グランストリアMaledictio

ミナセ ヒカリ

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第8章√VS 【闇の魂】

第8章25 【剣聖VS氷炎龍】

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ヴェルド「アイスランス!」

グリード「地龍の斬撃!」

シアラ「ハイドロブラスト!」

 飛行船の内部に乗り込んだはいいが、雑魚敵がやってくるばっかで先に進めねぇなァ。ったく、闇ギルドと化してるくせに、人数だけはいっちょ前だァ。

 まあ、運がいい事に、全員雑魚だけどな。

ソウセイ「そこまでだ!」

 俺とヴェルドの間を突っ切るようにして、長すぎる槍が飛んできた。飛んできたというより、突き刺されたの方がいいか?

ヴェルド「船内でそんな長い槍を扱えんのかよ」

ソウセイ「問題はない」

 槍が、ゴムのように縮んでいった。

 なるほどねェ。伸縮自在のゴム槍と言ったところか。こりゃ、使い勝手が良さそうだなァ。

ソウセイ「この槍には、こんな使い方もある」

 伸縮自在の槍が、鞭のような動きをしてシアラの体に巻きついた。

シアラ「あ、あれぇぇぇぇぇぇ!?」

ソウセイ「この娘を殺されたくなければ、そこから動くな」

 人質か......流石、闇ギルド。やる事が汚ェ。今更言うことじゃねぇけどもォ。

 だーが、ソウセイさんは捕らえる相手を間違えたなァ。

シアラ「ウォータードロップ」

ソウセイ「なっ......」

 シアラを捕まえたところで、そいつが持つユニーク魔法、『ウォータードロップ』でするりと抜けられるぜェ。

シアラ「本気で私を捕まえるのなら、ヴェルド様を餌にしければなりません!」

グリード「じゃあ、ヴェルドを助けたければって言えば、お前は捕まるのかよォ」

シアラ「はい!喜んで捕まります!」

 こいつ、戦場で真っ先に死んでいくタイプだろ。なんで、今まで色々とあったのに生き残れて来てんのかねェ。不思議でたまらん。

グリード「ヴェルド、後でこいつをデートにでも誘ってやりなァ」

ヴェルド「何でだよ!」

グリード「女の子が、こんな健気に1人の男に愛を注いでんだぞォ?そろそろ受け皿を用意してやれよォ」

ヴェルド「嫌だよ、こんな奴。俺は、もっと清楚で恥ずかしがり屋な方が良・い・ん・だ!」

シアラ「ヴェ、ヴェルド様......照れますよぉ!」

ヴェルド「そういう意味じゃねぇ!」

ソウセイ「お前ら!ここは戦場だ!」

 鞭が俺達の間を引き裂くようにして飛んできた。

 いるよなァ?こういう、ただ、楽しそうに会話をしてるだけの奴らを許せねぇ奴って。腹が立つ気持ちが分からんでもないがァ、ちったァ大人しくしとけやゴルァ。

ソウセイ「お前ら、俺達が何のためにここに来てるのか分かってるのか?」

ヴェルド「俺らにボコボコにされるため」

シアラ「正解です!ヴェルド様ぁ!」

ソウセイ「不正解だよ!俺達がお前らを滅ぼすために来てんだろうが!」

 周りの壁ごと破壊するようにして、長く伸ばしすぎだろって思うくらいの槍を振り回してきた。

 俺達は、縄跳びの要領で避けるが、破壊された壁穴から黒とか赤の紐みたいなものが見えた。

グリード「なんだこりゃァ?」

ソウセイ「さ、触るな!貴様ら!」

グリード「触るなって言われたら、触りたくなっちまうのが少年心ってもんだァ。分かったら、大人しくマ○ジンと焼きそばパン買ってこいやァ」

ソウセイ「俺はサ○デー派だ!そして、お前らと俺は敵対関係だろうが!」

 サ○デー派か......確かに、あそこもあそこで面白いがなァ。だが、俺はちょっと大人向けなマ○ジンの方が好きだわァ。

 んで、この紐なんだ?なんか、裂け目から金属っぽいもんが見えてるなァ。あれか、コードってやつだろ。

ソウセイ「な、何するつもりだ!」

グリード「ここらにある紐。ぶっちぎったらどうなんだろうなァって」

ソウセイ「やめろぉぉぉぉぉぉ!」

グリード「よっと」

 伸ばしてきた槍を華麗に避け、そのまま奴の腹を殴る。

ソウセイ「ぐふっ......」

 ぐふってなんだぐふっって。そこは、「グハッ」だろうが。

ソウセイ「こ、これしきで」

シアラ「あのぉ......?」

ソウセイ「あぁ?」

シアラ「黒とか白の紐、さっきの一突きで殆ど切れちゃいましたよ」

ソウセイ「..................」

 うわっ、すげぇ冷や汗の量。人間って、マジでやべぇと思ったら、こんなにダラダラと汗を流すんだなァ!面白ぇェ!

