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第10章-Ⅰ 【Campo proelii ex mortuis】
第10章8 【pelagus】
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青ドクロを追いかけて、俺達は高く、高く飛び続けた。道中、今までのピンクの霧が紫色へと変わり、そっから段々と黒色へと変わっていった。
本当に死の国って名前に相応しい色だな、と思った。死の国=黒って、マジで普通な組み合わせだな。だからこそ、イメージ通りの恐ろしさも湧いてくるんだが......
ヴァル「......若干、空気が薄いな」
ヒカリ「そうね。まあ、死の国って言うくらいだし、生かすための設備なんて要らないんでしょ。夢の力もこっちじゃないようだし、ここからは歩いていくしかないわね」
俺と、エフィ、エレノアの3人の羽は、着地と同時にとっくに消えている。ヒカリだけは自前の機械だったからか残っているが、どうやらエネルギー切れを起こしているらしい。
ヒカリ「こんな事なら、もうちょっとエネルギー源を蓄えてくれば良かったわね......まあ、四の五の言っても仕方ないわ。行きましょ」
この世界では、こいつだけが本物の体。で、どうやら夢の力も使えない......と。まあ、死の国に入っちまえば俺達も使えねぇし、大した差ではないか。
ヴァル「......一応、魔法は使えるみたいだな」
エフィ「え!?ヴァルさん使えるんですか!?」
ヴァル「ああ?ほら、こうすりゃ......」
エレノア「本当だ。炎が出てる......」
ヴァル「え?お前ら使えねぇの?」
そう問いかけると、2人は顔を見合わせて、次の瞬間には「うん」と頷いた。
ヒカリ「魔法が使えるのは夢の力。この世界での体には、魔法を自由自在に使える機関は備わってないのよ。私が使えるのは、この体が現実のものであるから。で、あんたが使えるのは......恐らく......女神の加護って言ったところかしらね」
ヴァル「女神の......加護?」
もしかして、ヴァルキリーの事だろうか?俺の脳内に語りかけてきた変なナビゲーションだったが、恐らくは死の国の介入によって何かが起こり、以来、何も連絡できずにいる。
死の国をどうにかしろとか言ってきたが、もしかしたらその為にこの世界の俺の体に細工をしてくれたのかもしれない。
ヒカリ「まあ、何にせよ、あんたを連れて来て正解だったってことね」
ヴァル「......そういや、ライオス達は?」
ヒカリ「さっき、青ドクロ達に向こうに見える城に連れて行かれてたわ。急がないと、現実で死んじゃうかもね」
ヴァル「マジかよ!?じゃあ、急がねぇと!」
時間をもどせばどうせこの事も無かったことにはなるだろうが、やっぱ仲間が死ぬってのは胸糞が悪いもんだ。
黒い霧に包まれた街を走り出した俺達だったが、不気味な程にあたりから呻き声が聞こえてきた。
あちらこちらに建物はあるが、特に人がいるわけではない。なのに、耳に響く、この嫌な音は何なんだ?別に、この世界に来て苦しんでいる人達がいるのならまだいいが、呻き声を上げる者が一切見えないとなると、気味が悪いってもんだ。
多分、これはこの世界で死んでいった奴らの呻き声、いや、叫び声なんだろうな。
ヒカリ「気味が悪いものねぇ......全く、これだから人間ってのは嫌いなのよ」
エフィ「アハハ......」
こいつ、昔のネイと同じこと言ってんな。まあ、狂っても同じ人間だからな。
エレノア「ねぇ、ヴァル。ヒカリさんって、あんな子だったっけ?」
ヴァル「あー......」
そういやそうだよな。特にエレノアはヒカリとはあまり関わりがないからな。あの時のヒカリしか知らないんだったら、こう思っても仕方ない。
ヴァル「まあ、俺達の時間だと色々あったんだよ」
エレノア「そういうもんかー」
ヴァル「そういうもんだ。どんな人間だって、変われるチャンスがあるって事だ。あいつはそれを手にした。それだけだ」
エレノア「ふーん」
なんか、疑問を持たれている感じはするが、記憶を取り戻せばすぐに理解できる......いや、今まで通りになるだろう。そうに決まってる。
あの青ドクロ共はもうどこにも見えない。だが、城までの距離は確実に近づいている。みんなを助ける。その一心で俺は地を踏む足に力を込めた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ネイ「あ゛ぁぁぁー!あぁあぁ......!」
グリード「こりゃァ、聞いてた以上に酷ェなァ」
