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第8章√VS 【闇の魂】
第8章28 【終着点】
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ラナ「どうした?やはり、記憶だけではかつての力を引き出せないのかい?そうだとしたら実に残念だ。君は、あの時の力を持ってして僕に挑まなければ勝つことが出来ないと言うのにね。さっきの判断、今なら取り消せれるよ?取り消すかい?」
ラナと名乗るネイりんの猛攻。私達が恐れを抱いたアクセイを手のひらで弄ぶかの如く、不気味な笑みを浮かべて剣を振り回している。
あえて、深く考えることはしないが、確実に私達から離れた2週間で何かがあった。いや、家族探しに異世界へと出かけた1週間の間に何かがあった。元々、性格が変わりやすい子だとは思ってたけど、ボクっ娘キャラに変貌するとは考えもしなかった......ラナが憑依してるわけじゃないんだよね?どう見てもラナだけど、ネイりんなんだよね?
......なんでネイりんがラナみたいな性格に変貌を遂げたのか。いや、本人は否定してるけど、やっぱりラナが憑依してるんじゃないの?たったの1週間で人の性格が大きく変わることなんてないと思うの。うん。
ヴァル「やっぱり、ラナが憑依してるんじゃねぇのか?俺はラナが嘘ついてるに5000ゼル賭けるわ」
セリカ「じゃあ、私もラナが嘘ついてるに5000ゼル賭ける」
ミラ「私も、それに5000ゼル賭けてみようかしら?」
ラナ「それだと賭けが成立しないし、賭ける金額が大きすぎるんじゃないのかい?」
流石地獄耳、戦闘中でも私達の声が余裕で聞こえている。
ラナ「まあ、僕が嘘をついていようが嘘をついていまいが、こいつを倒したら何があったのか話してあげるよ。だから、ちょっと邪魔だからそこから2km離れてくれないか?」
「「「 2km!? 」」」
え?流石に聞き間違いだよね?そんなに広範囲で戦うの!?
ラナ「それくらい大袈裟に言わないと、君達は聞く耳を持たないだろうが」
あの......聞く耳くらいは普通に持ってますが......なんてことを言っても、「人の指示を真っ直ぐに聞き入れないだろう?」って言い返してきそう......。
ラナ「いい加減、諦めたらどうだ?君の勝率は万に1つもない。このまま、一方的に押され続けるというのも惨めというものだろう」
アクセイ「......確かに、我は貴様に勝てた事もなければ、勝てる見込みすらない」
ラナ「なら、どうして戦いを続けるんだ。僕は寛大な心の持ち主だからしないが、相手が殺人鬼だったらどうするんだい?逃がしてやると言われてるのだから、逃げた方が良いだろう?」
アクセイ「貴様の言うことは正しい。だが、我にも曲げられぬものというのが存在する」
ラナ「めんどくさいね。あまり、僕に面倒なことをさせないでくれたまえ。最悪、世界丸ごと君を壊しかねないから」
アクセイ「......貴様には、信念というものが存在しないのか?」
ラナ「......」
アクセイ「我は、己が信じた道をただひたすらに突き進む。どこかで間違えたかもしれない。だが、過ぎ去った過去は変えられん。それは、貴様がよく言っていたことでもある。だが、過ちを訂正できなくとも、その過ちを無かったことにし、自らの道を正すことも出来る。貴様は、邪龍となった過去を消し去ることはせず、それどころか世界から恐れられるのを承知で再び邪龍へとなった。我にはその行為が理解出来ぬ。なぜだ?」
ネイりんの動きがピタリと止まった。そして、剣を降ろしてアクセイをじっくりと見据えている。
ラナ「なぜかって?それは......」
ヒュんっと、物凄い勢いの風が、私達の周りを包み込むように発生しだした。発生源はネイりん。ゆっくりと深呼吸をして、その風を自らの体にまとわりつかせている。
