが」
イデアル「まだ帰って来ません。聞きたいことがたくさんあるというのに......」
一応は総隊長だと言うのに、悩みを全力で外に出しているな。イデアルらしいっちゃ......らしいのか?
考えてみれば、イデアルが正常になったのは、つい一昨日の朝の出来事だったか。あれ?そう考えたら、この姉妹が戦争をどうにかしてしまった事になる。私達の意義......あるのか?
そう考えると、なぜだか急に睡魔が襲ってきた。わざわざペテルギウスを呼ばなくとも、あともう1晩置けばウルガも喋れるようになるだろう。
シリウス「イデアル、私はもう寝る。親父さんと話したいことがあるなら、今のうちに好きなだけ話をしておけ」
イデアル「分かりました」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ウルガ「すま......ないな......イデ......アル......」
イデアル「気にしなくて大丈夫です。私は、何ともありませんから」
ウルガ「お前は......だろ?」
イデアル「......」
そう、私だけだ。
みんな、私の知らないところでたくさん傷を負っている。身体的に傷を負った者、心に傷を負った者。
戦争は、悲しみしか生まない。私達は、この戦いでそれを実感した。
ネイ......あなたは、なぜこんな世界に来てしまったの?私に会うためと言っても、私は心が壊れていた状態。来たところで、意味なんてなかったと思う。ただ、それでもネイはこの腐敗した世界を変えてくれようとした。私の記憶を戻して、誰も考えなかったお父さんの正常化。
一体、何をして来ればこんな事が出来るのだろうか?
ウルガ「......昔、旅をしていた頃......私は......数々の......世界を見てきた......仲間も......出来た......そこそこの人数がね......その中に......お前の母である......ユニバー......もいた......」
イデアル「お母さん......」
ウルガ「お前に似て......美しい人だった......雰囲気は......ネイに......似てるかな?......黒の心の中から......見ていた......だけだったが......」
イデアル「あの、黒の心って何だったんですか?」
ウルガ「私の......弱い心が......生み出した......悪しき私だ......私は......あれに飲み込まれてしまった......私が弱かった......」
お父さんは涙を流している。きっと、辛い事があったのだろう。
マーキュリー。お父さんが作り出したと言っていたが、私と同じように心が壊れなかったのだろうか?
ウルガ「マーキュリー......あれは......黒の私が......異界から抜け出すために......こちらの世界に......作り出した......ただの人形......彼に......生きる意味など......無いも同然だったのです......」
イデアル「......生きる意味」
ウルガ「実に自分勝手......勝手に命を作り出し......失敗しても......成功しても......その命を捨てる......」
......私も、人体錬成をして、作り出したものが失敗したからと埋めてしまった。
皆が、私に思い出させないために全てを消してくれた。でも、それは間違っていた。
私は、最初から向き合うべきだったのに......
命の重さ知らなかった私......何をやってるんだろう......
ウルガ「人体錬成をしてはいけない......それは......禁忌だからという......理由ではない......作り出したものも......どんな形であれ大切な命......簡単に捨てていいものではない......イデアル。あなたも......それは......理解したはずですよね......?」
イデアル「......ごめんなさい」
ウルガ「......それは......自分が作り出したものに......言う事です......私も......後でマーキュリーに謝らなければ......なりませんから......」
私も、今度お母さんの墓参りに行くか......それが、私の償いの1つだと思うから。あと、スピカにも報告しに行かないと......
それと、ネイに会いたい。今したいことは、これくらいかな?
......
......
......
なぜ、私が押されている?
親父と融合して、最強の力を手に入れたというのに。
なぜ、こんな私よりも小さな少女達に押されているのだ?
ーー分からない。
なんで......
なぜ......
"俺達"は涙を流しているのだ?