シアラ「ですね......その......なんと言えばいいのか」
ミラ「......」
たまたまギルドにいた頼れる3人を呼んでみたが、3人とも、この惨状を見て顔をしかめている。特に、ミラさんは悲観な面持ちで、ネイの肩にそっと手を触れていた。
ミラ「そっか......ヴァルが......遊魔病に......」
無力を嘆くかのように、小さく、そう呟いていた。
頼れる3人って言っても、やっぱりこの辺には酷く弱いらしい。まあ、私達だって何をしてあげたらいいのかが分からないのに、それをこの3人に丸投げしようってのは、都合が良すぎるし、何より責任転嫁ってものになる。
ミラ「ヴァル......」
ネイ「触らないで!......」
ヴァルの顔に触れようとしたミラの手を、ネイは激しく打ちしばく。
ネイ「ヴァルに......触らないで......」
泣きながらも、ハッキリと自分の意思を主張してきた。
引っかき傷でボロボロになった泣き顔は、明らかに私達に敵意を向けていた。
ミラ「ねぇ、ネイ。ヴァルは......」
ネイ「死んでない!ヴァルは......死んでない!......」
ミラ「......」
もう、どうしたらいいのか。私達は変なことが起きたせいで、ネイの事を一切合切覚えていない。だから、こんな時にどんな言葉をかけたらいいのかが分からない。
どうにかしてあげたい。その気持ちは強くある。でも、やっぱりどうしたらいいのかが分からないでいる。もどかしい気持ちだ。どうにかしたいのに、どうもしてあげられない。誰でもいいから、ネイを救ってあげてほしい......。
お願い、ヴァル。戻ってきてよ......
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァル「ここが、例の城か......」
ヒカリ「逃げるなら今のうちよ」
ヴァル「バカ。逃げねぇよ」
逃げたところで何にもならねぇだろ。特に、今回に限っては逃げたらマジでどうにもならない。つか、どこに逃げればいいんだよ。
ヒカリ「......私、一応は現実の体だから、危ないと思ったらすぐに退散させてもらうからね」
ヴァル「好きにしろ。お前に死なれちゃ困るからな」
ヒカリ「......」
さて、意思確認も取れたし、そろそろ攻めるとしますかねぇ!
ヴァル「夢の世界......じゃなかった。死の世界に殴り込みだぁー!!!」
ヒカリ「大事なところを間違えるんじゃないわよ」
エフィ「ヴァルさんらしくて良いですけどね」
エレノア「そうそう」
良いじゃねぇか。言葉くらい間違えたって何も問題はねぇだろ。政治家じゃあるまいし。
俺は、炎を足に灯して城の扉を蹴破る。仮にも城だと言うのに、警備が一切ねぇ。何かあるんじゃないかと裏を探ってみるが、まあ、思いつくのは罠があるくらいだよな。
ここら辺に関しては何かあればヒカリが感知してくれるし、任せておけばいいだろうな。
ヒカリ「......誰もいないわね」
エレノア「不気味ね......」
ヒカリは2丁の拳銃を構え、エレノアはこんな場所でも光り輝く剣を構えている。
俺も、拳に炎を灯して辺りを照らす。
城の内部だっていうのに、驚く程何もない。確実に罠があるんだろうが、どこへ進めどそれらしきものは一切出現しないでいる。ハッキリ言って不気味だ。
ヴァル「どうするよ?このまま先に進んでもいいが、流石にこの状況は......」
ヒカリ「不気味よね......罠も無ければ、私達の侵入に気づいたであろう敵もやって来ない。どうしたもんか......」
エレノア「敵がやって来ないのはいい事だけど、やっぱ不気味ですよね。一応辺りの生命反応を見てますけど、何も見えませんね」
エフィ「それって、ここが死の国って名前の通り、死者しかいないからじゃないですか?」
ヒカリ「......そうか。居たとしても死者だけだから......」
ヴァル「何か気づいたか?」
ヒカリ「もしかしたら、って話だけど、この世界は人がいないんじゃない?」
「「「 ??? 」」」
人がいない?確かに、死者しかいないってことは人がいないんだろうが、どういう事だ?
ヒカリ「あぁ、言い方が悪かったわね。要は、死者も生者も1人もいないってことよ」
「「「 ??? 」」」
ちょっと待て。さっきエフィが言ったことを完全に否定してるじゃねぇか。
ヒカリ「多分だけど、この世界、主と呼べる人以外誰もいないと思うわよ」
ヴァル「じゃあ、ライオス達は......」
ヒカリ「この世界に連れてこられた時点で詰み。もう現実で死んでるわね」
ヴァル「......」
嘘......だろ?
ライオス達が......もう死んでる?
