グランストリアMaledictio

ミナセ ヒカリ

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第8章√NH 【星界の家族】

第8章19 【星界の家族】

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 全ての戦いが終わり、まる3日が過ぎた。

 私は、プルトの力を借りてお母さんが眠るお墓へとやって来た。

 私が、命を弄び作り出した命。しかし、それは自分勝手な理由で殺してしまった。謝れば許されるものではない。それでも、出来ることをしなければならないと思う。

 ここに眠るのは、私が作り出したお母さん。本当のお母さんの遺骨がどこにあるのかは知らない。もしかしたら、ネイなら知ってるかもしれない。でも、私が謝るべきはこっち。

イデアル「私の自分勝手な理由であなたを作り、そして壊した。許されるとは思っていません。ましてや、私に責任を取ることなんて出来ません。あなたは、私が自分を満たすために生まれ、私を守るために殺された。その命に意味があるのかと聞かれれば、私にはよく分かりません。ですが、あなたは私が生み出した命。せめて、綺麗に輝く星々の一部となってください......」

 私が研究のために育てていたという白いお花をここに添える。来世では、どうか安らかに過ごして欲しいという願いを込めて......

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ネイ「あなたのお陰で、今の私がある。あなたが授けてくれた、たった1つの贈り物が私の歩むべき道となる。ありがとう、お母さん。ごめんなさい、お母さん」

 風が心地よく吹く場所で、私は、過去で私が雑に埋めてしまったお墓を綺麗に整える。

 ほんの少しの時間だった。それでも、お母さんは私のお母さんだった。

ヒカリ「まさか、お姉ちゃんの墓の近くにお母さんのお墓があったなんてね。世の中まだまだ狭いわ」

ヴァルガ「黙ってて済まないな」

ヒカリ「お父さんは全部知ってたんでしょ?」

ヴァルガ「ああ。お前達が、あの龍人の姿で現れた時にその時だと確信した。ただ、幼い頃のお前に話すわけにはいかなかったからな。アテナにも黙っておいた事だ」

ヒカリ「ふーん?」

 全ての辻褄は、私の手によって合うことになった。本来、自分の過去に接触することなど出来ないはずなのにね。でも、ラナの最後の力で私は過去を知ることが出来た。

 ーーただ、この先をどうやって生きていけばいいのか。

 ある地点において、世界は破滅する。私は、その地点から過去に遡り、幼き私の契約龍として逆転の時を待つことになる。

 大人しく、ラナが残した書物を全て読むべきなのか。......分からない。何があっても、私は臆病なままだということらしい。情けない。

ヒカリ「私、エルナ婆ちゃんに報告しに行くけど、あんたはどうするの?」

ネイ「......私は、お姉ちゃんのところに戻ります」

 元々、そういう目的だったんだもの。今は、難しい事を考えなくてもいいと思う。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ユリナス「......」

ベガ「さっさと歩け。お前、一応は戦争犯罪人だからな。楽な牢屋生活が出来ると思うなよ」

ユリナス「......戦争は、勝った方が正義。分かってるわよ。お姉ちゃん」

ベガ「......」

 まだ、少し悩みがあるな。

 妹のユリナスが、なんだかんだあったとは言え、これから軍事裁判に掛けられる。ユリナスはあまり大事をしていないが、もしかしたら死刑になる可能性もある。

 姉として、ユリナスを守りたいという気持ちと、戦争犯罪人なのだから、しっかりと裁かなければならないという気持ちが、私の中で葛藤を繰り返している。

プロキオン「隊長、後は俺に任せてください」

ベガ「......任せた」

 このまま、私がユリナスを連れて行っても、心が重くなるだけだと思う。プロキオンがここに来たのは、タイミング的には丁度良かったと思う。

ユリナス「......お姉ちゃん。ごめん」

ベガ「っ......」

 今、一瞬だけユリナスが悲しそうな目をしていた。

 ......そうか。お前も、私と同じだったのか。気づいてやれれば良かったな。

 いつまでもユリナスを見ていてはいけない。私は、さっさとこの場を後にする。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 墓参りを終え、私は懐かしの我が家へと足を踏み入れる。