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヒカリ「グランアタック・クリスタル!」
彩ネイ「「「 龍雷園・輝きの風雷剣! 」」」
「あ"ぁぁぁ......あ"ぁ......」
ヒカリ「グランアタック・ブリザード!」
黒い影は、ただただ私達の攻撃を浴び続ける。
反撃をすることが出来ずに、ただ蠢いている。
人体錬成によって生まれた魂と融合したんだ。そんな簡単に同調するわけがない。
そもそも、人体錬成が成功するという事実自体が有り得ないことだ。一体、何をしたら"マーキュリー"という存在が生まれるのだろうか。
「私は......俺は......」
ヒカリ「グランアタック・トルネード」
データを具現化して攻撃するヒカリの魔法。大規模の自然災害を再現してるわけだから、相当強いはず。そんな攻撃を喰らっても、まだまだ動ける奴の底知れぬ体力が恐ろしい。
でも、奴だってもう限界なはずだ。このまま攻撃し続ければ、いつかは倒れるだろう。
彩ネイ「「「 輝導羅戦幻彩・絆の記憶! 」」」
今にして思えば、この技名は長すぎるし読みがめちゃくちゃ過ぎるなとは思う。もう少し、シンプルに6人の名前を入れれたら良かったな。僕には思いつかないけど。
「あ"ぁ......ぁ......」
黒い影が、燃え尽きた炭のように黒ずんだ皮膚が剥がれ落ちていく。あともう少しの衝撃を与えれば、もう完全に回復することは不可能になるだろう。
ヒカリ「最後の1発、入れるわよ」
彩ネイ「「「 任せた 」」」
「わた......し......は......お......れは......」
ヒカリ「せめて、安らかに眠りなさい。グランアタック・シャイン」
眩い光が奴の体を包み込み、まるで天にでも連れて行くかのように光の粒が空へと舞い上がっていく。
彼も、この美しい星空のどこかで、太陽という名の神に照らされる星々の一部となるだろう。
ヒカリ「......終わったのね」
彩ネイ「「「 生命反応はない。ヒカリの攻撃で、完全に消滅したようだ。お疲れ様だ 」」」
長いようで、短い星界での日々だった。しかも、その大半が戦いに身を投じていた。本当なら、お姉ちゃんと会うためだけにやって来たはずなのにね。
だが、僕にはまだやらなければならない事がある。
彩ネイ「「「 ヒカリ、協力して欲しいことがまだある 」」」
ヒカリ「ここまで来たら、何にでも付き合ってあげるわよ」
彩ネイ「「「 物分りのいい子で助かる。じゃあ、世界の書庫に移動しようか 」」」
イデアル「......待って」
彩ネイ「「「 お姉ちゃん...... 」」」
イデアル「また、どこかに行くのですか?折角、会えたというのに」
ーー+1でやるべき事が増えてしまった。
本来の目的を忘れてはいけなかったね。ボロボロになったお姉ちゃんだけど、話をするくらいの体力なら、1日2日で戻るだろう。
ラナ「まだ、やらなきゃいけない事がある。お姉ちゃんは、お父さんの看病をしててくれ」
イデアル「......絶対に、帰ってきてね」
ラナ「約束する。僕も、ヒカリも、必ず家族の元へと戻る」
別に、僕がやらなければならない事は、そう難しいことではないし、2度とこちらの世界に戻って来れないというわけではない。ただ、ちょっと念には念を入れに行くだけだ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
暗い暗い、黄泉の世界と言っても差支えのない空間。
四方八方から聞こえる龍の咆哮。
ラナがこの場所を知っていたのは、未来の私だったからという理由だったんだね。
「何の用だ。邪龍」
「あなたを、この空間に閉じ込め続けるために来ました」
「ほう。念入れか......。確かに、つい先程の衝撃波で、ここら辺が割れやすくはなっていたな。後数分もあればこじ開けられただろうな」
暗い空間に、少しの光が差し込んでいる。ここをこじ開ければ、恐らくは星界に繋がる。早めに来て正解だった。
「だが、空間の裂け目を、お前はどうやって閉じるつもりだ?邪龍と言えど、空間を弄れる力はないはずだ」
「ええ。私自身、世界の構築は無理ですよ。ですが、あなたを覆い尽くすほどの空間の壁を作るくらいのことは出来ます」
「......なるほどな。だが、この空間には何も無い。錬金術、及び魔法の大原則。無から有は作り出せない。これはどうするつもりだ?」
「私の体が新たな空間の壁となります。名付けて、ラナスフィアですね」