ラナ「僕の大切な記憶だからだ。僕が、今のこの瞬間、こうして立っているために必要な記憶だからだ。過去を消し去り、無かったことにするだって?冗談は顔と下手な魔法程度にしたまえ。過去なんて誰にも変えることはできない。例え、過去に飛び、そこで変えたい過去に自分が加わったとしても、世界の運命は時間を正常に流し、僕達を酷く傷つける。それでも、僕達は変えられる未来を見て、顔を上げて前に進まなければならない。僕がここにいる理由、僕がここに生きている理由、僕が、仲間というもののために剣を握る理由、その理由全てが、過ぎ去った過去に存在している。例え、どんなに辛い過去だったとしても、それが今の僕を作り出している。どんな過去があったのかは知らないし、知るつもりも毛頭ないが、自分の過去を認めない君に、僕は負けない」
長ったらしい説教の文に、私の心を締め付けてくる言葉があった。
私も、お父さんとの関係は無かったことにしたかった。でも、そんなこと出来ない。ネイりんの言うように、ちゃんと向き合わないといけないのかもしれない。でも、それは物凄く怖いこと。過去の記憶を、無理矢理引きずり出されそうになる。
......でも、ネイりんは辛い過去を乗り越えたんだと思う。だからこそ、今の言葉が出てきたんだと私は思う。
............やっぱり、ネイりんにはどう足掻いたって勝てないよ。何もかも、教えてもらってばかりだ。
ラナ「君の罪を数えよう。1つ、僕達の仲間に手を出したこと。2つ、僕達のギルドを破壊したこと。そして3つ、僕の目の前で、自らの過去を蔑ろにするという発言をしたこと。全て、その体と魂で罪を償いたまえ。裁きの風音」
風が、アクセイの体を包み込んで、その体をズタズタに引き裂いていく。赤黒い血の色が、風に包み込まれてあたりへと散らしていく。
ラナ「......最後くらい、謝辞の言葉を述べても良かったんだがね」
ネイりんが剣を鞘に収めた時、アクセイの姿は血を一滴も残さずに消え去っていた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「ほら!さっさと進め!」
「ったく、お前ら。こんな大変な時期だと言うのに好き勝手暴れやがって......!オマケに、大会の時には不正も働いていたそうだな。まともな罰を受けられると思うなよ?」
......
......
......
なんとか戦いは終わった。
終わってくれた......
ダークソウルの飛行船は、王国騎士団によって回収され、内部に残っていたギルドメンバーは全員お縄になった。
......フウロとネイりんの饒舌すぎる話で、全ての非はダークソウルにあるとして私達はお咎めなし......となれば良かったのだけれど、全員お縄にならない代わり、大量の始末書が、後日マスターの元へと送られることになるらしい。
まあ、始末書なんて私達には関係のないこと。唯一ネイりんだけが恐ろしい顔をしていたけど。
そんなこんなで、私達は壊れたギルドの地下で、今回の反省会なるものをしていた。先に言うと、反省するべきことなんて何も話してないけどね。
ラナ「というわけで、以上、めんどくさい反省会は終了だ。色々と気になることがあるだろうし、僕自身も気になることはあるが、全てそれはそれとして無視しておきたまえ」
ヴァル「はーい、1つ質問」
ラナ「どうしてもこの場で必要なことかい?」
ヴァル「多分、この場にいる全員が気になってる事だ。多分と言うより、絶対だ」
ラナ「なら許そう」
ヴァル「......じゃあ、ざっくりと2つに分けて聞くな。まずお前の喋り方。俺はそんな風に育てた覚えはない」
ラナ「なるほど。サラッと流してくれると思ったんだがねぇ」
ヴァル「いや、流すわけねぇだろ。聞くに決まってんだろ」
ラナ「そうか......ふむ。じゃあ3文で説明するからそれで理解してくれ。まず1つ。僕はラナの名と力を継承した」
ヴァル「はい?」
ラナ「口を挟まないでくれ。めんどくさいから。そして2つ。かつて、僕の契約龍として存在していたラナは、未来の僕だった。3つ。今の僕は龍王だ。逆らう者は誰であろうと潰す。以後、僕を崇め奉るように」
最後の説明必要?普段言ってることと何ら変わりなかったよね?
ヴァル「あー......まあ......うん。分かった」
誰1人として理解出来てない様子である。かく言う私も理解はできていない。というか、今ので理解できる人いるの?絶対いないよね!?