 あれから2年くらい経つけど、何も変わらないこのお屋敷。お父さんもお母さんも、旅人だったくせによくこんな家を建てられたなとは思うが、旅の途中で出会った富豪に譲ってもらったという話だったはず。

 中にある家具とか本も、全てその富豪が集めてた物。今は全部私の物という事になってるらしい。正直、使わないから要らないのだけれど。

イデアル「スピカー、いるー?」

スピカ「わ!わっわっ!わぁぁぁぁ!」

 丁度本棚の片付けをしていたのか、スピカが本棚を崩し、崩れた本の山に埋まるようにして倒れる。

イデアル「あ、ごめんなさい......」

スピカ「い、いえ......大丈夫です。ご主人様......」

イデアル「......覚えてるの?」

スピカ「ついこの間、ご主人様と似た存在を見たので、すぐにご主人様だと分かりました......そんなことより、ちょっと助けてくれませんか?」

 スピカが伸ばした腕を引っ張りあげて、その体をあらわにさせる。

 2年前と比べて、少し身長が伸びたかな?......いや、スピカって私と同い歳じゃなかったっけ?

 まあ、どうでもいいか。

「ただいま~」

 この声、ネイだ。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

スピカ「お待たせしましたー、緑茶とコーヒーあわっ......」

 ベシャッ......

 綺麗なくらい、私とネイの頭に飲み物がこぼれ落ちた。しかも冷たいし......

スピカ「あわわわっ、す、すみません!」

イデアル「だ、大丈夫よ......」

ネイ「あの、また冷たいんですけど......」

スピカ「す、すみません!すぐに代わりのを持ってきます!あわっ......」

 顔から硬い床にぶつかるようにして転けた。2年経っても、何も変わらないドジっぷり。もしかして、時間止まってる?

ネイ「これ、14年前も同じようなことをしてたんですよ。なんなら、14年前の方がまだしっかりとしてましたね」

イデアル「そうなの?」

ネイ「......まあ、あの頃はお母さんもいましたし、スピカも心にゆとりを持っていたんでしょうね」

イデアル「そうなの......」

 ......?14年前?

 ちょっと待って。ネイって、私と9歳年が離れてるから、15歳なはずだよね?でも、14年前の事を覚えてるって......

 え?どういう事?

イデアル「ネイって15歳だよね......?」

ネイ「うん。そうだけど......」

イデアル「なのに、14年前の事を知ってるってどういう事?誰かから聞いた?」

ネイ「いや、見てただけだけど」

イデアル「見た!?」

ネイ「......ああ、お姉ちゃんには話しておいた方が良いですかね」

△▼△▼△▼△▼

イデアル「そう......お母さんが......」

ネイ「ごめん。お姉ちゃん......」

イデアル「仕方ないよ......そんなの、私でもどうにも出来ないと思うから」

 私がその場にいたら、ネイみたいに色々と吹っ切ることが出来ないだろう。それこそ、赤子のネイを捨て置いてしまうかもしれない。

 そんなことがあったとも知らずに、私はお母さんを作ろうとした。何とも愚かな所業だ。

イデアル「それと、その姿何なの?こっちに戻ってきてから、なんか見た目変わったよね?」

ネイ「あぁ、これですか。これには、かくかくかくかくかくかくしかじかじかじかじかじかの理由がありまして」

イデアル「何があったのよ......」

ネイ「簡単に言うと、世界を破壊する存在がもう1つあるから、それを閉じこめるために私の体を犠牲にしたということです。で、こちらの世界で活動を続けるために、別の体を作ったのはいいのですが、なぜか龍人と猿人の姿を選ぶことが出来なくて、天翼族になったというわけです」

 ごめん。何言ってるのか1つも分からなかった。

ネイ「アポカリプスっていう、世界を破壊する最強のドラゴンがいまして、お父さんが外に出たのを機に、あいつも出そうになっていたから閉じ込めに行ったというわけです」

イデアル「ふーん。色々とあるのね」

 ネイは私とは違う世界で育ったらしいから、私よりも大変なことがたくさんあったのだろう。

 ......そういや、ヒカリと名乗ってたもう1人の妹はどこに行った?

