グランストリアMaledictio

ミナセ ヒカリ

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第8章√VS 【闇の魂】

第8章27 【もう我慢しない】

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ヴァル「オラァっ!」

キュウセイ「っ......!」

ヴァル「まだまだァ!」

キュウセイ「......流石は、グランの龍殺し。名前通りの力技だな」

 龍殺しって名前に力要素あるか?と思ったが、そんなイメージを勝手に植え付けられているというのは重々承知している。つか、力技でねじ伏せるのが俺だし。

 さて、5分くらいこいつと鬼ごっこをしてたが、流石にそろそろ終いだ。

ヴァル「1つ、俺の新技の実験台になりやがれ!極龍王の咆哮!」

 火を操る俺でも、口元が若干火傷しそうになるほどの温度。これをネイに教えてもらった時には、果たして使えるのかどうか超怪しかったが、案外口元がヒリヒリするだけで済むんだな。流石に連続は危険だろうけど......

 まあ、そんな高温の炎だから、当たれば火傷で済むレベルじゃねぇんだよな。その黒いローブは当たり前のように溶けるし、なんなら全身火傷で病院に直行してくれそうな勢いだ。

キュウセイ「っ............」

 まあ、魔導士なら、魔法に対する耐性はいくらかあるんだよな。なんか、魔力が高くなればなるほど魔法を喰らっても平気になるレベルが上がってくるらしい。だから、あんだけ高威力の魔法を使っても、相手は死なねぇんだよな。

 それでも、流石にこの温度は耐えられねぇだろ。だって、発動者の俺ですら火傷するレベルだからな?いいか、俺ですらだぞ。大事な事だから2回言ったからな。

キュウセイ「......っ......なんという......威力」

 思った以上に耐えられたが、相手が根負けして倒れた。

ヴァル「......ふぅ。これで、一先ずの驚異は去ったな」

セリカ「凄い威力......こっちまで火傷しちゃうかもと思ったじゃん」

ヴァル「悪ぃ悪ぃ。制御がまだ上手くいかねぇ技だから」

 あーあ、セリカの肌が若干赤くなってるな。正面に放ったのに、後ろにまで被害が及ぶとは、まだまだ鍛えがいのある技だ。

ミラ「こっちの敵も全員片付いたわ」

ヴァル「お疲れーミラ」

ミラ「ヴァルこそね」

 こっちは距離が離れてたからか、火傷跡はない。同じ空間にいたら巻き込まれるっていう当初のデメリットは消せれてるか。

 ......それでも、仲間に被害を与えるような技ではダメなんだけどな。魔法は気持ち。気持ち次第でどうにでもなる。ネイの言葉通り、気持ちをコントロール出来れば制御ができるんだろうけど、これがまた、中々に難しい。いや、マジで難いんだって。

ミラ「ねぇ、ダークソウルの奴らが言ってた、10分の期限がもうとっくに過ぎてると思うのだけれど、まだ何もないわよね?」

セリカ「......そういえば」

 10分......?そういや......そんな話もしてたか......してたっけ?

ミラ「何も起きないってことは、もしかして船が止まったんじゃないの?もしくは、ダークソウルの奴らが今のを含めて全滅したとか」

セリカ「だとしたら、奴らの計画は失敗?」

ミラ「そういう事になるんじゃないかしら?外の様子を見て見ないことにはよく分からないけれど......」

 見なくても、俺は信じてるぜ。フウロ達が、あのでけぇ船を止めてくれたって。ケンセイが意味はないとかほざいてたが、やっぱり意味はあったんだろ。

 ......ようやく、この戦いも終わりか。なんだか、あっけねぇ幕切れだったけどな。ケンセイ以外の5つ子は大して強くなかったし。不正を働いた理由もよく分かる弱さだったぜ。

セリカ「......ありがとう。ヴァル、ミラさん」

 セリカが、俺とミラ両方に抱きつくようにして飛びかかってきた。

 俺達は、2人で優しく受け止め、セリカの涙を拭ってやる。

セリカ「......もう、命を狙う奴はいないんだよね?」

ヴァル「......あぁ。みんなで勝ち取った勝利だ」

ミラ「そうよ。セリカは、これからもずーっとうちにいるのよ。絶対に逃がさないんだからね」

セリカ「......うん!」


 さてさて、ここまで読んだ方なら大体の察しはつくだろうが、この会話、盛大にフラグ建築をしている!