ヒカリ「あくまで仮説。現実を見れない以上、本当に死んでるとは限らない。でも、この世界に誰1人居ないのだとしたら、ここに連れてこられた時点で死んでると思うわよ」
ヴァル「......」
ヒカリ「そう悲観しなくても、どうせこの時間は偽物でしょ?なら、その時間を元に戻せば全てまるっと収まるわよ」
ヴァル「......それでいいのかよ」
ヒカリ「......ヴァル。やり直しが効かないのなら悲観に満ちててもいいわ。でも、今回の出来事は異常。全てを無かったことにしなきゃならない。きっと、あの子は全ての力を取り戻した暁には、みんなの記憶を消して、こんな出来事が無かったことにする」
ヴァル「だからって、仲間の死をほいほいと受け入れられるかよ!」
エフィ「ヴァルさん......」
エレノア「......でも、ヒカリさんが言うことは間違ってないと思う。仲間の死に何も言わないのはどうかとも思うけど、でも、最終的に何もかもが元に戻るんだったら、今は仲間の死に一々悲観してる場合じゃないと思う」
エレノア......お前まで、そんなことを言うのかよ......
ヒカリ「......今のは、私が悪かったわね。別に、死に関して何も思わないわけじゃないのよ。でも、私の手はとっくに汚れてるから......ね。人殺しは、人の死に対して鈍感になってるのよ。ごめんなさい」
......それは......セコいぜ。ヒカリ......
ヴァル「あぁ、もう分かったよ!今は、全てをまるっと収めるために戦う。それでいいんだろ!」
自分の頬を両手でしばいて、無理矢理自分を納得させる。
ヴァル「ただ、1つだけ言っとく。ネイが完全に力を取り戻せられるとは限らねぇ。なるべく無犠牲で動く。それでいいな」
ヒカリ「......分かったわよ。死んでも大丈夫、なんて考えは持たないよう善処する。それでいいでしょ」
ちょっと動揺しちまったが、俺達がすべき事に変わりはない。今のは、冷静になるためのちょっとした儀式みたいなもんだ。
ヴァル「それじゃ、行くぞ!最上階目指して」
ポチっ......
ヴァル「ん?なんか今、変なもん踏んだ気がするぞ」
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ......
ヴァル「なんか......変な音しね?」
ヒカリ「ヴァル。罠がないって言ったの、多分嘘になるわ」
えーっと、向かおうとした階段の先から大玉が転がってきてんですが、なんでこんなテンプレ通りの罠が仕掛けてあるかな?ハハハってそうじゃねぇだろ!?
ヒカリ「みんな左右に散って!」
その後、なんとか大玉を回避するも、2階以降は普通に罠が張ってあって、ここがちゃんとした敵のいる場所なんだと思い知らされた。敵兵はいなかったけどな。
本当に死の国って名前に相応しい色だな、と思った。死の国=黒って、マジで普通な組み合わせだな。だからこそ、イメージ通りの恐ろしさも湧いてくるんだが......
ヴァル「......若干、空気が薄いな」
ヒカリ「そうね。まあ、死の国って言うくらいだし、生かすための設備なんて要らないんでしょ。夢の力もこっちじゃないようだし、ここからは歩いていくしかないわね」
俺と、エフィ、エレノアの3人の羽は、着地と同時にとっくに消えている。ヒカリだけは自前の機械だったからか残っているが、どうやらエネルギー切れを起こしているらしい。
ヒカリ「こんな事なら、もうちょっとエネルギー源を蓄えてくれば良かったわね......まあ、四の五の言っても仕方ないわ。行きましょ」
この世界では、こいつだけが本物の体。で、どうやら夢の力も使えない......と。まあ、死の国に入っちまえば俺達も使えねぇし、大した差ではないか。
ヴァル「......一応、魔法は使えるみたいだな」
エフィ「え!?ヴァルさん使えるんですか!?」
ヴァル「ああ?ほら、こうすりゃ......」
エレノア「本当だ。炎が出てる......」
ヴァル「え?お前ら使えねぇの?」
そう問いかけると、2人は顔を見合わせて、次の瞬間には「うん」と頷いた。
ヒカリ「魔法が使えるのは夢の力。この世界での体には、魔法を自由自在に使える機関は備わってないのよ。私が使えるのは、この体が現実のものであるから。で、あんたが使えるのは......恐らく......女神の加護って言ったところかしらね」
ヴァル「女神の......加護?」
もしかして、ヴァルキリーの事だろうか?俺の脳内に語りかけてきた変なナビゲーションだったが、恐らくは死の国の介入によって何かが起こり、以来、何も連絡できずにいる。