「......お前、どうやって生き延びた?俺は、お前の体を消滅させられなかったが、魂を消滅させることは出来たはずだ。お前が、邪龍の姿として現れた時から、その疑問だけが頭の中を駆け巡っている。教えろ」
「簡単な話ですよ。魂は消えた。でも、その記憶だけは世界が記録していた。私は、人体錬成によってその記憶を受け継いだに過ぎないんですよ」
「......お前が、俺を閉じ込めようが、俺は必ずお前を殺しに行く。いずれ、その時が来るだろう」
「ええ。ですから、その時までは精々この狭い空間で暴れていてください」
「..................」
話すことはもうない。
アポカリプス。最後に、感謝だけを伝えておきましょう。
「あなたのお陰で、私は解放された。それだけは、感謝しておきます」
「ふんっ。俺に感謝する者が現れようとはな。だが、お前が解放されたことは、お前が大事に思う世界を壊すことになる。俺は、お前の世界。いや、全ての世界を破壊する」
分かってますとも。だから、こうして私の体を使って絶対防御の陣を張ってるんじゃないですか。
「最終防衛陣・ラナスフィア」
私が、たったの15年間だけど、体に蓄積させたエネルギーを全て放出する。
細胞の1つ1つがアポカリプスの周囲を覆い、最強の防衛陣を作り出す。
その時が来るまで、おやすみなさい、私。
(ヒカリ、始めて)
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヒカリ「まさか、人体錬成は人体錬成でも、魂の移動だけなら簡単に出来るのね。知らなかったわ」
ネイ「残念ですけど、魂の移動も、相当量の知識を溜め込んだ人しか出来ませんけどね。それを簡単だと言えるヒカリちゃんは凄いです」
ヒカリ「はいはい、お世辞はいいわよ。で、聞かせてもらうけど、その体何?」
マジマジと私の体を隅から隅まで見渡してくる。
しまったな。服を着せた状態にしてれば良かった。今のままじゃただの露出狂だ。とりあえず、適当に本から生成するか。
ネイ「出来るだけ、元の私を再現したかったんですけど、キャラクリに龍人が無かったものですから。仕方なしに何となく似てるエルフを選んだわけですよ」
ヒカリ「エルフって羽あったっけ?それに、尻尾の代わりに、小さい羽が腰から生えてるけど天翼族なんじゃないの?」
フリューゲル......?
あれ?エルフを選んでた気がしたのだけれど、気づかないうちに天翼族にしてた?
ヒカリ「ま、何でもいいか。顔立ちはネイそのもののロリ顔だし」
ネイ「それは言わない約束です」
ヒカリ「キャラクリするなら、そのロリ顔を変えれば良かったじゃない」
ネイ「それやったら誰も認識できなるなるでしょ。だから、多少気になってもこのままなんです」
変えられるのなら、子供っぽい顔は変えたかったけどね。でも、そうしたらヴァル達が分からなくなる。私は私でありたいからこそ、なるべく似たような見た目にしたのだ。
ただ、なんで龍人と猿人の姿だけが無かったのだろう?ヒカリが猿人で、元の私が龍人だったからかな?よく分からないな。
ヒカリ「......これで、アポカリプスが異界を突破する事は無くなったのよね?」
ネイ「無くなったわけではありません。出てくるまでの時間を稼いでるだけです。そのうち、あいつは外に出ますよ。私を追いかけて」
ヒカリ「面倒な奴ね」
ネイ「ええ。ですが、必ず私が倒します。昔殺された借りを返さないといけませんからね」
ヒカリ「......」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ウルガ「は......は......」
シリウス「どうだ?喋れるか?」
ウルガ「なんと......か......まだ......まだ......ですけど......」
シリウス「そこまで回復したのなら十分だな。ゆっくりでも、何があったかくらいは話せるか?」
ウルガ「簡単な......言葉......でなら......」
ペテルギウスが必要そうだな。
イデアル「シリウスさん、お父さんの様子はどうですか?」
シリウス「喋れるくらいにまでは回復した。後は、ペテルギウスを連れて来て話を読み解くだけだな」
イデアル「そうですか......」
シリウス「お前の妹はまだ帰って来ないのか?かれこれ2日は経ってるが」
イデアル「まだ帰って来ません。聞きたいことがたくさんあるというのに......」
一応は総隊長だと言うのに、悩みを全力で外に出しているな。イデアルらしいっちゃ......らしいのか?