 あーあ、やらかしちまった。こんな行動起こせば、絶対に次の瞬間に嫌なことがあるに決まってんのになぁ。完全に油断してた。お約束は回収しねぇとか言ってたのに、これお約束を回収する流れだよ。ったく、誰だよ、創作界隈にお約束なんてもんを作り出した奴は!今すぐ出てこい!

「随分と、まだ終わってもない戦いの架空の勝利に浸るものだな」

 ......

 ......

 ......

 あのさ、もうこれでこの章終わりにしない?

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 勝った......と思えるのはほんの一瞬。多分だけど、今ここにいる3人の気持ちは一緒なんじゃないかと思う。

「「「 そういえば、ラスボスが残ってた......! 」」」

 まだラスボスを倒してないのに勝ちって、一体どこの地下世界RPGのTルートよ。油断してたわ......

アクセイ「宣言通りの時間から、多少はズレてしまったが、今一度、貴様らの答えを聞こう」

ヴァル「あぁ?セリカなら渡さねぇよ。セリカは俺達の仲間だ。どこのどいつかも分からねぇクソ親父に渡してたまるか!」

セリカ「......」

アクセイ「なるほど。貴様らの答えは飽くまで変わらんと?」

ヴァル「ああ!変わらねぇよ!これはギルドの総意と受け止めやがれ!」

 ......本当なら、私がお父さんのところに戻ればみんなが苦しむ理由はなかったかもしれない。私のワガママでこんな事になってしまった責任の念はある。だけれど、みんなが私を守ってくれると言うのだから......

 私はここに居続ける。それが、私の意思。誰にだってねじ曲げることは出来ない。

アクセイ「......本来ならしたくはなかったのだがな」

ヴァル「何するつもりだ......」

 ヴァルの声が震えている......?

 恐怖......から来るものだろうか?でも、ヴァルが恐怖を感じる相手なんて、フウロくらいのものだと思ってたけど......

アクセイ「ダークソウルギルドマスターとして貴様らに宣告する。武器を捨て、投降せよ。さすればこれ以上の痛みを伴うことはない」

ヴァル「負けてるのはテメェらの方だぞ?」

アクセイ「声が震えておるぞ、若造よ」

ヴァル「っ......」

アクセイ「答えを聞こう」

ヴァル「んなもんーー」

セリカ「変わらない!私はここに居続ける!あんたらのところになんか行かない!お父さんのところに戻ることもしない!」

 もう心の中で呟く必要もない。口を大きく開いて、喉の奥、腹の底から搾り上げるようにして大きな声で宣言する。

セリカ「私は、ここのギルドが好きだ!」

ヴァル「......言えるようになったじゃねぇか」

セリカ「うん!もう言いたいことを我慢するのはやめる!これが、NEWセリカよ!」

ヴァル「ごめん、ちょっと何言ってんのか分からん」

セリカ「なんでよ!」

 そのツッコミ、普段私がする方でしょうが!ポジション変えなくていいからっ!

アクセイ「......ならば仕方あるまい。貴様らに、最後の宣告は届かなかったようだな」

ヴァル「へっ、来るなら来いよ。全部受け止めてやらァ!」

 何が来ても怖くない。だって、この街には、私が好きになった人達がたくさんいるのだから。敵は1人。だけど、こっちにはたくさんの人数が集まっている。

アクセイ「......この街ごと、消えて無くなれ。襲来砲デッドバスター

 あれは......エンドカラーと同じタイプの魔法......だけど、小さな塊を両の手で作っているだけなのに、とんでもない地響きがあたりに響き渡る。

 ......今になって気づいた。こいつが余裕な態度をしていた理由。私達が謎の不安を抱いていた理由......

 こいつが扱う魔法、ネイりんとヒカリんのに似ていた......。

 ......

 ......

 ......