ヴァル「じゃあ、もう1つ。お前の隣にいる白髪の龍人は誰だ?しれっとその場に紛れてるけど、俺の目は誤魔化されねぇからな?」
ヴェルド「ホントだ!なんかいる!?」
グリード「ホントだァ!なんかいやがるゥ!?」
ミラ「ホントだ!なんかいるわ!?」
レラ「ホントだ!なんかいる!?」
エレノア「ホントだ!なんかいる!?」
ヴァル「全員気づいてなかったのかよ!嘘だろ!?」
見事なくらいにみんなの息が合ったね。というか、なんであんな目立つ位置にいて気づかないのよ。もう、これギャグでしょ。絶対そうでしょ。
ラナ「......紹介しよう。彼女は僕の血の繋がった姉、イデアルだ」
イデアル「どうも。イデアルです。一応、科学者やってます」
セリカ「あ、一応の目的は達成してきたのね」
ラナ「舐めないでくれ。君達と違って、僕は1人で何でもできる質だ。そう、ダークソウルの奴らを叩き潰すのに、随分と時間がかかるような君達とは違う」
イデアル「とか何とか言いつつ、結局のところ多くの人の力を借りた末に私と再会......という流れでした」
ラナ「お姉ちゃん、折角強そうに見せようと思ってたのに、台無しじゃないですか!」
......猫被ってるって言うには意味がちょっと違うけど、化けの皮を剥がしたね。
ラナ「はっ!」
イデアル「ほらほら、いくら天才でも、ちょーっと気を抜いたら被ってるものが剥がれちゃうねー」
ラナ「ぐぬぬ......お姉ちゃんってそういうキャラでしたっけ。もっと違ったはずですよね。もっと、分からないことだらけでオドオドしていた感じが、つい数時間前まではしていた気がするんですけど」
イデアル「あら?そうだったかしら」
オホホと言った感じで、ネイりんの姉であるイデアルは、笑みを浮かべている。
イデアル「まあ、そんな感じでしばらくはこっちにいようと思うからよろしくね」
「「「 ...... 」」」
ラナ「......とまあ、そんなこんなで、元は僕と同じ記憶喪失者だ。色々とお調子者だが、まあ、軽く流してやってくれ」
姉妹って、育つ環境が違っても似てくるんだな。人間は育つ環境で性格とかその他諸々が決まるって言うけど、大元は同じなのかな?よく分からないけど。
突然だけど、ここで、ネイりんとさっきまでで聞いたイデアルの特徴を比べてみよう。
身体的特徴。
身長→両者共に低い(龍人としては)。
髪色→両者共に白髪......あれ?ネイりんの白髪って、ちょっと特殊な理由じゃなかったっけ?
性格→両者共にお調子者。
職業(職種)→科学者......科学者属性はヒカリんの方じゃなかったっけ?
その他→両者共に記憶喪失の経験あり。あと口が悪い(姉の方はまだ分からないかな?)。
以上、2人を比べてみたけど、そんなしっかりと似てる部分はないことに気がついた。
ラナ「以上、僕とお姉ちゃんに関する話は終わりだ。そして、他に何もなければこの会議は終了とする。何かある奴は手を挙げたまえ」
もう気になることはないのか、誰も手を挙げることはなかった。
「ちょっと待ちなさい。まだ話は終わらないわよ」
突如として、この部屋に異色......いや、聞き慣れた声が紛れ込んできた。
ラナ「随分と遅い到着だったね。何かあったのかい?」
「別に、何もないわよ。ただ、あのクソ親父がしつこくってね。中々こっちに戻って来れなかっただけよ」
セリカ「ヒカ......リん......?」
口調は、ヒカリんのものだと思う。でも、現れたのは、髪色がやけに明るいピンク髪の少女だった。
ラナ「......これまた、随分となイメチェンをしたものだ。次は何に影響されたんだい?」
「別に、ちょっと気分を変えてみようと思っただけよ。悪い?」
ラナ「いや。よく似合ってると思うよ。子猫ちゃん」
「その呼び方やめて。虫酸がランニングだから」
セリカ「あ、あの......ヒカリんだよね?」
「その呼び方もやめて。Gがパンプスの中に巣を作ってた時のような気分になるから」
何その例え......とにかく嫌なんだなってのは分かるけど......