ソウセイ「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!」

ヴェルド「うるせぇ!アイスブレイク!」

ソウセイ「グハッ......」

 お、今度はちゃんと「グハッ」って言ったな、グハッって。

ソウセイ「マスター......」

グリード「とりあえず、ここらで寝とけやァ」

 木材だが、形を歪ませるくらいは出来る。木の根っこが、たまにボコっとなって地表に出てきてる部分があるだろ?あんな感じでこいつを縛り付けておいた。

グリード「さて、次行くかァ」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ヴァル「見た目以上に複雑な内部をしてやがんな。真っ直ぐ制御室に行きてぇのに、なんかグルグル回ってる気がするぜ」

フウロ「安心しろ。グルグル回りながら下の方には降りていっている。多分」

 多分ってなんだ多分って。もっと確信を持って言えよ。

 まあ、床が若干斜めってるし、ちゃんと下には降りて行ってる......と思うが、不安だな。

ケンセイ「止まれ」

ヴァル「ようケンセイ。この先制御室か?」

ケンセイ「我を倒せば、この先へ進ませてやろう」

 親しげなフリして接近したけど、やっぱダメだったか。ノリ悪いな。

ケンセイ「フセイを倒したのは流石だ。だが、俺はあいつ程簡単に行くと思うな」

ヴァル「分ってるよ!地獄龍の咆哮!」

ケンセイ「剣技・天山」

 剣が山のような形になって俺の咆哮が奴の後ろへと流される。

ケンセイ「温いな。前に突撃して来た時には、もう少し熱かった気がするが」

ヴァル「今のは軽い挨拶だよ!それと、てめぇの方こそ剣の動きが遅かったな!俺が本気でいってたら、てめぇは丸焦げになってたぞ」

ケンセイ「ふっ......そうだとしたら、貴様は唯一の勝機を失ったというわけだ」

ヴァル「勝機なんざ関係ねぇ!俺が勝つ!それだけだ!フウロ、下がってろ!こいつは俺1人でやる!」

フウロ「......危なくなる前にちょっかいを出すからな」

ヴァル「危なくなったら頼りにするよ!」

 フウロが数歩後ろに退き、俺とケンセイが見合う形で、この狭い通路で拳と剣を交える。

ヴァル「昨日の決着だァ!」

ケンセイ「......」

 炎を拳にまとわりつかせ、奴の剣先に思いっきりぶつける。剣先は、本来の鋭さを忘れたかのように俺の拳を貫くことが出来ないでいる。逆に、防御壁でも張ってるかのように俺の拳を打ち返そうとしてくる。

ケンセイ「剣技・五月雨」

 例の時間差攻撃。氷を体にまとわりつかせて、奴の剣激を受け止める。

 氷は全て剥がれ落ち、バラバラになって地に落ちた。

 相変わらず、綺麗な剣さばきだ。こんなにも全ての氷が同じ形で斬られるか?フウロでもそんな事しねぇぞ。

 やっぱり、あの剣をどうにかしねぇ限り、俺が自由に動くことが出来ねぇな。どうやってあの剣を壊すか......いや、取り上げるか......

ケンセイ「......」

ヴァル「......」

 ただ睨み合ってても、何にもならねぇ。さっさとこいつをぶっ飛ばして、この船を壊さねえといけねぇのになァ。

ヴァル「地獄龍の鉄砕!」

ケンセイ「剣技・稲妻」

 このサイズの剣なんか、普段から嫌という程見飽きてるのにな。フウロとかネイの剣よりも、こいつの剣は重さを感じないのに、なぜか俺の拳を全て打ち返してくる。

 材質は......、よく分からねぇ金属だな。何使ってんだろ。それさえ分かれば、燃やし方も自然と頭に浮かんでくるんだがな。

ヴァル「......」

 戦いは、前にも後ろにも進まない。こいつ、多分だが全力を出していない。なぜかと言われれば分からねぇが、その手加減がこの戦いに決着をつけさせまいとしている。

ケンセイ「......大会の時に、貴様と相見えることが出来れば、俺はこのギルドから出て行ったかもしれない」

ヴァル「あぁ?」

ケンセイ「貴様は、我が好敵手。こんな状況でなければ、貴様と本気でやり合いたいとも思う」

ヴァル「なら、その好敵手に免じて先に進ませてくれよ」

ケンセイ「......残念だが、この先へ進んでこの船の動力源を壊そうとも、この船が止まり、襲来砲デッドバスターが止まることもない」

ヴァル「......なんでそんな事を教えてきやがる」

 こいつと俺は敵対関係。そんなベラベラと機密情報を喋っていいはずがない。それなのに、こいつは何を俺に伝えようとしている?

ケンセイ「俺は、貴様と、剣と拳を交えることだけが今の楽しみ。貴様を殺すなど勿体ない事だ」

ヴァル「......」

ケンセイ「......セリカ・ライトフィリア。奴の元に危機が迫っている」

 セリカの元に......?