「全く、この街はとことんイベント事に尽きないようだね」

アクセイ「む......?」

 どこからともなく聞こえた、よく知っている声。その声が聞こえた時、アクセイが放った魔法は消滅し、私達にこれといった実害はなかった。

「やぁ、2週間ぶりと言ったところかな」

セリカ「......ネイりん」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 人間が最後の最後に縋るべき場所。宗教によって呼び方は色々と違うけど、共通して言えるのは人外の何かって事だけだね。

 僕自身、人外の化け物になろうと思ったことはないが、なんだかんだ、成り行きで人外の化け物になってしまった。でも、こうでもしないとみんなを守ることが出来ない。

 小さな小悪党から、歴史を揺るがす大きな何かまで。全て、僕が守りきる。

ラナ「やぁ、ダークソウルのギルドマスターさん。その魔法、800年前にアクセイという男が使っていた魔法だねぇ。どうして君がそんなものを持ってるのかなぁ?」

アクセイ「......」

ラナ「......答える気はないようだね。ならいいよ。少し、昔話でもしようか」

アクセイ「......800年前の黒魔道士か」

ラナ「そうさ。アクセイなんて名を騙るくらいだから、その話は当然知ってるはずだよね?」

ヴァル「おい、ネイ。どういう事だよ。いきなり帰ってきて、800年前がうんたらかんたらって......それと、その喋り方、ラナだけど中身はネイのまんまだろ?」

 流石僕の契約者。中にいる存在を瞬時に見分けることができるようだ。

 うーん、まあ、説明するのはめんどくさいし、このまま話を続けるか。うん、そうしよう。

ラナ「800年前、アクセイと名乗る、僕達魔女に匹敵する力を持った魔法使いがいた。彼が使う魔法は、なぜか僕が扱う全属性の魔法と酷似していてね。色々と調べてみたが、特にこれといった裏は取れなかった。まあ、僕のオリジナル魔法である時魔法を使えないのだから、特にそれ以上は気に留めなかったけどね」

ヴァル「いや、そのままスルーすんなよ」

ラナ「黙っててくれ。僕は、この現代のアクセイと話をしているんだ」

ヴァル「わ、悪ぃ......」

ラナ「......それで、君が襲来砲デッドバスターを扱えた理由を問おう。分かっていると思うが、僕の旧名はーー」

アクセイ「怠惰の魔女・ツクヨミ。それで合っているか?」

ラナ「......あぁ。合ってるよ」

アクセイ「俺の名はアクセイ。貴様が現代に記憶だけ甦ったのと同じように、我も同じように、この身にアクセイの記憶が宿った。と言ったところか」

 やっぱりね。たかだかちょっとレベルの高いだけの魔導士が、800年前に僕が作り出した魔法を、現代で扱えるわけがない。

 それでも扱うことが出来るのは、その知識を有し、800年前の力を現代にまで引き継ぐ者のみ。具体的に言えば、レイジやユナがそれに該当する。最も、あれらは800年前から体を引き継いできた者達だがね。

 エクストリームも、よくあんな奴らを世界再生時に残したものだよ。あんな、この世界を壊しかねない存在なんだから丁度いいタイミングで消してしまえば良かったのに。まあ、彼にも彼なりの考えがあったのだろう。事実、彼女らがいなければ今の僕は存在しない。

アクセイ「我は貴様と同じ存在。だが、持つ力は貴様の方が上」

ラナ「そうだ。全盛期ほどまでには行かなくとも、今の僕には龍王達がついている。大人しく、降参してくれることを願うよ」

アクセイ「......」

 まあ、そんなので諦めてくれるのなら、ここでヴァル達が戦っていた意味がなくなるけどね。

アクセイ「貴様らは、依頼人を守り、依頼を完遂することを絶対の掟としているようだな。なら、我もそれに見習い、ここで降りるわけにはいかぬ」

ラナ「はぁ......頭の悪い男だ。その決断、後悔しても知らないよ」

アクセイ「元より、後悔の多い人生だ。今、貴様と相見えても、我の根は変わらぬ」

 アクセイが、再び襲来砲デッドバスターの準備をしている。しかも、今度はタイマン用に連射性能を高めたもの。

ラナ「僕の名は森羅の風殿龍王、ラナ。かつて、怠惰の魔女、ツクヨミと呼ばれていた者だ」
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