死の国をどうにかしろとか言ってきたが、もしかしたらその為にこの世界の俺の体に細工をしてくれたのかもしれない。
ヒカリ「まあ、何にせよ、あんたを連れて来て正解だったってことね」
ヴァル「......そういや、ライオス達は?」
ヒカリ「さっき、青ドクロ達に向こうに見える城に連れて行かれてたわ。急がないと、現実で死んじゃうかもね」
ヴァル「マジかよ!?じゃあ、急がねぇと!」
時間をもどせばどうせこの事も無かったことにはなるだろうが、やっぱ仲間が死ぬってのは胸糞が悪いもんだ。
黒い霧に包まれた街を走り出した俺達だったが、不気味な程にあたりから呻き声が聞こえてきた。
あちらこちらに建物はあるが、特に人がいるわけではない。なのに、耳に響く、この嫌な音は何なんだ?別に、この世界に来て苦しんでいる人達がいるのならまだいいが、呻き声を上げる者が一切見えないとなると、気味が悪いってもんだ。
多分、これはこの世界で死んでいった奴らの呻き声、いや、叫び声なんだろうな。
ヒカリ「気味が悪いものねぇ......全く、これだから人間ってのは嫌いなのよ」
エフィ「アハハ......」
こいつ、昔のネイと同じこと言ってんな。まあ、狂っても同じ人間だからな。
エレノア「ねぇ、ヴァル。ヒカリさんって、あんな子だったっけ?」
ヴァル「あー......」
そういやそうだよな。特にエレノアはヒカリとはあまり関わりがないからな。あの時のヒカリしか知らないんだったら、こう思っても仕方ない。
ヴァル「まあ、俺達の時間だと色々あったんだよ」
エレノア「そういうもんかー」
ヴァル「そういうもんだ。どんな人間だって、変われるチャンスがあるって事だ。あいつはそれを手にした。それだけだ」
エレノア「ふーん」
なんか、疑問を持たれている感じはするが、記憶を取り戻せばすぐに理解できる......いや、今まで通りになるだろう。そうに決まってる。
あの青ドクロ共はもうどこにも見えない。だが、城までの距離は確実に近づいている。みんなを助ける。その一心で俺は地を踏む足に力を込めた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ネイ「あ゛ぁぁぁー!あぁあぁ......!」
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ミラ「そっか......ヴァルが......遊魔病に......」
無力を嘆くかのように、小さく、そう呟いていた。
頼れる3人って言っても、やっぱりこの辺には酷く弱いらしい。まあ、私達だって何をしてあげたらいいのかが分からないのに、それをこの3人に丸投げしようってのは、都合が良すぎるし、何より責任転嫁ってものになる。
ミラ「ヴァル......」
ネイ「触らないで!......」
ヴァルの顔に触れようとしたミラの手を、ネイは激しく打ちしばく。
ネイ「ヴァルに......触らないで......」
泣きながらも、ハッキリと自分の意思を主張してきた。
引っかき傷でボロボロになった泣き顔は、明らかに私達に敵意を向けていた。
ミラ「ねぇ、ネイ。ヴァルは......」
ネイ「死んでない!ヴァルは......死んでない!......」
ミラ「......」
もう、どうしたらいいのか。私達は変なことが起きたせいで、ネイの事を一切合切覚えていない。だから、こんな時にどんな言葉をかけたらいいのかが分からない。
どうにかしてあげたい。その気持ちは強くある。でも、やっぱりどうしたらいいのかが分からないでいる。もどかしい気持ちだ。どうにかしたいのに、どうもしてあげられない。誰でもいいから、ネイを救ってあげてほしい......。
お願い、ヴァル。戻ってきてよ......
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヴァル「ここが、例の城か......」
ヒカリ「逃げるなら今のうちよ」
ヴァル「バカ。逃げねぇよ」
逃げたところで何にもならねぇだろ。特に、今回に限っては逃げたらマジでどうにもならない。つか、どこに逃げればいいんだよ。
ヒカリ「......私、一応は現実の体だから、危ないと思ったらすぐに退散させてもらうからね」
ヴァル「好きにしろ。お前に死なれちゃ困るからな」
ヒカリ「......」
さて、意思確認も取れたし、そろそろ攻めるとしますかねぇ!