ケンセイ「......ハッタリだと思うのならそれでも俺は構わない。だが、俺は警告した。どうするかはお前らの勝手だ」

 奴が、闇に紛れるようにして姿を消した。まだ、俺との決着もついていないと言うのに。

フウロ「ヴァル、私は奴がハッタリを噛ましているだけの可能性が高いと思う」

ヴァル「だが、セリカの元に危機が迫っているってのも、今の状況なら嘘じゃないとも捉えられる」

フウロ「......よし、ヴァルは船から降りてセリカの安全を確認しに行け。私は、このままこの船の動力源を壊してくる。意味が無いと言われても、とりあえず壊しといて損は無いだろう」

ヴァル「分かった。セリカの身は俺が守る。だが、フウロなら大丈夫だろうとは思うが、この先に敵の匂いがする。気をつけろよ」

フウロ「分かっている」

 俺は来た道を戻り、フウロはこのまま先へと進んでいく。

 ケンセイが言ったこと、全てを信用できるわけではない。だが、念には念を入れてだ。フウロなら1人でも大丈夫だ。

 ......そういや、今俺達がいるのって船だったけど、不思議なことに乗り物酔いを起こさずに済んだな。動いてないからか。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

セリカ「カグヤ、エキドナ!」

カグヤ「参ります」

エキドナ「はいはーい、あたしの出番ね」

 桃色の鍵と、緋色の鍵。私が小さい頃から、ずーっと握っていた大切な精霊の鍵。

 この2人のお陰で、私はこのギルドに辿り着いたと言っても過言ではない。この2人が、お父さんから逃げ続ける私を守ってくれていた。

 ......なぜ、お父さんは他のギルドを使ってまで私を連れ戻そうとするのか。

 連れ戻したい理由があるのなら、直接言いに来ればいいのに、なぜ血が流れるような状況を作ってまで私を連れ戻そうとするのか。

 昔から、あの人が考えることは、一切分からなかった。それは、大人になった今でも変わらない。あの人の考えだけが、この世で最大の謎である。

セリカ「......」

ミラ「セリカ!精霊を2人も召喚して大丈夫なの!?体に色々と不調があるって聞いてたけど......!」

セリカ「大丈夫!それ、戦って悪目立ちしちゃいけないからってだけの理由で吐いてた嘘だから!」

 エフィには謝らないといけないな。昔、色々とやってコアが削れたとかいう話は、全て真っ赤な嘘。本当は、精霊3人まで召喚するほどの力がある。

 そんな力があるのだから、隠さずに使っていれば、今までの戦いを有利に進めることが出来たかもしれない。でも、精霊界序列12位の精霊を7人扱うだけでも珍しいのに、更に強いとなれば街どころか国中で名前が広がってしまう。そうなれば、もうどこにも逃げ場所がなくなる。

 あの人の存在さえなければ、そんな事を気にせずに戦えた。崖で身投げしたヒカリんを助けることだって出来たかもしれないし、王都での龍との戦いも、みんなに苦しい思いをさせずに済んだかもしれない。

 ......いや、ネイりんがよく言う、「過ぎた事を気に病んでも仕方ない。問題は、そこからどうするかじゃ」の言葉通り、この戦いからでも全力を出していけばいい。

セリカ「ホウライ!」

 ダークソウルの奴らは、どこから私達の居場所を見つけ出したのか。そんな事、どうでもいい。

 お父さんの思うようにはさせない。それが、私が戦う理由だ!

セリカ「......ウラノ......は、ダメか。エキドナ、一旦還って!」

エキドナ「あーい」

セリカ「ネメシス!」

ネメシス「久し振りに僕の出番さー」

 ネメシスだけは、十二級の精霊じゃないけれど、それでも頼れる仲間。あんまり召喚した事がないけれど......

ネメシス「おー、黒服の人がたくさーん。全員まとめてホールインワンだよー!えい!」

 振り回す斧の形が、敵を絡めとるかのように曲線状になり、そのままの勢いで敵を葬り去っていく。

ネメシス「よっとっとっと......」

 うーん、強いんだけど、斧を振り回した後にバランスをとるために、次の攻撃までに数秒の遅れが出ることと、名前があの闇魔法のオッサンと同じなのが使い勝手が悪い理由なのよねぇ。ネメシスさんごめんなさい。

ミラ「1つのギルドにしてはかなりの人数ねぇ。これ、飛行船の中にいた奴らが全員降りてきてるんじゃない?」

セリカ「でも、あれはヴァル達が防いでくれてるはずじゃ......」

ミラ「ほら、最強の5つ子がいたでしょ?あいつらに妨害されて、他の魔導士達はコソコソと動いてる、みたいな」

 うーん、だとしても、下の方で待機してる仲間達が気づかないわけがないと思うんだけど......

ミラ「......!セリカ!前!」

セリカ「まえーー」

 大きな黒い炎が、私の真正面に迫っていた。
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