考えてみれば、イデアルが正常になったのは、つい一昨日の朝の出来事だったか。あれ?そう考えたら、この姉妹が戦争をどうにかしてしまった事になる。私達の意義......あるのか?
そう考えると、なぜだか急に睡魔が襲ってきた。わざわざペテルギウスを呼ばなくとも、あともう1晩置けばウルガも喋れるようになるだろう。
シリウス「イデアル、私はもう寝る。親父さんと話したいことがあるなら、今のうちに好きなだけ話をしておけ」
イデアル「分かりました」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ウルガ「すま......ないな......イデ......アル......」
イデアル「気にしなくて大丈夫です。私は、何ともありませんから」
ウルガ「お前は......だろ?」
イデアル「......」
そう、私だけだ。
みんな、私の知らないところでたくさん傷を負っている。身体的に傷を負った者、心に傷を負った者。
戦争は、悲しみしか生まない。私達は、この戦いでそれを実感した。
ネイ......あなたは、なぜこんな世界に来てしまったの?私に会うためと言っても、私は心が壊れていた状態。来たところで、意味なんてなかったと思う。ただ、それでもネイはこの腐敗した世界を変えてくれようとした。私の記憶を戻して、誰も考えなかったお父さんの正常化。
一体、何をして来ればこんな事が出来るのだろうか?
ウルガ「......昔、旅をしていた頃......私は......数々の......世界を見てきた......仲間も......出来た......そこそこの人数がね......その中に......お前の母である......ユニバー......もいた......」
イデアル「お母さん......」
ウルガ「お前に似て......美しい人だった......雰囲気は......ネイに......似てるかな?......黒の心の中から......見ていた......だけだったが......」
イデアル「あの、黒の心って何だったんですか?」
ウルガ「私の......弱い心が......生み出した......悪しき私だ......私は......あれに飲み込まれてしまった......私が弱かった......」
お父さんは涙を流している。きっと、辛い事があったのだろう。
マーキュリー。お父さんが作り出したと言っていたが、私と同じように心が壊れなかったのだろうか?
ウルガ「マーキュリー......あれは......黒の私が......異界から抜け出すために......こちらの世界に......作り出した......ただの人形......彼に......生きる意味など......無いも同然だったのです......」
イデアル「......生きる意味」
ウルガ「実に自分勝手......勝手に命を作り出し......失敗しても......成功しても......その命を捨てる......」
......私も、人体錬成をして、作り出したものが失敗したからと埋めてしまった。
皆が、私に思い出させないために全てを消してくれた。でも、それは間違っていた。
私は、最初から向き合うべきだったのに......
命の重さ知らなかった私......何をやってるんだろう......
ウルガ「人体錬成をしてはいけない......それは......禁忌だからという......理由ではない......作り出したものも......どんな形であれ大切な命......簡単に捨てていいものではない......イデアル。あなたも......それは......理解したはずですよね......?」
イデアル「......ごめんなさい」
ウルガ「......それは......自分が作り出したものに......言う事です......私も......後でマーキュリーに謝らなければ......なりませんから......」
私も、今度お母さんの墓参りに行くか......それが、私の償いの1つだと思うから。あと、スピカにも報告しに行かないと......
それと、ネイに会いたい。今したいことは、これくらいかな?
......
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