ヴァル「夢の世界......じゃなかった。死の世界に殴り込みだぁー!!!」
ヒカリ「大事なところを間違えるんじゃないわよ」
エフィ「ヴァルさんらしくて良いですけどね」
エレノア「そうそう」
良いじゃねぇか。言葉くらい間違えたって何も問題はねぇだろ。政治家じゃあるまいし。
俺は、炎を足に灯して城の扉を蹴破る。仮にも城だと言うのに、警備が一切ねぇ。何かあるんじゃないかと裏を探ってみるが、まあ、思いつくのは罠があるくらいだよな。
ここら辺に関しては何かあればヒカリが感知してくれるし、任せておけばいいだろうな。
ヒカリ「......誰もいないわね」
エレノア「不気味ね......」
ヒカリは2丁の拳銃を構え、エレノアはこんな場所でも光り輝く剣を構えている。
俺も、拳に炎を灯して辺りを照らす。
城の内部だっていうのに、驚く程何もない。確実に罠があるんだろうが、どこへ進めどそれらしきものは一切出現しないでいる。ハッキリ言って不気味だ。
ヴァル「どうするよ?このまま先に進んでもいいが、流石にこの状況は......」
ヒカリ「不気味よね......罠も無ければ、私達の侵入に気づいたであろう敵もやって来ない。どうしたもんか......」
エレノア「敵がやって来ないのはいい事だけど、やっぱ不気味ですよね。一応辺りの生命反応を見てますけど、何も見えませんね」
エフィ「それって、ここが死の国って名前の通り、死者しかいないからじゃないですか?」
ヒカリ「......そうか。居たとしても死者だけだから......」
ヴァル「何か気づいたか?」
ヒカリ「もしかしたら、って話だけど、この世界は人がいないんじゃない?」
「「「 ??? 」」」
人がいない?確かに、死者しかいないってことは人がいないんだろうが、どういう事だ?
ヒカリ「あぁ、言い方が悪かったわね。要は、死者も生者も1人もいないってことよ」
「「「 ??? 」」」
ちょっと待て。さっきエフィが言ったことを完全に否定してるじゃねぇか。
ヒカリ「多分だけど、この世界、主と呼べる人以外誰もいないと思うわよ」
ヴァル「じゃあ、ライオス達は......」
ヒカリ「この世界に連れてこられた時点で詰み。もう現実で死んでるわね」
ヴァル「......」
嘘......だろ?
ライオス達が......もう死んでる?
ヒカリ「あくまで仮説。現実を見れない以上、本当に死んでるとは限らない。でも、この世界に誰1人居ないのだとしたら、ここに連れてこられた時点で死んでると思うわよ」
ヴァル「......」
ヒカリ「そう悲観しなくても、どうせこの時間は偽物でしょ?なら、その時間を元に戻せば全てまるっと収まるわよ」
ヴァル「......それでいいのかよ」
ヒカリ「......ヴァル。やり直しが効かないのなら悲観に満ちててもいいわ。でも、今回の出来事は異常。全てを無かったことにしなきゃならない。きっと、あの子は全ての力を取り戻した暁には、みんなの記憶を消して、こんな出来事が無かったことにする」
ヴァル「だからって、仲間の死をほいほいと受け入れられるかよ!」
エフィ「ヴァルさん......」
エレノア「......でも、ヒカリさんが言うことは間違ってないと思う。仲間の死に何も言わないのはどうかとも思うけど、でも、最終的に何もかもが元に戻るんだったら、今は仲間の死に一々悲観してる場合じゃないと思う」
エレノア......お前まで、そんなことを言うのかよ......
ヒカリ「......今のは、私が悪かったわね。別に、死に関して何も思わないわけじゃないのよ。でも、私の手はとっくに汚れてるから......ね。人殺しは、人の死に対して鈍感になってるのよ。ごめんなさい」
......それは......セコいぜ。ヒカリ......
ヴァル「あぁ、もう分かったよ!今は、全てをまるっと収めるために戦う。それでいいんだろ!」
自分の頬を両手でしばいて、無理矢理自分を納得させる。
ヴァル「ただ、1つだけ言っとく。ネイが完全に力を取り戻せられるとは限らねぇ。なるべく無犠牲で動く。それでいいな」
ヒカリ「......分かったわよ。死んでも大丈夫、なんて考えは持たないよう善処する。それでいいでしょ」
ちょっと動揺しちまったが、俺達がすべき事に変わりはない。今のは、冷静になるためのちょっとした儀式みたいなもんだ。
ヴァル「それじゃ、行くぞ!最上階目指して」
ポチっ......
ヴァル「ん?なんか今、変なもん踏んだ気がするぞ」
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ......
ヴァル「なんか......変な音しね?」
ヒカリ「ヴァル。罠がないって言ったの、多分嘘になるわ」
えーっと、向かおうとした階段の先から大玉が転がってきてんですが、なんでこんなテンプレ通りの罠が仕掛けてあるかな?ハハハってそうじゃねぇだろ!?
ヒカリ「みんな左右に散って!」
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※10/1から連載し、10/7に完結します。
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
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