イデアル「ねえ、ヒカリちゃんはここにいないけど、どこに行ったの?」

ネイ「ヒカリちゃんは私達の故郷に残ってますよ。あっちもあっちで、話すことがあるんですよ。ヴァルガという名のお父さんとは、いざこざがあったみたいですし」

イデアル「そうなの」

ネイ「まあ、私にとってのお父さんは、龍王達だけですけどね」

 龍王......?

 この子、次から次へと私の知らない単語を出して来ない?ねえ、育った世界が違うだけで、こんなにも差が出るものなの?主に頭と胸。天翼族に変えたとか言ってたけど、自由に体を作ったって解釈でいいんだよね?まあ、龍人の時からデカいなと思ってたけど、天翼族になってから、益々強調されてる気がする......

 同じ遺伝子を持つ者同士なのに、どこで差が開くのだろうか?これは検証の余地有り?

ネイ「あの......お姉ちゃんどうしたんですか?さっきからジロジロと見てきて......」

 はっ......つい意識を外してしまった。

イデアル「な、なんでもないよ!うん。なんでもない」

ネイ「もしかして、お姉ちゃんも欲しいんですか?」

イデアル「な、何が......」

ネイ「女の子なら、誰もが男の人の気を引くために必要ですもんね。容姿ってのは」

 うわぁ、なんか嫌な子に育ってるなぁ。本当に、どこで差がついたんだろ。絶対になんかあったよ、この子。お姉ちゃん悲しくなるわ。

ネイ「まあ、私は心に決めた人がたった1人なので、こんなもの要らないんですけどね」

イデアル「え!?彼氏いるの!?」

ネイ「ふふ......まえ、まだそういう関係ではないんですけど、実質それと言っても過言ではないです。そのうち紹介しますよ」

 まずい。9歳も離れた妹に先を越される。これが、育った環境の違い......仕方ないよね?戦争してる環境だったもんね?彼氏いなくても仕方ないよね?ね?

 誰に向けてるか分からない心の叫びをしつつ、私は改めて自分の環境を確認する。

 ーーそうだ。ネイが水界っていう世界に帰る時に、こっそりついて行っちゃえばいいかな?その世界って、凄く豊かなんだよね?

 そうだ。そうしよう。ついでに、ネイの彼氏候補を見て、こっそり寝取れば......最低だな。やめよ。見るだけにしとこう。

ネイ「お姉ちゃん。まさか、私が帰る時に付いてこようとか思ってないよね?」

イデアル「え!?い、いや、まさかそんなことは......」

 何?この子、心を読む力まであるの?控えめに言って、怖いんだけど......

ネイ「まあ、付いてきたいのなら好きにすればいいですけど」

イデアル「そ、そう......」

ネイ「......そろそろ一旦帰った方が良いですかね。ヴァル達も心配してるかもしれませんし。付いてくるなら今だけですよ」

イデアル「わ、分かった......」

スピカ「ご主人様達、新しいお飲み物をあわっ......」

 また冷たい......

 ちょっと、スピカだけは成長した方が良いんじゃないかな?よく分かんないけど。

ネイ「ヒカリちゃんにも伝えて、転移門を開いて......と」

 お父さんが出てきた時と同じように、空間に裂け目が出来て、その奥から光が漏れている。

 これが、転移門......

ネイ「とりあえず、スピカさんは落ち着きを持って行動してくださいね」

スピカ「は、はい!お気を付けて」

イデアル「私も、ちょっとネイについて行くから」

スピカ「は、はい!次はもっと早くに帰ってきてください!」

イデアル「なるべく頑張る」
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