ヒカリ「久し振りね。あんた達。......えーっと、まあ、誰も死んでないわよね」
......
......
......
ちょっとステイ。
「「「 お前らどうなってんのー!? 」」」
冷静に考えた時、全員が素っ頓狂な声を上げた。
ラナと名乗るネイりんの猛攻。私達が恐れを抱いたアクセイを手のひらで弄ぶかの如く、不気味な笑みを浮かべて剣を振り回している。
あえて、深く考えることはしないが、確実に私達から離れた2週間で何かがあった。いや、家族探しに異世界へと出かけた1週間の間に何かがあった。元々、性格が変わりやすい子だとは思ってたけど、ボクっ娘キャラに変貌するとは考えもしなかった......ラナが憑依してるわけじゃないんだよね?どう見てもラナだけど、ネイりんなんだよね?
......なんでネイりんがラナみたいな性格に変貌を遂げたのか。いや、本人は否定してるけど、やっぱりラナが憑依してるんじゃないの?たったの1週間で人の性格が大きく変わることなんてないと思うの。うん。
ヴァル「やっぱり、ラナが憑依してるんじゃねぇのか?俺はラナが嘘ついてるに5000ゼル賭けるわ」
セリカ「じゃあ、私もラナが嘘ついてるに5000ゼル賭ける」
ミラ「私も、それに5000ゼル賭けてみようかしら?」
ラナ「それだと賭けが成立しないし、賭ける金額が大きすぎるんじゃないのかい?」
流石地獄耳、戦闘中でも私達の声が余裕で聞こえている。
ラナ「まあ、僕が嘘をついていようが嘘をついていまいが、こいつを倒したら何があったのか話してあげるよ。だから、ちょっと邪魔だからそこから2km離れてくれないか?」
「「「 2km!? 」」」
え?流石に聞き間違いだよね?そんなに広範囲で戦うの!?
ラナ「それくらい大袈裟に言わないと、君達は聞く耳を持たないだろうが」
あの......聞く耳くらいは普通に持ってますが......なんてことを言っても、「人の指示を真っ直ぐに聞き入れないだろう?」って言い返してきそう......。
ラナ「いい加減、諦めたらどうだ?君の勝率は万に1つもない。このまま、一方的に押され続けるというのも惨めというものだろう」
アクセイ「......確かに、我は貴様に勝てた事もなければ、勝てる見込みすらない」
ラナ「なら、どうして戦いを続けるんだ。僕は寛大な心の持ち主だからしないが、相手が殺人鬼だったらどうするんだい?逃がしてやると言われてるのだから、逃げた方が良いだろう?」
アクセイ「貴様の言うことは正しい。だが、我にも曲げられぬものというのが存在する」
ラナ「めんどくさいね。あまり、僕に面倒なことをさせないでくれたまえ。最悪、世界丸ごと君を壊しかねないから」
アクセイ「......貴様には、信念というものが存在しないのか?」
ラナ「......」
アクセイ「我は、己が信じた道をただひたすらに突き進む。どこかで間違えたかもしれない。だが、過ぎ去った過去は変えられん。それは、貴様がよく言っていたことでもある。だが、過ちを訂正できなくとも、その過ちを無かったことにし、自らの道を正すことも出来る。貴様は、邪龍となった過去を消し去ることはせず、それどころか世界から恐れられるのを承知で再び邪龍へとなった。我にはその行為が理解出来ぬ。なぜだ?」
ネイりんの動きがピタリと止まった。そして、剣を降ろしてアクセイをじっくりと見据えている。
ラナ「なぜかって?それは......」
ヒュんっと、物凄い勢いの風が、私達の周りを包み込むように発生しだした。発生源はネイりん。ゆっくりと深呼吸をして、その風を自らの体にまとわりつかせている。
ラナ「僕の大切な記憶だからだ。僕が、今のこの瞬間、こうして立っているために必要な記憶だからだ。過去を消し去り、無かったことにするだって?冗談は顔と下手な魔法程度にしたまえ。過去なんて誰にも変えることはできない。例え、過去に飛び、そこで変えたい過去に自分が加わったとしても、世界の運命は時間を正常に流し、僕達を酷く傷つける。それでも、僕達は変えられる未来を見て、顔を上げて前に進まなければならない。僕がここにいる理由、僕がここに生きている理由、僕が、仲間というもののために剣を握る理由、その理由全てが、過ぎ去った過去に存在している。例え、どんなに辛い過去だったとしても、それが今の僕を作り出している。どんな過去があったのかは知らないし、知るつもりも毛頭ないが、自分の過去を認めない君に、僕は負けない」
長ったらしい説教の文に、私の心を締め付けてくる言葉があった。
私も、お父さんとの関係は無かったことにしたかった。でも、そんなこと出来ない。ネイりんの言うように、ちゃんと向き合わないといけないのかもしれない。でも、それは物凄く怖いこと。過去の記憶を、無理矢理引きずり出されそうになる。
......でも、ネイりんは辛い過去を乗り越えたんだと思う。だからこそ、今の言葉が出てきたんだと私は思う。
............やっぱり、ネイりんにはどう足掻いたって勝てないよ。何もかも、教えてもらってばかりだ。
ラナ「君の罪を数えよう。1つ、僕達の仲間に手を出したこと。2つ、僕達のギルドを破壊したこと。そして3つ、僕の目の前で、自らの過去を蔑ろにするという発言をしたこと。全て、その体と魂で罪を償いたまえ。裁きの風音」
風が、アクセイの体を包み込んで、その体をズタズタに引き裂いていく。赤黒い血の色が、風に包み込まれてあたりへと散らしていく。
ラナ「......最後くらい、謝辞の言葉を述べても良かったんだがね」
ネイりんが剣を鞘に収めた時、アクセイの姿は血を一滴も残さずに消え去っていた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「ほら!さっさと進め!」
「ったく、お前ら。こんな大変な時期だと言うのに好き勝手暴れやがって......!オマケに、大会の時には不正も働いていたそうだな。まともな罰を受けられると思うなよ?」
......
......
......
なんとか戦いは終わった。
終わってくれた......
ダークソウルの飛行船は、王国騎士団によって回収され、内部に残っていたギルドメンバーは全員お縄になった。
......フウロとネイりんの饒舌すぎる話で、全ての非はダークソウルにあるとして私達はお咎めなし......となれば良かったのだけれど、全員お縄にならない代わり、大量の始末書が、後日マスターの元へと送られることになるらしい。
まあ、始末書なんて私達には関係のないこと。唯一ネイりんだけが恐ろしい顔をしていたけど。
そんなこんなで、私達は壊れたギルドの地下で、今回の反省会なるものをしていた。先に言うと、反省するべきことなんて何も話してないけどね。
ラナ「というわけで、以上、めんどくさい反省会は終了だ。色々と気になることがあるだろうし、僕自身も気になることはあるが、全てそれはそれとして無視しておきたまえ」
ヴァル「はーい、1つ質問」
ラナ「どうしてもこの場で必要なことかい?」
ヴァル「多分、この場にいる全員が気になってる事だ。多分と言うより、絶対だ」
ラナ「なら許そう」
ヴァル「......じゃあ、ざっくりと2つに分けて聞くな。まずお前の喋り方。俺はそんな風に育てた覚えはない」
ラナ「なるほど。サラッと流してくれると思ったんだがねぇ」
ヴァル「いや、流すわけねぇだろ。聞くに決まってんだろ」
ラナ「そうか......ふむ。じゃあ3文で説明するからそれで理解してくれ。まず1つ。僕はラナの名と力を継承した」
ヴァル「はい?」
ラナ「口を挟まないでくれ。めんどくさいから。そして2つ。かつて、僕の契約龍として存在していたラナは、未来の僕だった。3つ。今の僕は龍王だ。逆らう者は誰であろうと潰す。以後、僕を崇め奉るように」
最後の説明必要?普段言ってることと何ら変わりなかったよね?
ヴァル「あー......まあ......うん。分かった」
誰1人として理解出来てない様子である。かく言う私も理解はできていない。というか、今ので理解できる人いるの?絶対いないよね!?
ヴァル「じゃあ、もう1つ。お前の隣にいる白髪の龍人は誰だ?しれっとその場に紛れてるけど、俺の目は誤魔化されねぇからな?」
ヴェルド「ホントだ!なんかいる!?」
グリード「ホントだァ!なんかいやがるゥ!?」
ミラ「ホントだ!なんかいるわ!?」
レラ「ホントだ!なんかいる!?」
エレノア「ホントだ!なんかいる!?」
ヴァル「全員気づいてなかったのかよ!嘘だろ!?」
見事なくらいにみんなの息が合ったね。というか、なんであんな目立つ位置にいて気づかないのよ。もう、これギャグでしょ。絶対そうでしょ。
ラナ「......紹介しよう。彼女は僕の血の繋がった姉、イデアルだ」
イデアル「どうも。イデアルです。一応、科学者やってます」
セリカ「あ、一応の目的は達成してきたのね」
ラナ「舐めないでくれ。君達と違って、僕は1人で何でもできる質だ。そう、ダークソウルの奴らを叩き潰すのに、随分と時間がかかるような君達とは違う」
イデアル「とか何とか言いつつ、結局のところ多くの人の力を借りた末に私と再会......という流れでした」
ラナ「お姉ちゃん、折角強そうに見せようと思ってたのに、台無しじゃないですか!」
......猫被ってるって言うには意味がちょっと違うけど、化けの皮を剥がしたね。
ラナ「はっ!」
イデアル「ほらほら、いくら天才でも、ちょーっと気を抜いたら被ってるものが剥がれちゃうねー」
ラナ「ぐぬぬ......お姉ちゃんってそういうキャラでしたっけ。もっと違ったはずですよね。もっと、分からないことだらけでオドオドしていた感じが、つい数時間前まではしていた気がするんですけど」
イデアル「あら?そうだったかしら」
オホホと言った感じで、ネイりんの姉であるイデアルは、笑みを浮かべている。
イデアル「まあ、そんな感じでしばらくはこっちにいようと思うからよろしくね」
「「「 ...... 」」」
ラナ「......とまあ、そんなこんなで、元は僕と同じ記憶喪失者だ。色々とお調子者だが、まあ、軽く流してやってくれ」
姉妹って、育つ環境が違っても似てくるんだな。人間は育つ環境で性格とかその他諸々が決まるって言うけど、大元は同じなのかな?よく分からないけど。
突然だけど、ここで、ネイりんとさっきまでで聞いたイデアルの特徴を比べてみよう。
身体的特徴。
身長→両者共に低い(龍人としては)。
髪色→両者共に白髪......あれ?ネイりんの白髪って、ちょっと特殊な理由じゃなかったっけ?
性格→両者共にお調子者。
職業(職種)→科学者......科学者属性はヒカリんの方じゃなかったっけ?
その他→両者共に記憶喪失の経験あり。あと口が悪い(姉の方はまだ分からないかな?)。
以上、2人を比べてみたけど、そんなしっかりと似てる部分はないことに気がついた。
ラナ「以上、僕とお姉ちゃんに関する話は終わりだ。そして、他に何もなければこの会議は終了とする。何かある奴は手を挙げたまえ」
もう気になることはないのか、誰も手を挙げることはなかった。
「ちょっと待ちなさい。まだ話は終わらないわよ」
突如として、この部屋に異色......いや、聞き慣れた声が紛れ込んできた。
ラナ「随分と遅い到着だったね。何かあったのかい?」
「別に、何もないわよ。ただ、あのクソ親父がしつこくってね。中々こっちに戻って来れなかっただけよ」
セリカ「ヒカ......リん......?」
口調は、ヒカリんのものだと思う。でも、現れたのは、髪色がやけに明るいピンク髪の少女だった。
ラナ「......これまた、随分となイメチェンをしたものだ。次は何に影響されたんだい?」
「別に、ちょっと気分を変えてみようと思っただけよ。悪い?」
ラナ「いや。よく似合ってると思うよ。子猫ちゃん」
「その呼び方やめて。虫酸がランニングだから」
セリカ「あ、あの......ヒカリんだよね?」
「その呼び方もやめて。Gがパンプスの中に巣を作ってた時のような気分になるから」
何その例え......とにかく嫌なんだなってのは分かるけど......
ヒカリ「久し振りね。あんた達。......えーっと、まあ、誰も死んでないわよね」
......
......
......
ちょっとステイ。
「「「 お前らどうなってんのー!? 」」」
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